作った人形が四代目を盗っていった   作:うろ底のトースター

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【注意】話が一気に飛びます。

元々オリ主と影紬が絡むシーンしか書かない予定だったので。




Fall in you./Life in ash.

勇者パーティの旅は過酷を極める。彼らの仲間になってすぐに思い知らされることとなった事実だ。

 

グランゴルドで、六祖の玉藻や伝説のリリスナイトメアとやり合った。神鳥の復活のため、過去の魔王城へ侵入することもあった。30年前に()()()()()天国にて、女神イリアスの終わりを見た。

 

各地の異変を沈めた。現実の魔王城に向かった。15世のアリスと戦った。

 

女神の方舟に乗った。魔界で何度も絶望を叩きつけられ、その度に誰かが命を散らした。

 

そしてなんとなく、次は俺なんだろうなと予感した。

 

 

 

 

「こんなところに、居を構えていたなんてな」

 

そこは、人形遣いの塔と呼ばれていた。険しい山々に囲まれ、たどり着くためには洞窟を通らなければならない、悪質な立地。なるほど悪巧みにはちょうどいいわけだ。

 

聞けば、ルカ達も1度ここを訪れたことがあったらしい。果たして何を思って、彼らに人形遣いの命とも言える糸を渡したのか、今となっては分からない。あるいはあの子の愉悦がそうさせたのかもしれないが。

 

「ずっと考えていた」

 

何故あの子が、我々との決戦をここで行わなかったのか。

 

何故あの子が、ここに立ち入ることを嫌ったのか。

 

何故あの子が、俺だけを名指しで呼び、来るなと言ったのか。

 

「で、()()が答えか」

 

「ええ、その通り」

 

最上階。悪辣な笑みもなく、行儀よく、日本人形のようにあの子は座っていた。傷一つない躯体、僧侶のような前掛けも血濡れの札もない完全な黒子衣装。間違いなく、俺の作った()()()()()

 

「ひとつ聞く、何故こんなことをした?」

 

「半分は楽しかったから」

 

懐から拳銃を取り出しながら、答えた。

 

「陛下の作る喜劇が、愉悦が、混沌が、楽しかったから」

 

弾倉を確認し、再度差し入れてリロードを完了させた。

 

「もう半分は、あなたを苦しめた影紬の名を地に落とすため」

 

撃鉄が上がる。

 

「こんなものがあるから、あなたは母に、そして血統に呪われた。いわば復讐なんですよ、これは」

 

銃口が、向けられた。

 

「では、私からも質問です」

 

銃声が響く。

 

「何故、勇者の旅に参加したのですか?」

 

弾丸は、俺の耳を掠めて通り過ぎた。

 

「世界を救う英雄にも、大悪を成す悪役にも、その犠牲になる脇役にもならず、舞台に上がらない黒子であれますように。そう願って私の衣服を編み、名をつけたはずです」

 

また、撃鉄が上がる。

 

「何故ですか」

 

銃口を向けるあの子の顔は、酷く悲しそうに見えた。

 

「俺の人形でさ」

 

ホルスターからリボルバーを引き抜く。

 

「色んな人が笑ってくれたんだよ」

 

弾を確認。六発しっかりと装填されている。

 

「特に子供が嬉しそうにしてくれてさ、中には買ってすぐさま名前を付けた子もいて」

 

撃鉄を起こす。

 

「その顔が好きだったから、ルカが笑えないのが嫌だった」

 

銃口を向ける。

 

「それだけだよ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう、ですか」

 

二度、銃声が響いた。

 

 

 

Fall in you./Life in ash.

 

 

 

放たれた銃弾は両者の胸に吸い込まれるように命中し、一方は堪え、もう一方は耐えきれずに吹き飛ばされた。

 

「諦めろ」

 

「はは、面白いことを仰る」

 

人形の躯体故に、胸を貫かれる程度で生き死にに関係しないが、それでも傷の大きさが違いすぎる。このまま続ければ、影紬は確実に破壊される。

 

それがなんだ。

 

「諦める?」

 

ゆっくりと、ゆっくりと立ち上がる。顔にはめいっぱいの笑みを浮かべて、あくまで道化であるように。

 

「そんなこと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

感情という、人らしくあるための機能が叫ぶ。やめたくない、やめるわけにはいかない。諦められない。

 

「私はあなたの最高傑作。ここで感情を捨てただの操り人形戻るのは、あなたへの侮辱になります」

 

「何がお前をそうさせる」

 

「あなたが私にくれた愛情です」

 

「っ!」

 

銃弾二発、うち一つがガラス玉の瞳を砕き、黒子(コクシ)の視界の半分が黒く塗りつぶされた。

 

「それに」

 

咄嗟にリボルバーを向けるも、既にそこに影紬の姿はなく、次いで重い衝撃が腹部を打ち抜いた。

 

「くはっ」

 

あなたの最高傑作(わたし)が、私の最高傑作(あなた)に負けるわけがないのです」

 

後転の要領で距離を置き、副武装の短剣を構えれば、その腕を引き寄せられて顎、胸、腹を即座に突かれる。

 

「私が勝てば、あなたが最高の人形遣いだと証明される。私が負ければ、あなたはついに影紬という呪いを打ち破り、私の復讐は果たされる。どちらに転んでも、私にとっては喜ばしいのですが」

 

2丁の銃口。

 

「勝ちます、負けるわけがないから」

 

銃声。二発の弾丸が胸を貫いた。

 

 


 

 

「気にしないよ、そんなこと」

 

「え?」

 

走馬灯、というやつだろうか。サン・イリアで影紬と鉢合わせ、関係を問われたときの記憶だ。正直、精神的なダメージが大きかった。あの子が命を奪って、あの子の生んだ人形が街を壊して、苦しかった。

 

散々罵倒される覚悟はしていたのに、ルカはなんてことないように言ってのけた。

 

「むしろ、親に命を奪われるだなんて。その、気の毒だったね」

 

そう言ってのけるルカの背後で、イリアスが頭を抱えていた。

 

「あなたがあれを被造物と捉えるか、我が子と捉えるかは知りませんが、作った以上、産んだ以上、あれのやることの責任は確かにあなたも背負うべきです」

 

「イリアス様!」

 

「でも・・・作らされたのでしょう?なら、あなたは重く考える必要はありません。ただし次に会ったなら、しっかりと教育なさい」

 

反応様々。けれど、誰も俺に嫌悪を示す者はいなかった。

 

 

 

 

「・・・すまないな」

 

「お姉ちゃん!」

 

場面が変わる。これは、影紬の魔界工房での場面。智の同盟より一人生き残ったラ・クロワが、全てのスペアを破壊した後、影紬と刺し違えたときの記憶だ。

 

「奴を叱るのは、お前の役割だったか」

 

「もういい!喋るな!くそ、何か方法が・・・!」

 

そのときの俺は、これ以上影紬の手で誰かが死ぬのを見たくなかった。だから、もう無理だと分かりながらも手を尽くそうとした。

 

「聞け」

 

手を握られる。死に体とは思えないほど、力強く。

 

「お前は悪くない、背負いすぎるな」

 

「なん、で、みんな・・・」

 

「クロムを頼んだ」

 

せめて、叱責してくれたなら楽だったのに、そう思った。

 

 

 

「このノートには、俺の人形遣いとしての知識を全てつぎ込んだ」

 

そしてまた場面が変わる。第三の神の居城地下、生きていた影紬とついに決着をつけたクロムに、俺が後を託そうとしている。

 

「いや、いやじゃ!そんな、今生の別れのような!やめてくれ!」

 

泣きじゃくりながら、ノートを受け取ろうとしないクロム。反対に、ネクロマンスで召喚されたラ・クロワは、既に察してくれていた。

 

「背負いすぎるな、といったはずだが」

 

「無理な話だ。それが俺だから」

 

「難儀な生き方だ」

 

同感だと、久しぶりに笑っている。

 

「クロム」

 

「いやじゃ、いやじゃ・・・ししょぉ・・・」

 

師匠だってさ。我が子の教育もまともにできないのに、そう呼んで慕ってくれるなんて。

 

「・・・クロム、託されてくれるか?」

 

「ぐずっ・・・うん」

 

泣き腫らしてびしょびしょの顔で、彼女は受け取ってくれた。

 

 

 

 

「既に未来は託した」

 

撃たれた衝撃を利用して距離を置く。

 

「クロムはきっと、影紬(おれ)の技術を更に発展させてくれる」

 

即座にリロードを済ませ、あの子の脳天に狙いを定める。

 

「残念ながら、影紬は絶えない」

 

「何を・・・!?」

 

俺は、過去に置いてきたもの全ての責任を果たす。

 

()()()。四代目影紬として、お前の創造主(おや)として、俺はお前の全てを否定する」

 

 


 

 

「誰でもない、あなたがそれを言いますか」

 

コクシに失望はなかった。ただ悲しかった。己を作り出した存在に、己を愛した存在に、己を否定されることが。

 

だから、もうこの気持ちを理解してもらえないのだと、諦めた。

 

撃鉄を鳴らす。

 

「では、ラストダンスを」

 

───疾走。

 

威力と射程に劣るコクシは、近付かなければ勝利はない。反面、取り回しに若干の問題を抱える影紬は、近距離での勝負は望むものではない。

 

と、言うのがコクシの判断。

 

対して影紬の判断は、同じく疾走。肉体の損傷具合を鑑みて、リスクを背負っての短期決戦に挑んだ。

 

優位性を捨てる行動に一瞬目を見開くも、ならば好都合とガンカタへ移行。リボルバーに警戒しつつ、死角から攻撃を仕掛け────。

 

「・・・・・・は?」

 

リボルバーが宙にある。

 

一瞬の停止。致命的だった。

 

組み付かれる。

 

「くぅっ」

 

所詮ベアハッグの形で、腕ごと腹部を締められる。武器を捨て、囮に使ったリスクの高い作戦は、確かな成果を生み出した。

 

体格で劣るコクシは、この状態から抜け出すことは困難であるが、躯体のスペックがほぼ同等故に決着はつかない。

 

いや、むしろ。

 

「このままでは、より損傷の激しいあなたが、先に壊れるのでは?」

 

「だろうね」

 

事実、緩やかにではあるものの、締め付けは確かに弱まっていた。拘束が解けるのも時間の問題だ。

 

「だから、()()()()()()()()()()()を使わせてもらう」

 

 

 

 

 

カチリと、体内から音がした。

 

「違う」

 

首を振る。

 

「だめです」

 

首を振る。

 

「やめて」

 

首を振る。

 

「それは、それだけは、そんな幕引きは違います!」

 

声を荒らげて叫ぶ。

 

「酷い、酷い、酷い!醜悪です!なんで、そんな、どうしてそこまでするのです!」

 

影紬の、体内の熱量が跳ね上がる。露出した肌は少し赤く、穴の空いた胸からは尋常でない光が溢れ出す。

 

「コクシ、お前は失敗した」

 

───それは、コクシの失策。

 

元来、『人のような人形』を追求した自身の体、それを参考に作り出した創造主(かげつむぎ)の躯体は、限りなく人に近い。

 

が、しかし。

 

悪癖と呼べばいいか、芸術家を気取るコクシは、一つの失敗を、その躯体に仕込んでしまっていた。

 

人と決定的に異なる点。

 

人と圧倒的にかけ離れた点。

 

せめて最期は、美しく。そう願ったが故の、不器用な愛故の、欠点たる()()

 

即ち───。

 

「自爆装置起動、俺ごとお前を吹き飛ばす」

 

「あなたは・・・なんで・・・」

 

「言ったろ、お前の全てを否定するって」

 

存在否定。唯一の汚点を用いて、誇るべき最高傑作たる自身の躯体を破壊されるという最悪の結末。

 

「これが俺の責任だ」

 

「───本当に・・・難儀な人です」

 

かくして、評決は下される。

 

紅蓮が全てを飲み込み、二つの人形が灰に消えた。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカなんですか?」

 

「すみませんでした」

 

現在、俺はコクシ(首だけ)と一緒にイリアスに怒られている。

 

あの後、というか、()()()()()()()、俺たちは混沌の神を生み出すために智の同盟を救助し、結果コクシを捕らえることに成功した。

 

周回と言ったのは、ルカが世界を何度も繰り返していたから。そして、ちょうど前回が俺とコクシが殺し合った世界らしく、ルカからイリアスにチクられた結果、叱られるに至ったわけだ。

 

本気で反省してる俺とは反対に、コクシは何処吹く風といった有様。何がそんなに嬉しいのか、俺の膝の上でニコニコとしている。

 

「創造主としての責任、それを果たしに行ったというのは、ええ立派ですよ。あの邪神も同じことをしましたし、その行動自体を否定はしません」

 

「褒められてますよマスター、良かったですね」

 

「お前は黙っとこうか」

 

「うるさいですよ!」

 

叱られてしまった。この子のせいなので、軽く頭を小突いておく。

 

「ええ、いいですよ。認めますよあなたの行動は。でも自爆はないじゃないですか!?」

 

「・・・はい」

 

「ないですよね」

 

「だから静かにしてろって」

 

「いやでも自爆は本当にないですよ、マスター」

 

「そもそもあなたが仕込んだんじゃないですか」

 

「ええ、あのときの私はあまりに未熟ゆえ」

 

「でもお前の最高傑作は?」

 

「あ♡な♡た♡」

 

「「えへへへへへ」」

 

「どうやら首だけになりたいようですね」

 

「やめてください」

 

ふざけすぎか、さすがに。

 

「・・・そも、なぜ自爆なんて手を?あなたなら、破壊して帰るくらいできたのでは?」

 

「できましたけど、それじゃ意味がない」

 

「意味がない?」

 

「俺は、こいつの全てを否定しなきゃいけなかったんです」

 

「だから、『人のような人形』にいらないはずの自爆装置で、私を破壊したんです。ええ、私の最高傑作に含まれている唯一の欠点でね」

 

「よく分かりません」

 

「「はぁ、これだから娘に離反される神様は」」

 

「お、喧嘩ですか?」

 

「まあまあまあまあ」

 

「今はほら、仲良いじゃないですか」

 

「この羽を見てもそう言えますか?」

 

「「ぷっ」」

 

「やっぱり喧嘩売ってますよね?買いますよ?」

 

閑話休題。

 

「はぁ・・・、疲れました」

 

「お疲れ様です」

 

「誰のせいだと・・・!いえ、今はいいです」

 

おっほん、とわざとらしい咳で仕切り直たイリアスは、大真面目な顔でコクシを見た。

 

「影紬」

 

「コクシです」

 

「・・・・・・コクシ、本当にもう何もしないのですね?」

 

「今更裏切るなんて、冗長で蛇足的。面白みがありません」

 

「「ね〜」」

 

「いちいちイラつきますねあなたたち」

 

人が仲良さげにしているところを見て腹を立てるなんて、やはりイリアス様は性格が悪いらしい。え、コクシ?我が子の性格が悪いわけないじゃないですか。

 

「体を取り戻そうとも思わないのですか?どうせ別の躯体があるのでしょう?」

 

「完全に壊れることのできない今、他の躯体を起動することはできません。仮にできたとしてもしません。まだ生首のままマスターに抱かれている現状を楽しみたいので」

 

「お望みとあらばいつでも」

 

「私はあなたの下に生まれて幸せです」

 

「「えへへへへへ」」

 

「あーもうだからいちいちイラつくんですよそういうところが!」

 

「「ごめんなさい」」

 

怒りを鎮めるためだろうか、一度深呼吸を挟んだイリアス様は、次に俺を見た。冗談も茶化しも許さない、そんな目をしていた。

 

黒子(コクシ)、いえ、影紬」

 

「はい」

 

「命令です。この先、その命を粗末に扱うことを禁止します。勝てるなら勝ちなさい。逃げられるなら逃げなさい。──生きれるなら、生きなさい」

 

「・・・・・・はい」

 

「そして、自らを親とするならば、子の前で死んではなりません」

 

「それは・・・分かりました」

 

「ふぅ、少し疲れました。あとは2人で勝手にどうぞ」

 

疲労困憊といった様子で、何やら難しい話をしている学者連中に混ざりに行ったイリアス様を見送り、ついに2人きりになった。

 

コクシの笑顔は崩れない。けれど、その表情は狂気というより、幸福に染まっていた。

 

「大切にされていますね」

 

「そうだねぇ」

 

苛烈な旅の中の、貴重な穏やかな時間。喧騒に取り残された俺たちは、あのアトリエで過ごした時間に戻ってきたみたいで、懐かしい気がした。

 

「こうして、またあなたの膝の上で抱かれるなんて、思いもしませんでした」

 

「もう会わないように、なんて言ってたしな」

 

「ええ、本心でしたよ。あなたには舞台に上がってほしくなかったので。私に着せた黒子衣装、忘れたのかと思いました」

 

「ごめんって」

 

「タイツを脱いで生足で膝枕してくれたら許します」

 

「お、変態か?脱ぐからちょっと置くぞ」

 

「ありがとうございます」

 

「うんしょっと、ほれ、ご要望の生足だぞっと」

 

「うん柔らかい、さすが私です」

 

「満足そうで結構」

 

そのままコクシは一頻り楽しんで、少しだけ深く息を吸って、吐いた。

 

「───これから、盤面は大きく捻れるでしょう」

 

「だろうね」

 

俺にはよく分からないが、第三の神の近くにいたコクシには分かるのだろう。大きく捻れる、チェスや将棋、リバースという遊戯の枠を大きく外れ、ゲームの体すら取り繕えず、恐ろしい何かが破滅を齎す、そういったところだろうか。

 

おそらくこれからの旅は、今までとは比にならないほど過酷なものになる。

 

「死なないでください」

 

コクシは、笑ってなかった。

 

「私は2度、あなたを失いました。きっと、3度目は耐えられません。だからもう、死なないでください」

 

「分かった」

 

「あと、もう離れないでください。離さないでください」

 

「分かったよ」

 

知っている。きっと大変な旅が、死と破滅が背中を焦がすような、絶望から始まる旅が始まる。けどまあ、きっとなんとかなる。なんせ勇者ルカとその仲間たちがいるのだから。

 

そして、俺とコクシがいるのだから。きっと、どうとでもできる。

 

いつか、混沌の晴れるまで。いつか、平穏をもう一度この手に入れるまで。

 

「頑張ろう、コクシ」

 

「ええ、頑張りましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・マスター」

 

「・・・・・・なに?」

 

「お母さんって呼んでいいですか」

 

「今めちゃくちゃシリアスな雰囲気だったよな?唐突にふざけるのやめてくないか?」

 

「大真面目です」

 

「むしろ怖いわ」

 

「あなたが私を我が子と言うなら、私にとってあなたは親、つまりお母さんです」

 

「いやお前生んだとき俺生身ぃ。せめてお父さんじゃない?」

 

「ママ」

 

「悪化してんじゃねぇか」

 

「ママ、甘やかしてください」

 

「そんな歳じゃないだろ」

 

「ダメですか、お母さん」

 

「はぁ、まあいいか」

 

結局真面目にいれない俺たちのふざけ合いは、ヒートアップしすぎてイリアス様に雷を落とされるまで続いた。

 




ということで、一応の完結です。
あとは気が向いたらちょくちょく2人の短編をあげる感じで。終章、どちらのルートもとんでもねぇことしでかしたやつなのに最終章で何故か好きになる、不思議なキャラですね、影紬。個人的に元敵の中では1番キャラが濃いんじゃないかと思います。だからエミュで苦労する場面が多かった印象。今もこれでいいのかなと思ったり思わなかったり。

閑話休題。以下蛇足です。

四代目影紬→コクシ
初めて一人で作った人形。思い入れが深く、本人は否定するだろうが、初めて母親に褒められたきっかけということで無意識に溺愛していた。自我に気付いたあとは、人形ではなく自分の娘として扱うように。子育て失敗でどこぞの邪神が如く荒れたが、責任は果たした。イリアスは曇った。

コクシ→四代目影紬
クソデカ複雑感情。人形師としては絶対に叶わない、芸術家としても一歩劣るというコンプレックスを抱えており、いつか超えてやろうとか思いつつも、超えてしまえば自分は世界最高の人形の最高傑作でなくなるので超えたくないとか思いながら結局どうやっても敵わないのでさらにコンプレックスが深くなる面倒臭いやつ。先代を殺したのはマスターを殺された復讐ではなく、マスターを失敗作扱いしたから。自分が失敗作に作られたわけないだろ、ってか創造主に反抗したら失敗作ならお前が死ねば反抗も何もなくない?失敗じゃなくなるな、ヨシ!というノリで殺害。お前の方が失敗作の意味を込めてバラバラ殺人を決行。ただ復讐心はしっかり残っており、マスターの一生を狂わせた影紬の名を貶めようと画策。高い自己顕示欲は実際は影紬の悪名を広めるための演技かはたまた素か、今となっては分からない。
最終章後はセルフ着せ替え人形しながら四代目の補佐をしており、世界中に復旧作業用の人形を制作、派遣している。黒子衣装は殿堂入りとして、最近のお気に入りはメイド服。


四代目の武器
『バーティクトデイ』
ピースキーパーを自身専用にカスタムした特殊なリボルバー。人形が装備すると、器用と素早さをより大きく高め、銃技を大幅に強化する。
実は銃自体が小さな人形になっており、四代目以外が触れると暴れる。
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