今回は少し独特な内容になります。タイトルの示すものはなんなのか?
では、どうぞ!
8月27日金曜日午後8時半。
入浴を終えた光秋はパジャマに着替え、綾の部屋で壁にもたれてくつろいでいる。
と、
「…………!」
胸ポケットに入れてある携帯電話が振動し、それを取って表示を見ると、タッカー中尉からである。
「はい?」
電話を左耳に当てる。
(ジャップ?俺、明日休みが取れてさ、また大勢で出かけないか?横尾中尉や上杉も誘ってさぁ)
「明日ですか……」
(何だよ。なんか用事あるのか?)
「ちょっと待ってください」
言うと光秋は電話を耳から離し、左隣で寄り添う様に腰を下ろしている綾を見る。
「誰?」
「タッカーさん。明日みんなで出かけないかって。どうする?」
「行く!」
綾の即答を聞くと、光秋は再び電話を耳に当てる。
「もしもし?」
(どうする?)
「行きます。ところで、足は?」
(9時半頃に車でそっちに行く。俺も久しぶりの休みだから。楽しませてくれよ)
「わかりました。とりあえず、9時半頃ですね」
(あぁ。よろしくな)
「はい。では、明日」
(あぁ)
そう言うと、タッカーの方から電話は切られ、光秋は携帯電話を胸ポケットに戻す。
「9時半頃に迎えが来るって」
「うん」
「じゃあ、僕もそろそろ寝る」
「うん。お休み」
「お休み」
言うと光秋は、玄関でサンダルを履いて部屋を出る。
自室に入ると電気も点けず、薄明かりの中真っ直ぐベッドに向かい、携帯電話とメガネを枕の左端に置いて横になる。携帯電話を開いて時刻を見ると、8時50分である。
と、電話の画面に表示された家族写真が目に入る。
―綾には、結局見せなかったな…………家族と言える人がいない綾に、変な影響与えるかと心配してのことだが…………いや、今更悩むのはやめよう!どうせ今更だ―
そう断じると、光秋は電話を畳んで枕の左端に戻し、右側に寝返りをうつ。
―…………そういえば最近、独りの布団が寂しいな…………―
8月28日土曜日午前9時15分。
迷彩柄の帽子に白い半袖のワイシャツ、黄色い長ズボン、黒いスニーカー靴を着、左肩に灰色のカバンを斜め掛けした光秋と、ピンクの帽子に白い半袖のワイシャツ、赤チェックのロングスカート、ピンクのサンダルを着、首飾りを付けた綾は、家の前に立って迎えの車を待っている。
―ちょっと早く出過ぎたかな?―
光秋が数珠の巻かれた左手首の腕時計を見て時間を確認しながらそんなことを考えると、
「アキ…………」
と、左隣に立つ綾が声を掛ける。
「ん?」
「今まで黙ってたんだけど、あたし、この間補充で来た横尾さんが送ってくれた本。あれが読めたの……」
「……あの、英語の本?」
「うん。アキは、教えてないよね」
「……あぁ。すごい、な?……」
光秋の返事が少しぎこちなくなる。
「そんなに難しい文章じゃなかった。読んでるとね、頭の奥から、単語の意味とか、文法の決まりとかが浮かんでくる感じがするの」
「…………」
「アキが終戦記念日の話をしたあたりから、突然、知らないはずなのに、すごく懐かしく感じる人や場所が浮かぶこともあるの…………あたし、もうすぐ消えちゃうんだね」
「!……いや、前にも言ったが、消えるのとは違う。変わっていくだけだ!……綾らしさ、念力とか、今までの思い出とか、そういうのはちゃんと残るはずだ。脳みそは一緒なんだし!」
綾の一言に、光秋は少し動揺する。
「そうだけどね……でも、他人の思い出が加わったあたしは、あたしと言えるのかな?」
「…………綾…………」
光秋には、返す言葉がない。
「それとね、もう1つ気になることがあるの」
「……なに?」
「アキ昨日、あたしの部屋を出た後、家族写真見せるかって悩んでたよね?」
「!…………」
「その後、あたしに近くに来て欲しいって、考えてたよね?」
「…………あぁ。なんでわかるんだ?」
「あたし時々、確信はないんだけど、アキの考えてることがわかるときがあるの。落ち着いてる時は特に。集中すれば、アキの考えが言葉として頭に入ってきたり、アキが感じたことを、感じることもできるみたい」
―…………それは……まさか!……―
光秋の脳裏に、チンピラにテーブルを投げ付けられた時に聞こえた声と、NPの騒動制圧中にニコイチのコクピットで聞こえた声の記憶が蘇る。
「……綾。これは超能力に関してはろくな知識がない僕の推測だけど…………お前は、テレパスかもしれない」
「テレパス?」
「そう。
「…………うん」
綾は短く返事をする。
と、
「あのさ、さっきの話なんだけど…………あたしがいなくなって、伊部さんが帰ってきても、あたしと伊部さんが混ざったような人が来ても、きっとアキのことを好きになってくれると思うよ」
「……それはそれで嬉しいね。嫌われるより好かれる方がいいのは確かだ。でもな…………今のお前ならわかるだろうが、お前がさ、僕にそういう気持ちを持ってくれたのは、ただ状況が特別だったからだろう。他人にしろ異性にしろ、僕以外と深い関わりが殆どなかったから……綾が僕をどう思っているかは知らないが、現実問題として、僕はそんな大した奴じゃないよ……」
「それはちょっと、失礼じゃない?」
綾は少し膨れて言う。
「あたし、アキと初めて会った時のこと、昨日の、うんうん、ついさっきのことみたいに憶えてるんだから!」
「初めて会った時……憶えてるのか?」
「うん!あたしあの時、尻もち着いたアキの後ろに、白い光が見えた」
「白い光?後光でも射してたのか?」
「そこまでは、よくわからないけど……でも、見てると安心する、優しい光だった。だから、その光の源だったアキを、信じてみようって思った」
「……光ねぇ…………その時から、テレパスの素質があったのかな?」
「わからないけど……ただ、そんな光を見せてくれたアキが、仕方ないにしても暴力をふるった時は、ちょっと混乱した」
「…………」
「もちろん、人にはいろんな面があるってことも、今ならわかるけど…………!」
と、綾はハッとした顔をし、光秋の正面に立つ。
「ねぇ!検査なんか待ってないで、ちょっと試してみない?」
「試すってなにを?」
「今までは聞こえてくる声をただ聞いてただけだけど、意識して思いっきり能力を使えば、あの時見た光がなんなのか、詳しくわかるかも。初めて見た時は、すぐに消えちゃったから」
「……要するに、僕の心を覗くのか?」
「……嫌?」
「……」
その理解に、光秋は少し渋い顔をする。
が、
「……わかった、やってみるか。ただ、注意して欲しい」
「なに?」
「僕だって、今の自分は概ね好きだ。でもな、始めからこうじゃなかった。いろんな経験をして、今の僕になったんだ。その経験の中には、あんまり
「わかった」
「じゃあ帰って来たら、さっそく―!」
光秋が全て言い終わらないうちに、綾はアクセサリーの電源を切り、両手を光秋の両肩に置く。
「帰ってからじゃなくて、今すぐ」
言うと綾は両目を閉じ、半開きにした口を光秋の唇に付ける。
―綾!…………―
光秋は束の間動揺するが、それも綾の唇の心地よさから隅に追いやってしまう。
―……なら…………―
光秋も両目を閉じ、両腕を綾の脇に通して背中に手を回すと、綾の体を抱き寄せる。肺を満たすつもりで深く息を吸って綾の体臭を取り込むと、口の中で互いの舌の先を合わせていく。
「「…………」」
2人の周囲には、夏の暑さとは別の熱気が広がっていく。
同じ頃。
1台の黒い大型乗用車が、人通りの少ない道を走っている。
その車の3列ある椅子のうち、中央列の右側には白い半袖のワイシャツに黒い長ズボンを着たタッカーが座っている。
「ホント、上杉には感謝だ。俺の車じゃあ5人は乗れないからな」
「『5人』って、オレはなしかよ?」
タッカーの独り言に、最前列左側に座る赤い半袖のワイシャツに茶色い半ズボンを着た竹田二尉が噛み付く様に応じる。
と、
「「……」」
2人の間に刺す様な空気が起こる。
「「!」」
右側の運転席に着く白いTシャツに水色の半袖を羽織り、白い長ズボンを着た上杉と、タッカーの左隣に着く緑の半袖に赤いロングスカートを着た横尾中尉はそれを敏感に察知し、すぐに2人を鎮めようとする。
「2人とも!せっかくの休みなんすから、喧嘩はなしでいきましょうよ」
「上杉君の言う通り!これから加藤君とアヤちゃんも加わるんだし。ね!」
「「……」」
上杉と横尾の作り笑いを用いた説得に、2人は渋々矛を収める。
と、
「……!」
携帯電話の着信音が鳴り出し、気付いた竹田が右の腰ポケットから電話を取り出す。
「なんだよ!こんな時に戸松教授からだ!」
表示を見てそうぼやきながら、竹田は電話を右耳に当てる。
「はいぃ?」
(竹田二尉?私だが!加藤君とアヤを知らんか?)
電話越しの戸松の声は、やけに焦っている。
「今向かってるとこっすけど?」
(!ちょうどいい!実はさっきから加藤君と連絡が着かんのだ!)
「え!?」
竹田の声に上杉たちが顔を向ける。
「何です?」
上杉が問う。
「加藤と連絡が着かねぇってよ」
「二尉、ちょっと電話を……教授、上杉です。電源が切れたか、電波の入りが悪いんでしょう」
上杉は竹田が近づけた電話に向かって言う。
と、
(それが、楽観視もしてられん!)
と、車内一同の耳に入る声で戸松は答える。
「どういうことだ?」
タッカーが訊く。
(我々も今向かってるところで―)
と、戸松が全部言い終わらないうちに、上杉たちが乗っている車の右横を黒い公用車が追い抜いて行く。
「!教授!教授ぅー!」
すぐに戸松の車と気付いた竹田は左の窓から身を乗り出し、左腕を一杯に振って合図する。
それに気付いた公用車は道の左端に停車し、上杉の車もそのすぐ後ろに停車する。
公用車から降りた白衣姿の戸松が上杉の車に駆け寄ってくると、上杉は窓を開ける。
と、
「楽観視できないって、どういうことだ?」
タッカーが後部席から運転席の窓に向かって身を乗り出して問う。
「んん……実はな……」
戸松は窓から顔を車内に入れ、車内の4人にしか聞こえない大きさの声で言う。
「先程、研究を支援している合軍のスタッフから連絡があって、脳への電気刺激を続けて『アヤ』の能力を完全に定着させろと言ってきた」
「「「「!」」」」
教授の言葉に、タッカーたちは絶句する。
「それって!」
「そう、『伊部法子』の人格を完全に消すことと同義だ。私を支援している合軍のタカ派たちは、彼女が元に戻ることが気に食わんらしい。さすがに断ったが、あの様子では、力づくでもアヤを奪う気だ」
横尾の驚愕の声に、戸松は真面目な顔で応じる。
「……待てよ!」
上杉がハッとする。
「電話が通じないのってまさか、もう軍の部隊が行ってるっことじゃ!」
「……恐らく」
戸松が深刻な顔をする。
「!こうしちゃいられねぇ!上杉!」
竹田が発車を急かす。
と、
「その前に二尉、ちょっと」
と、上杉は竹田の右耳に小声で耳打ちをする。
心地いい熱気の中にある光秋は、胸の中の綾が発する体温や体臭、質感を全身で感じ、合わせた唇からくる触覚が心地よさをさらに高め、幸福感に包まれていく。
と、
―…………?―
不意に光秋は瞼の裏の闇の中に一点の光を見つけ、それが視界一杯に広がっていくのを見る。
直後、
―……?…………綾?―
光秋の胸の中から綾の実感が消え、
代わりに良し悪しの付け難い独特な匂いが嗅覚を突いてくる。
―?―
ゆっくりと目を開けると、見覚えのない白い壁が広がっている。
と、
―『目が覚めたかね?』―
と、聞き覚えのある声を聞き、少し間を置いて視界の右側からメガネを掛け髭を蓄えた薄い頭の男がヌッと顔を出す。
―戸松教授?―
と、光秋が理解した直後、
―!…………?―
心中にわけもなく重い不安が広がり、光秋はそんな自分に戸惑ってしまう。
―何だ?何でこんな不安に……―
と、
―『とりあえず、脳波を計らせてもらおう』―
と、戸松は両手で持った細い線がいくつか付いたバンドの様な物を近づける。
と、
―嫌!― ―?―
心中に恐怖と聞き覚えのある声の絶叫を感じ、戸松の顔が視界から消える。
―今の声……綾?……これは、綾の記憶!?思い出か!生まれた日―
光秋が直感的にそう理解すると、綾のものである視界は右を向き、手前に自分が寝ている白い医療用ベッドと、奥に壁に体をもたれ掛けて尻もちを着く戸松の姿を見る。
―……?― ―?―
数人の白衣姿に囲まれた中、綾はどこからか穏やかとも激しいと付かない独特な気配を感じ、辺りを見回してみる。光秋も同期してそれを感じる。
と、綾は壁の一点を見つめ、気配はその方向の下から来ていると知る。
―ここ!―
直後、
―……!―
綾は少し力んで壁を吹き飛ばすと、開けた穴から外に出、気配の源を正確に探り、一気に接近する。距離を詰めるに連れ、光秋は後ずさろうとする気配の源をはっきりと捉える。
―………僕?―
直後に気配の源―光秋は尻もちを着き、ゆっくりと目を開けて絶句した顔を綾に向ける。
と、
―!…………―
綾は尻もちを着いている光秋の背後から、白い霧の様な不定形な輝きが起こるのを見る。
―綾が言ってたのはこれか―
理解しながら光秋は、自らが放つその光をまじまじと見る。
―……確かに、見てると気持ちいい。川の水に映った、太陽の様な…………―
と、
―『アヤぁ!』『アヤぁ!』―
白衣たちの声が響くと同時に、光秋の背後の光はフッと消えてしまう。
直後に光秋は、
―この人に着いて行きたい―
という綾の想いを感じ取る。
居間のテーブルの上で、光秋が黒いクレヨンでを持って紙に大きく字を書いている。
と、
―『できた!』―
と言って、光秋は書いていた紙を綾に見せる。そこには「加藤綾」と書かれている。
―『綾、これがお前の名前だ!』―
光秋のその一言で、綾はすごく嬉しくなる。
―綾にも名前がある!―
が、その嬉しさの中には、一点の染みの様な不安がある。
―……イベって、誰?綾、いなくなっちゃうの?―
―……この時からか…………―
綾の伊部法子に対する不安がこの時からあったことを理解した光秋は、それに気付けなかった自分に再び呆れを覚える。
―僕は愚鈍だ!―
居間のテーブルの前に座る綾は、死に対する恐怖にも似た漠然とした不安を胸一杯に抱いている。
と、
―『人間は、いや、生き物は、生きている。生きていく上では、変わることも必要なんだよ』―
―…………かわる?…………―
光秋のその言葉が、綾の耳に印象深く残る。
と、
―『綾が僕に好かれる努力をしてくれたら、好きになるかもしれない』―
この一言が綾の中の不安を和らげ、
―光秋に好かれる人になる!―
と言う決意の様な想いを抱かせる。
―そんなこと言ったな。僕が忘れてたことを、お前は…………―
目の前のカーテンが開くと、竹田、上杉、タッカー、光秋が一列に並び、綾の試着した服を見物する。
その中で綾の意識は、
―光秋、どう思うかな?―
ということで殆ど埋め尽くされている。
当の光秋は絶句し、何も言わないが、綾は漠然と喜んでいると感じる。
―……よかった!―
―『貴様等!』―
―!…………―
両腕を押さえられている中、綾は初めて光秋の激怒した声を聞く。
直後に腕を押さえていた2人が倒れ、光秋は綾を突き飛ばす様にして前進するが、
―…………!…………―
綾はすれ違いざまに見た光秋の激した顔に、恐怖する。
―こんなに怖い顔だったのか!?―
光秋でさえ、綾の目から見た自分を怖いと思う。その目は、獣の目である。
と、綾は不快感を覚えて上を見ると、壊れたテーブルが光秋の真上に浮かんでいる。
―!…………後ろ!―
と言う声は声にならず、テーブルは光秋に向かって落下する。
が、直後、光秋は地面を蹴って後ろに跳び、テーブルを避けてしまう。
―…………―
そのことに綾は、束の間の安堵を覚える。
―やっぱりあれは、綾だったんだ!―
ビルの屋上に伏せる綾の目前を、ガトリング砲を持った白い巨人―ニコイチが縦横無尽に舞う。
―…………―
それを見る綾の胸は、状況が一向に飲み込めない困惑と、ニコイチに対する嫌悪と安心が入り乱れている。
ニコイチのコクピット、その操縦席の背もたれの左側にしがみ付く様にして立つ綾は、イスに納まる光秋の必死さに圧倒される。
―光秋が怒ってる?これも光秋の一部?あたしが発見した、光秋の一部?……あの人たちの所為で、変わっちゃった光秋?…………―
同時に、その光景に強い既視感を覚える。
―…………何だろう?前にもこんなふうに光秋を見た憶えがある。イスに掴まって、必死なってる光秋の横顔を見た憶えが。コレを見るのも初めて、中に入るのも初めて、そこに座ってる光秋を見るのも、初めてのはずなのに…………懐かしい?―
―これは、あの時コクピットの中で聞いた声?…………やっぱり綾は、テレパスなんだ―
光秋自身もその時のことを思い出し、そう理解する。
そして、
―…………この頃から、伊部二尉の記憶が戻りかけてたんだ…………―
居間に両脚を抱いて座る綾は、光秋の声をドア越しに聞く。
―光秋も、辛いんだ…………―
光秋が語るニコイチに乗る理由、この世界に来た経緯を聞く中で、綾はそう感じる。
―…………―
その思いが綾を玄関に向かわせ、自ら閉じたドアを開けさせる。
―…………―
ドアの向こうには、若干の疲れを覗かせながらも、綾の見慣れた穏やかな光秋が立っている。
ニコイチのコクピットの左側に立つ綾は、ニコイチの左右に大きく広げられた腕、そこに干されて風になびく布団を見、視線をニコイチの頭部へ向ける。
表情のない白い顔は、しかし、乗り手の様子を引き映した様に穏やかな印象を与える。
―やっぱり、好きになれそう…………―
思いながら綾は、視線をイスに納まる光秋に向ける。
―…………アキも…………―
―!…………綾…………―
居間で横になる綾は、腹に光秋の頭を乗せ、眠気で意識が遠くなりながらもその重みを心地よく感じる。
―あたしの中に、確かにアキがいる。あたしの中に…………こういうのを、幸せって言うのかな…………―
―!…………綾…………―
光秋は、自分がこの時感じたことと同じことを綾も感じてくれていたことをすごく嬉しく思う。
と、
―…………!―
綾の視界がゆっくりと遠ざかってゆき、それに合わせて光秋の中の綾の感覚も徐々に遠退いていく。
「…………!」
体中に覆い被さる様な重さを感じ、光秋は我に帰る。
目を開けると、綾が光秋に体をもたれ掛けている。
いかがでしたか。
綾と心を重ねた光秋、様子がおかしい綾、そして2人に迫る危機。
さまざまなものを残しつつ、次回ついに想い人編最終話。果たして2人の運命は?そして光秋の想いの行方は?
次回もお楽しみに。