【書籍化】俺の切り札は光らない   作:雨 唐衣

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漫画版外伝編最終話です

次回より 今度こそレガシー編開始です!


今回もFAをたくさんいただきました!


【挿絵表示】

真機楼様よりネタばっかりになっているユウキちゃんの可愛いFAです!
かわいいね!

この後三タテされた



【挿絵表示】


朽木様より鉄拳制裁! というにはツッコミなFAを頂きました
やれーやっちまえー!




※コミックのほうでは今回の話は描写されていません


四十五話 飛行とは、飛行を持たないクリーチャーにはブロックされない

 

 

 なんか一発しばかれた。

 

 まあそれはそれとして、大体終わった。

 終わった、終わったよな?

 久々に頭使いまくった、余り使う機会がなかったパーミ回路というかシナプスというかバイパスを酷使しまくったので知恵熱が出たのでラムネを貪り食って、歯を磨いた後ベッドに倒れ込んだ。

 気がついたら休日明けの朝だった。

 

 なんか夢を見てた気がするが、思い出せない。

 すごい楽しかったような気もするが、それだけだ。

 それ以外に思い出せない。

 息が苦しくなって、机の上に広げたままの組みかけのデッキに触れたが、何も思い出せない。

 組みかけのバーンデッキに、これが足りねえな、なんていう声が聞こえた気もするし。

 ラムネをかじる。

 コード別に分けて、入れ替える用だったエニグマのパーツを見てなんかアドバイスされてたような気もして、思い出せない。

 ラムネをかじった。

 ほぼ完全に組み終わってるが一人対戦でしか回していない”迷宮”のデッキを見て、回そうか考えて時計を見て、間に合わないと諦めてケースに仕舞う。

 牛乳をガブ飲みをした。

 

 安い惣菜サラダにパックの豆腐を乘せて、ノンオイルのドレッシングをぶちまけてもしゃもしゃ食って。

 歯ごたえが欲しくて食ってる玄米フレークに、粉末のソイプロテインを入れて牛乳と混ぜて噛み砕く。

 この食生活は今生では中学から、前世から続けているルーティーンだった。

 前世とは違ってジムに通っていないが、今生では週一の道場通いと自主トレ、あと色々と肉体労働をしているからまあ身体にいいんだろう。

 高校卒業してきちんと就職でもしてたら、24時間のジムとでも契約しようかと考えている。

 カードは頭脳戦だが、集中力とメンタルの安定には体力がいる。

 健康の維持にも大事だし、筋トレは好きだ。

 スポーツはそこまででもないけれど、健康なのがいい。

 

 息を吸う。

 

 学校への支度をさっさと済ませて、最後に寝癖のチェックだけして家を出る。

 前世と違って今の齢ならヒゲとか気にしなくていいのが楽だ。

 

 息を吸う。

 

 ワイヤレスイヤホンを耳に嵌めて、気にいっている音楽を聞きながら自転車のペダルを漕ぐ。

 両親から貰ってる生活費ではちゃんと学割での定期とかも買えるが、自転車通学にして浮かせている。

 カード代はかかるのだ。

 あと体力は維持したい、運動系の部活にも入っていない分の運動強度が必要だ。

 そんなんで逞しくなれるのは若さの特権だと思う。

 たまに図書館で借りる本。大体興味本位とか、資料……読み直したいと思ってた行動経済学のとか心理学とか、確率の本とかを読む時間潰しのためにバスや電車通学にしたいと思う時があるけど、それよりは体力と金がいる。本を読むならまだ気合をいれれば家でも読める。浮いた金がいる。スリーブ代とか。

 

 息を吸う。

 

 そんなこんなで学校に付く頃には、しっかりと僕に戻ってた。

 

「よし」

 

 指定の駐輪場に愛車を止めて、チェーンもセット。

 腕時計で時間を確認する。

 

 あと五分ぐらいで約束の時間だ。

 

 移動距離を考えて、まあ2~3分前後ぐらいならだらだら歩けば調整可能だろう。

 いざとなれば校門から見えない距離で自販機でジュースでも飲んで時間調整出来る。

 

 これから風評被害を拭い去るための一回目の作戦を開始するのだ。

 

 具体的に言えば、学校の玄関前という注目スポットで天儀さんと出くわして和やかに挨拶をするという作戦だ。

 そんなんで?

 と思われるだろうが、こういう地道な挨拶が大事なのだ。

 仲が悪かったらまず目も合わせないし、会話もしない。

 しかし、それが公然の前で普通に挨拶をして和やかに去ったら?

 まあ天儀さんの顔とでっっを考えて、二次元かよアイドルか? みたいな注目からして、クラスメイトどもに絡まれるだろうが、僕からの答えは一つ。

 

 いえ、別に喧嘩とかしてませんでしたけど?

 

 シラッと言うのだ。

 あっちもあっちでそういう態度で、今後は学校では普通に顔を合わせれば挨拶とかをして、それで去る。

 用事があるならメールなり、また来たいと社交辞令かもしれないがMeeKingで話せばいい。

 完璧な計画だ。

 なに、Life部の連中がなんか文句付けてきたらどうするんだって?

 リアルファイトでそろそろしばいていいだろ。

 今世だとファイト申し込んで、ファイトでしばくのは別段暴力事件にカウントされないからなあ。ははは、いやされたほうがいいのでは?

 

「……そろそろ時間か」

 

 牛歩とは言わないが、わりとゆっくりめの足幅で玄関に到着。

 誤差2分ぐらいだが、まあ適当にいなければ知り合いでも見つけて挨拶す――なんでおる!!

 

 なんで玄関前にいる!

 待ち合わせみたいに待ってるのは駄目だと思うんだ、天儀ぃ!!

 

 どうする?

 連絡するか?

 いや、距離を取ってちょっと考え、んぁあああ! 気づいてる! なんか目があった!!

 手を振っては駄目だってば! あぁん、もぉ!

 

「おはようございます!」

 

 ちょこちょこと意外と足の早い動きで距離を詰められた、終わった。

 

「おはよう」

 

「顔色悪いですけど、なにかありましたか?」

 

「大丈夫だよ」

 

 誰が悪いんだろう。

 僕か?

 アバウトにこうすれば伝わるだろう、そんな気持ちでざっくり伝えたのが悪かったのか。

 もっと丁寧に、しておけば……

 

「色々と迷惑をかけましたけど、茂札さん」

 

「うん?」

 

「本当にありがとうございました――これからもどうかよろしくおねがいします」

 

 なんて頭を下げるんじゃなくて、笑顔で言われたら。

 うん、まあ、いいかな。

 

「うん、よろしく」

 

 僕は微笑んで、手を振り返して別れた。

 

 

 

 とりあえず、なんか視界の端で脳破壊されてそうな顔をしているクラスメイトの馬鹿共にどう説明するか考えるのはあとにしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

「あうあう……いっそ腕でも組めばよかったかなぁ、でもはしたないって思われるよね」

 

≪どこがよいのだ……縛められた不具者だぞ≫

 

「敗者は黙っててください」

 

≪クゥン≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色々な問題はあったりするけれど、それでも一つずつ片付いて。

 

 どうにかこうにか大火傷をしない程度になだめたり、上向けるようになったりとかして。

 

 時々忘れられないものを思い出してしまって、ナイーブになったりするけれど。

 

 それでもそれは時間が解決してくれる。

 

 今の()は学生という多感な肉体だから、考えてしまうだけで。

 

 やがてまた大人になれば忘れられる。あっという間に過ぎ去って、過去になる。

 

 それでまた時間だけが積み重なって、ただ人生を過ぎていく。

 

 そんなもんだ。

 

 それでいい。

 

 そんな二周目の人生を考えていた僕は、これから。

 

 また命がけの、カードなんざで生命を賭ける戦いの嵐が。

 

 ろくに大きさも実感しちゃいやしない世界を左右するカードが。

 

 迫っているなんて夢にも思わなかったんだ。

 

 

 カードゲームが世界を支配する世界。

 

 

 この()()の意味もまだ知らなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マ ダ  

 

      カ ワ リ キ レ テ ナ イ

 

 






 7つの海!
 7つの色!
 7つの音色。
 輝ける世界はいつだって眩く、平和である。

 貴方はこの世界に生きている!
 
                 ――<輝けるライ>

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