【書籍化】俺の切り札は光らない   作:雨 唐衣

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※9/13 落城の華の効果修正によりセリフを修正しました(展開は一切変化してません)


おまたせしました!
今回でファイト決着です。

FAをまたしても頂いたので一部紹介させていただきます!



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 ヨン様よりスヴェルスちゃんのFAを頂きました!
 ど、ドーナツ汚染されてる・・・!
 髪の毛にドーナツがついてるぞ とかいわれそうだ!! ありがとうございます!


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 黒兎可様よりユウキちゃんのぬいぐるみなFAをいただきました!
 可愛いですね―    この鳴き声は?
 ありがとうございます!


【挿絵表示】

 朽木様よりドロシーと加藤り・・・・お? のFAを頂きました!
 跳ぶ、跳ねる、動いてる
 お、これは生きてるな
 かわいいですねー ありがとうございます!



八十八話 ゲームを一緒にプレイする友人はショップでは購入できない

 

 

 

 アグロに始まり、アグロに終わる。

 

 TCGにおいて誰かが言った言葉だ。

 Lifeに限らず、カードゲームの多くは……ライフ、HP、あるいはシールド、コアなどの様々な命にあたるリソース。

 それらを奪い去るために攻撃(ダメージ)を与えて、相手を打ち負かすのが基本だ。

 直接相手にダメージを与える火力(バーン)カードはあるが、それ以外に幻獣(クリーチャー)、モンスター、ユニットなど呼び出される手駒を介して、ダメージを与える。呼び出されたユニット同士がぶつかり合い、雌雄を決する。

 さながらコロッセオの剣闘士を眺めるように、あるいは軍勢同士の指揮官の如く振る舞う、将棋やチェスめいた戦い方。

 それが多くのカードゲームの基本だ。

 何故かって?

 

 そのほうが派手だからだ。

 ――ついでにいえば、そのほうがゲームが長持ちするからだ。

 

 相手に直接ダメージを投げ込むバーンのやり取りは言うなれば拳銃同士の打ち合い、あるいはミサイルのボタンの押し合いだ。

 剣や鈍器、槍や短剣などの近接武器の種類と比べて、銃器の形状種類の数を考えればわかりやすいだろう。

 工夫する余地があまりにも少なく、試行錯誤にも結論はただ相手を撃ち抜いて殺すだけ。

 浪漫も誉れもへったくれもない、勝利するための近代戦ならばともかくこれはゲームである。

 華がなければ意味がないし、浪漫がなければ楽しくない。

 そして、なによりクリーチャー同士で争うということは膨大な数の能力とバリエーション、そして殴り合わせることによる時間稼ぎが出来る。

 プレイ時間の調整というの意味では大事なものだ。

 だからこそ多くのカードゲームではキャラクターであるユニットを呼び出し、それで相手を殴りつける。

 速やかな暴力的解決(アグロ)。

 それがカードゲームの王道である。

 シンプルイズベスト。

 だからこそ技量の差がはっきりと出る。

 簡単だけど極めるのは難しい、それがアグロ。

 

 そのアグロは、Lifeにおいて不利である。

 

 はっきりといえば不遇である。

 そういう風にゲ(・)ー(・)ム(・)デ(・)ザ(・)イ(・)ン(・)さ(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)。

 何故なら、トレーディングカードゲーム(T C G)はたくさん存在したからだ。

 アグロ……与えるダメージによってライフを奪い合い、勝敗を決め合う王道のゲームスタンス。

 さらに歴史を重ねることによってカードパワーが上昇し、不可避のインフレによって加速化するゲームスピード。

 より早く、より複雑に、息するように相手を葬り去るコンボゲーム化。

 それらが市場に有り触れている中で、Life――Liberalise(リベライズ)・Feature(フィーチャー)は生まれ落ちた。

 アグロ主流のTCGに反逆するようなコントロール優遇のゲームとして。

 Lifeは決して主力(メインコンテンツ)になるべくして造られたゲームではなかった。

 開発元であるアメリカ本社はすでに主力である別のTCG”KingLands”を販売しており、人種的にアグロを好む欧米を中心に全世界数千万人以上の競技人口を抱えているほどの大人気コンテンツだった。

 俺も結構遊んでたし、Lifeと両立して遊んでいるやつも多いぐらいに歴史が古い。

 Lifeはそのノウハウを活かして造り上げられたサブコンテンツとなるTCGだった。

 デザインコンセプトはただ1つ。

 主(・)力(・)ゲ(・)ー(・)ム(・)か(・)ら(・)振(・)り(・)落(・)と(・)さ(・)れ(・)た(・)ユ(・)ー(・)ザ(・)ー(・)を(・)吸(・)収(・)す(・)る(・)こ(・)と(・)。

 アグロ、加速したカードゲームスピードに辟易した元プレイヤーや欧米では少数派のアグロを好まないプレイヤーを対象にし。

 アグロよりもコントロール嗜好者が多い日本を土台に販売展開したゲーム。

 それがLifeだ。

 だから最初はアグロから始めても、ダメージがコストになるシステムで巻き返されて。

 単純な力押しだけではないゲーム展開を、より加速化しないように呪言や、ダメージで落下する魔石などの幾つものセーフティをかけて。

 じわじわと互いの手の内を探り合うコントローラーを優遇する。

 そのために魔法や瞬間魔法、秘宝などといったものを多く組み込み、シンプルに活用出来るようにデザインした。

 アグロからあぶれた層を吸収するための、隙間産業的なゲーム。

 それがLifeのコンセプト。

 これはアグロのためのゲームではない。

 しかしアグロは不遇なだけで――不可能ではない。

 ルールで禁止はされていない。

 デザインが向いていないだけ。

 ならば、ならばこそアグロを使い、極めようとする奴は必ず出てくる。

 

 だってそれもゲームの楽しみ方なのだから。

 

 

 

 

 

 

 ……動かなかった?

 あたしは訝しんだ。

 

「あたしのターンです」

 

 ターンの切り替えを宣言しながら、目の前のファイターの手元をよく見る。

 手札は5枚……

 なのに迷わず、ドローエンドした。

 手札で事故った?

 手札が5枚……ライフカードを抜いたら4枚ですけど、そんなにもあって動けないなんてありえないはずだ。

 Life部を辞めた元部員だからそんなこともあるのだろうか。

 デッキに嫌われている証拠。

 

「すぅ」

 

 ――息を吸う。

 そ(・)ん(・)な(・)戯(・)言(・)の(・)思(・)考(・)を(・)打(・)ち(・)消(・)す(・)。

 

「ふぅ」

 

 息を吐く。

 相手は茂札普夫さんだ。

 部長たちが、ドロシーさんが……あの”天災の白姫”が口に出していた強者だ。

 初出場にして、Life歴一年にも満たない初心者の高校生がエレウシスの優勝。

 団体戦だからとかなんていう過程に意味なんてない。

 その大将を務めて、あの”混沌の女帝”を真っ向から打ち破った。

 天才なんていう言葉すら生ぬるい。

 故に――”天災”。

 その見惚れるほどの美貌から白姫なんて集めてた雑誌で呼ばれていた、同年代なんて信じられない遠い存在。

 夢に見るだけだったファイターの道、そのプロにもっとも近く、一目見て憧れた人。

 そんな彼女に認められたい。

 一緒のチームで、少しでも側にいられたらどれだけいいか。

 そう願って、Life部の扉を叩いた。

 そして、今冬のエレウシスの団体に、控えのメンバーを探している。

 その選抜に、あたしのような初心者が食い込むには実績がいる。

 強さの取っ掛かりが、証明が。

 

「ドロー!」

 

 思いを込めて、デッキを信じてカードを引く。

 

「ッ」

 

 来た!

 

「色彩をセット!」

 

 デッキが応えてくれた。

 

「あたしは手札から<ドナドーナツ ファイアツイスト>と<ドナドーナツ チョコレートジェリー>を捨てます!」

 

「ぐげ」

 

 ?

 なんか変な音が聞こえた気がして、周りを見る。

 

「今なにか変な声がしませんでした?」

 

「ナンデモナイヨー」

 

 なんか抑揚がないけど、それだけ集中してくださってるのだろうか。

 

「では、いきます。ライフを1支払い」

 

「ん?」

 

 今まさに引いたカードをボードにセットする。

 

「コスト3で<戦旗傭兵団・馬殺(バサツ)の英雄>を召喚!」

 

 呼び出したのは戦旗傭兵団の中でもたった2人しかいない唯一無二のレアクリーチャー。

 重厚な甲冑に、棘だらけの棍棒を抱えた顔すら見えぬ一騎当千の英雄。

 それが旗を掲げずに、血のように汗を流す騎馬に跨って現れる。

 

「能力を説明します! バサツは指揮官をもたず、他の指揮官たちと違って速攻をもたない!」

 

 あまりにも重く、雄々しい巨体は本来騎馬兵を運ぶ逞しい騎馬すらも潰してしまいそうで。

 

「だけど、ファイアツイストの効果で【速攻】を付与され、【貫通】と【不屈】を備えている」

 

 その騎馬は、あたしが出したドーナツをもぐもぐと咥えて……なんか丸々太ってた。

 バトルボードってすごい。

 初めてドナドーナツをボードファイトで使ってみたけど、こんな映像になるんだぁ。

 

「さらにファイアツイストの効果でパワー+1されて赤属性コスト1つ減少、チョコレートジェリーの効果でライフ1支払って黒コスト1つ減少させたことによってパワーとタフネスに+1/+1されて、5/5から7/6にバサツは強化されてま」

 

 その時、茂札さんの手が上がった。

 

「? はい」

 

「支払うライフ1つでいいの?」

 

「……? ”馬殺の英雄”の黒カラーアイコン(カラコン)は1つだけですよぉ?」

 

 だからライフを1つ支払うだけで(赤)(黒)(3)のクリーチャーが、3コストで呼べてしまえるのだ。

 

「いや、チョコレートジェリーで支払うライフの数は黒カラコンの数以下じゃないよ」

 

「えっ」

 

「テキスト見てみて」

 

 確認してみる。

 


<ドナドーナツ チョコレートジェリー>(黒)(1)

 菓子のクリーチャー

 2/2

 

 これが手札にある時、これを除くクリーチャーの召喚のとき手札からこれを捨ててもよい。

 そうしたならば、あなたはX点のライフ支払い、Xの数だけクリーチャーの召喚コストの(黒)が少なくなる。

 召喚したクリーチャーのパワーとタフネスを+X/+Xに修整する。

 そのクリーチャーは再生を行う事はできない。

 

 (黒):これを再生する。


 

 

「あー……確かにカラコンの数だけって書いてない?」

 

「ナイんです」

 

 となると、もしかして。

 

「最初に5点ライフを支払って+5/+5とか出来るんですか?」

 

「デキます」

 

「…………これかなり強いんじゃ」

 

「ツヨインジャナイカなぁ」

 

 まだあたしがファイト下手っぴだからピンと来てないけれど、なんか強い気がする。

 チョコレートでライフをたくさん使ってでっかくしたら、絶対強いのでは?

 

「………………で、どうしますか」

 

「えっ」

 

「まだ召喚処理ならギリギリ終わってないからライフを追加で払うとかもいけますけど」

 

 茂札さんの説明に少し考えました。

 自分のライフを見る。今はドローと支払いで2つ、14から減った12。

 茂札さんのライフはもう10。

 バサツのパワーは7。

 ……いらないのでは?

 

「しません! このままでいいです」

 

「もっと強化すれば一撃でライフ吹き飛ばせるのに」

 

「2回殴れば倒せれば十分だと思いますぅ」

 

 <焼畑>とか<間一髪>もありそうだし。

 

「バトルです!」

 

「カモン、どうぞ」

 

 色彩は2つ残ってる。

 バサツの能力――戦闘(攻撃とブロック)に参加した時、2コストでパワータフネスを+1ずつターン終了まで強化するのに使えるけど。

 ……ブラフにも使えるはず。

 

「バサツで攻撃!」

 

「ライフで受ける」

 

「7点ダメージですぅ!」

 

 バサツの英雄がでっかくなった馬に揺られながらドゴンっと茂札さんに激突する。

 そして、あたしだったら吹き飛んでしまいそうな衝撃なのに、数歩後ろにたたらを踏んで。

 

「チェック! 色彩、色彩、色彩、し――呪言<防波堤>だ」

 

「防波堤?」

 

 知らない呪言だ。

 どういう効果……

 

 

「受(・)け(・)る(・)ダ(・)メ(・)ー(・)ジ(・)を(・)こ(・)れ(・)が(・)出(・)た(・)段(・)階(・)で(・)停(・)止(・)す(・)る(・)。つまりダメージは4になり、色彩はセットされる」

 

 

 え。

 

「焼畑(回復)でも、間一髪(無効化)でもなく、軽減です?」

 

 しかもたった3点しか止められてない。

 

「聞いたことがない呪言ですぅ」

 

「コモンの焼畑、アンコモンの間一髪と違って、これはレアの呪言だからね。しかも最近再録が始まったばかりなんだ、そのうち見かけるようになるんじゃない?」

 

 レアの呪言。

 そんなものまで持ってたなんて。

 

「でもあと6ライフですよ、ターンエンドしまっす!」

 

 そして相手のターンにはライフは5。

 あと一発で倒せる。

 

 

「俺(・)のターン」

 

 

 あたしのライフは12。

 まだ半分以上残ってるし、不屈でバサツのブロック可能。

 次のターンが殆ど間違いなく。

 

「レディ、アップ、メイン・ライフドロー」

 

 決着の時(リーサル)だ。

 

「リーサルだ」

 

「はい?」

 

 あたしの心を読まれたような発言に、びっくりする。

 

「これで勝てなければ君が勝ち、これで勝てなければ俺が転落する。だからリーサル」

 

 なんだろう。

 少し雰囲気が。

 

「チキンレースといこう。1コス、瞬間魔法<衝撃>で君に2点ダメージ」

 

 パチンと指が鳴らされて、パコンとハリセンで叩かれたような音と共にライフデッキのロックが外れる。

 

「ち、チェック! 魔石……色彩」

 

 あたしのライフは10に低下。

 

「ハズレだ」

 

 ハズレ?

 

 

「2コス、瞬間魔法<落城の華> 追加コストでコントロールしている色彩3枚を生贄に捧げ、君に5点ダメージ。入ればクリーチャーにも5点だ」

 

「ッ!?」

 

 火柱が上がる。

 燃え上がる炎と焦げた臭いと共にライフデッキの上から5枚がせせり出てくる。

 炙り出されたように。

 

「チェック。魔石、色彩、色彩、色彩……魔石です!」

 

 残りライフは5!

 ……セーフ! 間一髪は残ってる。

 

「大外れ。俺も運がないな、ギャンブルには向いていない。一応馬殺の英雄にも5点入るが、倒せない」

 

 これであと1回は絶対に耐えられる。

 

「だから試行回数が正義だ。2コスト、色彩1枚捧げて2コスで瞬間魔法<響き渡る山彦>をプレイ」

 

「? コストを2回……?」

 

「”廻展(かいてん)”という。指定されたコストを払えばそ(・)の(・)回(・)数(・)だ(・)け(・)追(・)加(・)で(・)同(・)じ(・)効(・)果(・)を(・)発(・)動(・)で(・)き(・)る(・)。君に2点ダメージを与える効果を」

 

 コスト2で、2点ダメージ?

 なんて弱いのを……ん?

 

「巡れ、火炎讃歌(かえんさんか)。2ダメージ+2ダメージ、2回判定(スロット)だ」

 

「は、はぁ!?」

 

 ボン、ボンと音が鳴った。

 ライフデッキの上から2枚のロック、それが二度に分けてせり出てくる。

 

「ダメージチェックは2回だよ。通りますか?」

 

 それって。

 間一髪で軽減できるのは片方だけということです!?

 

「ッ……チェックです! 色彩、色彩!」

 

「またハズレか」

 

 残りは3分の1。

 

「チェック、色彩……」

 

 お願いです、ここで――

 

「! 色彩!」

 

 出ない!

 

「ワオ、間一髪はボトムか、でも詰みだ」

 

「いいや、まだです! 優先権をもらいます! 2コストで呪言<焼畑>を瞬間発動します!」

 

 最初のライフカードのドローで手元に引いていた呪言。

 これの効果は。

 

 

「ラ(・)イ(・)フ(・)を(・)2(・)点(・)回(・)復(・)し(・)、こ(・)の(・)<(・)焼(・)畑(・)>(・)を(・)ラ(・)イ(・)フ(・)デ(・)ッ(・)キ(・)ボ(・)ト(・)ム(・)に(・)セ(・)ッ(・)ト(・)し(・)ま(・)す(・)ぅ(・)!!」

 

 

 ライフが2つ回復し、代用カードが精製されて最後の<間一髪>がせり上がる。

 同時に手元に握った<焼畑>がライフデッキの底に差し込んで。

 <(・)間(・)一(・)髪(・)>(・)が(・)ラ(・)イ(・)フ(・)デ(・)ッ(・)キ(・)の(・)一(・)番(・)上(・)に(・)セ(・)ッ(・)ト(・)さ(・)れ(・)る(・)。

 

 つまり、次のダメージで<間一髪>が確定発動する詰め替えコンボ。

 湊手嶋(すてじま)部長から教わったテクニックだ。

 ライフデッキ、最後の1枚で<間一髪>を残してしまってギリギリ負けてしまう。そんなファイトもあると教わりました。

 

 相手の手札は4枚。そのうちメインカードは2枚。

 まだ出してないクリーチャーがあるとしたらそろそろ打ち止めか、あと1枚だけ。

 バサツが除去されても、次のターンに強いクリーチャーを引けば勝てる。

 

「ドーナツ使いが、<間一髪>(異物混入)から無効化(クレーム)発動とはね」

 

「? くれ?」

 

「だが、底(ブタ)は明かされた。連動(レイズ)だ、3コスト瞬間魔法<血盟の烙印>を発動。<焼畑>に重ねる」

 

「ふぁい?」

 

 回復の呪言に重ねられたってことは。

 

「えーと確か瞬間魔法と瞬間発動って後から使ったほうが先に解決するんですよね」

 

「そうだね」

 

「これってどうなるんでしょうかぁ」

 

「説明をしよう。まず君が使った<焼畑>はライフ2回復とそれをライフボトムにセットするから、結果的に3回復する」

 

「はい」

 

「でもそれを追って僕の火力魔法が飛ぶので、君の残ったライフ1点を削るダメージが先に解決されるので0になって死にます」

 

「……あの最後の1枚が<間一髪>なので多分ダメージは0になるんですけどぉ」

 

「うん、ダメージはゼロになるね。でもそうした場合の君のライフデッキって残ってる?」

 

「えぇ」

 

 えーと考えてみる。

 あたしのライフは今間一髪(ライフ1)で。

 <焼畑>(ライフ3回復)←<血盟の烙印>(ダメージ)←<間一髪>(ダメージ無効化)という順番になるから……

 

「ん、無効化でダメージ0ならまだ生きてるのでは?」

 

「じゃあこう考えてみよう。間一髪は使うのにライフ1点支払うよ」

 

 あ、それなら。

 

「………0になって、死にます」

 

「髪の毛一本残っただけじゃあ生きてるとは言わないってことさ」

 

「そっか、さっきの山彦に使わなきゃいけなかったんですね」

 

 さっきの<響き渡る山彦>に連動していれば間に合わなかったのだ。

 まだ耐えられたのに!

 

 

「ちなみに、<血盟の烙印>はファイター1人に4点ダメージを与える。これは軽減出来ず、そのファイターはこのターンライフを得られない」

 

 

 駄目でした!!

 

「通りますか?」

 

「ッ、通ります」

 

「では、解決(オープン)だ。君にダメージ4点」

 

 パチンと指が鳴らされる。

 同時に眩しい炎が上がって。

 

 

 

「火をつけるならば敵陣にかぎる、グッドゲーム」

 

 

 あたしのライフは焼け落ちました。

 

 

 

 

 




 人の営み、籠る城、守る意思。
 燃え落ちるほど綺麗な華が咲く。

        ――落城の華
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