【完結】潜誠の盾:元“処刑人”のボディーガード。シングルマザーを守る   作:冬蜂

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【番外編】体格差ネタ②:ヴィンセントの服はジョージにとってはテント

 ── ΩRMオフィス・深夜。

 外は、バケツをひっくり返したような土砂降りだった。

 

 玄関のドアが勢いよく開き、ジョージ、ヴィンセント、チャットの3人がびしょ濡れで転がり込んできた。

 

「っざけんなよ、この天気!!」

 

 チャットが髪から水を振り払いながら叫ぶ。

 ヴィンセントも上着を脱ぎ、苦々しい顔をする。

 

「おい……これ、シャワーと変わんねぇぞ」

 

 二人はロッカーへ向かい、着替えに消えた。

 

 ジョージは何も言わず、タオルで体をざっと拭き、マグカップに焼酎と水を注ぐ。

 服から水が滴っていたが、気にも留めない。

 そのまま、黙って一口。

 

 チャットが戻ってきて吹き出す。

 

「お前、それで焼酎?

 もはや体内乾燥機かよ」

 

 自分はウィスキーを注ぎながら茶化す。

 ヴィンセントもビールを開ける。

 

 オフィスの空気は湿気を帯びていたが、三人は気にせず、いつも通りの夜を始めた。

 

 

「ジョージ、着替えねぇのか?」

 

 ヴィンセントが冷蔵庫を開けながら尋ねる。

 

「ない」

 

 ジョージは焼酎を一口飲んで答えた。

 

「いやいや……そのまま飲む気かよ」

 

 チャットが呆れ混じりに笑う。

 

 ジョージは頷いた。

 

「水よりマシだ」

 

「いや、ちげぇよ!」

 

 チャットが爆笑しながらソファに倒れ込む。

 

 ヴィンセントは溜息をつき、ロッカーをゴソゴソ漁り出した。

 

「しゃーねぇな……俺のジャケット貸してやる」

 

 バサッと音を立てて、ヴィンセントの予備ジャケットがジョージに投げ渡された。

 

 ジョージはそれを広げ、無言で見つめる。

 サイズが明らかに違いすぎた。

 

 ジョージ、159センチ。

 ヴィンセント、190センチオーバー。

 

 広げたジャケットは、もはや布団。

 袖を通せば、指先どころか肘まで隠れそうだ。

 

 ジョージがぽつりと呟く。

 

「……テントか?」

 

「ぶはっっっ!!!」

 

 チャットが腹を抱えて吹き出した。

 

「待て待て!

 今なんつった!? テント!?」

 

 ヴィンセントも呆れ顔。

 

「おいおい、俺のジャケットがテントって……」

 

 ジョージは静かに続ける。

 

「中に入れば、俺が2〜3人は寝られる」

 

「ぎゃははははは!!!!!」

 

 チャットはソファから転げ落ちた。

 

 ヴィンセントは眉をひそめ、ジャケットを押し戻す。

 

「いいから着ろ」

 

 ジョージはしぶしぶ袖を通す。

 やはり、ブカブカすぎた。

 

 袖は完全に手を覆い、裾は太ももの半分まで隠れ、肩回りはテントのようにダボついている。

 

 ヴィンセントがしげしげと眺めて、一言。

 

「……ちっさいガキが、親父のコート着てるみたいだな」

 

 チャットがスマホを取り出し、カシャッと撮影。

 

「これ、ΩRMのグルチャに貼っとくから」

 

 ジョージは無言でジャケットを脱ぎ、ヴィンセントに突き返す。

 

「要らない」

 

 ヴィンセントは頭を抱え、チャットはソファで笑い転げる。

 

 湿ったオフィスに、3人の笑い声がこだました。

 

 そのまま、ジョージがマグカップをゆっくり掲げた。

 

「……乾杯」

 

 ヴィンセントとチャットも、それに合わせてグラスを上げる。

 

「乾杯!」

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