銀河辺境戦記 〜鋼鉄の使徒と剣の惑星〜   作:モイクス・カルヴス

6 / 9
ガバガバ時代考証をお許しください。
指摘があれば改めますのでお気軽にご指摘ください。


移動中

「なるほどなぁ。」

 

湖沿いを東へ徒歩で移動しつつ、フィロパトルから話を聞く。俺とフィロパトルだけなのは他は拠点構築で忙しいからだ。あれ?俺指揮官じゃなかったか?ま、いいか。

今向かっているのはヴォルシニィという都市で、エトリア文明の中心地らしい。

カッシア街道に接し、宿場町として栄えている。

降下地点そばの湖でとれる海産物やワイン、オリーブオイルといった特産品を持つ。

 

「しかしなぁ、泥沼の権力闘争やってるロムルスはよく滅びないな。」

「そうです。属州の民の我慢は限界に達しています。それなのに元老院や軍、市民集会で対立していては限界は近いでしょう。」

「首都ロムルスに軍まで入れてまた内戦、か。」

「そのうち、属州の軍がロムルスに入ることもあるかもしれませんね。」

 

それはすなわち、元老院をロムルスを焼くという事か、かなりの野心家だな。

 

「しかしまぁ、身の振り方は考えんとな。」

「私の前でよろしいのですか?」

「まぁ、聞かれて困るような事でもあるまい。」

 

いざとなれば、必要ならこの場で撃ち殺してもいい。それは事実だ。

 

「信頼されている、と受け取っておきます。」

 

やはりエド少佐に似てるな。

 

「取り敢えず、だ。ロムルスへ行こう。」

 

1つ、正直10年だか5年だか拠点に引きこもっても、コーネリアに任せてコールドスリープしてもいい。しかし新人類に謎の攻撃、これは明確な脅威となりうる可能性がある。迅速な対処のためにも直ちに情報収集を開始すべきと判断した。これは正しいか?そも調査方法はあっているのか?この星の文明など無関係ではないのか?

2つ、ここは帝国領なりや?帝国領ならば直ちに総督府を設置し、反乱分子は一掃する必要がある。異国であれば無策に内政干渉するべきではない。そのどちらでもない、ただの空白地帯であればどうか。我々は何をすべきなのだろうか?

3つ、我々は帝国に帰れるのか?艦を失い、様々な最新兵器に先の大戦の精鋭を失った。その責は果てしなく大きい。そも謎の攻撃は帝国全土で行われていたことだとしたら?帝国は既に未知の文明による全面攻撃で崩壊寸前だとしたら?

 

考えることは多い。しかし彼女は何もできまい。スケールが違うことを考える必要はない。

 

「ロムルスへ行けば何かあると思うか?」

「わかりません。しかしロムルスです。新情報は手に入るでしょう。」

「そうか、ヴォルシニィの飯はうまいか?」

「金額によりますね。ところで異国からいらっしゃって通貨のほうは大丈夫ですか?」

 

マズイ、考えてなかった。帝国には実体のある通貨など遥か昔に消えた。レプリケーターで作ってハンスに持ってこさせるか。

 

「むぅ、考えていなかった。すまないがいくらか見せてもらえないか?」

 

彼女がマントの中から麻袋を取り出し、その中の硬貨を見せる。

 

「まず銅貨が1アス、4アスで1セステルティウス青銅貨。4セステルティウスで1デナリウス銀貨。最後に25デナリウスで1アウレウス金貨です。」

「だいたいどれくらいの価値なんだ?」

「1アスでワイン数杯ぐらいですね。」

「そう考えると金貨まで持ってるフィロパトルは結構持ってるんだな。商人なのか?」

「いえ、私は私用で必要でしたから……」

「じゃあこんなとこで寄り道していいのか?」

「寄り道じゃありません。本来の目的です。」

「なるほどなぁ。」

 

喋りながら硬貨のデータをスキャンし、ハンスに送る。メッセージも付けて、ヴォルシニィまで来るように送った。向こうの人員が減る上、完全に俺のミスなので多分怒られるが、上官なので誤魔化そう。1日中走れば多分追いつくだろう。そこでふと思った。

 

「国を興す?」

 

そうだ、国だ。ここに帝国領を作ろう。暇つぶしにはなるし、帝国に帰るときには引き払えばいい。主権国家には相応の外交をすればおそらく大丈夫だ。最悪の場合、適当な現地人を王ないし総督府の人間にしちまえばいい。完璧だな。

 

「……本気ですか?」

 

さっきまでとはまるで違うフィロパトルが恐ろしい目でこちらを見ている。

 

「いや、ありかなと思ってな。」

「もし国を興されるならおっしゃってください。私は力になりましょう。」

「それは頼もしいな。王女にでもなってもらおうか。」

「いいでしょう。私は無能ではありません。必ずやご期待に叶いましょう。」

「随分と本気だな。野心家なのか?」

「直接聞くことはないでしょう。そうですね、非常に興味があります。」

 

なるほどなぁ。ま、エド少佐次第だな。にしても彼女は怖いな、あの銀眼に吸い込まれそうだ。

 

「我々は必要以上に内政干渉はしない。もし仮にそれが求められた場合は現地人による総督府を設置した上でそれに従う。生活ないしその他理由で必要な拠点に関してはこの限りではない。ま、こんな感じか。」

「必要な場合、とはなんですか?ましてや現地人が正しい判断をできるとでも?」

「お前は現地人だろうに。敵対勢力の存在が認められた場合と諸君らが我々にとって脅威だと判断された場合だ。君は見えない機体に触ったろう?」

「私のような人間はシビュラと呼ばれています。多少勘が優れているだけです。」

「勘で光学迷彩破られてちゃやっていけんよ。それも今は解析中だ。データがある程度ある以上結果が出るのは早いだろう。」

「ロムルスにはもっといますよ。私のような人間が。」

「ま、行ってから考えるさ。馬というのも欲しいしな。」

 

適当な雑談をしつつ、歩き続ける。ヴォルシニィでハンスと合流して一泊、馬を使えば5日後にはロムルスへ着くだろう。

エド少佐とコーネリアが余計なことを考える前に今後の方針を決めたいが、あの二人の案に勝つ自信がない。面倒だから丸投げでいっか。

そんなことを考えつつ、歩き続ける。カルデラのこの地形は体に堪える。コンバットスーツでもあれば楽なんだがなぁ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。