立派なショウグンギザミ目指します!   作:ルミナリー

66 / 66
決意

 

「ちょぉぉいっ! なーにしてんのぉ!?」

 

 俺は慌ててベイビーのもとへ駆け寄った。

 

「お前、まさか……俺がやってたから真似したんか!?」

 

 返事はない。

 というか、返事をする余裕もなさそうだ。

 

「ったく、無茶しやがって……!」

 

 俺は急いで回復薬を取り出すと、ベイビーの身体へかけていく。

 傷ついた身体に薬が染み込んでいく。

 すると、しばらくして――

 ぐぐぐっ。

 

「お?」

 

 ベイビーが前脚に力を込めた。

 倒れたままでは終わらないと言わんばかりに、ゆっくりと身体を起こしていく。

 

「おお……立てるのか」

 

 ふらつきながらも、ベイビーは四肢でしっかりと地面を踏みしめた。

 さっき爆発に吹き飛ばされたばかりなのに、もう立ち上がっている。

 

「お前、無茶すんなよなぁ?」

 

 思わずため息が漏れる。

 

「……まあ、俺も人のことは言えんけどさ。」

 

 そこでふと気づく。

 

「……人じゃないけど。」

 

 自分で言っておいて、なんとも言えない気分になった。

 そんな俺をよそに、ベイビーは自分の拳をじっと見つめている。

 

 そして、顔を上げた。

 その目に浮かんでいたのは、さっきまでの痛みに怯えた様子じゃない。

 むしろ――妙に力強い目だった。

 

「……お前」

 

 俺はベイビーの顔を覗き込む。

 

「やる気なのか?」

 

 ベイビーは黙ったまま、俺を見つめている。

 その小さな身体からは、もう一度やってやると言わんばかりの気迫が出ていた。

 

「……確かにな」

 

 俺は自分の左ハサミを見る。

 まだ爆発の痛みが少し残っている。

 正直、二度と自分から爆発したくない。

 

 けれど――こいつが強くなるために必要なら、俺だって付き合うしかない。

 

「強くなるには、これを使えるようにならなきゃいけないもんな」

 

 ベイビーのほうへ視線を戻す。

 

「俺がやってるのを見て、お前もやらなきゃって思ったのか?」

 

「グルル……」

 

 低い唸り声が返ってくる。

 まるで「そうだ」と答えているようだった。

 

「……そうか」

 

 俺は思わず笑った。

 こんな小さな身体で、さっき自分が吹き飛ばされたばかりなのに、まだやろうとしている。

 

「わかったよ」

 

 ハサミを伸ばして、ベイビーの頭を軽く撫でる。

 

「回復薬ならまだある」

 

 ヤドを軽く叩いてみせる。

 

「お前がまた死にかけても、そのたびに治してやるよ」

 

 ベイビーがこちらを見上げる。

 

「だから――」

 

 俺も身体を起こした。

 

「一緒に強くなろうや」

 

 そしてハサミを天へ突き上げる。

 

「デカくなって、誰にも負けねぇくらいになろうや!」

 

 ベイビーも負けじと声を上げる。

 洞穴の中に、二匹分の声が響き渡った。

 

「よぉし!」

 

 俺は勢いよく振り返る。

 

「ついてこい!」

 

 ベイビーもすぐ後ろについてくる。

 

「壁殴りに行くぞ!」

 

 こうして俺たちは、再び洞穴の奥へ向かって歩き出した。

 ……まあ、鍛錬だけが目的というわけでもない。

 壁を殴れば、もしかしたら鉱石が出てくるかもしれない。

 護石なんかも出てきたら最高だ。

 

……決して鍛えるついでに鉱石や護石も集まればいいな、とかは思ってないからな

 

 誰に言い訳しているのか、自分でもよくわからなかった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

転生ラージャンぶらり旅(作者:黒木箱 末宝)(原作:モンスターハンター)

 子供の頃に読んだ漫画の影響でサバイバル技術に興味を惹かれて三十年の少し。キャンプ中の事故によりこの世を去った俺は、気がついたらラージャンに転生していた。▼ 未知の現象によって転生し、未知だが馴染みあるモンスターハンターの世界に転生した俺は、ラージャンに転生した幸福を噛み締めながら、今日も焚き火を眺めていた。▼ これはラージャンに転生した男が、チートも無しに…


総合評価:3076/評価:8.59/連載:13話/更新日時:2026年02月28日(土) 19:11 小説情報

青い空と赤い星(作者:(눈_눈))(原作:ブルーアーカイブ)

一般男子高校生が死んで目が覚めたらバルファルクの力を持ってキヴォトスにいた。▼なおオリ主の身体能力は古龍の謎パワーでキヴォトスの中でも上澄み、なおかつ体もバカ硬い。▼


総合評価:725/評価:7.82/未完:17話/更新日時:2026年06月18日(木) 22:00 小説情報

ロアルドロスに転生した話(作者:黒木箱 末宝)(原作:モンスターハンター)

ルドロスに転生した主人公が、チート無しで自身の力と知識と知恵で戦い生きるお話。▼主人公はやがてロアルドロスに成り、一人立ちのため追い出されて恐る恐る海を渡る。▼そうしてたどり着いた孤島──モガの森で、主人公は主人公なりに頑張って生きて行く。▼■完結しました。


総合評価:11439/評価:8.59/完結:46話/更新日時:2025年07月02日(水) 19:00 小説情報

吾輩はアトラル・カである。アトラル・ネセトになる予定はまだ無い(作者:美味しいラムネ)(原作:モンスターハンター)

転生したらアトラル・カであった。▼よくよく考えたら雌個体だった。つまりTSだった。しかし元々性別があってないようなものなので大して関係なかった。▼ちょっとした転生特典片手に、発掘装備やらカムラ製兵器やらを振り回す、人類種特攻を持った金ピカ大蟷螂の転生録である。▼半月ぐらいワイルズ遊んだら更新します


総合評価:13904/評価:8.76/連載:40話/更新日時:2025年08月11日(月) 21:45 小説情報

もふもふ雷狼竜(作者:APHE)(原作:モンスターハンター)

雷狼竜に転生したニンゲンがフワッフワになる話。▼なお彼は虫嫌いである。


総合評価:807/評価:8.71/連載:9話/更新日時:2026年08月14日(金) 12:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>