大変おまたせしました。
今回は漫画本編にて描写されていくお話です。
ファイトもあるよ!
朽木様よりFAを頂きました!
【挿絵表示】
う、美しいカトリオだー!
清楚な美少女のようだ、すっごい!
【挿絵表示】
そしてユウキちゃんのFAを頂きました!
実のところ改変前だと出会うことのなかったお二人
さてここではどうなって――?
――裁堂
そんないきなりの学校命令を突きつけられてはや数日の放課後。
私たち四人は昇降口に集まっていました。
「なんなんでしょうか、生徒会からの呼び出しって」
「バトルフィールドのある闘技館って辺りでアレな予感しかせえけどな」
「入江会長は生徒会から抗議するって話だったけど……こじれたかなぁ」
ナツミちゃん、リナさん、ジグ部長。
それぞれの声を聞きながら、私はデッキケースを確認しました。
出番がないといいんですが……こういう流れだとなんかあるんですよね。
フツオさんもなんかあった時のためにデッキケースとボードは持ち歩くべきだってしみじみと言ってましたし。
「うわ、寒っ」
さっさと下駄箱から靴に履き替えて、外に出たリナさんがひぃんって可愛い声を上げて戻ってきました。
「わ……朝も寒かったですけど、風冷たい」
「こんなこともあろうかとマフラーとコートを羽織ってっと」
「ずるいでジグ! せめてマフラー貸さんかい!」
「そんな短いスカート履いてるからじゃあ……」
「リナ、京都出身だから寒さに強いとかいってなかったっけ?」
「うぅ、底冷えなら慣れてるけどなぁいきなり寒くなるのはやっぱりきついで……そろそろスパッツじゃなくてタイツやな」
震えながら自分の身体を抱きしめて、ばたばた両足上げて身体を温めてるリナさん。
私は昔から寒いのは結構平気なんですよね。
「着いた。開けるよー……開いてるな」
いつものように管理している鍵で開けようとした部長が、扉に手をかけて気付いた。
どうやら生徒会の人たちはもう中にいるようですね。
「早く入ってーなっ!」
「ああ、いこう」
ジグ部長を先頭に、寒さに耐えられないリナ先輩が足早に滑り込む。
一応風が入らないように閉めてと。
そして、闘技館の中。
バトルスペースのある場所の真ん中に、見覚えのある外套と帽子を纏った人影。
それとその横で……生徒会長が立っていた。
――寒そうに足踏みをしながら。
「寒いよぉ、ギンちゃん。暖房つけない?」
「操作がわからん」
「早くきてーって、あ、きた! 暖房きた!」
「暖房じゃなくてLife部です……暖房つけますね」
「おねがああい!」
そういうことになりました。
「お湯温かい………………あー文明の利器は大事だね」
「なかったらもう冬だとカードを握る手もかじかんでどうしょうもないですからね」
「懐かしいわあ。前の冬はストーブでなぁ、あの頭でっかいの副部長の奴、換気は大事だっていってストーブつけてんのに窓開けやがって」
「それは大事なことだと思いますよ??」
「え、もしかして前の部室エアコンなかったんです!?」
「予算が増えたからなあ、急ピッチやで」
「はえー、あたしだったらくじけちゃいそうです」
暖房をつけて数分。
幅広い空間の中を温めるのにも時間がかかるので、ウォーターサーバーのお湯を私たちは啜っていていました。
「ズズ――――お前たち、そろそろ話を進めないか?」
『ハッ!』
無言で粉末緑茶を溶かした紙コップのお湯を飲み干して、口に出したロギン副会長の言葉に要件を思い出す。
「入江会長、結局抗議はどうなったんです?」
「せやせや。そこの副会長がうちらの仲間になるっていうなら三顧の礼で迎えるところやけどな」
「む、迎えるのか……?」
「強いファイターは大歓迎ですので」
「そ、そうか……」
「でも必ずレギュラーっていうのは、ぼくらにも都合があるんですよ」
「あー……それなんだけどね」
「抗議は伝えた。けれど、予算を割り当てている以上この学校命令の拒否は
困る?
「事実上の命令だよ。色々とごねたんだけど……次の優勝も期待されているとか、寄付がどーだかとか、予算があれこれとか」
入江会長の言葉に、何故か横の副会長が少しだけ肩を震わせた気がした。
大人の事情に腹が立ってるのでしょうか。
「まあ学校としてもLife部には期待してるってことなんだろうね。表向き、まだギンちゃんが勧誘されてたとか伝えてなかったはずだし……はぁ」
「つまり。なんか? うちらには拒否権ないからそこの副会長をレギュラーに入れて、おらあ! って使い倒せと」
「あーいやいやいや、それはどう考えてもそちらに悪いよ。だからなんとか一つ、条件を飲ませた」
条件?
「Life部への条件。裁堂ロギンをレギュラーにしたくないなら、その実力を証明してみろってね」
「……つまり?」
「誰でもいい3人選べ。当方が3連勝すれば当然脆弱なメンツに頼る必要もなし、当方がレギュラーの椅子に座ってやろう」
「はぁ!?」
コートを翻し、発せられたロギン副会長の言葉に、リナさんが声を上げた。
私たちも同じ気持ちでした。
「つまりあれか? 弱いうちらを押しのけて、あんたがレギュラーに座ると」
「そういっている」
「……うちらは夏のエレウシス、団体戦の優勝チームやぞ」
「当方がいなかっただけだろう。それに古参の、兵どもが幾つも抜け落ちている。運と奇跡が起きればなしえるだろう、そうだろう?」
「は、はーん。つまらん挑発やな……悪党向いてないで」
怒った態度で声を張り上げていたリナさんが、すっと肩をすくめる。
「え? え??」
それにナツミちゃんは困惑した顔を浮かべていて。
「入江会長、確認したいことがある」
「……なーに?」
ジグ部長が片手を上げて、入江会長がどことなくお腹を抑えながら応えた。
「裁堂副会長が3連勝すればぼくたちは彼女をレギュラーにしないといけないということだが、つまり。
「そうだよー」
「なるほど……感謝を。随分と抗議を頑張ってくれたようですね」
「はっはっはごめんね。お二方とも」
「ど、どういうことです? あの、喧嘩売られてるんですよね? 部長? リナさん?」
「ナツミちゃん、落ち着いてください。これは――どう転んでも私たちに不利はない勝負です」
不幸中の幸いというべきか、あるいは降って湧いた幸運というべきでしょうか。
元々副会長には力を貸して欲しかったです。
それは会長の個人戦としての事情や勧誘のためのメリットを考えれば、リザーバーとしての座がベストでしたが……
「ドアたち4人を3タテするような強さならレギュラーになってもらったほうがずっとチームは強化されます」
「そうだな」
「ですが、最後に確認です」
「なんだ?」
「ドアたちにしてやられてもチームに加わりたくないなんて文句は言わないでくださいよ?」
「――言ってくれるな」
私の確認に、ロギン副会長が口端を吊り上げました。
「無論文句など言わぬ。適当に下働きでもなんでもしてやろう」
「話は決まりや! バトルフィールドを起動や!」
「証明は必要だし、カメラも回しておくよ。会長は立ち会いで証明してほしいね」
「もちろんそのためにあたしがいるよー」
「うし、うちから出るで!」
勢いよくリナさんが掌に拳を打ち付けて。
「あたしに出させてください」
その前に、ナツミちゃんが進み出た。
「ナツミちゃん?」
「すみません。まだ二人もいるんですよね? ならあたしに一回だけください」
「誰だ、お前は?」
「円導ナツミ。Life部の新入部員で、団体戦の
「リザーバー……
「裁堂副会長、あたしとファイトしてください」
腰のポシェットからカードケースを引き出して、ナツミちゃんが指を突き出した。
「あたしは副会長と比べて実績も強さの証明もありませんし、顔も知られてません」
「そうだな……当方はお前のことは知らん」
「強さだけを考えるなら副会長さんを歓迎するべきだと思うんですが、そ・れ・で・も!」
左腕を掲げる。
新品の、団体戦に選ばれたっていう記念に買ってもらったと自慢していたありふれたバトルボードをナツミちゃんは展開して。
「あたしは選ばれたんだ! 強さを証明してください、あたしを押しのけても許されるぐらいの証明を!」
「――……先陣でいいか?」
「ええで。やったれや、ナツミ」
「ぼくも問題ないよ、先手一人目はナツミだ」
「ドアも問題ありません。外に出ましょう」
向かい合う二人を残して、バトルフィールドから私たちは出ました。
電源はすでに入っている。
あとは――
「構えてください、副会長」
お互いの戦う意思のみ。
「構えろ、か」
バトルフィールドの真ん中。
半円同士で分かれた場の中央で対峙するナツミちゃんは既にデッキをボードにセットしている。
けれど、ロギン副会長は室内だというのに帽子も被ったままで。
「当方は」
コートの前ボタンを白い指で外して、
「――もう」裾が「構えている」翻った。
その左手にはバトルボードが装着されていた。
「えっ」
遠目から見ていた私には見えた。
コートから飛び出した左手、その手に握られた拳銃のような器具が、左手に装着されてバトルボードとして展開した。
まるで映画の西部劇で出てくる早打ちのような構え。
多分、真正面で見ていたナツミちゃんからはいつの間にセットされていたのか見えたかどうか。
なんて速さ。
「常在戦場。当方に挑む気持ちがあるならいつでもよい、宣言しろ」
拳銃……昔の、映画とかに出てきそうな形の丸みがある部分にセットされたデッキを自動シャッフルを始める。
ナツミちゃんの静かなボードのものと違ってまるで火花を散らすような音。
「っ、なら! いきます! Life部、”エースキラー”円導ナツミ!」
「生徒会副会長、”ノーポジション”裁堂ロギン!」
「「ファイト!」」
二人が同時にメインデッキから手札の5枚を引き抜く。
先行を決めるバトルボードの点灯は……ナツミちゃん!
「先行はあたしのターン!」
真新しいバトルボードなのに、堂の入った動きでライフデッキからカードをドローする。
「ライフ2ドロー! メインフェイズ、色彩をセットするよ!」
手札をチェックし、迷いなく色彩をセット。
「1コスト、<
出したのは戦旗傭兵団でも最下級のクリーチャー。
しかし、ステータスは1/2で【速攻】と【隷下】
――指揮官がいれば強化される能力を重ね持つ優秀なクリーチャーです。
「選抜騎馬部隊は速攻を持つ! バトルフェイズで攻撃!」
定石ならばここは待ち。
迂闊にダメージを与えて色彩を展開させるべきではないけど。
「ライフで受ける!」
「1点ダメージ!」
騎馬部隊が足早に駆け抜けて、ロギン副会長に衝撃の風を与えていく。
「ダメージチェック……色彩! ここで攻撃とはただのウカツ……ではないな」
そうです。
「はい!」
これは間違いではありません。
「副会長。あたしは、あなたのデッキを知っています!」
ロギン副会長のデッキ相手には
「だから容赦なく、隙をねじ伏せていきます! ターンエンド!!」
情報戦を考えるなら言わないほうがいいです。
何を狙ってるのか言わなければそれだけ油断を誘える。
そうでなくても、少しだけ安心させる、余裕という名の傲慢を引っ張り出せる。
けれどナツミちゃんはそうじゃない。
本当に真っ直ぐです。
「隙、か」
けれど。
「当方のターン」
副会長がゆっくりと息を吐き、
「レディ」
私が瞬きした瞬間、
「
その左手には――3枚のカードがありました。
「ワン・ライフツー」
「メインフェイズ。当方は魔石をセット」
「ッ、ナツミちゃん! 来ます!!」
「――<
「きおった!」
ガチンと特徴的な金属音を奏でて、副会長のバトルボードのメインデッキのロックが解除されました。
「
1枚引き抜かれて、その手から消滅する。
「
1枚引き抜かれて、その手から消滅する。
「
1枚引き抜かれて、その手から消滅する。
「
1枚引き抜かれて、その手から消滅する。
「
1枚引き抜かれて、その手から消滅する。
「――
メインデッキトップから6枚のカードが掻き消える。
裏向きの、何のカードかもわからない。
そう、あれこそが。
「……”
記事に載っていたロギン副会長の代名詞。
レガシーカードの魔石<銀弾の六連>。
「ッ、レガシーだろうとただの除外しただけですよね! かかってこい、です!」
「ライフを3点支払い、<銀弾の六連>を起動。裏向き除外している
「<血儀の解呪者>を召喚する」
憎しみの対価には血が必要だ。
如何なる道理だろうとて血を見ねば収まらぬ。
ならばどのような呪いも、悲劇も、血で贖える。
血さえ流せばあらゆる悲劇がなかったことになる。
――<血儀の解呪者>