仕事が終わってからやることやってバタバタと2時間くらいで書いたので普段以上にクオリティが低いです。ごめんなさい。
もう本当に自分が読みたい物を書いたって感じです。

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虹夏ちゃんのお願い事は私の物

「よーし到着! 喜多ちゃんが教えてくれた天の川が見れる穴場スポット!」

「と、遠かったですね……」

「そうだねー。機材車が無かったら正直しんどかったね」

 

 今日は七夕。空が暗くなりきる前にぼっちちゃんと一緒に天の川の絶景スポットの川のほとりに来ていた。

 本当はリョウと喜多ちゃんも誘ってたんだけど、喜多ちゃんはここ最近遊び過ぎたから受験勉強に専念。リョウは今年5回目のお祖母ちゃんのお葬式で欠席。という訳で喜多ちゃんに絶景スポットだけ教えて貰って私とぼっちちゃんだけで来たって訳。

 

「でも今日ここに来る途中思ったけどぼっちちゃんすっごいフォローしてくれたね。飲み物とかナビとか。何か慣れてなかった?」

「あ、実は前になんばガールズの向井さんに会った事があって、その時に運転手は神様みたいに扱った方が良いって教えられたのでお父さんに付き合って貰って練習を……」

「そうだったんだ。本当に助かったよ」

 

 お陰でストレスフリーでここまで運転できた。前に大槻さんとリョウで静岡まで行った時は善意とはいえ大槻さんはチクチクうるさいし、リョウは確認したのにおしっこ漏らしそうになるわで大変だったもんな。そもそもリョウは運転免許を諦めた時点でこっちのストレスMaxにさせられてるけど。

 

「そ、それに私は来年高校を卒業しても免許を取るのは難しいと思うので……」

「ま、まぁそれは……」

 

 否定できない。ぼっちちゃんなら徐行でも事故起こしそうだし。

 

「でもその分ぼっちちゃんフォロー上手くなってくれてるし、ぼっちちゃんもどこか行きたい所あったら遠慮なく行ってね。いつでも運転したげるから」

「そ、そんな! 私ごときが虹夏ちゃんをアッシーみたいに使うのは……!」

「良いって良いって。ぼっちちゃんとのドライブなら楽しそうだしさ。色んな所行こうね」

「あ、へへ……。はい」

 

 へにゃりと笑うぼっちちゃん。この独特な笑顔も何だかんだ好きになっちゃったな……。

 

「さて。じゃあもうちょい暗くなったら星空も見えてくるだろうし、それまで車の中で待ってようか。私お弁当持ってきたから一緒に食べよ?」

「あ、はい。に、虹夏ちゃんのお弁当楽しみです」

「うん。いっぱい食べてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからお弁当を食べがらお喋りをしているとあっという間に一時間が経ち、車から降りて空を眺めると。

 

「わぁ……!」

「す、すごいですね……。こんなに綺麗に見える天の川初めて見ました……」

 

 視界いっぱいに広がる星空。それだけでも圧巻なのに広大な天の川が夜空に掛かっていて、まるで本当に夜空に煌めく川が流れてるみたい……。

 

「私も天の川をちゃんと見たの初めてだよ。街の中じゃ見れないしね」

「で、ですね。普段はそこまでこだわって見る事ないですし……」

「でも今日は来て本当に良かったよ。来年は4人で絶対見に来ようね」

「は、はい。喜多ちゃんも来年は大学生でしょうし。あ、でもリョウさんは来ますかね……」

「リョウは引きずってでも連れてくよ。最悪食べ物で釣れば良いし」

「へ、へへ……」

「ね。そこにちょうど大きな岩があるしさ、そこで寝転がって見ようよ」

「あ、はい」

 

 ぼっちちゃんと一緒に横に並んで岩に寝そべって夜空を見上げる。

 

「何かこうしてるとさ、初めて四人でバンドした時の事思い出さない?」

「あ、打ち上げの時に二人でお話しした時ですね」

「うん。あれからもう二年か。何だかあっという間にも感じるし、すごく昔の事のようにも感じるよ」

「わ、私もです。でも、これから先何十年経っても、あの日の事は忘れないと思います」

「ふふ、そっか……。ねぇぼっちちゃんはさ、七夕で何かお願い事とかしてた?」

「お願い事、ですか?」

「うん。ほら短冊にお願い事書いたりするじゃん。どんなの書いてた?」

「私は……、小さい頃は小学校の行事とかでお願い事を吊るす時はいつも『お友達が出来ますように』って書いてました。中学校に上がってからはそういうのも無くなりましたからそれっきりでしたけど」

「え、あ……、そうなんだ……」

 

 そう言えば今では仲良く遊べてるから忘れてたけど、ぼっちちゃんって私と出会うまでは友達出来た事なかったんだもんね。友達なんて考えなくても出来るものだったからお願い事に書くなんて考えた事もなかった。変な事聞いちゃったな。

 

「で、でも!!」

「うわ、ビックリした」

「ご、ごめんなさい……。でも私、お願い以上の事を叶えて貰っちゃいましたから、もう大丈夫なんです」

「お願い事、以上?」

「は、はい」

 

 どういう事だろう? と思っていると、ぼっちちゃんが手汗を掻いた手で私の手を恐る恐る握ってきた。

 

「と、友達が欲しいと思ってた私にあの日、虹夏ちゃんが見つけてくれて。それからリョウさんや喜多ちゃんともお友達になれて、バンドを組むことが出来て。い、今すごく幸せなんです」

「に、虹夏ちゃんは私にとって初めての友達で。う、上手く言えないんですけど、とっても、とっっっても大切な存在なんです。虹夏ちゃん無しでの人生なんてもう考えられない程に」

「虹夏ちゃんのお陰でリョウさんや喜多ちゃんとお友達になれたみたいに、きっと虹夏ちゃんと一緒にいたらこれから先もすごく幸せな事が待ってる様な……。そ、そんな気がするんです」

「だ、だから私、もう一生分のお願いを叶えて貰っちゃったんです」

 

「ぼっちちゃん……」

「な、なんて自分勝手なことばっかり言ってすみません。私なんかが傍にいても虹夏ちゃんにとって何もメリット無いのに……」

「そんな事ないよ」

 

 私の手を握ってくれていたぼっちちゃんの手に優しく力を籠める。

 

「私だってぼっちちゃんと出会わなかったら私の夢はあそこで終わってたかもしれない。前にお姉ちゃんに言われた仲間内の仲良しクラブ止まりだったかもしれない」

「私もぼっちちゃんと出会えて本当に良かったと思ってるよ。これからも、ずっと一緒にいようね」

 

「虹夏ちゃん……。あ、ありがとうございます」

「うん。私も、ありがとう」

 

 いつの間にか私達は星空ではなく互いの目に映る光に目を奪われていた。星空よりもずっと綺麗な光。私達の手は自然と指を絡めっていた。

 

「あ、う……。あ、あの、虹夏ちゃんは七夕に何かお願い事はしてなかったんですか?」

「私?」

 

 ぼっちちゃんが顔を真っ赤にして耐えれなくなったのか私に聞いてきた。……もうちょい見てたかったんだけどな。まぁ良いけど。

 

「に、虹夏ちゃんって夢をまっすぐ追いかけてるし、何か素敵なお願い事してたのかなって思って……」

「あはは、何かそう言われると私ロマンチストみたいだな……。でも私小さい頃は結構リアリストでさ、短冊にも将来は公務員になって安定した生活が送りたいです、なんて書いてたな」

「え、そ、そうなんですね。意外です」

「今思えばお姉ちゃんががむしゃらに音楽やってる姿を見てて反発してる所もあったと思うけどね。音楽にかまけて私の方全然見てくれなかったしさ」

 

 あの頃は音楽なんて大嫌いだったな。私にとって音楽は大好きなお姉ちゃんを奪っちゃう憎い存在のようにも思ってた。

 

「でももし今また何かお願い事をするなら、結束バンドを有名にして、STARRYをもっともっと有名に出来ますようにってちゃんとお願い事を書くかもね」

 

 そしてぼっちちゃんとこれから先もずっとずっと一緒に、一番傍にいられますようにって。

 だけどそう思っていると。

 

「そ、そのお願い事は書かれると少し困る、かも、です……」

「え?」

 

 まさかのぼっちちゃんからストップがかかった。どういうこと?

 

「私のお願い、叶ってほしくないの?」

「ち、ちが! そ、そういうことでは無くて、あの、その……」

 

 んー? どういうことだ?

 すると百面相をしていたぼっちちゃんが顔を真っ赤にして震えながら。

 

「に、虹夏ちゃんの夢は、その、私が叶えたいので。だ、だから織姫様や彦星様に叶えられるのは、嫌、なんです……」

 

 私の目を真っすぐ見て、そう答えた。

 

「な、なんていくら何でも傲慢すぎますよね! す、すみませ……!」

 

 謝ろうとしたぼっちちゃんの口を、胸に抱える様にして抱きしめて塞ぐ。

 

「むぐ、に、にじかちゃん……?」

「今の言葉、絶対撤回しないで」

「え……?」

「私も言ったもんね。ぼっちちゃんがいたら夢を叶えらえるって。今でもその気持ちは変わってない……、うぅん。前よりも強くそう思ってるよ」

「へ、へへ。あ、ありがとうございます。もっとすごいギターヒーローになれる様に頑張りますね」

「……私ぼっちちゃんがギターヒーローだから夢を叶えられるって言ってるんじゃないんだよ?」

「ぅえ? だ、だって虹夏ちゃん私の事ヒーローって」

「ギターが上手いだけの人なら探せば沢山いるよ」

 

 同世代でぼっちちゃんレベルを探すのはちょっと難しいかもだけど、ギターの人口は多いし探せば多分いるだろうと思う。

 

「私がぼっちちゃんの事をヒーローだって言ったのは、どんなヤバい状況でも壁を壊して前に進む道を作ってくれる。困ってる人がいたら絶対に助けてくれる。そんなぼっちちゃんだからヒーローだって言ったの」

「ギターヒーローだから特別なんじゃない。後藤ひとりっていうヒーローが、私にとって特別なんだよ」

 

「に、じか、ちゃん……」

「だからさ、これからも沢山見せてね。ぼっちちゃんのロック」

 

「ぼっち・ざ・ろっくを」

 

 そしてぼっちちゃんが大きな瞳からどんな星よりも綺麗な涙を零しながら。

 

「はい……!」

 

 と、小さく、力強く答えた。

 

 


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