メイフィールド   作:コンテナ店子@コミケ出ます

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第16話「忘れんな、今の私らは死んだ方が喜ぶ人間が多いってことをな」

 ただ歩いてるだけなのに、勝手に笑みがこぼれちゃって。それのせいで顔を斜め下に向けながら手や腕で顔を覆うようにしてる。目が細くなっちゃってるからかもだけど、視界が狭くなっちゃってた。だけど、その間も僕の足は進めるたびに砂が音を立ててる音がする。

 

 笑っちゃう声を出しながら両手を広げてくるくる回りながら進んでる僕だけど、そのまま倒れそうになっちゃうのを何とか足を大きく開いて抑え込んで。それと一緒に腕も大きく両手で開きながらいた。そしたら、体勢を戻しながら自分の耳の辺り両方の手をギリギリ触れるくらいの感じにする。

 

 それから小さく口を開けて。小さな声で「またすぐ来てくれ」って言ったら、それだけでまた、両手を無駄に振り回しながら先に向かって走り出す。自然と頭が前のめりになっちゃって。それを戻そうとしたらかえって体のバランスが後ろの方に向かってた。そしたら視界のほとんどが空の色だけになるけど、でも、それでもずっと、そっちの方を見ながら走ってた。

 

 それがようやく止まったのは、ンウニュさんや兵頭彩芽がいる洞窟の入り口に来た時。それが見えた時から足のペースを遅くしちゃってたけど、でも、止めてはいなかったのに対して、そこにたどり着くや否や、両方の腕を握ったまま落っことして。それを体と平行にする感じのまま落っことしてる。

 その入り口に真正面で立ってると、その中の赤と黒が混じり合ってる色とその前に広がってた大きな穴の先が明るいのに見えてないのが真正面に来てて。それを顔を斜め下に向けた状態で見つめてた。

 

 すぐに体を翻しながら戻ろうとしたら、僕がずっと辿ってきた道筋が真っ赤に染まってて。何度も力を入れて飛び回りながら走って来たせいで、足取りが飛び飛びなってるところまで完全に同じように出来上がってる

 

 僕はまっすぐにそれを見つめてるだけで息を吸いながら小さく口を開けてた。そのまま視線を左右に動かしながら一歩足を後ろに下げようとするけど、それで何になる訳でもなくて。ただ自分の体を抱きしめ、その手に掻いた脂汗を制服で拭きながら体を左右に振ってまっすぐ前に進む。自然と体が洞窟の中にまで入ったのが周囲に反響する音だけでわかった。

 

 

 

「どうだった」

 ずっと顔を伏せがちにしながらまっすぐに、早歩き気味で進んでたのもあって、兵頭彩芽のその声がするまで、2人の所に来てるのに気づかなかった。それのせいで顔をふっと持ち上げながら両方の手をまだ地面に向けてるけど軽く持ち上げて。

 

 そのまま小さく「えっと」とだけつぶやきながら視線を横に向けると、トカゲの世話をしてたンウニュさんが僕の方に視線をぶつけてるのと向き合うことになる。そのせいで、また声を出しながら明後日の方を見る。

 だけど、そっちの方に何かがあると言えばそういうわけでもなくて。自分の親指だけを出した左手を右手で何度も握ったり力を抜いたりを繰り返してた。

 

「ストライカーさんが僕に」

 

 わざと抑揚を強めに付けた話し方をしてる僕に対して、2人ともこっちの方を見ながらただ何もせずに見えてる。ンウニュさんも一度トカゲの体を拭いてた手を止めたままそれを降ろすこともしないでこっちの方を振り返ってる。

 

 そっちの唇は紡いだままだし、手にしている真っ黒な布みたいなのを握り締めたしわみたいなのも一緒。

 

 それに対して、こっちは最初は兵頭彩芽の方を見てたけど、そこから口を開けた状態のまま次の人の方を見てて。それからまたもう一度眉を落っことしながら顔を下に向ける。最初に話してた時は言葉を早口めに進めてたのに、それが終わった後はまた数秒間声を止めてた。

 

「泊ってって言ったから、そうしてきた」

 

 続けて出た声は、さっきまでよりはまだちゃんと出た声で話す。その間こっちはただ相手の方をまっすぐに見つめるだけに。

 ただ、それに対して、兵頭彩芽の方はただ「そうか」とだけ言うと、また片方の足だけを座ってる岩の上に片方の膝だけを乗せて。その持ち上がった箇所に片方の腕を力なく乗せたまま眉を落っことしてた。

 唇を紡いだまま眉のあたりにしわを作って、下を見たまま同じ方向にもう片方の手をまっすぐ落っことしてるだけにしてた。

 

 だけど、そう思った次の瞬間、髪の毛に指を入れてると思ったら、すぐにそこを掻きむしりながら目を強く瞑ってた。それから強く声と一緒にため息を吐きだしてた。

 そんな相手の姿を見てたら、僕も唇を平たくする感じにしながら、最初の一歩だけは足と一緒に体も一歩前に出す感じで相手に近づいてって。でも兵頭彩芽のすぐそばに行くことににはそれのペースも歩幅もだいぶ遅くなっちゃってた。

 

「あの、僕思うんだけど」

 

 向こうのほぼ斜め前辺りに立った状態で。しばらく喉が締め付けられるような感覚を感じながら両方の手を後ろに回しながら話せない状態が続いてから相手の方に顔を向ける。

 

 なるたけいつも通りの話し方をするつもりで話したけど、一度声を止めたタイミングでも、少しの間は兵頭彩芽の方も何も言わないし何もしない状態でただ自分の足が届いてないし影もない地面の方を眺めてる。数秒後に、僕の方を見つめて来た。

 

「やっぱり帰ろうよ、あの人、そんなに悪い人じゃ……」

 

 言葉1つ1つを確かめる感じで話してく僕に対して、兵頭彩芽はこっちの方を今回も見る訳でもなくて。周囲は静かな時間だけが続いてると思った次の瞬間だった。

 僕らの後ろの方で急に姿勢を変えたみたいでンウニュさんがバタバタした音を立てながら体を進行方向の方に傾けて、岩陰から出て僕らの様子を見に来てた。

 

 一方で僕の声を聞いたはずの側は自分の顔に親指と人差し指を重ねたものを押し込みながら鼻の形を潰す。そのままゆっくり口から細い息を吐く。それから見てるこっちでもほとんどその変化してるタイミングがわからないくらいのペースで唇を紡いでた。

 

 続けて、向こうの目がギリギリ開いてるのかどうかわからないくらいの範囲でしか開かずにいるほど瞼を細くしてるけど、でも、その姿ですらもどこから来てるのかわからない光で照らされてる。

 

「帰るってどこだよ」

 

 顔の向きは変えないまま、口を動かしてるのか全然わかんないくらいの範囲でしか動かしてない声をこっちに聞かせてくる。それ以外には向こうは今も動かないままいて。それを僕も見てるだけになってるし、後ろにいるだけのンウニュさんも同じで何も音がしない。洞窟全体が静寂に包まれてるみたい。

 

 ただ、そのままいるわけにもいかなくて。唇を尖らせて嘴みたいにするのを一瞬だけやりながら顔を髪の毛と一緒に持ち上げながら、両方の手を強く握りしめながら床の方に向けた。

 

「それは学園に……」

 

「あいつらからしたら今の私らは罪人だぞ」

 

 僕の言葉の続きを待つよりも先に兵頭彩芽の方から声を出してきて。膝の上を手で大きく叩きながらその音をこの空間全体に聞かせるくらいの勢いで立てる。それだけじゃなくて体を前のめりにしながら顔を僕の方へと向ける感じでじっとこっちを見てくるから、そのせいでこっちはすぐに顔を反らすことになるけど。でも、もう一度すぐに相手の方を見つめる。

 

 そしたら、今度は兵頭彩芽の方が立ち上がろうとしてるせいで僕の方から足を数歩後ろの方に下げることに。それのせいでこっちはやだけど口を開けながら目線を横に反らして後ろに数歩だけ下がることになる。

 

 一方で、相手も僕の方に近づいてくる感じになってるせいで、口をまた閉じそうになったりそれの反対の動きをさせたりを交互に繰り返すことに。その間も、向こうは胸を張る感じの体勢でこっちに近づいてくる。

 

 ただ、それに対して自分の胸の所に両方の手を近づけて力ない握りこぶしの関節同士をくっつけ合わせながら喉を締め付けて相手に顎を近づける。ただ、向こうのまっすぐ進む足取りとこっちの後ずさる足音がわずかな砂を擦る音だけがしてた。

 

「忘れんな、今の私らは死んだ方が喜ぶ人間が多いってことをな」

 

 こっちの手元に兵頭彩芽のが押し込まれる感じで、その中心部分に手が添えられる。そのまま押し込まれそうになるのを喉を締め付けながら眉間にしわを寄せていた。ただ、それで眉を落っことしながらいる間。左側の手で自分の制服の胸元を何度も掴むか掴まないかみたいな動きを何度も繰り返しながら視線を左右にきょろきょろ繰り返す。

 

 だけど、そっちの方で僕らが動くことでそっちに転がってるほんのちょっとの砂たちが赤色がひっくり返って白くなってる様子がこっちにも見える。それに対して何もすることもないけど、でも、兵頭彩芽の方を見ることも出来なくて。目を強く絞って瞑っちゃう。

 

「でも、もも姉が……」

 

「桃香もそうだ。桃香にとってもお前なんか足手まといだ」

 

 瞑ってたはずのそれをハッとした勢いと一緒に起こして。それと同じ動きで相手の顔をぶつかりそうなくらいの勢いで相手の顔の動きに応えることに。

 

「そんなことない! もも姉は僕のこと抱きしめて、来てくれてありがとうって言ってくれて、僕のこと」

 

「なら、ストライカーを殺すしかねぇ。手ぶらで帰ったら殺されるぞ」

 

 こっちの方から同じ位置で足と両手をもう一度落っことすくらいの勢いで振り落としながら大きな声を出して。遮られるまでの間ずっと同じ声で話し続ける。だけど、向こうがこっちの言葉に対する答えを言ってる時ですらもこっちの声が何度も反響してるみたい。

 

 一方で、兵頭彩芽は自分の言い分だけが終わったら、すぐにまたさっきまで座ってた場所に戻ってる。それだけじゃなくて姿勢ですらもさっきまでと同じものに。それからただ時間だけが過ぎてる。僕が静かな時間の中で立ってるだけにしてて。

 

 それから顔を下向きから上向きに変えたら、それに合わせてゆっくりと回る風景の中で床が見えなくなった途端にどこまで続いてるのか見えてるはずなのに距離があるせいで小さく見える天井の模様。

 

 続けて最後に見えてるのは、ただ赤と黒が交じり合ったような色をしてる天井のデコボコしたのが見えてるくらいだった。




読了ありがとうございます。
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