おまたせしました!
最新話、ロギンVSナツミの後編をお届けします!
それとFAを頂いたので紹介させてもらいます。
【挿絵表示】
朽木様より喜んでいるカトリオを頂きました~!
この子、永遠と数が増えているが本編に出るまでに何枚になるんだ!?
まあかわいいからええか!
【挿絵表示】
さらにヨン様よりナツミちゃんのFAを早速頂きました!
な、懐かしいw
こんな華麗に避けられるのか、ガンバレ!!
魔石<
それは裁堂ロギンさんを”銀弾”の二つ名に祭り上げたレアカード。
レガシーと呼ばれるレア中のレア、強大な力を秘めた所謂スーパーレアというカードらしい。
その能力は大きく分けて3つ。
1つ。魔石をセットした段階で、メインデッキの上から
表にすることなく除外されたカードは
名前すらもボードのログに残らず、中身を確認できるのは使用者であるロギンさんだけだ。
ただし、この能力はファイト中1回しか発動出来ない。
2つ。ライフを3点支払って起動することで、裏側で除外していたカードを発動できる。
それも設定されていたコストを無視して、どんな重い魔法やクリーチャーも3点のライフで使うことが出来る。
ただし、逆を言えばどんなに軽いクリーチャーや魔法でもライフを3点支払わなければいけないというデメリットもある。
その上起動能力は、基本的に自分と相手のターンを合わせて1回しか
他のカードの補助がなければ連続で使うことは出来ない。
そして、3つ目。
<銀弾の六連>はエンドフェイズ時に裏側除外しているカードがなかった場合ファイトに敗北する。
最後の弾丸を使い切ったら最後、敗北してしまう。
最後の魔弾は回り回って使い手の命を奪う。
けどこれは発動にライフ3点も使うから、6発も撃てないはずだから殆ど意味がないデメリット。
これらの情報は昨年度のエレウシス冬での大会の後に出た暴露記事での情報だった。
エレウシスの参加者、その有名な学生ファイターは大会が終わった後に切り札となるカード情報を流される。
ボードで対峙している時はわからなくても、破壊したり、使い終わった後は墓地に落ちて情報を解析出来る。
……プロの大会ともなれば契約や、誰がやったのか明らかになりやすいから秘匿するものらしいけど、学生はそうじゃない。
その情報を金などの見返りと引き換えに渡してしまうんだとか。
記者などや繋がっている企業などに解析されたカードや戦い方を世間に暴露され、その結果ファイターとして弱体化するなんてのは珍しくないらしい。
そのためにぶつけられる参加チームもいるのだとか。
だから冬のエレウシス、あの無敵の
ドロシーさんといえども苦戦は免れない。
強者を、強者のままでいるなんて許さない嫉妬の手がたくさんある。
だからあたしなんだ。
あたしという新しい顔と壁が、少しでもあの人の勝利に繋がるために頑張らないといけない。
そのために――あたしは負けない。
「<血儀の解呪者>を召喚する」
ロギンさんがクリーチャーを召喚した。
見慣れない、あたしの知らないクリーチャー。
「2/2のクリーチャー?」
初手で重いクリーチャーを
ステータスだけならそんなでかくない。
でも油断は禁物、能力がえげつない可能性もある。
「さらに1コスト<弔鐘のカラス>を召喚」
黒い色彩を起動。
ロギンさんの前に現れたのは2体目となるクリーチャー。
「能力発動。これは場に出た時、全ての対戦ファイターのライフを1点失わせる」
「ッ!」
ライフデッキが1枚、ロックから外れて
落ちたのは色彩だったけど、ダメージじゃないからセットされない。
「さらに当方のライフが1回復する」
「ライフドレイン……!」
同じ団体戦のメンバーを争ったハルキちゃんで見たやつだ。
たかが1点だけど、重ねれば地味に効いてくるし。
「ターンエンド」
「あたしのターン!」
撃てる残弾をそうやって維持するつもりだ。
「ライフ・メイン、ドロォー!」
ライフカードとメインカードを引き抜く。
1枚は魔石。そしてもう1枚は……来た!
「色彩をセットし、あたしは2コスト<
呼び出したのは2/1の【速攻】と【隷下】を持つクリーチャー。
だけど、この真価はそれだけじゃない。
「バトルフェイズ」
1秒だけ考える。
バトルはするべきか。こちらの頭数は2体。
ロギンさんのは、
騎馬部隊で攻撃して、カラスでブロックしてくれればカラスだけを倒せる。
騎馬部隊で攻撃して、血儀の解呪者でブロックされたら騎馬部隊だけ倒される。
アドを取るなら普通そうするだろうけど、あれを銀弾で出したものなら取っておきたいはず。
ダメージを受けずに場を維持するだけならカラスで受けて凌ぐという手もあった。
もしかしたらあたしの手に
――ミスった!
メインフェイズ2で火兵呼び出せばまだ色彩残ってたから、
「は、スキップ!」
でも顔には出すな。
ふてぶてしく予定通りってやるしかない。
「メイン2。工作火兵は生贄に捧げることで、戦場じゃない後ろのコストゾーンの1枚を破壊出来る! その魔石<銀弾の六連>を破壊!」
工作火兵が火の玉に包まれて、勢いよく駆け抜けていく。
そして、それはロギンさんの場に浮いていた巨大な
「ほう」
「言いましたよ、そのカードは知っているって。だから去ってもらいます! ターンエンド」
これで3点ライフによる使い放題は封じた。
あとはあの手札に
「当方のターン」
ロギンさんが右手を振り上げて。
「レディ」
金属音とメインデッキとライフデッキのロックが解除されて。
「ドロー」
疾風のように引き抜かれていた。
なんて早抜き。
そして、なんて。
「くっ」
カッコいい!
なにあの動き! あたしもピカピカのバトルボードで色々ドローの練習とか構えとか練習したけどあんなかっこいいの想像もしなかった!
どれだけの修練を積んだんだろう。
すごい、凄いよ、副会長! それだけで凄い!
「……ゼクス・リボルバーを破壊して安堵の驕りはしないか」
「え」
あ、なんか勘違いされてる?
いや違うんです、ちょっとかっこいいなーって思ってたなんて言えな、
「その警戒心はいい。だが、手遅れだ」
はい?
「メインフェイズ。貴様を屠る弾丸は既に撃たれている」
その言葉と同時に1枚のカードが、ロギンさんのボードにセットされた。
「魔石<凍れる海の底>をセット」
「これは!?」
バトルスペースの中央から水が溢れてくる。
同時にその溢れた水が凍りついていき、丸く、暗くそこの見えない氷の床が広がって。
「魔石<凍れる海の底>は場に出た時、凍結カウンターを10個自身の上に重ねる。これは私がアップキープを迎える度に1つ取り除かれ、それ以外には起動することで(青)コストを1つ生み出せる。起動し、(青)を1つ得るぞ」
凍結カウンターが10個?
つまり全て外れるのは10ターン後も後になる。
「そして、この凍結カウンターは2コスト支払うことでも1つ取り除ける」
「何が起こるか知りませんが、そんなのをさせる時間は与えないよ!」
「与えない? 言ったはずだ」
「
「え」
ガチンと音が鳴ると同時に、解呪者が燃え上がり、その火が閃光のように空中を舞って床の氷へと激突した。
「<銀弾の六連>の効果でプレイしたカードは墓地に行く代わりに、除外される」
揺れる。
足元が揺れる。
ビシビシと音を立てて、解呪者が、ううん。弾丸となったそれがぶつかった氷がひび割れていく。
「目を開け、<ク・ウルウ>!」
氷を粉砕し、現れたのは巨大な怪物。
細い手があった、太い腕があった、へしくれた手があった、捻れた手が生えていた、金属のような指が生えまくった腕があった。
多種多腕の見るだけで震えてくるような怪物の上半身が、ロギンさんの足元を持ち上げて現れていた。
息が荒くなる。
ただの映像だとわかっていても、わかっているけれども、圧倒的過ぎるそのステータスは。
「10……10?!」
「10/10のアビス・クリーチャー・トークン<ク・ウルウ>は【双撃】、そして【貫通】を持つ」
そうげき?
双撃って確か2回の攻撃をしてくる、それが10点で……貫通まで!?
「あた、あたしのライフは17……じゃなかった!? 16!!」
まずい!
まだ2ターン目だからライフ全然あるのにそんなの食らったら死ぬ! 負ける!
チョコドーナツと同じぐらいひどい!?
「まだ、まだだよ! それに耐性がないなら幾らでも破壊を」
「その時間は与えない。残った1枚の黒の色彩を起動――
青に黒……?
「2コストで付与魔法<青の弾劾>を発動! 色彩を1枚生贄に捧げて、裏側で除外している1枚を
残っていた1枚の色彩が消え去り、代わりに1つのカードがロギンさんの手元に出現する。
「――通常魔法<燃え盛る突進>! <ク・ウルウ>のパワーに+3し、【速攻】を得る! さらにこれは除外され、クリーチャーではないため<青の弾劾>は墓地に送られて誘発効果で1ドロー!」
「はぁ!?」
青と黒で赤い魔法を使ったあげくに、1ドロー!?
「これで召喚酔いは無効! バトルフェイズ! <ク・ウルウ>で攻撃!!」
「せ、<選抜騎馬部隊>でブロック!」
「11点貫通し、13点の直撃だ! ――アイスエイジ・クラッシュ!」
「ひあああああああああああ!!?」
あたしの最後の記憶は、文字通り視界全てを埋め尽くす巨体による蹂躙の衝撃だった。
◆
「ナツミちゃあああああああん!!」
その圧倒的なクリーチャーのパワーにべシンべシンと吹き飛ばされたナツミちゃんがクルクルと回って回って、バタンと倒れた。
見た目は凄いんですけど映像だから、精々強い風に煽られたぐらいなんですよね。
ぐへーと呻くナツミちゃんの手元から鳴り響くのはライフがゼロになった音。
すなわち敗北。
「うーんギャップがひどいでぇ」
「すごい映像だったから心臓に悪いけどね」
「……間一髪いれてなかったんですねえ」
せめて2枚、最低1枚でもいれてればあの打点の高さなら防げましたね。
焼畑はいれてたみたいですけど……
「しゃあない、ナツミのデッキは魔石とかも多用するしな」
「どうせ間一髪されると踏んで、高い打点で殴ると損もあるしねえ」
「うぅ……すいませーん、負けちゃいましたー」
そんな話をしていたら自力で起き上がってきたナツミちゃんが戻ってきた。
その頭を少しつま先立ちしたリナさんが撫でてます。
「情けないやつめー、あの勢いよく向かっておいて瞬殺やないか」
「うぅーごめんなさーい!」
「せめて間一髪1枚はいれておかんかー! ワンパンされる時はされるからな!」
「うぅ、うぅー、申し訳ないですー」
「ま、よく頑張った。悪くない立ち回りではあったで」
「ですねー……2ターン目、ちょっとミスありましたけど」
「ぎくぅん」
小声で囁くように言ったら、心当たりがあったようです。
わかってるならよし。
「結果は変わらなくても、細かいミスが減れば減るほど強くなすから次頑張りましょうね」
「やな。んじゃ、次いくで!」
パンと掌に拳を打ち付けて、リナさんが前に出ようとして。
「リナ、ストップだ」
大げさにすっ転びました。
関西の人って本当にボケるんだなーってリナさん見てると実感します。
「君とナツミはタイプが似てる。今回はぼくが出る」
「はぁ?! またかいな!」
「すまないが、これも勝つためだ」
ジグ部長が取り出したのはメガネケース。
可愛らしいシールの貼られたそれには、部長が愛用している競技用の眼鏡が入っています。
「本気ですね」
だから、それを着けるということは。
「相手は格上だからね……ぼくもエレウシスの本戦まで辿り着けたことはない」
それだけ気合を入れる必要があるということに他ならなくて。
「3戦目はドロシー、頼むよ」
「はい」
「なんや戦う前に負けたこと考えてるんか?」
「これでも部長だからね。最悪の想定もしておくのさ」
そう言いながらジグ部長は鞄から取り出したバトルボードを手に嵌めて。
「ま、でも1つ謝っておくよ」
「もし勝って出番がなくなっても許してくれよ?」
「ほんまズルいこと先に言うやつやな」
「部長らしいです」
私とリナさんは顔を見合わせて苦笑するしかなかった。
あの眼鏡をつけて、そしてあのデッキケースということは。
「ホンマにズルいやつやで」
ロギンさんが早々と待っているバトルスペースへ歩いていくジグ部長の背中を見ながら、リナさんは腕を組んで言いました。
「全然負ける気ないで、あいつ」
「そうなんです?」
つけっぱなしだったバトルボードの腕輪を鞄に仕舞っていたナツミちゃんが首を傾げる。
ああ、彼女は知らなかったんですよね。
あのボスマラソンで使っていたデッキと違って――
「あれは”深化”したデッキですから」
容赦なく相性差でねじ伏せる気です。
凍る、眠る、深き夢の底には伝説が沈んでいる。
あるいは底知れぬ恐怖もまた……
――<凍れる海の底>