【書籍化】俺の切り札は光らない   作:雨 唐衣

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大変おまたせしました!





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 ひふみつかさ様より復讐姫のFAを頂きました!
 せ、セクシーそしてダーク!
 ふつくしい・・・本当にありがとうございます!




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 刃神氷雨様よりドロシーのFAを頂きました!
 うおー でっか!
 いい・・・制服のしわとか膨らみにとてつもないエロスを感じます



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 朽木様からユウキちゃんのFAをいただきました
 ゆっ! くりしてられないね!


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 ヨン様よりテロップさん? のFAをいただきました!
 うおおおおこええええええ!
 本当に本当にありがとうございます!




七十二話 魔石はメインフェイズでしかセット出来ない

 

 

 暗い。

 暗い、暗い、暗い。

 真っ黒い中で、ボクは思わず身をすくめた。

 

「これ、は……!」

 

 憶えがある。

 忘れもしない、この光景は――

 

 

 

ゴキゲンヨウ♪

 

 

 

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「お前は!」

 

 黒一色だった中に突然現れたテロップさん。

 いや、違う。

 

「”101人目”!」

 

 ()()()()()()()()()()

 

「ロスロスロス♪」

 

 ロスロスロスと芝居がかった笑い声。

 記憶のままにおぞましい声。

 思い出す。

 あの時のことを。

 あの時もコイツは同じように現れた。

 

 ――”あの子”に会いに来た教会のシスター、それの皮を被っていた。

 

「テロップさんをどうしたんだ……!!」

 

 マスクを被り、笑い声を上げる姿を睨みつける。

 

「あーぁ、コレですか?」

 

 グネりと曲がっちゃいけない方角に肩を回しながら、化物が言う。

 

「少し前に海外で発見した。散々抵抗された、ガ、なんとかアンティで支配しました」

 

 右手を上げ、左手を下げ、足でタップダンスを踊りながら、化物はクルリと横に回って。

 

 

お陰でたくさんのコレクターにめぐりあい、貴重(レア)なカードを修復できマシた

 

 

 指を鳴らした。

 

「最上級の修復者というのは素晴らシイ。何も知らずに誠心誠意、相手のためと思って仕事をしてくれるダから。それが奪われるとも知らずにネェ!」

 

 何度も何度も指を鳴らす、まるで拍手のように。

 

「お前ェ!!」

 

 怒りが込み上げる。

 コイツは許すべきじゃない。

 人の、人間の尊厳を踏みにじる相変わらずの外道。

 

「おやオヤおや、威勢がイイわね。随分と元気がヨい、いい、よいですなァ」

 

 コロコロと変わる口調、

 おぞましい、何度他人を乗り換えてきたのかが見て取れる。

 

「皆はどうした!」

 

 今すぐ殴り掛かりたくなる気持ちを抑えて、そう尋ねる。

 時間を稼げ。

 あの時、展開した闇の領域からして間違いなくカドさんに、ユウキちゃんたちも巻き込んでいる。

 サレンちゃん以外、皆たちはレガシーを持っている。

 時間を稼げば必ず助けに来てくれる。

 コイツをボコボコにしてくれる。

 

 あとフツオくんならきっと――

 

「他の方ナラ来ませんヨ?」

 

 心臓が跳ねた。

 

「ワタしの領域はそこらの領域とは違ウ。無限とまデハいかないけれど、1戦ぐらいならバ余裕スギル♪」

 

 ”101人目”の左腕がしなる。

 水音のような音を立てて、バトルボードが現れる。

 

「ファイトをしましょウ。あの時の続きヲ」

 

「テロップさんの体を使ってまた同じことをする気?」

 

 吐き気がする。

 思い出したくもないはずなのに、胃からこみ上げてくる苦い味。

 

「アア。あのファイトですネ? あの時はしくじりました、まさか――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それで、お前は――()()()()()()()()

 

「イイエ? 殺したのは貴女デショウ?」

 

 

痛い痛いと泣き叫ぶシスターに容赦なく連勝したんですから

 

 

 手が震える。

 足が震える。

 あの時の怒りと苦しみ、罪悪感で歯が震えて、苦いよだれが唇から漏れた。

 

「ですが、まったクよかった。足が折れて、目がもげて、痛みで泣き叫んで、助けを求めさせてようやく手を抜いてくれた優しい()()()

 

「もういい」

 

 店のエプロンを引き剥がし、左手のボードを展開する。

 ずっと肌身離さず、握っていたボクのデッキを装填(セット)

 

「お前だけは赦さない」

 

 もう逃げられないなら、少しでも前に。

 

「――彼女(カード)は返してもらう!」

 

 進むんだ!

 

無意味(ロスト)♪ 無駄(ロスト)♪ 無残に散る(ロスト)♪ ならば、宣言すル♪」

 

 互いの自動シャッフルが響き渡る中で、虚空より声が響いた。

 

 

 ――誓言 勝利者は()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()――

 

 

「なっ」

 

 このアンティは?

 

「さあ、はじめまショウ! あの時の続きヲ!」

 

「……終わらせる! 燃えろ!」

 

 ボードに触れて、叫ぶ。

 

命に火を点けろ!(イグニッション)!!

 

 肉体(カラダ)が憶えている、制限解除(イグニッション・ファイト)の宣言。

 身体が昂ぶる。

 この恐怖を塗り越える怒りのように、熱くなる。

 

「ソウ! レガシーもなく、ワタシに奪われる共鳴率を補うにはそれしかない!!」

 

 それに愉しげに笑う化物は手を叩く。

 

 

「「ファイト!!」」

 

 

 宣言。

 それと同時に、ボクは最初の手札を5枚引き抜いて……ッ!?

 

「おや? どうしちゃったのカシら♪」

 

 この手札は……

 

「貴女の先行ですヨ?」

 

 見たことがないぐらいに悪い。

 

「だまれ、ボクのターン!」

 

 だけど、やるしかない。

 

「レディ、アップキープ、ライフ2ドロゥ!」

 

 魔石が、こない!

 

「……メインはスキップ! 色彩をセットして……ターンエンド」

 

 メインが1枚引けないのがこんなにもどかしいなんて。

 

「ワタしのターン! ライフをツー! メインをワン! ドロゥ!」

 

 愉しげに、”101人目”がカードを引いた。

 

「色彩<青ざめた月>をセット!」

 

「青黒の変容色彩(ダメージカラー)……!」

 

 どのデッキを使ってくる?

 

「黒を生み出し、ダメージを受けますんんんん!! チェック、色彩追加して1オド! <濁る儀式>を発動し、3オドを生み出ス!」

 

 黒! クリーチャー主体ならライフドレインデッキか?

 まだ1ターン目、あの低速のデッキなら動きは変わらな。

 

「3オド()()()()() ()()()()()()()()()()()()

 

「えっ」

 

 ”101人目”が配置したカードから濁った光が零れ落ちる。

 まるで涙のように落ちたそこから波紋のように闇が歪んで、そこから抜け出てきたのは黒ずんだ手。

 カードと同じ濁った暗い燐光を纏い、目と口を閉じ、その右手には無数の色で塗りたくられた錫杖を持つ女性のような形をしたクリーチャー。

 本来は青い色の肌が黒くなっているが、見間違いようもない。

 

 ボクの銀河乙女(アウターアムニオン)だった。

 

「なんで!? 銀河乙女をお前が!?」

 

無理解(ロスト)。レガシーたるアルマー以外は希少なれども、この世には存在する。そう、壊れ果ててもなお直せばよいのダから」

 

 肩を揺らし、首を振って、”101人目”はマスクの向こう側で嗤った。

 

「ターンエンド♪」

 

「っぅ、ボクのターン」

 

 落ち着け。

 出てきたのはまだ1枚だけ。

 ピン差しで使っているだけという可能性もなくはない。

 フツオくんだって夜疾猟団(ナイトレイダー)もクリーチャーの一部しか採用していなかった。

 ……ほぼ魔法・秘宝とロゴスだけ入れたロゴスデッキとかフツオくん組んでたなぁ。プロキシ使いますって聞いてたけど、ロゴスいれてるって知らなかったから召喚通しちゃって、8点、7点とかって飛ばされて焼き切られたっけ。

 次からは墓地に落ちた点数とか、ロゴスの召喚だけは絶対に叩き落としたから負けなかったけど。

 ……――思考がズレた。

 ともかく、まだ動揺させるための見せ札の可能性もある。

 

「レディ、アップキープ、ドロゥ! 」

 

 ……もしもそうじゃなかったとしても、やることは変わらない。

 

「色彩をセット、オドを2点生み出し、<銀河乙女 冷たいアンブラ>を召喚!」

 

 同じ銀河乙女ならボクのほうが強い。

 何故なら相手は、本当の銀河乙女使いじゃないからだ。

 

 相手はボクの共鳴率を奪っている。

 それは間違いない。

 だけど、それはデッキとの相性を奪えるわけじゃない。

 いいところ半分、三割でも真似が出来るならば上出来なほうだ。

 

 ――”闇のファイターに、己が魂のデッキを奪われたファイターは多い”。

 ――”それは使い手たるファイターの魂を捕食し、それに忠誠を誓うカードの想いすらも踏みにじるからじゃ”。

 ――”決して、闇のファイター自体にあらゆる適性が備わるわけではない”。

 

 カドさんから教わっていたことを思い出す。

 

「ターンエンド!」

 

 こいつの銀河乙女はあくまでも集めただけのデッキであって、こいつは使い手じゃない。

 使いこなせはしない。誰にも。

 

「ワタシのタァーん! ライフ、メインをワンッ、ドロゥ!」

 

 何を切って来る?

 アンブラを1体出して、クリーチャーの召喚コストを(1)増加させてある。

 先ほど使った<濁りの儀式>は(黒)オドのみで、数字コストはないからロゴスの(バーン)には出来ないし。

 また儀式を使うなら――()()()()()()()()()

 

「魔石<黒き海の悪戯と気紛れ>をセット」

 

 引いてた!

 けど、それを出したら他の色付き(汎用)カードは使えなくなる。それを承知で儀式をいれてた?

 ……奪った程度の共鳴率を前提で?

 

「これの効果はご存知でショう? そして、<青ざめた月>よリ(黒)を生み出す!」

 

「だけど、<黒き海の悪戯と気紛れ>で色彩から色は出せない!」

 

()()()()()()()()()()()()。1ダメージ受けて、ライフデッキから当然色彩ィ!」

 

 色彩が増える、見慣れた挙動。

 ここまで共鳴率で真似てくるのか。

 

「1オドで<銀河乙女 色見えぬエロス>を召喚!」

 

 二体目の銀河乙女が召喚される。

 これで奴のフィールドに出せる乙女の数は限界。

 

「魔石<黒き海の悪戯と気紛れ>はコストを(1)少なくするガ、(1)より少なることはない。だから残念、エロスに恩恵はナァい」

 

 だけど。

 

「しかし、コレは別! 通常魔法<彷徨う羊水>を1オドで発動!」

 

「ッ」

 

「エロスを、1コスト高い<銀河乙女 冷たいアンブラ>に置換スル。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その宣言どおり、エロスがアンブラへと姿を変える。

 これでこちらの召喚コストが増して。

 

「ロゴスを起動♪」

 

 ――来る!

 

「墓地の魔法カード<彷徨う羊水>を除外し、そちらのアンブラに2点ダメージです!」

 

「破壊される……!」

 

「ターンエンド♪」

 

 これでこちらのクリーチャーが消えた。

 あっちはアンブラとロゴス。

 

「ボクのターン! レディ、アップ、ドロゥ……ッ!」

 

 変容色彩が引けない。

 出すクリーチャーは、コストが足りない。

 

「色彩をセットして、ターンエンド……!」

 

「ロスロスロス、なんて弱い。ワタシのターン!」

 

 その通りだ、今のボクは手も足も出ない。

 

「ライフ・メインドロー――2つ目の<黒き海の悪戯と気紛れ>をセット」

 

「2つ目?!」

 

 なんでこんなに引ける?!

 

「これで無色のコストは(2)低下……<青ざめた月>を発動し、ダメージ。チェック当然色彩!」

 

 3度目の自傷色彩に、テロップさんの身体から血が流れる。

 ライフを惜しまない動き。

 他人の身体なんてどうなってもいいという動き。

 

「さあ、見るとイイ!」

 

 嫌な予感がした。

 

「通常魔法<顔料抽出>を1オドで発動! アンブラを破壊し、()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「そのコンボは!?」

 

「銀河乙女は無色でありながら、全ての色として扱う! 当然、赤青白黒の合計4オドを生成! ()を除く、3オドで瞬間魔法<空文の予言>を発動」

 

 まずい!

 

「それは通さない! 3オドで瞬間魔法<色褪せる夢>で打ち消すよ」

 

「こちらモ瞬間魔法<色褪せる夢>で妨害、ただし1オドでね」

 

「く、通る」

 

 打ち消せなかった!

 

「では、<空文の予言>の効果で2枚ドロー」

 

 尽きかけていた”101人目”の手札が2枚増える。

 枚数は数えていた。ライフカードがあと1枚だけ、そして残ったメインカードは3枚。

 合計4枚。

 残った色彩は2枚だけだけど。

 

 銀河乙女ならまだここから展開する。

 

「<濁る儀式>を発動し、3オドを生み出ス」

 

()()()()()()……!?」

 

 背筋が震える。

 足元が震える。

 

「目を閉じル、脳を開ク、その瞳に空想ヲ、その肢体(シタイ)に陶酔を纏エ」

 

「まさか」

 

「刮目セヨ」

 

「そんな」

 

 

 

「召喚。<無知なる乙女 アルマー>!」

 

 

 

 それは、見るはずもないはずの姿だった。

 ”101人目”が掲げたカードから放たれた光が、ボクの眼の前で像を作り出す。

 あどけない顔つき。閉じた瞳。

 一糸纏わない裸体を、無数の鎖で巻きつけられた姿。

 拘束された両手を胸の前で交差し、口を閉ざしたままの小さな少女。

 本当に小さな……()()()()()()()

 

 それが、ボクの場に召喚されていた。

 

「あ、あぁ、あああああああああああああああああああ!!」

 

 ――あの頃の姿のままで。

 

「懐かしいでしょう?」

 

「いやだ、いやだ、なんで、なんで、なんで!? なんでお前が!! なんであの子を使える!!?」

 

 ありえない。

 だって、ボクはここにいる。

 ここにいるのに!!

 

「そう、彼女はここにいる。()()()()()()()()。そうでしょう?」

 

 愉しげに肩を揺らして、”101人目”は嗤って告げた。

 

 

 

 

 

 

()()()()

 

 

 

 

 

 ボクの名前を言った

 

 




 それは鎖、それは絆、それは呪い、それは祝い
 無知なる夜空へと抱くこの憧れは愛に似ている
 その手を振りほどくのは簡単ではない
 

             ――<銀河乙女 愛を知るオニムス>
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