【完結】潜誠の盾:元“処刑人”のボディーガード。シングルマザーを守る 作:冬蜂
── ΩRMオフィス・深夜。
外は、バケツをひっくり返したような土砂降りだった。
玄関のドアが勢いよく開き、ジョージ、ヴィンセント、チャットの3人がびしょ濡れで転がり込んできた。
「っざけんなよ、この天気!!」
チャットが髪から水を振り払いながら叫ぶ。
ヴィンセントも上着を脱ぎ、苦々しい顔をする。
「おい……これ、シャワーと変わんねぇぞ」
二人はロッカーへ向かい、着替えに消えた。
ジョージは何も言わず、タオルで体をざっと拭き、マグカップに焼酎と水を注ぐ。
服から水が滴っていたが、気にも留めない。
そのまま、黙って一口。
チャットが戻ってきて吹き出す。
「お前、それで焼酎?
もはや体内乾燥機かよ」
自分はウィスキーを注ぎながら茶化す。
ヴィンセントもビールを開ける。
オフィスの空気は湿気を帯びていたが、三人は気にせず、いつも通りの夜を始めた。
◇
「ジョージ、着替えねぇのか?」
ヴィンセントが冷蔵庫を開けながら尋ねる。
「ない」
ジョージは焼酎を一口飲んで答えた。
「いやいや……そのまま飲む気かよ」
チャットが呆れ混じりに笑う。
ジョージは頷いた。
「水よりマシだ」
「いや、ちげぇよ!」
チャットが爆笑しながらソファに倒れ込む。
ヴィンセントは溜息をつき、ロッカーをゴソゴソ漁り出した。
「しゃーねぇな……俺のジャケット貸してやる」
バサッと音を立てて、ヴィンセントの予備ジャケットがジョージに投げ渡された。
ジョージはそれを広げ、無言で見つめる。
サイズが明らかに違いすぎた。
ジョージ、159センチ。
ヴィンセント、190センチオーバー。
広げたジャケットは、もはや布団。
袖を通せば、指先どころか肘まで隠れそうだ。
ジョージがぽつりと呟く。
「……テントか?」
「ぶはっっっ!!!」
チャットが腹を抱えて吹き出した。
「待て待て!
今なんつった!? テント!?」
ヴィンセントも呆れ顔。
「おいおい、俺のジャケットがテントって……」
ジョージは静かに続ける。
「中に入れば、俺が2〜3人は寝られる」
「ぎゃははははは!!!!!」
チャットはソファから転げ落ちた。
ヴィンセントは眉をひそめ、ジャケットを押し戻す。
「いいから着ろ」
ジョージはしぶしぶ袖を通す。
やはり、ブカブカすぎた。
袖は完全に手を覆い、裾は太ももの半分まで隠れ、肩回りはテントのようにダボついている。
ヴィンセントがしげしげと眺めて、一言。
「……ちっさいガキが、親父のコート着てるみたいだな」
チャットがスマホを取り出し、カシャッと撮影。
「これ、ΩRMのグルチャに貼っとくから」
ジョージは無言でジャケットを脱ぎ、ヴィンセントに突き返す。
「要らない」
ヴィンセントは頭を抱え、チャットはソファで笑い転げる。
湿ったオフィスに、3人の笑い声がこだました。
そのまま、ジョージがマグカップをゆっくり掲げた。
「……乾杯」
ヴィンセントとチャットも、それに合わせてグラスを上げる。
「乾杯!」
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