銀河辺境戦記 〜鋼鉄の使徒と剣の惑星〜   作:モイクス・カルヴス

8 / 9
調達

一時間弱走りぬいてヴォルシニィに到着した。

精神的にも肉体的にも少し疲れながら、石造りの荘厳な雰囲気の門へたどり着いた。

 

「お前、ハンス・シュトロレヴ少尉か?」

「え?そうでありますが」

 

トサカを頭に乗っけた人からいきなり尋ねられた。

 

「やはりな。早く行け、酔いどれ熊亭ってとこにいるぞ」

「あ、ありがとうございます!」

 

隊長たちが話を通していたのか?

同時に位置情報が送られてくる。かなり近いな。

メッセージも送られてきたぞ?

 

(メシは戦闘糧食並み、警戒されたし)

 

うん、まぁしょうがないよ。

 

* * *

 

酒場の一角にて、だ。

木のコップを交わしながら雑談をする。

 

「ハンスも来たことだし、明日はロムルスへ向かうぞ」

「馬は私が手配しましょう。他に必要なものは?」

「無いだろ、美味い飯ぐらいだ」

「私もウォルターがいれば大丈夫」

 

そうだなぁ、頭数が欲しいな。

フィロにコンバットスーツでも着させてみるか?

いや、オムニなしの訓練なしには危険か。

いっその事帝国軍入れちまおうかな。

 

「ハンスはいくら持ってきたの?」

「知らん、まぁ金貨が数百枚くらいだろ」

「それだけあれば土地が買えるわ……」

「多くて困るこたぁ無い!」

「それはそうね」

 

うし、ハンス合流まで、3,2,1。

 

「ハンス少尉、ただいま到着しました!」

「お疲れさん、荷物をくれ。あと飯を食え」

「自分は保存食がありますので……」

「いいから食え、お〜い!さっきのもう一個だ!」

「はいよ!」

 

クククッ、お前も味わうんだなぁ!

ふざけつつも荷物は見る。

コンバットスーツは無いもんだと思っていたが、エド少佐が用意してくれたようだ。

お、レーザーライフルもあるのか。

これだけあれば充分だろう。

ライフルをケースに入れたまま、ストラップに肩を通す。

 

「ハンス、どうだ?」

 

凄く渋い顔をしたハンスをおちょくる。

 

「凄く、美味しいです」

 

店主の耳が動いた。

ワインが1本ハンスの前に置かれる。

 

「新人の門出を祝って!」

 

俺が代わりに乾杯しようとするとハンスが言い返してきた。

 

「自分のです!」

 

部下のクセに!

まぁいい、この調子ならほっといて大丈夫だろう。

 

「さて、先に寝るぞ。フィロはどうする?」

 

さっきから酒を口に運びながら微笑んでいるフィロに話を振る。

 

「ご一緒しましょう。酒場で私を独りにするおつもりで?」

 

グハッ

 

「はいよ、上行くぞ。ハンス、おやすみ」

「自分も食い終わったら行きます。おやすみなさい」

「ハンス、ゆっくり食べていいのよ」

「は、ではお言葉に甘えて」

 

* * *

 

昨日はひどい目に遭った。

フィロの質問攻めだ。

故郷の事、帝国の事、俺の昔話。

にしてもこの街の朝は早いな。

既に人が行き交い、話し声が響く。

ロマンチックな雰囲気だな。

 

「おはよう、ウォルター」

 

コンバットスーツを着終わった所でフィロに声をかけられる。

 

「おはようさん、ハンスは?」

「そういえば見ないわね。散歩かしら?」

「ま、通信できるから後でもいい。下行くぞ」

 

下に降りると、朝から飲んでいるハンスを見つけた。

 

「ハンス!なにやってんだお前!」

「ゆっくり飲めというご命令だったので」

「そういう事じゃないだろ……」

「まぁいいじゃないウォルター」

 

フィロは海兵隊のノリに慣れてきてないか?まだ数日だぞ?

さて、円卓を囲んで作戦会議だ。

 

「ハンスは動けるな?買い物の荷物持ちだ。フィロ、必要なものは?」

「食料と防寒具、商人か旅人らしいマントも必要ですね。全て市場で買えるでしょう」

「ま、適当でいいだろ」

「私は少し用事がありますので。そうですね、正午にここで合流しましょう」

「了解。ハンス、行くぞ」

 

席を立って店主に青銅貨を投げる。

 

「まずは革製品ですか?」

「そうだな、店から探すぞ」

 

自分で言いながら店の外に出て気づいた。

どこで買えばいいんだ?

 

 

 

迷いながら工房のような建物に入った。

薄暗い店内には酸っぱい油の匂いがする。

 

「おーい、誰かいないのか?」

「いるよ、なんだ」

 

ぶっきらぼうな返事と共におっさんが出てきた。

カウンターの向こうは工房のようだ。

 

「防寒具用のマントと水袋、あと適当になんかくれ」

 

喋りながらカウンターに銀貨を数枚置く。

 

「旅人かい?マントはそっから選んでくれ」

「ハンス、選んどけ」

「了解」

 

店内には様々な品物がディスプレイされている。

無言で手渡された水袋を受け取り、さらに銀貨を払う。

 

「世間知らずは足元すくわれるぞ」

 

よそ者は気を付けろってことか?

 

「そうだな、やってみるか?」

「いや、遠慮しておこう」

「ロムルスまで行くんだ」

「そうか、冬場は気を付けろよ?ま、あんたらなら大丈夫だろう」

「何故そう思う?」

「そんな服を着ている。ましてや態度に余裕がある。馬鹿には見えねぇな」

「流石は商売人、見る目があるな。ま、またなんかあれば世話になるよ」

「はいよ」

「ハンス、行くぞ」

 

ハンスを急かして店の外に出る。

あと数時間で食料品を調達しなければだな。

市場の場所を聞けばよかったかな?

ちょこちょこついてくるハンスを見ながら思った。

 

「政治はボロボロ、経済もよくはない。でも生活は安定しているのか?」

「は?」

 

首をかしげるハンスを見て思考がちょっと進む。

インフラ整備に経済政策、社会福祉まである。

そのくせ蒸気機関すらない。まるであべこべだな、この世界は。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。