にせティーパーティーの逆襲   作:みかん目薬

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第16話:ツルギVS模倣ツルギ

トリニティ北門付近、そこでは二人のツルギが激戦を繰り広げていた。

 

『はあ、はあ……ぐっ!』

 

そう、繰り広げて『いた』なのである。

決着は既についており、模倣ツルギは地面に倒れ伏していた。

 

(おかしい、途中までは互角だったはずだ!なのに途中から攻撃が見切られて、当たらなくなっていった!)

 

模倣ツルギは息絶え絶えなのに対しツルギは涼しい顔をしている。

ツルギが頬についた血を拭うと、そこにあった傷は既にほとんど塞がっている。

 

模倣ツルギは他のミメシスと異なり、能力を向上させるための取引を一切行っていない。

それは自身の力のみで戦うことに誇りを持っていたからだ。

 

だから互角の勝負にはなれど、自分が大差をつけて負けることなど想像だにしていなかった。

 

『なぜだ!私とお前の実力は互角のはず!なのにどうして……!』

 

どうしてここまで差がついたのか、模倣ツルギにはまるで理解できなかった。

 

「ただ遊んでいるだけのお前たちとは背負ってるものが違う。こっちはこの後お前らの大将と戦って、学園を取り戻さないといけない。こんな所で倒れてなんていられないんだよ」

 

「勝敗を分けたのは信念の違いだ」

 

ふざけるな、何が信念だ。

そんなもの気持ちの持ちように過ぎない。

しかし模倣ツルギにはもう立てる体力は残っていない。

どうにかできないか考えていると……。

 

『ツルギ委員長、東側の戦力が減りつつあります!こちらへ救援をお願いします!』

『ミネ団長!?状況が悪いのは西側も同じ!ツルギさん、援護はこちらへお願いします!』

 

持ち場を離れた模倣ミネと模倣サクラコが、助けを求めて模倣ツルギの元へやってきた。

 

『サクラコさん!先にお願いしたのはこちらです!そちらはご自身で何とかなさってください!』

『順番など関係ありません!こちらは一部のプレイヤーが裏切ったせいで混戦状態なのです!こちらを優先してください!』

 

来て早速言い合いをする二人。

その時模倣ツルギはある秘策を思いついた。

 

『ミネ、サクラコ、私にいい考えがある。ちょっと耳を貸せ』

 

『何です?いい考えとは』

『何でも構いません!一刻も早く立て直さないと……』

 

 

 

『お前らの力、私によこせ』

『えっ?』 『何を……』

 

模倣ツルギは不意を突き、二人のヘイローへ牙を突き立てた。

咄嗟に離れようとする二人を無理やり押さえつけ、その光の輪を容赦なく噛み砕いていく。

 

『いやっ!待ってくださいツルギ委員長!!やめてください!!助けっ……いやぁぁぁぁああああ!!』

『ぐっ、離してください!!やめて!嫌!死にたくない!!助けて!誰か助けて!!殺され……!!』

 

そして模倣ミネと模倣サクラコのヘイローは完全に砕け散り、その目から光が消えた。

二人の遺体はそのまま力無く地面に倒れ込み、頭の先から灰のようにぼろぼろと崩れ、最後には何も残らなかった。

 

「なんてことを……!仲間でしょう!」

 

その様子を見ていたマシロはあまりにも悍ましい光景に鳥肌が立ち、体が震える。

彼女たちのしたことは重罪だが、こんなに呆気なく死を迎えていいはずがない。

 

そして模倣ツルギは二人の力を手にしたことで大幅に強化され、体力もすっかり元通りになっていた。

 

『はあ、はあ……はははは!!これで仕切り直しだ!さあもう一戦やろうか!私のオリジナ……っ!』

 

ツルギは驚いただろうか。

どんな顔をしているか確かめるために模倣ツルギはツルギのいる方へ顔を向ける。

しかし……。

 

 

 

「おい」

 

予想に反し、ツルギは完全に冷めきった顔をしていた。

先ほどまでの、自分の力のみで戦っていた時の方がまだ好戦的な顔だった。

それまで浮かべていた笑みが消え、目つきはさらに鋭くなる。

今のツルギの顔からは失望の二文字しか見られなかった。

 

「白けることしやがって。まあいい、一瞬で終わらせてやる」

 

己の力で戦うというプライドすら捨てた者に、既にツルギは興味を失っていたのだ。

あるのはただ、自分の顔で仲間を裏切るという卑怯な手に出た敵に対する怒りだけ。

 

ゆっくりと歩み寄ってくるツルギ。

しかし慌てることはない。

ミネとサクラコの力を手に入れ、模倣ツルギの方が強い力を持っている。

しかもツルギは戦いを楽しむためか、事前に報告を受けていたミメシス特効弾を使っていない。

こちらが諦めなければ勝機はある。

 

あるはずだった。

 

 

 

『ふーっ、ふーっ……!』

 

なのに体の震えが止まらない。

ただ正面の相手を圧倒的な力で押しつぶすだけ。

しかし、何度攻め方をイメージしても勝てるビジョンが全く浮かばない。

 

『ぐっ、このおおおおおおおお!!』

 

模倣ツルギは勢い任せに飛びかかったものの、ツルギはその顔面を思い切り殴り飛ばし、たったの一撃でノックアウトしてしまった。

 

「他人の力に依存して、私に勝てるわけねぇだろ!!」

『んっ、ぐうううううう……!』

 

しかし腐ってもツルギのミメシス、簡単には意識を手放さない。

だが既に牙は折れ、反撃する気力を完全に失っていた。

 

駄目だ、勝てない。

 

『ひっ、ひいいいいいい!!メ、メフィスト様……!』

 

模倣ツルギは情けない悲鳴を上げ、その場から逃走してしまった。

 

「はあ、追うか……マシロ!悪いがここを頼みたい!」

「分かりました!」

 

ツルギは逃げた模倣ツルギを追いかけようとするが……。

 

〈いや、追わなくていい〉

 

突如セイアから通信が入った。

 

「セイア様?」

〈未来を視たが、逃げた彼女がこれ以上被害を出すことはない。今から行っても、僅差でメフィストの方が先に合流するだろう〉

 

〈そこから先、君のミメシスは私の視た未来に登場しない。恐らく彼女は……〉

 

セイアはそれ以上言わなかったが、ツルギはその結末を察した。

 

〈代わりに今から送る座標の場所へ向かって欲しい。望むような戦いができず、不完全燃焼だろう?そこへ行けば思う存分暴れられるよ〉

「!!」

 

セイアの示す先に何があるのかはわからなかったが、彼女はくだらない嘘をつく人ではない。

 

「くくくっ、ヒヒッ……ヒャアハハハァァァァァァ!!!!」

 

ツルギは次なる戦いへの期待に胸を膨らませ、逃げた模倣ツルギとは反対方向へ駆け出していった。

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