成り代わりギルガメッシュは星核ハンター   作:──

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第九話

某日、宇宙ステーション「ヘルタ」に反物質レギオンが侵入した。

宇宙ステーションに警報が鳴り響き、職員たちが避難と対応に追われる中、ヘルタのオフィスでは一人の男が模擬宇宙のデバイスを操作していた。その背後から、その部屋の主人であるヘルタが近づくと彼は振り向いて彼女と目を合わせた。

 

「星一つを滅ぼした王様が、私になんの用事?あなた、ずっとここを見てたでしょ?」

「ほう?気がつくとはさすが魔女だ、と褒めてやるべきか?」

「別に、褒め言葉は言われ慣れてるからいいの。それより、不定期にこっちを観測するのをやめて。あなたの観測くらい、私にもわかるし不快なの」

「……そうか、悪かったな。僅かだが埋め合わせだ、受け取っておけ」

 

男──ギルガメッシュの横に黄金の波紋が現れ、そこから一つの小瓶がヘルタに受け取れるほどのスピードで放り出される。ヘルタはそれをキャッチして首を傾げた。

 

「……?なにこれ」

「若返りの霊薬だ。お前にとって、霊薬としての価値は零に等しいだろうが、奇物のコレクターとしては一定の価値があるはずだ」

「若返り?これが?」

「あぁ、飲むだけで若返る。数本用意していたが、使う機会がなかったんでな、譲ってやる」

 

ギルガメッシュはそう言うとヘルタの横を通り抜けてヘルタのオフィスを去っていった。

 

「……あいつ、私の模擬宇宙に何をしたの?」

 

ヘルタは彼が操作していた模擬宇宙のデバイスを確認する。

しかし、模擬宇宙そのものにさほど大きな変化やデータを抜き取られた痕跡はない。

ただ、一つ余分なものがデータの中に紛れ込んでいる。

 

「『惑星ウルク』?自分の星をデータに加えたっていうの?助かるけど、どうして……?」

 

残されたデータの中には、未だ滅びていない時代のウルクの姿があった。

神は王を統べ、王は人を統べる。

それを破壊したものこそ、英雄王ギルガメッシュ。

彼はその栄誉を模擬宇宙に変数として残した。

あるいは、彼はウルクに生きた者たちの──自らの友の姿をどこかに留めておきたかったのかもしれない、とヘルタは結論づけた。

 

───────────────

 

ヘルタとギルガメッシュの会話から少し後、エレベーターシャフトの目の前で反物質レギオンに囲まれた三月なのかと丹恒、そして星。

四つ足のヴォイドレンジャーが仲間を呼び、大勢のヴォイドレンジャーに取り囲まれて万事休すかと思われたその時、空から黄金の武具が降り注ぎそれらを一瞬にして消滅させた。

 

「こ、今度は何!?」

「……っ!これは──」

 

驚くなのかと、その現象に覚えがあった丹恒の二人はそれぞれの理由で身構えた。

すると、頭上から

 

「どこを見ている?我を許し無く仰ぎ見ようとしなかったことは褒めてやるが、せめて我の言葉に耳を傾けよ」

 

低く、不機嫌そうな声が大きく響いた。

 

「……まぁ良い。今回は特別に、お前たちと同じ場所に立ってやろう。我の目的を果たすためだ、地に伏せて咽び泣け」

 

頭上に浮かんでいた黄金の鎧を纏った男が、自然な動きで高度を下げて地面に降り立った。

 

「星核ハンター、ギルガメッシュ」

「……誰の許しを得て俺の名を口にした?不敬であるぞ、雑種。此度の用事は貴様ではない、お前だ」

 

丹恒をその圧だけで圧倒してみせたギルガメッシュの視線の先には、記憶喪失の星がいた。

丹恒となのかはとっさに彼女を守ろうと二人で壁になる。

 

「……はぁ、貴様ら、随分と邪魔だな」

 

ギルガメッシュはそんな二人の間を縫うように何かを投げつけた。

それは星の眉間に当たり、咄嗟に手を出した星の手の中に落ちた。

星が手の中を覗き込むと、そこには小さな鍵があった。

 

「約定に従ってこれを託す。お前はどうやら返すつもりだったらしいが、我とて渡したものを返されても困るというもの。故に、お前に返してやることにした。大切に扱えよ」

 

その直後、彼の背後から声が響く。

それは一台のドローンから発せられた声だった。

 

『まさか、こんなところで会うことができるとは思わなかったわ。ウルクの英雄王、ギルガメッシュさん』

「列車のナビゲーターか。……裏切り者どもが今も悠々と宇宙を旅していると思うと、吐き気がする」

『──っ、私たち星穹列車のしたことについて、私たちは十分に理解しているわ。そのことについて、弁明と謝罪をしたいのだけれど、このまま直接会うことはできるかしら?』

 

それに返答しようとしたギルガメッシュだが、突然その動きを止めて片耳につけた通信機を指で押さえ、その通信に耳を傾けた。

そして

 

「……了解した。我もすぐにこの場を離れよう」

 

そう返答し、その後自らの背後に浮かんでいたドローンを睨みつけた。

 

「……協定違反の取り立ては、再び相見えたその時にとっておく。ゆめ忘れるなよ。──次の駅でまた会おう」

 

その直後、ギルガメッシュの姿がその場から掻き消えた。

三人は、ギルガメッシュと対話を行おうとしたドローンに従ってその操縦者である姫子と合流した。

 

「もう!なんだったのアイツ!?金ピカだし、口悪いし姫子の言うことは無視するし!」

 

腹を立てる三月だが、姫子と丹恒にはその様子はない。

 

「……彼は惑星ウルクのかつての王、ギルガメッシュ。その星はとても昔、列車と資源や燃料に関する補給協定を結んでくれた星よ」

「え?でも、ウチらそんな惑星に降りたことなんて──」

「三月、惑星ウルクはすでに滅んだんだ」

 

丹恒の言葉に三月なのかが絶句した。

しかし、姫子は話を続ける。

 

「丹恒がアーカイブを整理してくれたおかげで、やっと当時の記録を見つけられたの。ウルクと列車の約束は一つ。星穹列車は必ずウルクを助ける……しかし、その約束は守られなかった。宇宙の蝗害のなか、惑星ウルクはスウォームに取り囲まれて、列車は近づくこともメッセージを送ることすら叶わなかった」

「……じゃあ、さっきの──」

「そう、彼は星穹列車を裏切り者と考えている。だから、私たちは彼に直接謝ることすら出来なかった過去のナナシビトたちの代わりに彼に事情を伝えるべきだと私は思っているわ」

 

姫子はその言葉を最後にギルガメッシュについての話を取りやめ、宇宙ステーションの一大事の対応にあたるのだった。

 

────────────

 

ナナシビトたちが見事に宇宙ステーションを救った数日後、ピアポイントにて

 

「……酷い、酷すぎる……!」

 

ヘルタからの逆ハッキングを受けて所持するアカウントの全てを凍結され銀狼が今にも泣きそうな声で呟く。

 

「ク、フハハ!フフフハハハハハ!良い、良い道化ぶりだぞ銀狼!それでこそ酒が進むというものよ!」

「ギル!揶揄わないで、これは一大事なの!力を貸して」

「ふ、まぁ良いだろう。ほれ、こいつを貸してやる」

 

ワインを飲んでいたギルガメッシュが銀狼に投げ渡したのは一枚の布切れ。

 

「は?なにこれ?」

「ハデスの隠れ兜だ。貴様の姿を覆い隠し、不可視のものとする。アカウントを取り戻すのだろう?行くがいい」

「……ありがとう」

 

銀狼はピアポイントのサーバーへと走っていく、その背を見つめるギルガメッシュの携帯に連絡が入る。

 

『もしもし、そっちはどうなったの?』

「我の()()通りだ、銀狼はピアポイントに走って行った。我の財の一つを持たせてある、心配はいらん」

『にしても、ビックリしたわ。あなたが突然、ゲームに挑む直前の銀狼をピアポイントに連れて行くなんていい出したんだもの』

「ふん、我の目に狂いはないと言っているだろう?今宵はここで奴の帰りを待つことにする。合流次第そちらに戻る」

「えぇ、待ってるわね」




上手く〆られた気がしないので、おまけに概念礼装風の文章をば
星ちゃんが受け取ったらこんな感じのフレーバーテキストが見れるよ、みたいな感じ。

『ミニチュア王律鍵』

英雄王から投げ渡された王律鍵……のとても小さなミニチュア。
持ち手部分には紐が通され、ネックレスのように首に下げることができる。
どうやら、記憶を失う前のあなたは彼と何からの約束をしてこれを受け取ったらしい。鍵の先端にある星型の穴はこの鍵の所有者の名をイメージしたものだ。この小さな鍵が一つあればギルガメッシュの所有する宝物蔵を開き、その中から最大1%を同時展開することができる。とのことだが、実際は1%未満なのは誰も知らない秘密。
彼はこの鍵に様々な機能を付け足した。
まず、あなたが彼ほど脳に負担をかけずにその目録を読み取ることのできるようにすると同時に、触れるべきでないものを遠ざける保護の機能。
あなたが欲しいものをすぐに探し出すことのできる補助機能。
この二つを中心に、様々な機能があなたを補助するために用意されている。
これは英雄王からあなたに送る、旅の祝福であり餞別だ。
さぁ、この王律鍵を握りしめ、財宝をちょこっと路銀に変えて、新たな開拓に出かけよう!

『お前の旅が、いつの日か群星に辿り着くことを祈る』
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