街頭で質問を続けていく内にここは100%ドイツじゃないことは簡単に、すぐに気づいた。総統のことを知らないドイツ人がここまで多い訳が無い。さらに、そこら辺の人間全員の頭の上に天使の輪っかみたいなのがあるから死後の世界と悟るにも時間はかからなかった。
「私の上にも…あるのか…」
爆発から逃れたのではなくどうやら死亡しただけらしい。誇り高い総統の兵士として祖国の為に、総統の為に散れたのなら十分だ。
「戦車欲しい…銃欲しい…」
ヘルメットを被った集団に襲われることなんて多々あった。その際に気づいたが、被弾しても少々痛い程度で流血はしなかった。ヤンキー共には灸を据える目的でとあるボクシング世界王者に教わった格闘術で荒くれ者共を鎮圧する。
「いきなり襲ってきたんだ…次からはこんなことをするなよ?私との約束だ。」
うずくまるヘルメットを被った少女達に手を差し伸べて笑いかける。
「て…てめぇ…何が目的だ…!」
「目的って…そりゃあ我が国の治安維持と若者の更生だよ。」
「へっ…今更私達に更生なんてできるかよ」
「1度のミスが全てのミスに繋がる訳じゃない。戦争だって1.2回のミスなら許される。けどそれが10回12回と続くから作戦は破綻するんだ。」
「説教のつもりかよ…」
「その通り、説教さ。そもそもミスラインを決めるのは自分で、失敗をどうしようもない失敗と捉えるか。許容範囲の失敗か、それは自分自身じゃない?」
軽く彼女の小さな一言を受け流して話を進める。いちいち反応していたらキリがないと思う
「……」
それ以上、私も彼女達も一言も発さなかった。そう簡単に更生はしないかもしれないが、私に同胞を殺せという命令は遂行できない。例えそれが総統からの命令でも。
「じゃあね。私はまだこの世界についてよく知らないんだ。」
「待て…折角ウザイ説教をされたんだ。ここのことくらい教えてやるよ」
「本当か!?」
意外と更生したのかもしれない。歓喜に包まれながら彼女達の話を聞くことにする。
「ここはキヴォトスって言って学園が数千も集まる学園都市だ。」
「ほう…で、その中で最も優れたところがここドイツって訳か。」
「さっきからドイツドイツって…ドイツってなんだ?学校か?」
「ドイツを知らない!?」
ここで私はやっと理解した。ここは実験室でも捕虜収容所でも無く、別世界だということに。
「これが異世界転生というやつか?1度本で読んだことがあるが…」
「それで、ここでは銃に撃たれても基本は死なない。だが、窒息や銃弾以外が原因の外傷は傷を負うし、失血死だってする。」
「燃えて死ぬことは…?」
「それも多分無い。」
この世界には銃撃戦が一般的であること、今いるここがドイツのような学校のゲヘナ学園であることを教えてもらった。
教えてくれた人を感謝の気持ちで抱き締めようとすると先程の白髪の少女がやってきた。
「居たぞ!ヘルメット団め…全員逮捕してやる!」
こちらに銃を向けている。
(騎士鉄十字章が目に入らなかったのか?)
疑問を抱くと共に先程の撃っても死なないという言葉を思い出す。
「撃っても問題は無い…か…」
同胞を撃つのには躊躇いしかない。しかしそれが反逆者となれば話は別だ。人種は同じでも一瞬で殺してやる
「警察機関とかないの!?」
「公務を妨害する輩は全員敵だ」
「少しでいいから話をお聴きいただけませんか!?」
「敵と話す言葉などない!」
しゃーねーなと動けない彼女達からkar98kを貸してもらい、手馴れた手つきで弾薬を装填する。
セーフティを解除し、1度ボルトを引く。
それが戦争の合図となった。
鉄が雨のように正面から降り注ぐ中、少しでも被弾を避けるべく頭を低くしながら左右と斜めに走り、最前線に展開する2人の兵士を撃ち飛ばす。
「」
「なんで止まらないの!?」
「御託はいいから撃ち続けて!!」
叫びながら手馴れた元愛銃を振り回す。何人も撃ち、気絶し倒れた風紀委員がそこら中に転がるなか恐怖に支配された者も何人か見かけた。
「総統に尽くす者がそんな姿勢でどうするんだ!」
銃床で腹を突き、その者は倒れる。
近くの遮蔽物に隠れ、一息つくとそこには大量の風紀委員達が横たわっていたしていた。
「ヒムラーめ…後で直談判か…返答によっては撃ち殺さないとな」