にせティーパーティーの逆襲   作:みかん目薬

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第12話:エッチ!エッチ!エッチ!

その頃、ビルの外ではコハルと模倣ハナコが激戦を繰り広げていた。

コハルは少しずつ後退しつつ、こちらへ迫って来る模倣ハナコに回り込まれないよう彼女の左右へ発砲して移動範囲を絞っている。

 

『うふふふ♡どこを狙っているんですか?躱すまでもなく当たっていませんよ?』

「いいから、正々堂々真正面から突っ込んで来なさい!」

 

余裕を出しつつも、模倣ハナコはコハルの用意した策が何なのかを探っていた。

 

(どうやらコハルちゃんには何か策があるようですね。せっかくですし、あえて乗ってあげましょうか♪)

 

瞬間、模倣ハナコはコハルへ向かって真っ直ぐ突っ込んでいく。

 

「来たわね!」

 

対するコハルも何か仕掛けるようで、向かって来る模倣ハナコへ手榴弾を投げつけた。

弾丸さえも難なく見切れる視力を持つ模倣ハナコは飛び上がりこれを躱す。

 

「来るんじゃないわよ!」

『おっと!』

 

飛び上がった模倣ハナコへコハルはさらに銃撃を加えるが、これも宙返りで躱されてしまった。

そして模倣ハナコが着地する直前、コハルは着地地点へ向かって今度は発煙弾を投げ込む。

 

『もう、来いと言ったり来るなと言ったり、どちらなんです?まあ、これが狙いだったことはわかりましたが……』

 

模倣ハナコの周囲は煙で覆われている。

例え優れた視力を持っていても、視界が完全に塞がれているようでは意味がない。

 

(ですが、コハルちゃん側からこちらを見つけることも同じく不可能。つまりこれは次の作戦のための時間稼ぎ)

 

しかし模倣ハナコにはそれを打ち破れる自信があった。

メフィストとの取引で手に入れた絶対的な視力と身体能力、そして生まれ持った頭脳。

どれも持ち合わせないコハルに負ける道理など無い、そう思っていた。

そして煙が晴れ、互いの姿が見えるようになり……。

 

 

 

「これで勝負あり、もうあんたの負けよ」

 

周囲を見回すと、模倣ハナコを取り囲むように数十台のドローンが飛び回っていた。

それら全ての銃口が模倣ハナコを狙っている。

 

それを見た模倣ハナコはがっかりしたのか露骨に大きなため息をついた。

 

『はあ、コハルちゃん。どんな策があるのかと楽しみにしていたのですが、私がこの程度の数の銃弾を見切れないとでも?見当外れもいいところです』

 

『コハルちゃん、やっぱり私と同じ顔をしたあの馬鹿女とつるんでいるから、肝心なところで詰め切れないんですよ?今なら降参を認めましょう。この物騒なドローンたちを引っ込めて、私とお友達になりませんか?』

 

そんな模倣ハナコの煽りを無視し、コハルは手元のスイッチを押す。

すると飛んでいるドローンたちの下部に小さなディスプレイが次々と展開され、そこから何かの画像が映し出された。

 

まだ何か仕掛ける気なのか。

呆れながらも画面を見ると……。

 

 

 

"私は先生失格かもしれない。それでもハナコ、君を生徒ではなく、一人の女性として愛してるんだ!だから今夜は、一緒にいて欲しい"

 

"私、ハナコちゃんのことが好きなんです!ですから、今夜は帰しません!"

 

"ハナコが私をそういう目で見ていないことはわかっている。だとしても、それは君への愛を諦める理由にはならない"

 

"エッチなのはダメ、死刑よ!でもね、あんたの想いを受け入れないのはそれ以上の重罪。ハナコ、大好きよ"

 

 

 

『きゃああああああああああああ!?!?!?』

 

画面に映っていたのは何と、成人向け漫画のワンシーンだったのだ。

それもドローン一台一台すべて内容が異なっている。

思わず下を向く模倣ハナコ。

 

(見てしまった!たった一瞬、けどこの目のせいで細部まで細かく……!ああ、頭に焼き付いて離れない!!)

 

模倣ハナコは銃弾を見切れるほどの視力を持っている。

つまり、常に動き回っているドローンに揺られる小さな画面に映し出された漫画の一コマを、たった一瞬視界に入れただけでもその細部まで把握することができてしまうのだ。

 

卑猥な台詞、裸体で絡み合う男女または女女、惚けた表情。

全てが模倣ハナコの中に『余計な情報』として流れ込む。

そして一台のドローンから銃弾が発射され、模倣ハナコに命中する。

 

『ああっ!?』

 

銃を弾き飛ばされ、地面に倒れ込む模倣ハナコ。

反撃したいのに、顔を上げることができない。

ソレを見てしまえば脳が汚れてしまうからだ。

 

「やっぱり、私の見立て通り」

 

下を向く模倣ハナコに向かってコハルは語りかける。

 

「あんた、エッチなことに耐性が無いんでしょ?初めて会った時も、ハナコの本から目を逸らして速攻銃でボロボロにしてたもんね」

『なっ!?』

 

模倣ハナコは自身の特性を逆手に取られたことに気付く。

エッチなコンテンツなど恥ずかしくて直視することはできない。

しかしエッチなドローンの動きを見なければ飛んでくる銃弾を躱すことができない。

 

エッチなことに耐性が無い、最強の眼を持つ模倣ハナコに全方位からエッチな本を無理やり見せつけ、動きを封じつつ攻撃を加える攻防一体の最強の戦法。

まさにオールレンジ・エッチ攻撃。

 

「ちなみに今映ってるエッチな画像、全部ハナコが選んだものだから。同じ存在である以上、あんたにも思いっきり刺さるはずよ」

 

そう、これらは全てコハルに依頼されたハナコのスペシャルセレクト・エッチシーンなのである。

トリニティや友人のためとはいえ、自身の性癖をこれでもかと暴露することになり、ハナコ本人は顔から火が出るような思いをしたことは言うまでもない。

 

『この、卑怯者め……!』

 

模倣ハナコは相手をなじるものの、挽回策は思いつかないのが現状だった。

蛇蝎の如く嫌っていたはずなのにそのエッチな本に気を逸らされ、下を向いている今も内心気になってうずうずしている。

模倣ハナコの内に敗北の二文字がちらつき始める。

 

『こ、こんなものに……!』

「こんな本ばかり見てないで自分の役割を果たしていれば、だっけ?よくも私の大切な友達を追い詰めてくれたわね」

 

「寄り道することを馬鹿にしたあんたは、その寄り道によって得られたものに負けるのよ」

 

「もし今すぐハナコに謝って、私たちに情報を全て提供するなら命までは取らないけど、どうする?」

 

ほとんど一方的に負かされ何もできない事実に模倣ハナコは血管が切れそうになるほどの苛立ちを覚えるが、現状打つ手はない。

 

『…………取り引きをしましょう』

 

サンクトゥムタワーよりも高いプライドを断腸の思いで切り捨て、取り引きという名の命乞いに出る模倣ハナコ。

 

『私とお友達になりましょう、コハルちゃん!私を解放していただければ、アリーティア総合学園に特別待遇で加われるようメフィスト様に取り計らいますので!』

「お断りよ。ていうかアリーティアはもう廃校になったじゃない」

 

『では私からの"お気持ち"というのはいかがでしょう!?ブルアカの課金システムによって、我々には潤沢な資金があります!それをコハルちゃんに……』

「人の話聞いてた?欲しいのはお金じゃなくて謝罪なんだけど」

 

模倣ハナコはなおも諦めない。

 

『で、では私の身体をコハルちゃんに差し上げます!!エッチなこと、お好きでしょう?服を脱がせてもいいですし、お……おっぱいだって触らせてあげます!!』

 

ドローンを見ないように目を瞑ったまま顔を上げ、上着とスカートをたくし上げて下着を見せつける。

かつて下に見ていた者と同じレベルにまで落ちているという意識が、模倣ハナコに怒りと嫌悪感によるめまいを起こさせる。

 

実際は模倣ハナコの方が遥かに品の無いことをしているのだが、彼女がそれに気付くことはない。

 

『ほ、ほらどうです!?こんなことあの女はしてくれないでしょう!?ですからコハルちゃん……』

 

 

 

『私とXXXXXしましょう!!』

 

友を侮辱し、自分の非を認めずなおも悪あがきを続ける悪童に、ついにコハルの堪忍袋の緒が切れた。

 

「いい加減にしなさいよ、あんた……!!」

 

模倣ハナコはなぜ自分が謝らなくてはいけないのか最後までわからなかったが、たった今コハルの地雷を踏み抜いたことだけははっきりと理解できた。

 

「エッチなのはダメ!!死刑!!!!」

 

まるで閻魔大王のような恐ろしい形相をしたコハル裁判長が、罪人に判決を言い渡す。

 

『きゃああああああああああああ!?!?!?』

 

直後、模倣ハナコを取り囲むドローンたちから一斉に弾丸が発射され、ついに彼女は意識を手放した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

先生とハナコがアロナ、プラナの協力のもとブルアカのシステムを掌握した頃、アリウススクワッドの三人とハナエはカタコンベ入口にて、洞窟内のルート情報が共有されるのを待っていた。

 

「……来た!みんな出発するよ!先頭は私、最後尾はヒヨリ、アツコとハナエは中央。この陣形で一気に駆け抜ける!」

 

ミサキたちの端末にカタコンベの情報が送られてきたことで、ようやくサオリ救出に向けて動き出すこととなった。

 

「姫ちゃん、ハナエちゃん、後ろは任せてくださいね。スピードを落とさないように、まっすぐ前を見て走り抜けてください!」

「わかりました!ミサキさん、アツコさん、ヒヨリさん、よろしくお願いします!」

 

普段は柔和な笑みを浮かべてばかりのヒヨリが今回はとても頼もしく見える。

状況は切迫しているが、アツコの中に焦りは無かった。

あるのはサオリを必ず助け出すという強い決意のみ。

 

「それじゃあ行くよ。アリウススクワッド、作戦開始!!」

 

ミサキの合図とともに、四人は走り出した。

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