ほしぐま、ねくらす、しゅゔぁるつ 作:東京<アズマ キョウ>
因みに選出理由はChatGPT、Gemini、Grok、Copilot、perplexity、Claudeそれぞれに作品のあらすじを語ってそういうことをしそうなオペレーターは?と聞いたら2/5票の支持を得たからです。
「何をやっているんですか、貴方は」
「シュ、シュヴァルツ……」
クルビア某所、州法違反者を閉じ込め逃げない様にする場所……即ち拘留所のベッドに力なく座るドクターを、フェリーン人狙撃オペレーターのシュヴァルツは呆れた眼差しで見つめていた。
「『必要書類の不備、そしてそれを無視した上での手続強行の疑いによる一時拘束』でしたか。大方向こうの担当者から『心付け』を要求されたのを断ったところでしょうか」
「とんでもない。『心付け』が時に効果を発揮するのは判っているし、この地域における有効性は知っていたよ。収監の原因は、その額面が向こうの心に響かなかったことだ」
「……もっと呆れた理由でしたね。欲の深さはシエスタ火山の底でも及ばないかもしれませんね」
シュヴァルツは頭痛を堪えるように掌を額に当てる。彼女の隣に立つ看守は、彼女のぼやきが全く聞こえていないかのようにそっぽを向いていた。
「まぁ、結構です。事情は予想していましたし、必要な準備も既にできております。出ましょう、ドクター」
「えっ?」
ドクターはシュヴァルツの言葉に耳を疑うが、看守は淀みなくドクターの居る牢屋の鍵を開けてしまった。
「出ろ、釈放だ。そこの彼女に感謝するんだな」
顎で出ていけとドクターに促した後、看守は仕事は終わったとばかりに守衛室に戻っていく。
とりあえずベッドから立ち上がったドクターは疑問も解消されぬまま牢屋から出ると、シュヴァルツは彼の手を掴んでさっさと拘留所の出口に向かって歩き出した。
「急ぎましょう。奴らの気が変わる前に」
◆◆◆
一日ぶりの空のもと、ドクターは先ほどからの疑問をシュヴァルツに投げかけた。
「釈放のためにはかなりの金額が必要だったんじゃないか?」
ドクターは諸々の不幸があって拘留所に放り込まれたが、当然ロドス側も不当逮捕として抗議並びに釈放の申請を行なっていた。しかし警察からの返答は『杓子定規な手続の遵守』又は『明確な誠意の積立』の2つ。つまりのらりくらりと法手続を踏むか、先の『書類不備の迷惑金』含む保釈金の支払いで釈放されるかどちらかを選べというものだった。
ロドスにとってどちらも選ぶには即決できなかった。というのもこの州ではとかく『心付け』が重視されており、只の手続にも所々に『心付け』を届けるタイミングがあるのだ。前者の場合、仮に『完璧で手順の欠けもない』手続を踏むことになればドクターの拘留期間は何処までも延長され、また拘留期間分の費用も請求される。故に手続の
「自分がこのチームの代表だから」と責を担ったドクターに、オペレーター達は頭を下げてからロドスに応援の連絡を取りに行った。
そして、今に至る。
「額はかなりのものだったろう?どうやって準備したのかと思って」
ドクターの率直な疑問に、シュヴァルツは苦笑を浮かべながら答える。
「警察署長の要求は実に厚顔無恥そのものでしたが、とりあえず私のポケットマネーで賄いました」
「えっ?」
「私の口座には普段使い途のない、セイロン様や旦那様に支給されていた給金にロドスからの給料がありました。貯めこむだけなのは無駄なので、かねてからその金で資産運用をしていました。シエスタに居た頃にそういう指南を受けておりましたが、最近はある投資先が軌道に乗りまして、資金はそこそこ余裕がありました。ですので、その利益から向こうが文句を出さない程度の額を準備しました」
「投資を手堅く成功させるシエスタ市長父娘の薫陶侮りがたし、といった所か……いや、その前に謝るべきだった。すまない、君の手を煩わせてしまったな」
「……いいえ、お気になさらず、というにはこちらも些か痛い出費ではありましたが」
「後でロドスに額面を請求してくれれば、君の立て替え分は必ず支払われると思う。私も口添えしよう」
「今はその言葉だけ受け取りましょう。移動します、どうぞこちらに」
そう言ってシュヴァルツが進もうとした先は、ロドスのオペレーター達がいるであろう州境の方角とは反対側の場所だった。
「ロドスのメンバーの所に行かないのか?」
ドクターがそう尋ねると、シュヴァルツは目線だけドクターに向けて理由を答える。
「貴方がロドスの重要人物と知った連中が、貴方の『心付けの渡し漏れ』を咎めるべくロドスの合流地点で待ち構えている可能性があります。ですので一旦向こうに私達の行く方を晦ませる必要があります」
「わざわざ私の行き先を狙ってとは、随分と業務熱心なことだな。シラクーザのギャングですら白旗を挙げそうだ」
ドクターは思わずため息をつき、シュヴァルツの後を追う。
「どこに行く?」
「少し離れた所にモーテルがあります。軽く調べた限りではどこかの勢力の息がかかった様子はなく、特に問題ありませんでした。オーナーにもいくらか包みましたので、そこでほとぼりが冷めるまで滞在しましょう」
「……私は悪いことをした筈はないんだがな」
「暫くの辛抱です」
◆◆◆
「いい所じゃないか。モーテルと聞いていたがそこそこいいホテルみたいな所だ」
ドクターがシュヴァルツに案内された場所は、街のやや郊外にある二階建ての建物だった。
都市の外周を繋ぐ道路に面する通りに建っており、道路側には街灯の光を遮るように背丈の高いトウヒが並んで植わっている。建物の裏手に半分土に埋まった丸太の
「ここは近場の湖で避暑をするための宿泊施設だそうです。今はシーズンオフなので
「大丈夫。さっきまでは窓すらないワンルームに居たからね。そこと比べたらこの部屋は楽園以上だよ」
「相変わらずよく回る舌ですね。ではその舌を満足させられるような料理を作るとしましょう。買い出しに行ってきますので、その間に汗や埃を流しておくのはいかがですか?」
「買い物なら私も荷物持ちを手伝うが」
ドクターがそう申し出るが、シュヴァルツは首を振って断った。
「お心遣いは感謝します。しかし、貴方を狙う奴らがどこに潜んでいるか判りません。もしもう一度捕まってしまえば、私はセイロン様に顔向けできません」
「……そういえばそうだったな。私はいつの間に珍しい獣になったのだったろうか?」
「或いは『
「心付けでなければいくらでも払うさ。ただ、現金については少し待ってくれ。手持ちの資金も先の拘留所で没収されてしまってね。買い出し分も領収証を出してくれたら後で返すから」
「はい、ドクターには後で存分に支払って貰うとしましょう」
「……お手柔らかに頼むよ」
◆◆◆
夜、部屋の隅のラジオから低く唸るようなウッドベースの音が響き始める。路地裏の獣が危険な夜を気ままに徘徊する様を歌った、クルビアで流行した昔のロカビリーソングだった。
シュヴァルツが曲に合わせて尻尾を揺らしながら、ドクターの前に食事を並べた。
「どうぞ、ロースト肉の房柑橘ソース仕立てです。付け合わせはリーキのグリルです。これが肉汁を余すところなく吸って美味しくなるんです。シエスタではこれを食べて疲労回復させるのが定番でした。私も夜勤明けの時やセイロン様の論文執筆の合間にこれを食べて英気を養ったものです」
「シエスタお墨付きの滋養食品か。確かに君やセイロンのようなエネルギッシュな人がこれを食べていたなら説得力があるね。ありがたく頂戴しよう」
食欲をそそる香りの満ちる部屋で、ドクターはシュヴァルツが作った料理に早速フォークをつけた。
肉を切り分けて一口。昨日から何も食べていない体に羽獣の肉の味と房柑橘の酸味が全身に行き渡り、胃袋に充足感を与えてくれる。彼のこれまで強いられてきた緊張が、料理を噛みしめる毎にほぐれていくかのようだった。
「旨い。肉の脂と酸味、リーキの苦みがお互いの良さを活かしつつ、それでいて自己主張は決して消えていない。紅茶を淹れるのが得意なのは知っていたが、料理も一級品とは流石だな」
「お口に合うようで何よりです」
舌の上に広がる美味で顔がほころぶドクターを見て、シュヴァルツも柔らかく微笑んだ。
「私が入れられていた牢屋は、部屋は狭いわ壁は冷たいわベッドは固いわライトはずっと点滅しているわで、たった1日居ただけなのに随分と気が滅入ったよ」
「
「運動不足を解消しなさい、とフォリニックから度々指摘されてはいたが、ここで運動を強制されるのは勘弁願いたいな……。でも、君の料理が食べられたならおつりが来たかもしれないな」
「ありがとうございます、ドクター。牢屋での嫌なことは飲んで忘れましょう。どうぞ、この白ワインはアルコール度数は低いですが甘くて美味ですよ」
シュヴァルツがワインボトルの封を切り、グラスに注ぐ。透き通った黄金色の液体がグラスの中でゆらゆらと揺れ、室内の落ち着いた照明と合わさって幻想的な装いを醸し出していた。ラベルには黒い雲獣がプリントされており、ちょうど注ぎ口を見つめるような構図になっている。それがどこか酒を飲む自分を見つめているかのような姿に見えたため、ドクターは何となく目線をそらすと今度は自分を見つめるシュヴァルツの視線と合ってしまった。雲獣と彼女の双方に見つめられ、ドクターは少しくすぐったい感覚がした。
グラスの中の黄金色を一口。白ワインのすっきりとした味が肉の脂を優しく溶かしてリセットする。口にはさわやかな酸味と甘さだけが残り、まるで自分の頭が甘い果汁の雨を浴びたかのような心持ちになった。
「これは随分と飲みやすいな、高かったんじゃないか?」
「店にいけば買える程度の代物ですので、お気になさらず。それに『保釈金』と比べれば安いものです」
「その件は本当にすまなかった。『心付け』については理解していたし事前に予算も組んでいたんだが、あれだけの額でもまだ足りなかったとは思わなかったよ」
「いえ、私も聞いた限りではドクターの準備は適切な額面だったと思います。ですが、今回のは『相場』を明らかに超えていました。恐らく上層部の誰かが、資金を遮二無二をかき集めているようです。それが個人の借金返済が所以なのか、それとも更に上の立場の人間に対する上納金なのかは判りませんが警戒が必要でしょう」
「万が一、それがクーデターの財源用だったら洒落にならないな。確かに、拘留所でも他の牢屋からとある人物に対する不満の声が溢れていた。もし私がまだ牢屋の中に居たら……その不満が爆発した時に巻き込まれていたかもしれないな」
「その時はもしかすると囚人達か看守達の陣頭指揮を執っていたかもしれませんね。他の方から聞きましたが、あのシルバーアッシュ様の母国で現地の貴族を味方につけて彼と対峙したと」
「あれは成り行き上であってわざと狙ったわけでは……」
ドクターとシュヴァルツの歓談は芋蔓式に続き、夜の帳がおりていく。
「……流石に、眠くなってきたな」
ドクターは目頭を押さえて頭を振った。視界が徐々に歪み、瞼が鉛のように重くなっていく。
「ではここでお開きとしようか。ドクターはベッドをお使い下さい。私はシャワーを浴びてから就寝します」
シュヴァルツが立ち上がろうとするのをドクターは慌てて制する。
「いや、女性がいるのに男の私が使うわけには行かないだろう。あのソファを貸してくれたらそれでいい。牢屋のそれと比べれば十分に柔らかいしね」
「モーテルの主人も牢屋のベッドと比較されるとは思わなかったでしょうね」
「あれと比べたら公園のベンチだって上等なベッドさ。シュヴァルツ、ありがとう……今日は本当に、助かった」
「どうぞ、お気になさらず」
ドクターはテーブルに突っ伏す前にどうにか『千鳥足』でソファの許に歩むと、崩れるように寝転んで寝息を立て始めた。シュヴァルツはそれを横目に皿を片付け、シャワールームで身体を念入りに洗う。湯上りの香油も纏い、再びシュヴァルツがリビングルームに戻って来た時にはロカビリーソングが終わり、ラジオも仕事を終えて口を閉ざすほどの時が流れてもなお、ドクターは変わらずソファで『深い眠りについていた』。ソファに収まるように丸まった背中は、あまりに無防備で、彼女への全幅の信頼を物語っている。それは同時に、飢えた獣の前に差し出された最高級の餌に等しかった。
「まさか昔学んだ知識が役に立つ日が来ようとは」
白ワインの酒精のせいか、それともシャワーの熱のせいか、シュヴァルツは顔を紅潮させて呟いた。
◆◆◆
シュヴァルツはヘルマン市長に雇われて以降、護衛のためのスキルアップとして様々な教養を身に着けていた。その最中、市長お抱えのシェフから『注意すべき【食いあわせ】』というものを教わったことがあった。
【甘い白ワインと房柑橘は同時に食べると悪酔いする。付け合わせに肉類とナッツ類を合わせて食べるように】
【もしもレストランやホテルで、悪酔いする食い合わせの料理を相手が供してきた時は注意するように】
これを聞いた当初、シュヴァルツは相手が食事に混ぜた毒を気づかせにくくするための手段と考えていた。しかしある日、ヘルマン市長が娘のセイロンとの夕餉を過ごしていた際に彼女から
『母様は父様に【白ワイン】と【ローストミートの房柑橘ソース仕立て】をお出ししたんでしょう?』
という質問が飛び出したことがあった。
給仕役として同席していたシュヴァルツは一瞬、ヘルマン市長は妻から毒殺されかかったのかと驚愕した。しかし、それを問われたヘルマン市長のバツの悪そうな様子から、自分が思っているのとは何か違う理由があるようだと察した。
その後、彼女がシェフや主治医に聞いて回った所、あの食い合わせを避ける理由は
【房柑橘の果肉と白ワインが体内で合わさると、アルコールの吸収効率が格段に向上する同時にアルコールの分解効率を低下させる。結果、普段よりも酔いが回りやすくなる】
【脂身の強い肉類と合わせると酔いの回りは防げずとも気持ち悪さは抑えられる】
ということからだと理解した。
食事を共にする男女、うち一方が相手に、そういう効果のある食べ合わせの食事を勧める。つまり、そういうことだった。
付け加えるなら、この食べ合わせによる酩酊の倍増効果はヴィーヴル人やウルサス人のようなアルコールに強い人種ならいい具合で収まるが、他の人種であればかなりの効果を及ぼしうることもシュヴァルツはその時に知った。
「掌中に機会が巡ったなら、それを逃すは惰弱というもの」
シュヴァルツは苦もなくドクターを持ち上げると、片手と尻尾で彼を支えながらもう片手で器用に衣類を剥ぎ取っていく。ベッドルームに着いた頃にはドクターは調理直前の羽獣のようにツルリと剥かれていたが、酔いが相当強いのか全く気付く様子はない。いや、ドクターの意識はないが、服を脱がす際にシュヴァルツの指先が彼の身体を弄ったせいか『反応』はしている。
「もしも『本懐を遂げる時』が来るのなら、と思っていましたが……
そのベッドはキングサイズだった。尻尾のある人種であれば定番の悩みだが、就寝中の尻尾ケアは個人差が多様なジャンルだ。毛並みの寝癖や鱗の保湿対策、布団からの露出で冷えないようにする専用カバーなど、古今東西様々な方法が考えられてきた。このモーテルでもオプションサービスでそういうものを選ぶことができる。今回シュヴァルツは『尻尾をのびのびと伸ばせるほど広い』ベッドの部屋を借りることにした。
それこそ、大の大人がが2人並んで眠っても余裕がある程度には。
「対象を鼷獣を絞めるように仕留める……それがかつての私の生業でした。そんな罪深い私の話を知ったうえでありのまま接してくれた方は、旦那様とセイロン様に次いで貴方が三人目。そして、私が欲しいと思った
ドクターの頬を、シュヴァルツはしなやかな指先で愛おしげになぞる。そんな彼女の独白は、ワインと柑橘類の匂いを纏わせて眠る彼には届いていない。
ドクターを起こさぬようにベッドに横たえた後、シュヴァルツも羽織っていたバスローブをするすると脱いで一糸まとわぬ姿になった。彼女の鍛え抜かれ磨き上げられた肢体は、ビーチを歩けば世の男達は揃って見つめてしまうだろう。その珠玉の肉体は、意識のないただ一人の男の前にさらけ出されている。
シュヴァルツの金の瞳が、照明の落とされた部屋で妖しく輝いた。
「さて、ドクター。保釈金の立て替え払いを始めましょう」
彼女の赤い舌がちろりと唇を舐める。夜のモーテルの一室から、黒い獣の満足げな喉鳴らしの音が響いた。
「あ、一昨日の男?そいつならもうとっくに釈放されているぜ」
ドクターを拘留所から救出に来た予備隊の面々は青ざめていた。大急ぎでロドスと連絡を取り、法務部のペナンスとプロヴァイゾの派遣を要請すると共に拘留所から一時釈放される程度の『心付け』を臨時費用で準備するのに一日かかってしまった。それでもオペレーター達は迅速に行動したはずだった。彼ら以上に即断即決した者さえいなければ、彼らは十分に間に合っていたはずだった。
「だ、誰が保釈金を払ったんですか?」
「そういうのは機密事項だ。何もなしに話すわけにはいかねぇよ」
震えた声で医療オペレーターが受付で応対する看守に尋ねるも、彼は受付台に置かれたカルトンの底をトントンと指で突きながら返事を返す。
「参考までに、でいい。どういう
先鋒オペレーターが掌をカルトンに置き、かさりと『心付け』を看守の指の間に挟んだ。
「……そういえば、フェリーンの女だった気がする。グレーの髪と金の瞳、スタイルも出るとこは出てて随分とクールな感じの女だ。あんな『そそる』女が迎えに来て、しかも署長にぽんと保釈金を払ってくれるなんて、あの男は随分といい金蔓を持ってたんだな。全く、羨ましいったらないぜ。ほら、お目当ての奴はもういなんだ。仕事の邪魔だ、帰りな」
看守は指に挟まった物を周りに見えないようにポケットに突っ込むと、話は終わりとばかりに受付の奥へと戻ってしまった。
拘留所から出た予備隊員達はロドスに連絡を取る傍らで、保釈金を払ったというフェリーン人女性について思索を巡らせる。
「一体誰のことでしょうか……?」「あの保釈金って、向こうの言い値は相当高額でしたよね?」「全部の手続をすっとばすなら、っていう額だったからな。流石にそんな大金は準備に時間がかかるから、ペナンスさんやプロヴァイゾさんに頼んで法的に最低限の手続で済ませるよう書類の準備をしたんだぞ」「ドクターもどうして黙って保釈されているんだ……?」「待って。ということは、その保釈金を払った人はドクターの知り合いか、外勤してたオペレーターの誰かじゃない?」
「それだ!」
狙撃オペレーターが得心したとばかりに叫ぶ。
「確か同じ都市ブロックにシュヴァルツさんが派遣されていたはずだ!」
彼はポーチからこの地域におけるオペレーターの勤務状況をメモした冊子を取り出し、大急ぎで当該都市の派遣オペレーターの名前を浚った。
「あった!確かに数日前、シュヴァルツさんこの都市ブロックに先着している!」
予備隊員達に一縷の希望が芽生えてきた。法外な保釈金も、もしも社会的に立場のあるセイロンが用立てすれば準備できるかもしれない。セイロンが独断ながらもシュヴァルツにドクターの救出を頼んだのなら辻褄が合う。
先程まで彼らの脳裏に蔓延った銀毛と金瞳を有する正体不明の獣が、一気に頼りがいのある銀髪オペレーターへと輪郭を変えていった。
「シュヴァルツさんに連絡を取ろう。繋がるか?」
「それが……呼びかけていますが応答はありません」
「そういえばドクターの通信機は?」
「警察に取り上げられる寸前に私達に投げ渡したから、ドクター自身は通信機を持ってないんだ」
「もしかすると、シュヴァルツさんはドクターに難癖つけた奴らを警戒して何処かに隠れているのかも」
「シュヴァルツさんと一緒なら安心できるんだけど、とにかく二人を探さないとね」
「ああ、どうか!ドクターがシュヴァルツさんと一緒に居て無事であってくれ!」
予備隊員達は天を仰いで二人の安否を気遣った。
昨日からずっと締め切られたモーテルの一室。そこでは、幾度目かになる通信機のコール音が懸命に鳴り響いていた。しかし、床に散乱した男女二人分の衣類に深く埋もれたその音は、誰の耳に届くこともなかった。
◆この後?猫が満足するまで遊んだら帰ってくるんじゃないですかね?(長期利用料金が支払い済みのモーテルを見ながら)
◆当初はサリアとミュルジスコンビで連れ込む予定でした。起稿の時にサリアだけにして書き始めたものの、「でもサリアは一服盛るタイプかな……?」と疑問に思いAI投票を行った結果こうなりました。なお、以下がAIに質問した文章で。
【アークナイツの登場オペレーターで、もしもドクターと食事をした時に、喰いあわせの結果ドクターが酩酊しそうな料理を出して一晩を一緒に過ごしそうな女性オペレーターは?】
投票結果はこちら。
・1票:ワルファリン(悪戯心)、パフューマー(故意)、ケルシー(故意)、プラマニクス(無自覚)、チェン(無自覚)、サガ(事故)、ススーロ(事故)、グム(事故)、ムース(事故)、スズラン(事故)、スワイヤー(事故)
・2票:シュヴァルツ(介抱)、ラップランド(悪戯心)、スカジ(無自覚)、リィン(ちゃんぽん)、ホシグマ(故意)
その後、「白ワインの中に【黒猫】の名前を持つ銘柄のものがある」「糖度が高い酒は、グレープフルーツと合わせて飲むと酔いが回りやすい可能性がある」ということでシュヴァルツが選ばれました。AIでも使うモデルの違いで票がばらけるのは面白いですね。
◆次があればどうしようかな?怪我をして熱を出したドクターを見て思わず太古の肉食獣としての感覚とかつてのトラウマがよみがえる話にするか、ドクターの乗っていた駄獣が暴走したのをピックアップする話にするか、ドクターが目隠しをされるたびに同じ部屋に戻される話にするか……まぁDr.エッグマンの方も進めないとね!(震え声