こんにちは。この度、Fateにハマりまして、セイバールート、凛ルートを終えた所です。登場人物は第5次のキャラです。まず前提として、聖杯は第4次の結果として、聖杯自身は願いを叶える程の力は消失し、残ったのは7人のサーヴァントを期限付きですが、現界させるだけの魔力量と、理に干渉してサーヴァントを現界させるシステムだけが残った、と言うトンデモ設定である事をご理解ください。また、その性質上、原作のネタバレが炸裂します。もしもここを覗きに来られて、Fateの原作、またはコミックスなどで本筋を知らないと言う方は全力でブラウザバックを推奨します。絶対に分かってから来られた方が良いと思います。マスターとサーヴァントの組み合わせも変わる場合があります。
それでは拙き文章ではありますが、しばしの間お楽しみ下さいませ。これより始まりまするのは筆者が望み、そして創作の世界で叶えようと思った、有り得ないけれども有って欲しかった、誰もがも笑顔で幸福である世界です。

という設定なのですが、これはFateの熱に当てられて勢いだけで書いたので、更新するかどうか……は、分かりません。すいません。


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大河さんがメインです。なにげに一番好きなサブキャラかもしれません。


大河さんが出ます

「うー、さぶっ……」

 寒さに悴む手を口元に持って行き、吐息で一瞬の暖を取る。そしてその手をスラックスのポケットに入れ、学校までの道を急ぐ。あと10分でHRだ。急がなくては。そう思い、坂の上にある高校を目指し、足を速める。

「おっはよー、衛宮!」

 自分の隣を女生徒が駆け抜ける。

「ああ、美綴か。おはよう。朝練は無いのか?」

「今日はね。昨日試合があったから今日は無いんだ」

「そうだったのか……あれ? 桜が今日も同じくらいの時間帯に俺ん家を出たけど、あれはどういうことなんだ?」

「さあ? 私に言われても分からないわよ。それより急がないと遅刻よ」

「おっと、そうだった」

 美綴に促され、駆け足になる。HRまでには何とか自分の席に着けた。そしてチャイムが鳴る。

 

キーンコーンカーンコーン

 

 本来ならばこのタイミングで担任教諭が入って来る筈なのだが、遅い。後ろに座った男子生徒が自分に話し掛けてくる。

「なぁ、やっぱりタイガーは遅いよな」

「ああ、確かにな。けど、佐渡、お前そんな事を言わない方が良いぜ」

「確かにな……おっと」

 バタバタバタと足音を立てて廊下を女性が走ってくる。ドアが勢いよく開け放たれる。

「皆―、おっはー……」

 

ガスッ。

 

教室が静寂に包まれる。何故か。それはこのクラスを担当する女性教師、藤村大河が引き戸の縁を越えようとした時に足を引っかけ、教壇の床の角に頭をぶつけたのだ。教室は依然として物音ひとつ立たない。そこでやっと最後列に座る男子生徒が声を発した。

「最前列の奴、声かけてやれよ」

「うぇっ……!?」

「あ、あの、藤村先生……大丈夫ですか……?」

 最前列に居た女子生徒が勇気をもって大河に声をかける。だが、返答は無い。再び静まり返る。そこで佐渡が声をかける。

「なぁ、皆……ここはいっちょアレを言ってみないか?」

 その一言に今までの静まりが嘘のように教室が喧騒に包まれる。

 

「お前、気は正気か!?」

「自殺行為だぞ!」

「嫌! 私まだ死にたくない!」

「アレを言う位なら校内を裸で一周させられる方がまだマシだ!」

 

 もはや気を失っている大河などそっちのけだ。一通り反対の声が上がった所で、佐渡が再び言った。

 

「お前ら、ここで藤村の生死を確認するのにこれ以上の物はあるのか……? ……俺は、やるぜ」

 

 佐渡が前に躍り出る。その姿に皆は声も出なかった。さながら激戦地に向かう兵士の様であったからだ。息を吸う。吐く。その行為を何度か繰り返して、佐渡は意を決して言葉を吐き出した。

 

「タイガー、起きろー!!」

 

 しかし、またもや返答は無い。それで事態の重さを察知したのか、さっき大河に声を掛けた女生徒も言う。

 

「ふ、藤村先生、起きないと、タイガー先生って言っちゃいますよぅ……」

 

 しかし起きない。これを境にさっき反対していた彼らもわれ先にと声を張り上げる。

 

「タイガー、起きろよ!」

「タイガー、起きて!」

「戻って来て、タイガー先生!」

 

 そしていつしか声は同じものになっていた。音頭を取るのは佐渡だ。手を叩く。

 

「はい、タ・イ・ガー! タ・イ・ガー! タ・イ・ガー!」

 

 もはや大合唱であった。それを聞きつけたのか、もうHRが終わっていたのか隣のクラスの生徒も見物に来ていた。大合唱が始まって20秒後。大河の指がピクッと動いた。

 

「動いた!もう少しだ! いくぞ、それ、タ・イ・ガー!」

 

 少しずつ動きが全身に回ってくる。最後は、一際大きな声だった。

 

「タイガー、カムバ――ック!!!!!」

 

 次の瞬間。驚くべきことが起こった。

 

「あたしをタイガーって呼ぶな――ッッッ!!!!!」

 

 倒れていたはずの大河が背後に凶暴そうな虎のオーラを見せて仁王立ちをしていた。初めて目にしたらまず怯み、泣き出してしまうだろう。しかしクラスの皆はもう分かっているのか、お互いに喜んでいた。「良かった! 良かった!」と言う声があちこちで聞こえる。そして大河は状況が呑み込めず、目をパチクリさせていた。

 

「あれ……? あたし、何をしていたの……?」

 

 どうやら頭をぶつけたショックで記憶が無くなっているようだ。最初に声を掛けた女生徒が大河に話し掛ける。

「藤村先生、入って来た時にこけて、教壇の角に頭をぶつけて気絶しちゃったんです……」

「あら、そうだったの……? って、うわぁ! もうこんな時間!? ごめんね、皆、今日は特に連絡事項もないからこれで終わるわね! じゃ、また英語の授業の時にねー!」

 そう言い残すと来た時と同じく、バタバタと忙しなく廊下を駆けて行った。

 

 先程の合唱に参加せず、事態の推移を見守っていた衛宮士郎はそんな大河を見送った後、窓の外の青空に目をやった。

 

「平和だなー」

 

~END~

 




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