死んだ装甲兵は忘れし神々の夢を見るか   作:てきだんへー

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「命令が下った!ティーガー隊と対空隊は調印会場付近へ!ティーガー2は外郭を練り歩いて機動的防衛!大量のクルセイダー隊はティーガー隊とティーガー2隊の間に展開!不測の事態に備えろ!」

『レト、聞こえるか?』

「えぇ、大隊長。どうしました?」

チハルが聞いてくるので何かと気になり聞いてみることにする。

『Si vis pacem, para bellum』

「どういう意味?」

『汝平和を欲さば、戦への備えをせよ。だ。』

「……何か起きると?」

『さぁね。ただ私からの激励だと思ってくれ』

「了解」

エンジンを震わせ、大地の咆哮のような音が辺りに響く

「第七機甲大隊の力を見せどころだ!!お前ら!トリニティの嬢様共に見せてやれ!我々の偉大さを!我々の精強さを!精強無比こそ我らが信念!我らこそが平和の体現者だ!利益に貪欲な連中とは違うことを示してやれ!」

「「了解!!」」

レトの激励により全隊員の顔が引き締まる。
エデン条約調印まで、あと1時間45分。

恐らく30分もすれば展開が完了する。会場に置かれたレーダーを頼りに第七機甲大隊は動く。近づくヘルメット団をしばき、盗撮しようと警戒網内に入るドローンを対空砲で撃ち落としたりした。


混乱

 

 

ゲヘナの万魔殿議長 羽沼マコトやトリニティのティーパーティの代理ホスト 桐藤ナギサが続々と到着する中、第七機甲大隊 対空隊は騒がしくなっていた

 

「何かが急速に迫ってきてます!!」

 

「このままだと8分後にここを通過する!?」

 

「なんだこれは!?」

 

「だ、大隊長かレトさんを呼べ!」

 

チハルがホログラムとしてその場に召喚され、レーダーを確認する。しかし、チハルでもこれは分からなかった。

 

「なんだ……これ……(そもそもレーダーなんて英軍のものだったから何も知らないんだよなぁ……!)」

 

皆から教えられてこちらに向かって急速接近してくる影がみんなが騒ぐ正体だと気づいた。分かれば、彼女もしかし、皆目見当もつかない訳でも無かった。

 

「これって……V-2ロケット…!?」

 

「大隊長残り3分です!!」

 

皆目見当もつかない訳ではない。だから大丈夫かと聞かれると答えはノーだ。彼女自身、撃ち込むのは行ってたことがあるが迎撃はしたことが無い

 

「この速度……まさか!!対空隊とレーダーを同期して事前迎撃を行なえ!絶対に通すな!!教会が崩れ落ちるぞ!!私は先生に伝えて脱出の手引きをするから!」

 

そういうとチハルはホログラムを切って教会へ走り出していた。

 

「対空隊!飛翔体を補足したか!?」

 

『えぇ!はるか前方に1つ流れ星みたく近づいてきます!』

 

「砲弾は気にするな!撃って撃って撃ちまくれ!撃墜しろ!!」

 

『了解!!』

 

刹那、会場に対空砲の炸裂音が響き渡る。8.8cmの重厚な砲撃音や超高速の4連装の砲門が火を吹き、雲ひとつ無い空にくすんだ灰色の花火を作り出す。

 

『大隊長走って!!先生を助けて!!止められないかもしれない!!』

 

『なんだあれ早すぎる!!』

 

『私達が止まってるのか!?』

 

『いいから手を動かせ!!死ぬぞ!!』

 

『直撃した場合被害は甚大!恐らく先生は死ぬ可能性が高いです!』

 

『戦車も機関銃でもなんでもいいから撃て!!』

 

曳光弾や花火が青い空に色を落とす。

 

__________________

 

「先生着いてきて!!」

 

会場の扉を開けて先生を大きな声で呼ぶ。

 

"どうしたの?"

 

「いいからお願い!」

 

白?に近い髪の女性と話していたが引き離し、先生を引きずりながら会場から立ち去ろうとするとその女性に足止めされる

 

「な、何をするつもりですか!?先生はこのエデン条約のために必要な方!堂々としていても誘拐は認められません!」

 

「違うって!いいから先生!」

 

『大隊長抜けられた!!』

 

『30秒後に着弾する!!先生を守って!』

 

「っクソ!!全員伏せろ!!さもなくばティーガーでその頭吹き飛ばすぞ!!」

 

『大隊長入口にティーガーを持ってきた!急いで乗せて早く!!』

 

トウカが叫ぶ。もう時間的猶予も残っていないので先生の手を掴む女性を蹴り飛ばして入口にいるティーガーのハッチに先生を放り込む。

 

"な、何するの!?"

 

「トウカ全速後退!先生は衝撃に備えて!」

 

その瞬間、対空隊が止めれなかったミサイルが会場に着弾する。

 

「大丈夫、V-2ぅわぁあああああ!!!」

 

先生を乗せた戦車とそれの援護車両2両が一瞬で揉まれ、行動不能になる。

内部で頭を色々なところに打ち、全員の意識があやふやになる。

 

「あ……頭が……」

 

「巡航ミサイル……!?」

 

「V-2の威力じゃ……」

 

"みんな大丈夫!?"

 

トウカやサダミ ナツメにココロに私。全員がフラフラとしていたが、先生の言葉で気を取り直す。幸い先生はヘルメットを被せていたので軽傷なものの、このままなら襲撃者に殺されるのは火を見るより明らかだった。

 

「先生ここから出よう!」

 

全員で先生を車両から引きずり出して戦車の影に隠れさせる。

 

「まだ来る……いや、発砲音…!?」

 

「巡航ミサイルはそんないくつも買えるものじゃない。今の一撃が全てを賭けた攻撃だと思うよ。チハルさん」

 

「そうか……そうか……ふははっ!!おい!援護車!全員下車して銃を持て!」

 

入口付近にいた2両のティーガーはエンジンが故障していたが、中の搭乗員は幸いまだ戦えそうだった。

 

「先生、我々は精鋭です。お任せ下さい」

 

熱風に晒されてもなお折れることも、燃えることもなかった第七機甲大隊の旗を砲塔後方から抜き取り、肩に担ぐ。

 

そして2人を先生のボディガードにつけて13人で会場跡地に向かう。

 

するとそこには白い服を着た生徒達がこちらに銃を向けていた。

 

「愚かなる反逆者共よ!この偉大なるアーリア人の前に平伏し、許しを乞うならば先生の名のもとに許すことを誓おう。されどそうでないならば!」

「貴様らに!引導を渡すことをここに誓い、それを遂行する!」

 

それを言い終えると同時に白服は私達に発砲を始めた。

 

「そうかそうか……では諸君!ヴァルハラにてまた会おう!」

 

「ヴァルハラ……?」

 

「突撃!!」

 

トウカの疑問の声を消し去り、チハルを先頭に白服戦隊と戦闘を始めた。

 

白服戦隊は確かに強かった。しかし、私には秘密兵装であるアルディーティだって未だ健在だ。

前よりも更に増した分厚い鉄の装甲に身を覆い、白服に近づきその顔面を思い切り殴る。

 

「がはっ…!」

 

「襲撃者如きが調子に乗るな。殺すぞ」

 

ふらりと後ろに倒れそうになったところを片手で頭蓋骨を割るような力を入れながら地面に何度も何度も何度も何度も何度も打ちつける。

 

瓦礫には血溜まりができて、白服のガスマスクはバキバキに壊れていた。

 

「ひっ……」

 

「な、何者だアイツ!?」

 

「第七機甲大隊!怒りを力に変えろ!攻撃開始!」

 

「「「攻撃開始!!!」」」

 

装甲に身をまといながらもMP18を撃ち、敵を次々と撃破する。

 

白服共をこの事件を引き起こしたことを後悔させるように肉弾戦でボコボコにする。前進前進また前進。留まることは知らず、ずっと直進し続けた。

 

しかし、弾も無限ではない上に、体力も無限ではない。白服の低くないその練度とに数の暴力で苦戦を強いられ、1人、また1人と削られていく。

 

「トウカ!調子は!?」

 

「最悪だ!マガジンがもう無い!」

 

「クソ……残ったヤツは遮蔽物に集まれ!」

 

そういうと6人ほどが集合する。

チハル達の後方の戦車の影に隠れる先生は白服共の制圧射撃などで動けていないようで、チハル達はその制圧射撃を抑えるべく、決死の突撃を敢行することにした。

 

数の暴力でかなりの速度で練度云々関係なく倒れているのは確かだが、諦めてはいけない。

 

近くにゲヘナの風紀委員長がいたが、来るのを待って機会を逃すより我々が行動するべきだと思い、動こうとする前に他の部隊に連絡を取る。

 

「至急、調印式会場まで来てくれ!巡航ミサイルに襲われて被害甚大だ。援護を!!」

 

『こちらレト、了解した。総兵力をもって向かう』

 

それだけいうと前方にスモークグレネードを投擲する。

 

(私達のいるところだけ圧力が強い。恐らく先生がいるのがわかってるから1番強い奴をここに持ってきてる……だからそいつを殺せば結果オーライって訳だ。)

 

「総員突撃用意……!」

 

小さく話し、皆の顔がさらに引き締まる。が、誰も悔いのある表情はしていない。

 

「死ねばそのヴァルハラってところでもう一度会おうね」

 

トウカが笑いながら話す。

 

「諸君!我らこそが正義の志士だ!諸君!我らこそが平和の体現者だ!汝、平和を欲さば戦への備えをせよ……愚かなる腐れ外道共!我らこそ精強無比の第七機甲大隊だ!総員突撃!!」

 

その掛け声と共に6人がいっせいに遮蔽物から銃を撃ちながら飛び出る。

チハルは敵将と思われる青いマスクを被る女性 錠前サオリに襲いかかり、チハル以外はその戦いの邪魔をさせないように辺りに展開する錠前サオリの部隊を蹴散らす。

 

ちらりと後ろを見れば先生が白服に襲われていたが、ボディガードの2人が奮闘していた。

 

それを見届けると前を向いて錠前サオリに正面対決を挑む。

 

「おい女、てめぇ名前は?」

 

「お前に名乗る名前などない。」

 

「黙れ。この敗北主義者めが」

 

「この世界は虚しいのだ。我々の邪魔をするな」

 

「虚しい……か……地獄を見てないのによく言えるね。」

 

MP18とSIG516が同時にコッキングされる。

 

それと同時に互いに走り出す。

銃の発砲音と瓦礫を踏み分ける音が辺りに響く。

 

チハルを除いた5人の突撃隊はとても健闘した。Vチームと呼ばれる錠前サオリがリーダーを務める部隊と数十数百の戦力差の中、敵勢力を4割弱を削ぐことに成功。一時的にVチームは動けなくなる。

 

その隙にチハルも錠前サオリと死闘を繰り広げており、錠前サオリは持ち前のその銃の性能と身体能力で、チハルは自身の知識と射線を意識しながら戦う。

 

槌永ヒヨリや戒野ミサキが先生と対峙する中、空崎ヒナやトリニティの戦略兵器が白服戦隊とその3人と戦っていた。

 

しかしまあ、流石大将、ものすごく強く、チハルも徐々に押され初めて行った。

 

「いい加減諦めろ。この世界は虚しいことしかないのだ」

 

「知ったことか……!!この…敗北主義者め…!」

 

「諦めろ」

 

そういうと錠前サオリはチハルを組み伏せて銃弾をぶち込もうとする。

 

「近接格闘は私の十八番なんだよ!戦車兵舐めんな!」

 

腕を抜いて腰からナイフを取り出してなんの迷いもなく錠前サオリの足を切る

 

「ぐっ…!?」

 

一瞬の緩みの隙に脱出して、サオリの銃を奪い取って遠くへ蹴飛ばす。

 

「近接格闘は私の十八番だ。」

 

どうやらキヴォトス人はナイフに対する頑丈性はなさそうで、錠前サオリはそのナイフを見て大きく距離を取る。

 

『リーダー…早く来て。トリニティの委員長と副委員長を相手にしてるから』

 

「すまないが無理だ……謎の奴に絡まれて動けない」

 

「誰と会話してんだよ。目ついてないのか!?」

 

先程の突撃の際外したアルディーティ装備を着直して、錠前サオリに攻撃を仕掛ける

ナイフを捨てて、その怒りを表すかのように凄まじい速度で拳を繰り出す。

 

錠前サオリも拳を繰り出すが、その視線は銃にあり、1発を避けると銃を取りに走った

 

「じゃあな、化け物」

 

SIG516が火を吹く。

が、その殆どは鉄板に弾かれ、チハルは装甲を頼みにしながら無理矢理前進していった。

 

「な…!!早く倒れろ!」

 

分かりやすい動揺を表しながら錠前サオリはリロードする。目の前で隙を表したのならば、一瞬で接近してその顔面に拳を叩き込まんとする。

 

しかしそれは錠前サオリが咄嗟に銃で防ぎ、顔面に当たることはなかった。

 

しかし刹那、周囲から大量の発砲音と共にチハルの装甲が砕け散る。

 

「は……?」

 

「間に合ったか……ユスティナ生徒会…」

 

チハルが反応する間もなく、一瞬で大量の弾に襲われ、鉤十字の特徴的なヘイローが消えて、瓦礫の山の上に倒れ込む。

 

その後錠前サオリは残った大量のユスティナ生徒会 アリウス生徒を相手に疲弊し切っているチハル以外の仲間に鉛玉を浴びせて全員を軽く撃破する。

 

 

 




先生side
"チハル!!"

目の前で戦っていた精鋭部隊のリーダーが倒れた。周りにはボディガードとして残されたサダミとココロ、剣先ツルギに羽川ハスミがいた。

対する相手は無限と思われる程多く、戦局は悪化するばかりだった。

そんな時だった。
特徴的な音と共に大量の弾がばら撒かれてユスティナ生徒会は殲滅される。

「先生!こっち!!」

空崎ヒナがその場に駆けつけてくれたのだ。
一瞬の確執があったものの、ハスミはヒナを頼り、先生はヒナと共に逃げる。

("生きていると信じよう")

チハルやその他の生徒の安否。それだけが心に残りながらも逃亡を開始した
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