転界録:リムル・テンペスト オラリオ編   作:るにゃは

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第二話「ファミリアと神様とギルド登録」

「……つまり、ボクのファミリアに入らない?」

 

 

 

街中でいきなり神様──それも、自ら「団員募集中」と宣言する小柄な女神に声をかけられるという、なんとも“異世界”らしい展開。

 

リムルは少しだけ考えてから、にこやかに応じた。

 

 

 

「えっと…俺を見て、いきなり勧誘しちゃって大丈夫なの?」

 

 

 

「ふふん、見た瞬間にビビッと来たんだよ!ボクの直感がそう言ってるんだもんっ!」

 

 

 

自信満々に胸を張るヘスティア。小柄な身体に不釣り合いなほどの大きな自信を纏っている……というか、実際に胸もなかなか……。

 

 

 

「なるほど、神様の直感ってやつかぁ」

 

 

 

「そう! ボクの見る目に間違いはないんだからっ!」

 

 

 

ヘスティアは、得意げにウインクしてきた。

 

 

 

リムルは表情を緩める。彼女のような存在と接するのは初めてではないが、この「ボクっ娘」な神様は妙に親しみやすく、眩しいくらいに人間味に溢れていた。

 

 

 

《補足:神威による感知力は単なる偶発的作用ではなく、高位存在による運命干渉とも推測されます》

 

 

 

(うん、それは……否定できないね。彼女、意外と只者じゃないのかも)

 

 

 

「よし! じゃあギルド本部に一緒に行こうっ!」

 

 

 

「案内してくれるの?」

 

 

 

「もちろんっ! ボクがスカウトしたんだから、責任もって最後まで面倒見るよ!」

 

 

 

そうして、二人は肩を並べてバベルの塔のふもとへと歩き出す。

 

 

 

 

 

 

ギルド本部は、まさしく都市の中心にあった。

 

白亜の巨塔──バベルの直下に広がるその施設は、厳格さと利便性を兼ね備えた建物だった。訪れる冒険者たちで常に賑わっており、受付の職員も慌ただしく動いている。

 

 

 

「ここがギルド本部。新しく冒険者登録するなら、まず受付で書類書いて、身体測定や魔力測定もあるよ」

 

 

 

「なるほど……」

 

 

 

受付には長い列ができていたが、ヘスティアが隣にいると対応が驚くほどスムーズだった。

 

 

 

「……あの、神様。もしかして横入り?」

 

 

 

「えへへ、大丈夫大丈夫。神様の特権ってやつだよ。特に、スカウトしたての子は優先してくれるのっ!」

 

 

 

(この世界、意外と緩いな……いや、神が運営に関わってる時点でそうなるのか)

 

 

 

 

 

 

手続きは思ったよりも簡単だった。

 

身元証明はヘスティアが“保証人”として扱われたことで一発通過。必要だったのは、リムル自身のステータス測定のみ。

 

 

 

「じゃあ、次は『神の儀』だよっ」

 

 

 

「神の儀……?」

 

 

 

「ボクがあなたの背中にボクの『神聖文字(ファルナ)』を刻んで、ステイタスを記録する儀式。これがないと、ファミリアには入れないからね!」

 

 

 

(身体に刻む……? まあ、契約みたいなものか)

 

 

 

《注意:魔力構造の接続儀式と類似。相手神の神性領域への一時アクセスを許可する必要あり》

 

 

 

(了解、シエル。問題ないよ)

 

 

 

「じゃ、じゃあ背中を見せてね。シャツ脱いで……っと……!」

 

 

 

神妙な空気が一瞬だけ走る。

 

リムルがシャツを脱ぐと、彼の背中は白く滑らかで、まるで神像のように整っていた。

 

 

 

ヘスティアの手がわずかに震える。

 

 

 

「……すごい。肌、綺麗……っていうか、無駄がなさすぎる……」

 

 

 

「ん? 何か言った?」

 

 

 

「な、なんでもないっ! いくよー、神の儀、開始っ!」

 

 

 

ヘスティアの指が彼の背に触れ、指先から青白い光が走る。

 

 

 

──神聖な文字が浮かび上がり、リムルの存在を記録する。

 

その瞬間、空気が一変した。

 

 

 

《干渉検知。神性因子との同期開始──》

 

 

 

「……えっ?」

 

 

 

リムルの背から発せられた“何か”が、一瞬だけ周囲の空間を揺らがせた。

 

受付の職員が小さく首を傾げ、周囲の空気がほんの僅かに“異質”になる。

 

 

 

だが、それはすぐに霧のように消えた。

 

 

 

「──完了! これであなたも、正式にヘスティア・ファミリアの一員だよっ!」

 

 

 

リムルは静かに目を開けた。

 

 

 

「……ありがとう、ヘスティア」

 

 

 

「どういたしましてっ、リムル!」

 

 

 

神と魔王の間に、ひとつの“契約”が成立した。

 

だが、この“ささいな登録”が、後に世界に波紋を広げる引き金になるとは──

 

 

 

まだ、誰も気づいていなかった。

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