今回はお話メインで一万文字超え!
どういうことだ、茂札!(バキィ
すいません、上手くまとめられなくて・・・・・
長い文章のお詫びといってはなんですが、Lifeのゲーム配置の絵ができました。
イメージの参考にどうぞ。
【挿絵表示】
【挿絵表示】
そして、今回はたくさんFAを頂きました!
うおおおおおおおおお!
ヨン様よりサキンのFAを頂きました!
なんて可愛らしいのでしょう。
なんておぞましいのでしょう。
すっごい雰囲気が出ていて大満足です! うおー! 幼女ー!
【挿絵表示】
朽ち木様より叡智ぃ! なドロシーと
け、健全……! なユウキちゃんのFAをいただきました!
並べてみてみよう、かわいいでしょう??
【挿絵表示】
【挿絵表示】
盟友のモナカパウマンさんからバトルボードの絵を頂きました。
初期案というイメージでの装着した姿らしいです。
こういう試行錯誤のすえ、現代のものになったようですねえ。
【挿絵表示】
「フツ兄、エレウシスにでも出るの?」
「うん?」
本日はバイトのオフ日。
学校帰りに書店で購入した雑誌を、真面目に働いてる店長とサレンを横目にフリースペースで読んでいると声をかけられた。
「マリカか」
雑誌から目線を外すと、学校帰りらしいセーラー服姿のマリカだった。
……相変わらず中学生じゃないな、本当に。
同級生の男子とか大丈夫か? 慣れてる僕でもたまにやばいなとか思うのに、そうじゃない普通の学生だったら刺激が強すぎるんじゃないかな。
と、それはともかく。
「エレウシスって……なんでさ」
「その雑誌、Fightingだよねぇ?」
スッと指差したのは僕が読んでいた雑誌、その表紙。
そこに映っているのは銀髪で、美人で、胸がでかい女子高生の写真。
そう。
ドロシーちゃんだ。
さすが夏の優勝者だなぁと思う頑張って浮かべたんだろう笑顔の右下には「冬のエレウシス有力候補、出場申請揃う!」という見出し。
「まさかLife部にでも復帰するの?」
「しないしない、バイトまだ辞めたくないし」
だから店長、ちょっと驚いてる顔しないでください。
辞めないですから。
手を左右に振って大丈夫だとハンドサインしつつ、口を開く。
「ちょっと参考に見てみようかなって思って」
「さんこー?」
「うん。今どきの学生って、どんなファイターいるのかなーってさ」
僕が入っていた時は、一般的な弱小部活だったからそこらへん情報なかったんだよなぁ。
そう言いながらペラペラと最初の方、特集とされているページをめくっていく。
そこに写っている有力候補、特集とされている学生たちの写真を見て思う。
「……なんか女の子多くない?」
一度目を通した時からうっすら感じてたけど、見直して確信する。
写っている有力候補の学生ファイターたち……なんか女ばかりだ。
いや写真映りとかがいいとか、特集するなら顔面偏差値が高い子のほうがいいとか、ああやっぱり学生でもコスプレとかしてんだな。いや改造制服ってレベルじゃねえだろこれとか、キャラ作りかこの名前?? 親御さん?? 親御さん、名前つける時に姓名判断とか子供が学校でイジメられるリスクとか考えなかったんですか、キラキラネームかよ!!
みたいなのがある、あるんだが……そんな中でもやっぱり女子が多い、というか男子がほぼいねえ。
多分男子かな? っていう名前はあるんだが、確信が出来ない。
「なんでこんな野郎いねえんだ?」
「なにいってんの、フツ兄。ふつーはーファイターって女の子のほうが強いよぉ、ふつーはー」
え、マジで?
マリカの顔をジッと見るが、マリカは見つめ返して頷いた。
「
「なん……だと」
ええ……
いや、まあ薄々感じてたけど言葉で言われるとマジかってなる。
目をそらしていたものを直視させられたような……
しかしと思う。
別に野郎のほうが優れてるとか男尊女卑の思想があるわけじゃない。
ただカードゲームに関しては女よりも男のほうが多かった。
これは男のほうが論理的思考が得意だとかっていう声もあったし、変な凝り性とかを趣味にしてる比率として男のほうが多かった気がする。
そういうのにハマりやすいという気質はなんか男にはあると思う。
とはいえ、一番の理由は競技人口だった。
それを目指す人間を選りすぐり、
バケツ1つ分の砂利とプール1つ分の砂利では結果なんて明らか。
試行回数は正義である。
だから、世界1つの男女区別なく
「そんなに女性のほうが有利なもんか?」
それなら――
「若い子はねー大体女の子のほうが強いよ?」
「いや、でも師範野郎じゃん。道場ってだって男のほうが多くない?」
「弱いほうが身体鍛えにくるもんだし、ししょーとかはプロだもん。プロになればもう少し比率も変わるよぉ、パワーを頭脳と技術と体力で補うからだってさ」
「パワーって」
カードパワーそんなに大差あったか?
テーマとか、デッキパワーはまあ個人ごとに差があるもんだったけど。
「
「引き……ドローでいいのが引けるってことか?」
現在進行形でレジ打ちで忙しそうな
確かに重要な要素だけど、カードゲームはそれだけじゃないだろ。
「体力、集中力、判断力が同格なら強さを分けるのは引きの強さ……って言われてるよぉ」
「そりゃそうだ。同じ条件なら引きがいいほうが勝つだろ」
ミラーマッチで盤面が同格ならあとはトップ勝負だし。
そんな事を考えていたら、何故かマリカが半眼になってた。
「……それフツ兄がいう?」
「なにがさ」
「フツ兄の教えてくれた練習方法、普通じゃなかったじゃん」
えっ?
「教えたって……1人回しとかのことか? それともデッキの貸し出しとか、公開手札での検討会とかぐらいだろ」
昔、マリカと知り合った小学生ぐらいの頃だ。
気門道場に護身のために通いだして、空いた休憩時間とかでも難しそうな本を片手に広場を見てた子供がマリカだった。
Lifeのルールもよくわからないし、全然勝てないから対戦したくないっていうもんだから色々教えたのだ。
相手がいなくても練習が出来るように、カード資産が足りなくて有り合わせでなんとか組んだデッキでの1人回し。
どういうふうにすれば勝てるというか強い切り方にならないからわかるように、手札と引いたドローを見せながら口頭で説明しながらのプレイ。
どんな風にカードを使うのか憶えたら互いにデッキを交換して、自分なりの相手なりの使い方や癖、どうやればそのデッキの強さを最大限引き出せるかという立ち振舞いに、どうすれば相手のデッキの強さを引き出せないように立ち回れるかという遊び。
そう遊びだ。
本を読んだり、室内で勉強ばかりさせられていたマリカに教えたのはただの遊び方だ。
カードゲームとして遊んでただけで――
「普通のことしか教えてないぞ?」
「普通じゃないんだよねぇ」
「なんでさ」
「我がこんなことになったの、フツ兄のせいだから」
「なんでさ」
師範の元デッキを受け継ぐことになった日にも言われたなぁ、それ。
「フツ兄はおかしいの、そろそろ自覚したほうがいいよ」
「いや、そんな大したことしてないぞ?」
むしろぬるい方だ。
プロチームのようにデッキの調整チームと使うプレイヤーで分かれているわけじゃないし、素人の集まりによる調整会で遊んでただけだ。
おかげで無駄に知見だけはある、知見だけは。
その経験から言えば……
「強いところ、ガチでやってるんならもっと凝った訓練とか勉強法やってるだろ」
僕が入ってたLife部は弱小部活動だったからガチなところの基準がわからないんだよなぁ。
復帰したジグ部長は、元副部長からそこらへん引き継ぎしてなかったみたいだから訓練方法とか色々メールで相談されたし。
とりあえずそんな道具も用意せずに出来るだろう、ガラパゴス式の調整会のやり方をざっくり伝えただけだ。
「気雲流はもっと本格的なのやってるじゃん?」
少なくとも今の気雲流だと同じような練習と、ビデオ使ってファイトの対戦映像残しての検討とかやってるし。
渡されたカードの数百枚の山からサイド込みのデッキを作って、それで総当り戦する簡易的なシールド戦とか定期的にやってるしなぁ。
ボード使わないテーブルだから毎度師範が優勝出来なくて、大体勝ち上がってるマリカとか高弟の人たちに商品券献上する羽目してるし。
師範、珍しく決勝まで行けた時はデッキ拝んで頼むぞ頼むぞとか祈りの舞してたんだよな。
……まあマリカに普通にボコられてしばらく拗ねたけど。
「ん~~~なら聞いてみよっか。セトさーん」
「なーに?」
レジ打ちも落ち着いたのだろう。
セト店長がマリカの呼びかけに応えてくれた。
「セトさんって学校でどんな訓練してたの?」
仕事中に申し訳ない。
「【
ますかん……確かサレンも通ってる女子校だっけか、ミッション系だとかで。
「確か……この学校か」
雑誌のページを捲り、載っていたページを開く。
そこに写っていたのは黒と白のセーラー服を纏った女学生だった。
かなりの美人だが……当然サレンではない。
あいつ学校ろくにいってないからな。
「だね、そこ。懐かしいなあ、昔ボクもこのセーラー服着てたんだよねえ……多分今だと無理そう」
そりゃあそんなムチムチだと無理だろ。
いや学生の頃の店長がどんなだったのかわからんが、絶対胸とか尻とかきつくなってるだろ、知らないけど。
「それでどんな練習してたの?」
「これ載ってるってことは結構強豪校ですよね」
「あー……ごめん。ぼく、その時部活とか入らずに過ごしてたから」
えー。
なんて思ってたら、店長が
「――そうなんだよね。どんな青春してたのかなーってうきうきで聞いたら、何もしないで灰色の青春送ってたとか言ってさぁ」「しょうがないでしょ、ぼくだけがそんなことしてちゃいけないって思ってたんだし」「ボクのこと思うならきちんと社会生活送っておいてよね、バニラがいい子だからって玩具とか最低限だったし」「ごめんて」
あのキモい百一人目とかいう闇ファイター倒してからの店長で度々ある一人芝居である。
多重人格というやつだろうか。
同じ一人称でボクっ娘だからわかりにくいんだが、僕のよく知ってるセト店長はぼやぼやした声音で、新しいというか本物(?)の店長のほうはハキハキして少し声が高いボーイッシュな感じの喋り方とよく聞けば違いがわかる。
まあどっちも僕にとっては店長だから問題ないんだが。
「でもまあ、大体どんな鍛錬してるかはわかるよ。基本はどこも同じだからね」
「どんなのしてるんです?」
「そうだね、二人ともちょっとデッキをテーブルに出してくれる?」
言われるままにデッキケースからデッキを取り出して、テーブルの上に置く。
「こうー?」
「そそ。ライフデッキはまあ横に置いといて、とりあえず適当にシャッフルして最初の手札を5枚引いてみて」
さっくりシャッフルして、最初の手札分の5枚をマリカと僕で引く。
「それでね。ここからは普通のファイトと同じ手順なんだけど」
「うん」
「
「……はい? サーチしろってこと?」
「そ。当然、相手から何を引いたのか見えないようにして、あーあと一応簡単でいいからその後はデッキをシャッフルして。ドローカードとかで引く時は見ないとか、その時でも見て選ぶとか流派とか学校によっても違いがあると思うけど、それでファイトするんだよ」
えーと。
えーと……つまり。
「
「そ。【ゲームイメージ】を固めていく、というのがボクが教会で教わった教育方法の主軸だったね」
「あー……思い出したー。我も昔、姉上とか兄上とか相手の時やってたねー。それで全然勝てなくてー,つらかったなぁ」
いやいや。
いやいやいやいや。
「あのそれ、ゲームにならないというか……それでなにが上達するんです? 何を目的でやるの??」
そんなの理想コンボというか、後出しジャンケンというか、イカサマポーカーだろ。
「初期の手札で条件揃ったらコンボの出来るデッキならワンキル可能になるし、相手が妨害握ってなかったら死ぬのでは?」
「なら妨害になるのをドローで手札に加えればいいんだよ」
「それがデッキに入ってなかったら?」
「うん、いれてないのが悪いね」
「もしも妨害を手札に加えてなくて、相手のコンボが決まるように手札を揃えてたら?」
「それを察知できるように訓練する、基本的にはシーソーゲームなんだ。相手より有効な札を加えて、なおかつ相手にはそれを悟られない。相手は手札に加えたものがなんなのか感じながら、より有効な札を引き当てていく。”その検討を繰り返す訓練”」
――サイキックテストか?
「それはなんというか……難易度高いですね」
こちらの渋顔が見えているのだろう、店長が苦笑する。
何笑ってんだと言いたい。
「もちろん、普通は相手の札なんて一発で分かるわけじゃない。精々魔法かクリーチャーか秘宝かその種別ぐらいだし、条件を絞るために相手の顔色を見るテクニック、引いた時のリアクション、そしてなによりも【カードの知識】 出てきたテーマに対する知識がこのやり方だと必要不可欠」
「我も昔は家にあった書庫のねー、蔵書全部頭に叩き込めーって。共鳴向いていないなら知識で補うしかないって言われて勉強してたよー」
「ボクも教会のほうで閲覧可能だった文献とか、デッキとか暗記させられたなあ。テストとかあって、それ抜けれないと叱られたり、食事抜かれたりとかよくあったし」
虐待かよ。
思わずため息が出そうなのを噛み潰しつつ、眉間に指を当てて揉んだ。
「なんていうか……意識高い練習だなぁ」
とてもじゃないが真似出来そうにない。
こんな世界に生まれておいてなんだが、僕は超能力者でもなんでもないのだ。
呪われている影響もあるし、その前だったらなんか引きが偏ったこともそれだけ。
物理的に手が光ったこともないし、いい札が引けるとかそういうのも感じたことがないかあっても錯覚だ。
あと普通に引き運は悪い方だ。
「うん、だからね。フツ兄のやり方が新鮮だったんだよ」
「新鮮?」
「だって感じなくても
「そんな言われるほどのことしたかな?」
いや謙遜でもなんでもなくそこまで言われることかと思う。
当たり前の、出来そうなことを積み重ねただけだし。
「してるよー」
けれど、マリカはジッと僕の目を見た。
真剣な目だった。
「フツ兄のやり方はね。すんごい暗記したり、感じたり、推理したりしなくても、相手のことがわかるの。盤面を見てー、相手の手札を見てー、そこからどんな動きをするデッキなのかギミックなのかを、
「まあ、それしかやり方がないし」
どんなデッキにもコンセプトはある。
どう戦うための
そのために最適化されていくのがデッキビルドの腕の見せ所だし、その上で使いこなし乗りこなすのがプレイヤーの腕だ。
まあ……ここだと大半デッキテーマ通り、
「マジで考えればわかるんだよ。考えれば考えるほど、やってやって、やっていくほど」
いや本当に慣れとしか言いようがない。
初心者の頃、カードゲーム始めたばかりの頃はこんなの自分の手札が相手より強いことを祈るしかないゲームだろと思ってた。
少し慣れたら後は相性ゲーだなって思って、そうしたら勝てなくなってなんで負けたのか考えるようになって、段々自分がミスした上手くやれたっていうのが手応えみたいにわかるようになって。
繰り返して繰り返して、相手の一手に、自分の一手にこれが正しいのか、なにを考えてるのか考えながら切る癖がついて。
それが息するように当たり前になったら。
「本当に、
それがたまらなく楽しいんだ。
脳が焼ける、刺激的な依存体験。
「まあそれでも負けまくる時は負けるし、嫌になるんだけどな」
「だいなしー」
「モチベーションは大事だからな」
「うーん合理的だなぁ」
そんな僕たちの会話を聞きながら、店長は楽しそうにニコニコしてた。
「”覇手”と”魔王”に似てるよ、フツオくんは」
はしゅとまおう?
「それって確か……聖座の1位と2位だよねー?」
「そ。世界最強の頂点。かつて世界の裏側を牛耳ってた組織【ソリティア】を粉砕した”覇手”に、Sランクの傭兵ファイターだけが集う円卓、その中でも不滅とされていた最古参【絶対予言】を打ち倒して与えられた忌み名”魔王”の二人」
「かっけえ二つ名だなあという気持ちと盛られすぎでは? という気持ちがある説明なんですけど」
なんだそいつら、そんなやばいやつらがいるのか。
いやトップ層なんだからそういうやべえじゃないとなれないのかもしれないが。
「多分彼らは
「はい?」
同類って。
「もしかしたらフツオくんはいつか
店長は左目を閉じながら笑って言って。
「解放って「いい加減仕事に戻れ」
「あいた!」
次の瞬間、後ろから脳天に一撃叩き込まれていた。
ふぐぅうううとうめきながら頭を抑える店長、ちょっとしゃがみこんでるから後ろのパンツ部分見えてるから気をつけて欲しい。
「こら、モブ。だべって営業妨害するならキリキリ働け、代わりに私は上がるから」
「シフト入れたのはお前だろ、働け」
「えー」
えーじゃねえんだよ、サレン。
仕事ってのは自分で選んだ労働時間はきっちし働くもんだ。
「あと買取希望の人がきたから、セト見てきて」
「ぅぅ、あ、それはいけない。行ってくるね」
パタパタと慌てて仕事に戻っていく店長を見送って、サレンがテーブルに置いておいた雑誌を手に取った。
「モブ、大会にでも出るの?」
「お前も同じこと言うんだな。でねえよ、ただの一般レベルの調査だよ」
「ん、それがいい。そこらへんの奴らだとただの虐殺にしかならないし……ん?」
何故か勝手にパラパラと人の雑誌をめくり出して。
「へえ、”魔弾”の奴エレウシスに出てたんだ」
魔弾?
「知ってる人なのー?」
「こいつ」
そう言ってサレンが開いたのは、注目ファイターと書かれた記事。
巻頭ページの写真と違ってモノクロだが、見覚えのある格好をした人間の写真が写っていて、その名前が。
「裁堂ロギンのこと、知ってるのか?」
「ん。わりと有名、同じ企業案件の決闘代理人やってたし」
そういやこいつ、傭兵ファイターやってたんだっけ。
「あーうちの道場でも契約してる会社さんところで代理人やってるけど、フツ兄。そこにも知り合いいるの?」
美人さんだし、なんか勘違いされてる言葉が付け加えられてたので、普通に否定する。
「……うちの学校の副会長だよ、そいつ」
「え、学生さんなのー?」
「若いと思ってたけど、学生だったのか」
お前が言うな、お前が。
「というか学生で代理人って……いいのか?」
「傭兵なんて実力さえあれば誰がやってもいいし、稼げるし、税金もかかる」
裏社会でも税金かかるのかよ。こえーな。
「ちゃんと払わないと国税局の取り立てファイターが襲ってくる」
「取り立てファイターって……」
「あいつら経費で落ちるレアカード満載してるからやばい」
こわっ! マジでこわい!
「……裁堂って強いのか?」
「――強い。基本負けたことがなかったはず」
「サレねえよりー?」
「戦えば私が勝つ。ただたまたま戦ったことがないだけ」
フラグかな?
「というか一度ぶつかったことはあるけど不戦敗だった」
「……不戦敗?」
「あいつの
こいつも結構戦闘狂だよなあと実感するわ。
「しかもあっちがキャンセルしたのに、ベラベラと私が怖じ気づいで逃げたみたいな言い草で吹いてるらしいから出会ったら、あのデブ〆る」
ギリギリと軋みを上げる雑誌。
それ僕の買ったやつだからやめてほしい。
「まあそれはそれとして、なるほどな。エレウシス本戦にまで出られるだけのこともあるのか」
腕は保証済みってわけだ。
となると少し気になるのが。
「……エレウシスって学生の大会だろ? 傭兵が出ていいのか?」
「
「カバー言うな」
「なんだったら私が出てもいいし」
「まあお前なら普通にいいとこいくだろうなー。でもお前、部活とか入ってねえだろ」
「桝館の連中はそこそこ強い。けど、叔父からは入るのは止められてたから入ってない」
「叔父?」
「桝館の理事長やってる、私の保護者で師匠」
「フツ兄にいっておくと、桝館女学院ってお嬢様系のーミッションスクールだよー」
「…………お前結構お嬢様だったのな」
ろくに学校もいかずに歩き回ってる不良娘で傭兵だと思ってたわ。
いやその事実に何も間違いはないんだが。
「そうだぞ、敬え」
「ははー」
「フツ兄、我お嬢さまだよー。全国展開してる大きな道場の1人じゃない娘だよー」
「はいはい」
お嬢様というには雑過ぎる奴ともう見慣れすぎたマリカを適当にあしらいつつ、雑誌を取り戻す。
ざっと経歴を見る限り、ドロシーちゃんたちから聞いてた以上に強そうだ。
同時に疑問に思う。
「そっちで売れてるなら今更学生大会なんか出るか?」
「エレウシスで結果出せばプロへの最短ルートだよぉ? 個人でねえ二位までならフォーマルハウトとかにも出れるはずだし、推薦とかも貰いやすいと思う」
「? ああ、そういうことか」
「――
「高く?」
「傭兵の値段。Bとか、Aランクの傭兵なら元エレウシス本戦出場経験があるとか、結果を出したみたいな箔付きのもいる。そうやって自分の名前を飾って、値札を磨いた傭兵もいるからそっちかも」
そりゃまた……生臭い話だ。
「なるほど、そういう路線もありえるか」
自分を売り込みたいから、団体戦じゃなくて個人での参加を志望してると。
Life部の助っ人をしたくない理由としてはありえるな。
そこまで考えて。
「ところでよく知らないんだが、傭兵ファイターって強いのか?」
「お、フリプなら大歓迎。サボれる」
「サボんな。僕の知ってるサンプルがお前しかいねーから平均がわからねえんだよ」
傭兵ファイターっていうより闇のファイターとのほうが交戦経験が多いっていうよくわからない状態だしな。
「んーぶっちゃけそこらへんのAまでならプロのファイターのほうが全然強い。揃えているレアカードの数も違うし」
「そうなん?」
「レア揃える金があったら大体の連中は
立ち回りが上手い?
「傭兵は――対策されても勝てないと生き残れない」
「生き残れない?」
「企業や個人でのファイトの代理人、それで戦う傭兵ファイターはデスマッチでもなければ大体生き残る。賠償金の借金で船に乗せられるなり、鉱山で働かされるなり、二度と浮かび上がれないこともあるけど」
現代社会の話してる???
いや、この世界前世と違うけど。下手すれば前世でも裏あたりであったりするかもしれないけど、怖いんだけど。
「ガチで口封じでもしない限り、傭兵ファイターの使ったデッキ、その手口なんてのは漏れる。専属で雇ってるわけじゃない企業や依頼人は情報を守ってくれないし、自分で守るしかないけど」
「けど?」
「秘密は必ずどこからか漏れる。傭兵同士の戦いは大体メタを張られる」
だから傭兵は定期的にデッキを変えたり、デッキを組み直すのだとサレンは説明した。
「ある程度得意じゃないデッキでもなんとか使いこなす。そのために準備期間を多く取るのも珍しくないぐらいに」
「なるほど……メタが回ってんのか」
皮肉な話だと思う。
表向きのファイター、界隈であるファイターは自分にあったデッキ専用に使いこなす訓練をする。
だからやすやすとデッキを変えられない。
だけど、裏の――といっても闇のほうじゃないやつ、傭兵のファイターは生き延びるために自分にとって最適じゃないデッキでも握る。それを使いこなすように訓練をしている。
前世でのメタゲーム環境に近い。
ある意味では健全だと思う。
それがゲームだったらだけど。
「まあ【円卓】までいけば別だけど」
「円卓? それって確かさっき店長が言ってたやつか?」
「そ。傭兵ファイターの中でも別格って言われてる連中のみのコミュニティ。円卓のメンバーから推薦されたやつしか入れる事ができなくて、ここに所属出来る傭兵はSランクってカテゴリに分けられて百命に匹敵する実力者って噂。なんと驚け、昔私も誘われたことがある」
「わあ、すごい。でもサレねえ、なんで入ってないの?」
「めんどそうだった」
お前はそういうやつだよな。
「あと円卓の顔役やってる奴が胡散臭かった」
「胡散臭い?」
「【貴紙王】っていう顔も見たことのな「サレンちゃーん! ヘルプー!!」泣き声上げてきたので、休憩終わり。残念」
見ればレジ前に列が出来ていたので、小走りでサレンが戻っていった。
本当にこの店も繁盛するようになったなあ。
しみじみとそんな風に感じてふと気付いた。
「そういえばマリカ」
「なーに?」
「ユウキちゃん来てないな?」
昨日バイトに入ってた時見かけなかったからそんな日もあるかと思ったが、今日も姿を見ていない。
2日連続ってのは珍しい。
「あ、ユウキなら来週までこないよー」
「そうなのか?」
「うん。確か今日からねー、田舎の実家に帰ってるんだって」
「お父さんのデッキがあるかもしれないから探しにいくって言ってたよー」
◆
ブブブブ。
音がした、唸るような音がしていた。
高い、高く離れた高層ビル。
MeeKingからキロ単位で離れたその屋上に1つの影が佇んでいた。
頭部から首までを飲み込むような膨らんだフルフェイスのメットに、全身を覆い尽くすコート。
その目線らしき角度は眼下の先の光景に目線を向けていた。
「……レがシぃ」
コートのポケットに差し込んだ節くれた指が取り出したのは写真。
それぞれが違う人間を写した写真で。
「ぎンがおToMe」
1つは片目を髪で覆った女性の写真。
「せいRei狩リ」
1つは紫色の髪に、帽子を被った少女の写真で。
「これハNo」
その二枚が取り除かれる。
ブブブブ。
風をかきむしるような音と共に残ったのは5枚の写真。
「えい
白い髪の少女の写真が取り除かれ。
「ひTIGER、あと、アト厄Kai」
緑の髪にセーラー服の少女――目線があった隠し撮りの写真も、取り除く。
残ったのは3枚。
桜色の髪をした幼げな少女、銀色の髪をした豊かな少女に、黒い髪の青ざめた肌をした少女。
その3枚を眺め、眺めて、その人影は少しだけフルフェイスのバイザーを上げて――2枚を中に放り込んだ。
メットが揺れる。
上下に、左右に、楽しげに、コートが揺れる、フルフェイスのヘルメットが揺れて、肩から細かく震えて。
「デリしゃSu」
そして残った1枚を後手に放り投げる。
それはひらひらと揺れながら、コートの足元の影……
「いケ」
ゴボリと泡立ちながら、その影は動いていった。
ビル壁を滑り落ちて、流れていった。
そして、コートの人影は震えていた。
ブブブブ。
音がした、唸るような音が響いていた。
風でも消せぬ不愉快な音だった。
全てを備え、全てを覚悟し、全てを引き尽くせ。
これで殺せぬならばお前が殺される。
デッド オア アライブ
生きる か 死ぬか
――<銀弾の六連>