ドッカン、ドッカン――。
火山のとある一角に、爆発音が何度も轟いていた。
岩壁が揺れ、砕けた石がぱらぱらと地面へ落ちてくる。
その中心にいるのは――そう俺たちだ。
「いいぞぅ、ベイビー! 前と比べて躊躇がなくなってきてるねぇ!」
ベイビーが岩壁へ拳を叩き込む。
ガチンッ!
緑色の粘菌が色を変え――
ドゴォンッ!
「ギシャァ!」
爆風の中から、ベイビーが転がり出てくる。
以前なら、そのまま吹き飛ばされて地面を何度も転がっていた。
だが今は違う。
四肢を踏ん張り、少しよろけながらもその場で身体を支えている。
「お前も踏ん張れるようになったなぁ……」
俺は思わず感心する。
「前までは爆破するたびに吹っ飛んでたのに」
「ガァッ!」
ベイビーが以前よりもずっと勇ましい声を上げた。
「へへっ、そうこなくっちゃな」
こいつも少しずつ慣れてきている。
回復薬を使えば、多少の傷ならすぐに動けるようになる。
だからなのか、最初の頃にあった爆発への躊躇も、今ではほとんど見られなくなっていた。
拳を振るう。
爆発する。
吹き飛ばされても立ち上がる。
そしてまた拳を振るう。
見ているこっちが心配になるくらい、どんどん豪快になっていく。
「……まあ、俺も人のこと言えないけどな。蟹だけど」
自分の左ハサミを見る。
俺だって、最初の頃は散々だった。
爆発するタイミングが掴めず、粘菌をつけても不発になったり、逆に予想より早く爆発したり。
何度も「あれ?」となって、そのたびに試行錯誤を繰り返した。
それが今では――。
「なんとなく、わかってきたんだよなぁ」
ハサミに付着した粘菌を眺める。
完全に自由自在、というわけじゃない。
まだ狙った瞬間に必ず爆発させられるほどではない。
それでも、以前よりはずっと扱いやすくなった。
「まあ……痛いもんは痛いけど」
苦笑する。
慣れたからといって、爆発が痛くなくなるわけじゃない。
むしろ「また来るぞ」とわかるようになったぶん、爆発直前の嫌な感じまでわかるようになってしまった。
それでも、俺はハサミを構える。
「ほら、もう一発いくぞ!」
「ガァッ!」
ガチンッ!
ドゴォォンッ!
再び爆発が岩壁を吹き飛ばす。
砕けた岩の中から、いくつもの鉱石が転がり落ちてきた。
「おっ、今回も結構出たな」
俺はさっそく近くの鉱石を拾い上げる。
ベイビーも同じように鉱石を拾うと、そのまま口へ放り込んだ。
ガリッ。
「……」
俺も一個食べる。
ガリガリ。
そして横を見る。
ベイビーが夢中になって食べている。
「……お前、すっかり鉱石食うようになったなぁ」
最初の頃は、あれだけ吐き出していたのに。
今では俺が採掘していると、横から当たり前のように鉱石を拾って食べている。
「初めは嫌そうだったのになぁ、お前」
ベイビーは一瞬だけこちらを見る。
「……」
そして何事もなかったように、また鉱石を口へ放り込む。
「聞いちゃいねぇ」
まあ、食べるなら別にいい。
鉱石を噛み砕きながら、俺はベイビーの身体を眺めた。
少しずつだが、以前より身体つきもしっかりしてきたように見える。
「これなら、お前の身体も丈夫になりそうだなぁ!」
ベイビーはキョトンとした顔で俺を見る。
だが、すぐに興味を失ったらしい。
また鉱石をガリガリと食べ始めた。
「……まあ、本人が満足してるならいいか」
俺も再び鉱石を口に放り込む。
ただ――。
「でもなぁ」
ふと、手を止める。
「鉱石ばっかりじゃ、さすがに栄養偏りそうだよな」
こいつは本来、肉を食う生き物のはずだ。
俺自身だって、そろそろ肉が食べたい。
鉱石も悪くない。
むしろ結構うまい。
だが、ずっとこれだけというのもなぁ。
「そろそろ肉も食わせてやらんとなぁ」
「……俺も食いたいし」
その言葉に反応したのか、ベイビーがこちらを向いた。
「明日にでも、なんか狩りに行くかなぁ……。」
俺は食べかけの鉱石をもう一度口へ放り込み、明日の狩りについてぼんやりと思いを巡らせた。