今日、第一高校では入学式が行われる予定であり、魔法師を望む全生徒が期待を心の中に膨らませて行くのだ。
中には二科生と不本意な入学を果たしたものもいるが、それでも国内トップの国立魔法大学進学率を叩き出しているこの学校へ入れたことは素直に嬉しいと思うだろう。
そんな晴々とした舞台を我は遅刻寸前な状況なのだ。そう、まさかの入学式という学校生活において重要な場面に遅れるところなのだ。
なぜこんなことが起きたというか、USNAで少し余興を楽しんでいるところ、時間を見れば日本換算でなんと8:10だったのだ。
それを見た時我はこの世の絶望を味わったかのように、夕方の時間帯でくそ叫んでしまった。そのせいで周りから変な目で見られたことは内緒で。
別に遅刻しようが我はどうでも良いのだが、深雪が大問題なのだ。遅刻などすれば間違いなく会ったら質問攻めされる。
そんなことで我は今どうすれば良いのか困っている。別に瞬間移動は使っても良いのだが、それはつまらぬ。
なら上空へ飛ぶの案もあるが、今日はその気分ではない。なら、海の上を走ろう!フハハ!我は天才か?
ああ、確かに転移の方が早いだろう。しかし!そんな安直な手段では、王たる我の入場に相応しくないではないか!(バカなんじゃないのby達也)
そう、登場とは『演出』なのだ。遅刻という失態すら、観客を魅せるための布石に変えてこそ真の王。
・・・という言い訳を脳内で100回ほど繰り返しながら、我は水面を歩ける能力がある宝具を使い、海の上を立った。
「よし、いざ参るぞ!」
バシュンッ!
そう音を立て、我は東京湾の上を爆速で滑り始めた。波を砕き、飛沫を蹴り上げる金色の閃光。空には朝日が昇り始め、まさに王の凱旋には最高の背景というべきか。
──なお、我の後方で派手に海面が炸裂しているのは、速度超過による水圧の副産物である。
「ふははは!どうだ、雑種どもよ!我が滑走を前に、海すら道と化すわ!」
と、誰もいない海上で叫んでいたら、たまたま釣りをしていた老人が口をぽかんと開けていた。
少し恥ずかしいがこの偉大なる我を見たことは一生の幸福だろう。忘れるなよ老人?
海面を走ってる間にあの沖縄海戦以降の我の行動について話そうか。なかなか濃い経験をこの三年間味わったからな。
まず沖縄海戦の直後、国防軍に新たな部隊が出来上がり、その名は国防陸軍第101旅団・独立魔装大隊。
そしてその部隊に我と達也が入隊してくれないかのオファーが来たのだ。最初は誰が雑種どもが作り上げた部隊に入るかと思っていたが、意外とお母様が我にお勧めしてきたのだ。
曰くこの機会で我を正式に四葉の人間として世界に公表し、それと同時に日本の新たな戦略級魔法師になろうとすることだ。
なぜそんなことをしないといけないのかと思ったが、ここで『全知なるや全能の星』が発動し、その真意を理解した。
お母様は今のところ、深雪を当主として仕立て上げ、その注目避けの役割をこの我に担おうとしたのだ。
ふむ、それなら別に入っても良いかと考えを改め晴れて独立魔装大隊へ入隊した。ちなみに階位は達也と同じ特尉だ。
それと繋がり、ついに我の存在が公になってからそれはもう荒れた。いや、荒れ過ぎた。むしろ公表しない方が良かったのでないかと本気で後悔するほどに。
まず我が四葉の子供であることが世界中で衝撃を受けさせたが、それ以上に我は『戦略級魔法師』として発表されたため、国は未成年を戦力、または兵器として公然と扱っているのではないかと、内外問わず炎上した。
国内のニュースは朝から晩まで「新たな戦略級魔法師、その実態は!?」「政府の倫理はどこへ行ったのか」などと騒ぎ立て、ネットはネットで「また四葉かよ」「え、なんかかっこよくない?」「しかもちょっと可愛いくない?」など、もはや魔法師としての実力よりも見た目と年齢に焦点が当たっていた。
外国の国たちはと言うと、我の情報を入手したいと躍起になったらしく、大亜細亜連合は日本を非難する、USNAは『スターズ』を送りつける、めっちゃ大変になった。
ちなみに『スターズ』とは個人的な繋がりと契約がある、というか我が一方的に決めたものだけどな。これは達也ですら知らない情報で、我とUSNAの超極秘取引なのだ。バレたら最悪日本に住めないかも。
そんなわけで災難がかなりの間続き、そのせいでなかなか外出できなくなってしまった。そのため、お母様に秘密で定期的にUSNAの山裏に定期的に行くようになり、そこで能力の特訓などをしてた。
ああ、能力と言えば。実は我、ついに完全な一つの人格となり、今まで迷惑をかけられたギルガメッシュ部分がうまい具合で『僕』の性格と溶け込んだ。
それでも他人のことを雑種や傲慢な態度をしばしば取ることもあるが、必要な時には敬語などを使えれるようになった。
あと口調もだいぶ大人しくなり、今までの刺々しい感が薄まり、どちらかというと「誇り高き貴族」といった印象へと近づいたように思う。
我ながら、時間はかかったが、まぁー良いとしよう。
これぐらいか?強いて言うなら達也と模擬戦を一回したのだがあの『分解』、ランクB以下の宝具は問答無用で分解されることがわかった。
流石にランクA以上の宝具の情報を消し去れなかったのか、ランクAの宝具をメインで出現させたら避けに徹底したのだ。
そしてもう一つわかったことは我はどうやら『分解』の対象にはならないと言うことだ。いや正確には我の『魂』が影響を受けないとも呼ぶべきか。
これは偶然の産物で、達也があまりの宝具の数に焦ったのか珍しく『分解』の対象を間違え、我に向かせたのだ。
体の方は一瞬で元素程度へ分解されてしまったが、我の魂は無事だった。つまり、正確には死んでない判定になったから体を再生する宝具を使い、体を再び再構成させたのだ。
これにはお母様めちゃくちゃ激怒し、危うく達也の命が亡くなるところであった。いくら我が許したと言っても止まらず、初めての親子喧嘩へと発展してしまった。
結果から言うと大惨事になり、四葉家が所持していた訓練場が消し炭になってしまった。あのお母様、何子供相手に本気になってるんだ!
だがいくら我が許そうとも達也は結局罰を受ける羽目になり、しばらくの間会えなくなってしまった。
流石の我も少し罪悪感を感じ、達也との接触禁止が解除された瞬間に一緒にUSNAに行った。そこでは普通の少年がやるような山での探検やキャンプなどを満喫し、初めて達也の笑顔を見た気がする。
案ずるな、しっかりとその笑顔の写真は撮っておいた。これをあのブラコン深雪に渡したら大喜びになり、そのまま我の写真ももらえないか交渉された。うん、なぜ?
そんな楽しい?とも呼ぶべき三年間の後、お母様からのお願いで第一高校へ受験し、見事にニ科生として入れた。
そう、二科生だ。これには理由があり、我が『王の財宝』を解放してから魔法の成長がピタリと止まってしまったのだ。
恐らくこの強大すぎる能力のせいで我の魔法演算領域のスペースが極端に少なくなってこうなってしまったと思っている。
魔法実技のテストを受けてた時、これ受かるるのか本気で思った。達也はまだ仮想魔法演算領域が在るから良いが、我は全くそう言うものがない。
だから実質我が十歳の時と同じ状態で第一高校の入試試験を受けないといけなかったのだ。だが我はギルガメッシュ!つまり!!この世において我が出来なことなんてない!!
そんなことも起こり、一応受かったからUSNAでパーティーを開催して、今この遅刻真っ最中の現状に繋がるのだ。
くそぉぉぉ!おのれ雑種!!貴様が我に酒など要求するからこうなったではないか!一応我未成年なんだぞ!!(飲んだが)
今頃深雪はかなりお怒りなはずだ。そんな深雪を達也はどうにか鎮めようとしてるのかな。ふっ、許せ達也。我は悪くない。あいつが悪いのだ。(何言ってんのこの人by作者)
ふむ。もうそろそろ日本に到着する頃だろう。はぁー、深雪にはどう弁明しようか。最悪達也を犠牲にでもしようか?
そんなことも考えながら数分後ついに日本の陸が見え、一分後には第一高校の門が見えた。
「我が来たぞ!」
そんなどっかのナンバーワンヒーローが言いそうなセリフを言ったあと、周りを見渡したら深雪と目があった。
え、深雪?・・・さーて。
「そうか、そうか。入学式は終わったのか。なら我は帰ろうではないか」
そう言い捨て、すぐにでも逃げる準備をしようとする直後にとんでもない寒気がした。
「ギルさん?そもそも入学式はこれからですし、なんで私から逃げようとしてるのですか?」
やばい。我はこの世界で最強なはずなのに、今は怖いと言う感情しかない。なんで後ろから虎みたいな幻覚が見えるのだ?もしかして深雪は精霊魔法使い?
「た、達也?」
「俺は何も知らん」
おのれぇぇぇ達也!!!我を見捨てるなど!!あとでボコそうではないか。
「ギルさん?なぜ、お兄様と仲良く話してるのですか?今は私だけに集中してください」
「そ、そのなんだ深雪。ちょっと『本家』の方で色々あって」
「はい、私自身もギルさんが忙しいと言うことは十分承知です。ですが、いくらなんでも入学式に遅れると言うのはどうかと」
心配してるなら背後にいる獣たちはなんなのだ!?え!!??さっきまで虎しかいなかったのに蛇も出現しているのだが?
こんな我を達也は写真を撮ったのだ。絶対殺す!
そんなめちゃくちゃ怯えてる我に突然、深雪がハグしてきたのだ。
「本当に、ギルさんに何かあったのか私本気で心配してたんですよ、」
顔を少し見ると目には少し涙があったのだ。
「そうだぞギル。深雪、ギルが中々来ないからって慌ててたんだぞ」
「・・・そうか。なら深雪」
「はい?」
「これからは遅刻しないように努めよう。これは約束などではなく、確定事項だ。わかったか?」
流石にこんな可愛い顔を台無しにするなど我には到底無理だ。
「はい!」
ほら、深雪には笑顔が似合ってるな。・・・あれ、そういえば。
「深雪。新人生代表の挨拶はどうした?」
「・・・あ、」
そう言ったら深雪は突然慌て出し、我と達也にお別れの言葉を言ったらすんごいスピードで走っていった。
「あの感じ、絶対忘れてただろ」
「仕方ないだろ。ギルが来ないからって周りを凍らす寸前だったし」
「それはすまん」
うーむ、やはりなぜ我がこんなに好かれてるのかわからないな。一応前世では深雪は超がつくほどのブラコンと聞くのだが。
「それでは入学式へと行こうとするか。達也、くれぐれも『正体』をバラすような真似などするなよ?」
「ああ、それはわかっているつもりだ」
本当か?我の視点からいうと、お前と深雪は隠すどころか『四葉』です!って伝えてるような行動が多いぞ?やはり魔法師というのは自己顕示欲が強いのか?
そのあとは七草に会ったり、クラスメイト二人と出会ったり、また七草と会ったり、色々と大変だった。
ちなみにあの達也、美月を殺そうとしたな。いくらなんでもそれはダメだ、この我が許さないからな。
そんなこともありながら、我の入学式の日は終わったのだ。この世界、我の愉悦のためにせいぜい頑張るがいい。
なんか久しぶりに書いたから口調とかおかしいかも。
はい、ということでついに本編開始しましたね!これから主人公はどんな災難に見舞われるのか、楽しみですね。
以下、エリカと美月と再びあった時のセリフです。
「お二人のオーラは、凛とした面差しがとてもよく似ています」
「ッ!!」
「達也、変なことなど考えるな。わかったか?」
「・・・ああ」
「あ、なんか変なこと言ってしまいましたか?」
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