ある程度書き終わっていたので早めに更新が出来ました。
今回は漫画版の第二話の導入部分に当たるお話です
それと頂いたFAの紹介とちょっとだけ注意書きがあります。
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朽木様よりFAをたくさんいただきました!
最近出番がないユウキちゃんですが、頑張ってるんですよ!
おら、もっと色気をですね・・・?
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そして 本編だとあまり絡みがないドロシーとリオのFAもいただきました!
うーん銀髪族は本当にいいですねえ(首の下をみつつ
それ以外にもたくさんFAを頂いてるのですが、前書きが長くなりすぎるのと
量的に全てを紹介しきれないのでもしも興味がありましたら
絵師様のお名前から 旧Twitterを検索してご覧になってください。
ここで貼れていないもの以外にも素晴らしいものがたくさんあり、とてもすごいですので!
「断る」
見事なまでの一蹴だった。
「いやいやいや、判断が早すぎるで。もう少しこちらのはな」
「必要ない。当方が貴殿らに手を貸す道理などないのだから」
そう告げたのはぼくとリナの前で腕を組んだ黒い少女。
腰まで伸ばされた黒髪、赤い紐で結わえられたサイドアップから見える紅い口紅のような瞳。
吊り上がった鋭めの目つきで可愛い顔を険悪そうに、いや、実際険悪な雰囲気なんだけど、睨みつけている。
髪留めには同じく紅い……確か柘榴石だろう石のついたバレッタに、ぼくらと同じブレザーから覗く両手首と首筋はかなり細く、小柄で。
なによりも特徴的なのが黒い外套。
インバネスコートと呼ばれる洋装の外套を何故か室内なのに羽織っていて、両手には手袋をつけている。
黒い少女と呼ぶに相応しい格好だった。
「まあまあまあ、ギンちゃん。せっかく来てくれたんだからさぁ」
シッシと手を振る彼女に、その後ろからかける声があった。
「黙れ、ケイ。これは当方の問題だぞ」
「あ、お茶は緑茶と紅茶どちらがいい? コーヒーはうちの副会長が苦手だから置いてないんだよね~」
「緑茶で」
「紅茶で」
「統一してよ~~」
なんていいながらニコニコと困ったように笑うのは白桜のような子だった。
白磁のような髪色の毛先だけが淡い桜色で、鮮やかなマゼンダの目を柔和に微笑ませた子猫のような顔つき。
ぼくらと同じ制服の上から薄いピンク色のストールを羽織っている。
……そういえばここ暖房を付けてないな、だからか少し肌寒い。
「はい、どうぞ」
「飲んだら帰れ」
「はいはい、黙って黙って。気にせずゆっくり飲んでね~」
なんてお茶汲みをしてくれた子のことを、ぼくは知っていた。
昨年の生徒会書記で、今は……
「ここはあたしたち
――この占光の生徒会長。
「すみません、忙しいのに」
「そんなことないよ? この時期は日常業務だけだからね~、地味な生徒会なんかより飛ぶ鳥落とす勢いのLife部を優先するのが正しい選択って奴だよ」
異議なし! と何故か力強く描かれた湯呑みでお茶を啜る入江生徒会長。
私物なのか?
いや生徒会室ってお茶とか飲めるんだ、うーん。
「あ、ごめんね。さすがにご飯は炊いてないからお茶漬けは用意出来ないんだ」
「ぶぶづけ出そうとすんなや。それ帰れって意味やで」
「知ってるよー。だから出さないんだッ」
……独特なテンポの子だなぁ。
「黙れ、ケイ。これは当方の問題だ」
「ひどーい、あたし会長、銀ちゃんは副会長! これはあたしたちの家庭内問題だよッ!」
「それを言うなら学内じゃないか?」
まずい、放っておくとずっと漫才が続きそうだ。
「……裁堂さん。どうしても無理でしょうか」
「断ると言ったはずだが?」
「少しぐらい駄目か? あくまでもリザーバー、エレウシスの個人戦は団体戦の後や。日程としては邪魔にはならないはずなんやけど」
「邪魔にならなければ当方が従うべきだと?」
「まあまあままっま~落ち着いて落ち着いて。ギンちゃんも常温の紅茶でも飲んで落ち着いて、ね?」
「一形容詞余計だ」
わりと苦労しているみたいだ。
頭痛を堪えるような仕草で、頭を抑える裁堂副会長を見てぼくはそう思った。
とと、同情している場合じゃない。
「すみません。あつかましいお願いをしているのは重々承知ですが、なんとかならないでしょうか? ぼくたちには裁堂さんの力が必要なんです」
「必要だから部外者の力とて借りる、か。では質問させて貰うが」
「エレウシスの団体戦はLife部の活動内容なのだから、その戦力はLife部員から選ぶべきではないのか?」
「それは……」
正論だ。
「他の部員が頼りないから、非所属の学生を助っ人に加える。涙ぐましい努力だと美談は出来るだろうが、部活としてはまったくもって健全ではない。自助努力でなんとかするのがお前たちの義務だろう? 遠征に向かう予算が足りないから融通してくれや、部費で大会参加の活動費が賄えないから調整してくれといった真っ当な要望ならば考慮に値するがな」
本当に正論だ。
う~~~ん~~。
(なあこれは無理やない? めっちゃ心に刺さるわ)
と、ちょいちょいと肘をつつかれて、リナが困った顔で囁いた。
(なんだよねぇ。ぼくたちの力不足なのは事実だし)
(やっぱり部員の誰かいれるかぁ? でもなぁ)
(そうなんだよねぇ)
裁堂さんの言う通り、ぼくたちも部内で解決出来るならしたい。
そのための選抜はするし、新しい部員たちも相応に頑張ってくれている。
決して多くはないけれど、参加に手を上げてくれている子はいる。
しかし、それでも戦力として不安がある。
理由は簡単だ。
Life部の部員は増えた。増えたが、あくまでも増えたばかりだ。
元からの部員たちは色々な理由があって辞めたのも少なくないし、そんなに強いのもいなかった。
所詮ファイター強豪校でもない公立高校の部活だ。当然レベルなんて高くない、ドロシーとモブくんがあまりにも突然変異なだけだ。
及第点と言えるのはもう学校も辞めてしまった元副部長ぐらいだろう。
それでも部員はいるのだから、人数だけは揃えることは出来る。
出来るが……
――それで結果が出せるのか?。
という不安が拭えない。
夏のエレウシスは簡単だった。
なんせ誰も勝つことなんて期待していなかったし、優勝するなんて誰も信じてなかった。ぼくたちだってどこまでいけるのか? なんてわかりやしなかった。
目の前の相手一人一人に必死になってたらいつのまにか本戦に辿り着いて、そして決勝まで残ってしまって、勝てた。
けど、冬は違う。
求められてるのは連覇だ。
そのプレッシャーは日に日に強くなっているのを感じているし、次も期待しているという声だって普通に言われる。
他人事だったら大変だろうなあと言えるが、当事者になったら溜まったもんじゃないだろう。
ぼくたちは勝ってしまった責任があるから逃げられないが、これを入って数ヶ月の部員たちに背負わせたくない。
(あの子たちも頑張ってくれてるんだけどね。本気のぼくら相手にまだ一勝も出来ない子ばかりだ)
(うちらはそんなつもり全然ないけど、戦犯扱いされかねへんもんな)
夏で優勝したのに、冬だと全然活躍出来ずにあっさり負けてしまった。
なんでだ?
なんていう事になった時、絶対に犯人探しが起こるだろう。
それで簡単なのは。
――ズブの素人をいれたせいで負けたんだ。
――そいつが足を引っ張ったせいで負けた。
というバッシングだ。
ぼくたちも出来るだけそうはならないように気をつけるが、絶対ないなんて言い切れない。
モブくんの時の二の舞は絶対に起こしたくない。
だからこそ、裁堂さんが必要だ。
個人戦での本戦出場という功績、副会長というネームバリューもあり、なによりも疑いようのない実力。
冬のエレウシスで勝ち、すべてを解決するための大きな手札。
是が非でも欲しい。
「ぬぬぬ」
なんだけど……それはあくまでもこっちの都合なんだよなぁ。
彼女に頷いてしまうためのなにか材料はないだろうか。
「ずずー」
その時だった。
大きくお茶を啜る音が響いたのは。
「とりあえず話を整理しよう」
トンッと音を立てて、異議なしから異議あり! という文字が見える向きに湯呑みが回った。
「これだけ生徒さんが困ってるんだから、それを無碍にするのは生徒会としてはどうかと思うよ~」
「無下にしているつもりはない。当方は正しいことを告げているだけだ」
「学生なんて子供が正しさだけで出来上がっているわけがないよ。あたしも、君も、皆もねー」
パシパシと心地よい音で手を叩いて、入江生徒会長はぼくらを見た。
「まず前提なんだけど、エレウシスで冬のって11月と12月なら生徒会としてはそこまで忙しくないよー。少し大変だけど、あたしと他の子たちが頑張ればギンちゃんが抜けてもなんとかなるかな、普通の生徒会活動だし」
「ケイ!」
「事実でしょ? ここはただの公立学校だし、生徒会なんて内申点稼ぎでやってやれるぐらいのことしかさせてもらえないんだから」
そういってずずーと音を立ててまた湯呑みを啜る入江生徒会長。
他の学校のことを詳しいわけじゃないけれど、私物でお茶とか飲めるのは普通なのだろうか?
「だからギンちゃんを貸し出すのは可能ではあるかな」
「当方は承諾していないぞ。何故、Life部に当方が肩入れしないといけない。そうする道理はない」
「そこらはほら、うちらの部活学校でも注目されてるやん? 成果を出さないと色々まずいんや」
「
鋭い目つきだった。
睨みつけるような、不愉快……いや、憎むような目だった。
「――当方が貴様らに従わなければいけないほど立場なのか」
その強い言葉にぼくらはちょっとびっくりした。
「いやいや、そこまで驕ってないよ?」
「いやいやいや、そこまで言っておらんで! 従うって……あくまでもお願いしてるだけやし」
確かにちょっと失礼だったかもしれないが、そこまで怒られるような変なこといったかな?
「うーん~。ギンちゃん、ステイステイ、少し落ち着いて」
「……失敬。少し言い過ぎた」
口元を抑えて、少しだけ頭を下げて、裁堂さんは後ろに一歩下がった。
なにか変なトラウマでも刺激してしまったんだろうか。
「んーとね。あたしたち生徒会はね、君たち生徒の味方ではあるよ。でもそれは滅私奉公で手を貸せっていうほどのものじゃない、出来ることとしたくないことこともある。ここまでは承知してくれるかな?」
「承知しています。だからかなり無理なお願いだとは分かっています」
「君たちLife部は夏で結果を出した。この学校でも今一番注目されている部活だっていうのはうちでも分かってるつもりだし、それでこっちにも力を貸して欲しいってことだよね?」
「個人的には大げさやと思うけど……うん、ちょっと心苦しいんやけど、出来ることはなんでもしたいんや」
「うん。でもね、あたしたち生徒会は生徒全員の味方であって、君たちだけの味方ではない。だから――
なるほど。
あくまでも生徒会は公平な立場であって、1つの部活に贔屓することは出来ないということか。
「そんな事は言ってないが?」
おい。
「親切な翻訳です。間違ってるかな?」
「……」
黙っちゃった。
「はい、またあたしの勝ち。でね、ここからは君たちへの問題になる」
「ぼくたちの?」
「――そう」
「ギンちゃんが私人として手を貸し、肩入れするだけのメリットを提示すること。それがあたしから提示出来る条件かな」
◆
失礼します。
そう告げて2人は退室していった。
「いやあ礼儀正しい子たちだったねー」
「……なんのつもりだ?」
あ。やば。
「なんのこと?」
結構キレてるなー。
「ケイ! なんだあの条件は!?」
ギンちゃん。
そのテーブル、学校の備品だから丁寧に扱って欲しいよ。
「なにって、妥当な条件だったと思うけど?」
「妥当? 妥当だと?! ふざけるなっ」
「なにがさ」
「当方がなぜ奴らに手を貸さなければならない! 条件などと、出来てしまったらどうするんだ!」
「そしたら適当な理由で却下すればいいじゃん」
「そんな正しくないことが出来るものか!!」
バンバンと備品に厳しいギンちゃんである。
うーん、真面目ー。
「どっちかというとおかしいのはギンちゃんでしょ」
「なんだと?」
「今回の一件、ギンちゃんらしくないよ」
ズズーととっくにカラになってる湯呑みをおいて、目線を上げる。
うすほそえっちなギンちゃんの赤くて綺麗な目を見つめた。
「困っている生徒の話も聞かずに却下するのが真面目な副会長さんのお仕事? 普段ならもう少し穏便に対応してるでしょ」
「……当方は間違ったことはしていない」
「うん、してはいないね。でも話し合おうという姿勢もなかった」
「するまでもないと判断したからだ」
「その判断はギンちゃんの一方的な都合だよね? Life部が、ギンちゃんの力を借りようとしたのと同じぐらいに」
ジッと目を見る。
ジーと見る。
先にそらしたのは……ギンちゃんだった。
「拗ねてるんでしょ」
「拗ねてない」
「いーや拗ねてるね。Life部の、天儀さんだっけ。それが女帝さんを倒したからじゃないの?」
「関係ない」
「ギンちゃんが前に負けた「かんけいないっ!」……どう見ても関係あるじゃん」
バンッと気持ちいいぐらいに音を立てた手を、少し痛そうに擦るギンちゃんを見ながらあたしは息を吐いた。
ゆっくりと吐ききって、同じぐらいゆっくりと息を吸いながら腕を組んで、椅子に座り直した。
少しでも足りてない生徒会長としての威厳が見えるように。
「……ま、どんなメリット出してくるか。こうご期待だね」
「私はまったく期待していない」
もー。
そういうのってフラグっていうんだよ?
白は祈り
これを使わずに済めばいいとその手に握られる
――<白の懇弾>