宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

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原作見返さないとだし、仕事も大詰めなって来たので次話は少しお休みします。お待ち下さい。


【第64話】応答なき観測

ナレーション(永井一郎)

魂の声は、物理法則を超えて届くのか。

 

その問いに、科学者たちはいまなお理論で挑み続けていた。

 

希望ではなく、観測可能な「現象」として。

 

 

 

フラナガン機関の研究所は沈黙が支配していた。

 

密閉された観測ブースの中――

ララァ・スンとマリオン・ウェルチのふたりが、精神波動干渉装置の接続ヘッドギアを静かに装着される。

 

「各部、接続状態確認。精神波同調装置、スタンバイ完了」

「マリオン・ウェルチ、状態正常。ララァ・スン、同様」

「精神波発振、カウント開始。……3、2、1――」

 

フラナガンの指示と共に、装置の灯がひとつ、またひとつと点灯していく。

人工的に構築された精神リンクの空間に、ふたりの意識が沈み込んでいく。

 

だが数分が経過しても、何も起こらなかった。

 

「……波形に異常なし。表層のBETAにはわずかな干渉反応あり」

「しかし、深層中枢へのリンク……なし。完全に遮断されています」

 

「……実験、停止」

 

フラナガンが静かに告げると、装置の灯が次第に落ちていった。

ヘッドギアが外され、ふたりはゆっくりと目を開ける。

何も掴めなかった――その沈黙がすべてを物語っていた。

 

 

 

静かに歩み寄ってきたフラナガン博士は、モニター群を一瞥し、深くため息をついた。

 

「……ハイブまでは到達したが、サイコミュによる中枢への干渉は遮断されたままだ。

ララァにもマリオンにも、内部からの“反応”は一切なかったとの報告が来た」

 

傍らの助手たちが記録装置を片付け始める中、通信越しに地球・横浜基地からの映像が表示された。

 

そこには香月夕呼博士。

実験全体のモニタリングと解析支援を行っていた地球側の協力者である。

 

「送られてきた全データは、こちらでも再解析してみたわ。

でもやっぱり、“中枢”へは何も届いていなかった。

まるで……こちらの存在自体を“検知していない”みたいにね」

 

フラナガンは小さく頷く。

 

「そうだ。BETAは“人類の思考”を、そもそも受信対象としていない。

彼らにとって我々は、構造上“ノイズ”ですらない。

……あれは、情報の流れが完全に遮断された閉鎖空間だ。

まるでこちらの信号すら反射されず、吸収もされない……敢えて言うなら“無響室”のようにね」

 

香月はしばし黙し、やがて呟いた。

 

「……昔、ソ連が行ったオルタネイティヴ3のESP発現体による精神干渉実験。

あのときの被験者たちが全員沈黙した理由も……今ならわかる。

“届かなかった”んじゃない。

最初から、認識される対象ですらなかったのよ。

敵意がないのでも、友好がないのでもない。ただ、“人間”という概念が彼ら"BETA"には存在していないだけ…」

 

届かぬ想念。意志の断絶。

だが香月は、そこから目を背けようとしなかった。

 

「……それでも意思の力は物理にすらなりうると信じたい。あのララァ・スンの起こした精神世界…博士の言うサイコ・フィールドを体験したんですもの…。

観測不能のまま終わらせたくないの。

“意思で動かす”機械ではなく、“意思そのもの”が波を放ち、機械が応える仕組み――そんな装置が作れないかしら」

 

フラナガンは興味深げに眉を上げた。

 

「それは、現存のサイコミュを超える概念だな」

 

「ええ。理論上では、生体共鳴――魂と装置の直接的な共鳴現象が存在する可能性がある。

それを……んっ…?私、今“魂”と言った……?」

 

と、香月はふっと肩をすくめて、自嘲気味に笑う。

 

「フフッ……自分でもおかしいと思うわ。科学者のくせに“魂”なんて非科学的な言葉を使うなんて。

でも、そう表現する以外に適切な語がないのよ、今の段階では」

 

フラナガンは静かに、深く頷いた。

 

「……いいやおかしくはないよ。だが敢えて命名するなら――そうだな。

“ソウル…バイオ…”そうゆう類のセンサーとでも言うべきか。

精神の波動を、生体信号として感応・変換・フィードバックする補助素子……。

まさに、それが未来の中核になるかもしれん」

 

香月は笑みを浮かべた。

 

「バイオセンサー?いい名前ね。……メモに残しておくわ。

正式名称になるかもしれないから」

 

そして彼女は、通信越しに一瞬視線を泳がせたあと、ふと真顔になる。

 

「……フラナガン博士、もう一つ、確認したいことがあるの。

たとえば――手のひらサイズの媒体に、半導体を150億個以上内包することはジオンの技術で理論上可能かしら?

もちろん、汎用演算ではなく精神波動処理に特化した設計で」

 

フラナガンの眉がわずかに上がる。

 

「……用途によるが、理論上は不可能ではない。

ただし、生体との同調を前提とした多層構造、それに精神ノイズの分離回路と感応中継体が必要になる。

君が想定しているのは……何か、“特別なユニット”なのかね?」

 

香月は、にこりと意味深に微笑んだだけだった。

 

 

 

フラナガン機関 別室の素材解析室

 

そこには、黒く鈍い光沢を放つ小さな結晶体が、耐磁性ガラスのケースに慎重に保管されていた。

 

――バッフワイト素子。

通称“G元素”。BETA構造物の深部から抽出された未知の鉱質であり、非常に高い思考波応答性を持つことで注目されている。

 

「横浜の“社霞”が身に着けていた髪飾りにも、この素子が組み込まれていたと言う…。、

端末との非接触同期、思考波との限定的共鳴…遮断……精神干渉技術への応用性は十分に見込める」

 

助手の言葉に、フラナガンは静かに頷いた。

 

「逆位相のパターンを重ねれば、リーディングの干渉を打ち消す効果も期待できる……ただ、その“精度”と“応答性”の高さが少し扱いづらいな…」

 

フラナガンはわずかに眉をひそめてから、ふとモニターに視線を向けた。

 

「この応答性を、演算装置や神経接続インターフェースに織り込めたら――

先ほど香月博士の構想にあった様な脳の信号をそのまま出力へと変換する、“精神演算ユニット”の礎になるかもしれない。

まだ仮想段階だが、将来的には“心”そのものが情報処理を担うような……」

 

フラナガンの眼差しが、静かにその先を見つめた。

 

 

 

ナレーション(永井一郎)

 

たとえ届かぬと知りながらも、心を放つ者がいる。

たとえ意味を持たぬと知りながらも、心を拾おうとする者がいる。

 

その連なりが、時に歴史を変え、やがて技術となり、未来を築く。

 

――これは、魂と機械の境界が揺らぎ始めた、その最初の記録である。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
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