あれ?俺終わったんじゃね?
思いついたものをただ書きなぐっただけの代物
異世界転生ってのは、大多数がなんらかのチート能力を得て、何故か次々と美女・美少女と出会ってモテモテになるもんだ。
俺はそう信じているし、それが世界の真理(お約束)だとも思っている。
だがしかし、そんな世界の真理(お約束)を真っ向から唐竹割りする世界観だって存在するのもまた事実だ。
そういう世界があったっていいし、なんならそんな世界の話とかの方が目新しく写るくらいに世の中には外部から見た所謂ハーレム物というのが持て囃されているのが現状ではないかと俺は認識している。
さて、何で俺がそんな事を言っているかと言うと、現状の再確認を改めてしているというか現実逃避をしているというか。
人生って本当に儘ならないものなんだなって事をとても深く噛み締めているからに他ならない。
「タロー様ー!頑張ってくださーい!!」
「確実に息の根を止めなさい」
「そんな事したら後が面倒になるわ」
目の前には大剣を構えた体格の良い美丈夫。その後ろには三人の美女・美少女。そして、それに相対する自分。
俺の名前はドゥーミッテモー・イロモノー。御年15歳。
名前からして絶対に主役になれない事が肌で感じ取れるくらいには個性溢れる地方領主の三男坊という、極ありふれた異世界転生者だ。
これは、俺の何て事ない異世界での栄光と挫折と挫折と挫折と挫折の物語である。
あ、いや、そんな大層なものじゃない。
俺の愚痴と嘆きが駄々漏れの、壮大に何も始まらない物語である。
………自分で言ってて悲しくなってきたよ。
そもそも事の起こりは俺が記憶を取り戻した辺りまで遡る。
三年前、兄達と共に領内を視察していた時、俺は誤って落馬したらしい。そしてその時の衝撃で前世の記憶とやらを思い出したという訳だ。実にオリジナリティあふれた記憶の取り戻し方だと我ながらに思う。
幸い怪我は大した事が無かったようで、両親も胸を撫で下ろしていた。
両親や兄達に優しく見守られながらも厳しく育てられたドゥーミッテモーはよく言えば正義感が強く信念を持つ少年だったが、反面なかなか融通のきかない頑固なところもあった。
そこへ何でも適当にやればいいやという思考回路の俺という異物が混入された為に、少しばかり歪な精神構造になってしまった。
まあ、今のところは支障が出てないので良しとしよう。
「ドゥーミ、ぼんやりしてどうした?」
過去を思い出していたら、我が兄にして長男のナントゥモー・イロモノーからの声で現実に引き戻された。
目の前に立つ兄は何度見てもイケメンである。
金髪碧眼のスラッとした長身で社交界でも目を引いているとかなんとか。
「いえ、何でもありませんトゥモー兄さん」
「そうか、ならば良い。今日から新しく剣術指南の先生が来るそうだ。お前も挨拶をする事になる。イロモノー家の名に恥ずかしくないよう、身支度をしておくんだぞ」
「分かりました」
イロモノー家の名に恥じないって、どんな格好したらいいんだ?等と考えながらも返事をしておく。
困った時は相談すればいいか。
そんな時に頼りになるのが次男のミルカーラニー・イロモノー兄さんだ。
名前の法則に悪意を感じるのは気のせいという事で水に流して貰えるとありがたい。
さておき、カーラ兄さんならその辺りをきちんと説明してくれるだろう。
弟の手本になるのは兄の義務だといつも言っている人だからな。
しかし、剣術か。身を守る術を身につけるのは必須事項だと父のアルイーミ・イロモノーも言っていたし、それが形骸化しても貴族の嗜みである事に変わりはないと母のナントナシー・イロモノーも言っていた。
現代日本じゃお目にかかれないし、実は内心ワクワクしてるんだよな。
おっと、身支度についてカーラ兄さんに聞きに行かないと。
「申し訳ありませんカーラ兄さん。今日来られる剣術指南の先生に対して恥ずかしくない服装というものを教えて欲しいのですが」
部屋に着いて早速相談を切り出してみる。
「そう言えば今日からだったな。この兄に聞きに来るとは良い心掛けだ」
長男のトゥモー兄さんと違って身体はがっしりしており赤毛なのは父親譲りだからだろう。関係無いが、俺は母親譲りの金髪碧眼だ。
カーラ兄さんは世話好きであり、落馬事件の後はそれはもう過保護なんじゃないかと思うくらいには世話をしてくるようになった。
とはいえ、決して押し付けてくるのではなく、あくまでこちらが頼った時にだけ手を差し伸べるようなスタンスだ。
加減の出来るナイスガイな兄を俺は尊敬している。
「お前が来ると思って用意させていた甲斐があった。どちらか好きな方を選んでくれ」
そう言って使用人に持ってこさせたのは、赤を基調とする動きやすそうなシャツに純白のズボンと青を基調とする丈夫に作られているシャツに薄いグレーのズボンの2つのタイプの服だった。
「こちらの赤いのは動きやすさ重視で作らせた。素材は軽いがそこそこ丈夫だぞ。そしてこっちは丈夫さに比重を置いていて、多少の刃は通さない作りになっている」
「い、いつの間にこんな物を」
「剣術の稽古は俺も通った道だからな。経験則から二極化した物を作らせていた」
カラカラと笑う兄の姿はとても頼もしく、名前はともかくこの家に産まれて本当に良かったと思う。
俺はありがたく丈夫な方をいただき、すぐに着えた。
少し動きにくいが、生地が厚手でナイフ位なら傷付かないと思わせる手触りだ。
「よく似合っているぞ。その服で稽古に励むといい」
「ありがとうございますカーラ兄さん。大事に使います」
「特注はしたが、あくまで服は消耗品だ。違和感があったらすぐに言うんだぞ?まだまだ改良の余地はあるんだからな?」
心配そうにするカーラ兄さんに礼を言うと、俺は自室へ戻り簡単な身支度をした。
おかしなところは無いかと世話係のチャントセイに確認を頼む。チャントセイは俺が産まれた時からの世話係だ。
心配性なのはカーラ兄さんと同じだが、こちらはつい口が出てしまうタイプで余計な一言も多い。見事なブラウンだった髪の色が、最近白に侵食されているのを密かに気にしている事を俺は知っている。
「よく似合っておりますぞ坊っちゃん。このチャントセイ、今日この日を迎えられた事を大変嬉しく思います。うぅ、あの坊っちゃんが立派になられて」
「大袈裟だよチャントセイ。それに、まだ何もしてないじゃないか」
「いえ、坊っちゃんがこうして何事もなく健やかに成長される事こそ、このチャントセイの喜びでございます。ああ、12になるまでおねしょをしていたドゥーミ坊っちゃんが……」
「その話は人前ではするなよ!絶対にするなよ!いいか、フリじゃないぞ?絶対にだ!」
そんないつもの心暖まる会話をしながら身支度を整え、指南役との顔合わせを済ませるべく修練場へと移動するのだった。
修練場にはガタイのいいおじさんがいた。兄2人が教えを受けた人に俺も剣を習うと聞いていたのだが、待っていたのは見知らぬ男のみ。
何となく「待たせたな!」という声を連想させるその風体は強者のそれであり、カーラ兄さんよりも大きな身体は心なしか威圧感さえ感じる。
「俺を待たせたな!」
「お待たせして大変申し訳ありません!!」
び、びっくりした。まさか本当に征服王な声をしているなんて思わなかったぜ。
いや、改めて風貌を見てみると、確かに征服王を連想させるがっしりとした赤毛のおじさんだし、腰に下げた剣も心なしか立派だ。
それ以上に、声に反応して俺の前に立つチャントセイの方が気になって仕方無い。お前そんなキャラちゃうやん?
「失礼ですが、どちら様ですかな?本日はマケルイン先生にお越しいただく事になっているはずでしてな」
「あん?話が通って無かったのか?俺は代役を頼まれたアーキオだ。マケルインの奴は腕に怪我しちまってな。偶々あいつの家に顔を出してた俺にお鉢が回ってきたんだよ。今日は三男坊の剣を見るって聞いてたんだが、そっちの坊主がそうなのか?」
どういう繋がりかは分からないが、指導する先生にトラブルがあったようだ。
「ふむ。生憎こちらには話が来ておりませんな。手間を取らせてしまい申し訳ありませんが、確認の為に今暫く時間を頂きたく」
「お貴族様ってのはどうにも面倒なもんだな。まあいい、少し位なら待つさ」
チャントセイの言葉にアーキオが肩を竦めた。
俺としては別にこの人でも全然問題無いんだけどなあ。そんな意図を込めてチャントセイを見てみたが、静かに首を横に振られた。
「すぐに手配致ししますので、茶菓子等を摘まみつつお待ちください」
そう言って一礼すると、すぐ近くに控えていた使用人を呼びつけて色々と指示を出すチャントセイ。
その後色々とあり、結局はアーキオに剣術を習うことになった。
稽古はかなり過酷で、カーラ兄さんとアーキオの鬼気迫る対決は大いに参考になった。主に殺気に耐性を持つという意味で……
そんな回想から戻るとやる気満々な青年が目の前に立っている。
「改めて聞きますが、本当に我が屋敷に招かれる意思は無い、と?」
「申し訳無いが、自分は権力を持つ者と距離を縮めるつもりは無い」
再度聞いてみるが、返事は変わらない。
「ならば、我が領内で行った罪により捕縛します」
全く、権力者に関わりたく無ければその場所のルールくらい把握して動けというのだ。内心そう愚痴りながら剣を構えた。
相手の武器は両手持ちの巨大な剣。対してこちらは普通の長剣。対処を間違えば一合のもとに剣を折られてしまう。
流れる冷や汗を感じながら教えを受けた構えを取るのだった。
カッとして書いた
反省も後悔もしている
後編ってどうやって書けばいいんだ?(見切り発車)