メイフィールド   作:コンテナ店子@コミケ出ます

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第25話「悪は必ず潰される。たまたまその相手が私だった」

 銃を突きつけた状態のまま動かないでいる兵頭彩芽に対して、ストライカーさんも正座したまま体を少しだけ前のめりにするみたいな体勢を変えずにいた。そのままただ時間だけが過ぎる中で。僕も体をほんの少しだけ前のめりにしながら2人がいる方を見るだけにしてる。

 

 だけど、それも数秒間で終わって、銃の先の方が手で折り曲げられてて。その時にはもう兵頭彩芽の方も発砲してるはずなのに全く意味がなくなってる。

 相手の方を見ながら座ってた方がまっすぐに足を延ばして立ち上がる間、見ている側も抵抗しようとしてるのかもだけど、気づけばもう空中を回された後に地面へと叩きつけられていて、そこの石畳にひびが入る。さらに、打ち付けられた側が銃を地面に落としながら口から血反吐を吐き出してた。

 

 自分の顔や胸元に吐きだしたそれがこべりついてるけど、ただ胸を何とか上下に動かしながら甲高い呼吸の音を僕らだけに聞かせてる。一方で、やった側はただその様子を立って見てるだけにしてて。

 そっちに数歩だけこっちも近づくけど、それで何になる訳でもない。ただずっと今も口で息をしてるその様子を眺めつつ唇を前に出しながら、片方の手をもう片方の手で揉むみたいな動きをさせてた。

 

 しばらくすると、ストライカーさんの方から相手のすぐそばにゆっくりとしゃがみ込む。その様子を僕は立ったまま見つめてるけど、それでも僕自身はもちろんそっちの2人の体のどっちもが影になってる場所なんかなくて。

 

 唯一違う所があるとすれば、赤黒い血くらいで。だけどその量は体中にたくさんの穴を開けられてるストライカーさんの方が多いのはこっちから見ても明らか。砂やほこりが溜まってるわけでもない、ただ石畳だけが並んでるこの場所で。そこに血が付くことは今のところはなさそうだった。

 

「悪は必ず潰される。たまたまその相手が私だった」

 

 持ち上がった膝の上に両方の腕を乗っけたまま親指と人差し指を重ね合わせたのを言葉と一緒に前後に動かしてる。

 言われた側はただ何もせずに空の方に視線を向けてることしかできなくて。そっちの方を虚ろな目で見つめてるだけ。

 

 僕も兵頭彩芽に続く感じで同じ方を眺めてみるけど、遠近法のせいで左右の伸びてる壁が狭まって上の方が見えにくくなってる。でも、その先にあるのは最初の時からほとんど変わってない色をしてる空があるのみだった。

 

「それだけだ」

 

 ただ僕がそっちを見てる間にまたストライカーさんが兵頭彩芽に話しかけてるけど、その間も僕は薄目でずっと同じ雲も太陽もないそっちの方を眺めるだけに。それを辞めることになったのは、そっちがシールドを貼って遠くから来た攻撃を防いだ時だった。

 

 その音で相手の方を見るけど、そっちはただ立ったまま穴の人がいると思う方に向けて手を伸ばしてシールドを貼ってるだけ。

 いつの間にか立ち上がってたその体は降り曲がってる所なんか1か所もない。ただそこでまっすぐに立って向かってくる攻撃を受け止めてるだけ。

 だけど、その思って僕もそっちの中に入ろうとした矢先、銃声と一緒に僕が視線を逸らすことになって。しばらく顔を腕で覆いながら下に向けてるだけにしてた後に元に戻す。

 

 そしたら、ストライカーさんが向こうが体をうずくまらせてる上に障壁も消えてて。倒れてた時の仰向けの体勢でハンドガンを持ってる兵頭彩芽が素早く立ち上がって次々ストライカーさんに向けて片手で持ったそこから次々発砲。

 それを手で防ぐことはできている物の、それをしている間今度は穴の人が放つ攻撃を対応しきれなくて。

 

 相手の様子を見ているのも数秒だけ。僕はすぐにそっちに向けて駆け出す。

 

「ストライカーさん!」

 

「来るな!」

 

 体を前のめりにしてそっちの方に行こうとした矢先、僕が出した声に対して向こうはほとんど反射的に出たその言葉に腕を片方出したまま止まる。

 だけど、その間も2方面から次々に攻撃を受けてたストライカーさんはこっちの方を見てすらもくれなくて、体から血を流れてる所を抑えることも出来ずに障壁を張ってた。

 

 でも、それでも度重なる猛攻を前にそこで耐えながら歯を食いしばってる様子を見てる所で、こっちの通路に入りながら数人の人たちが何度もストライカーさんの名前を呼ぶ。それのせいで僕が何度もそっちに向けて言ってる言葉が遮られちゃって。仕方なく向こうの方に視線を向けてみる。

 

 そっちには僕からしたら1度も会ったことないような普通の人たちがこっちの様子を見に来てて。武器を代わりになってるつもりなのかもしれないけど包丁とか帚とかをもって寄ろうとしてるみたい。

 

 すぐにストライカーさんの方に視線を向けつつ体を滑らせながらしゃがむ体勢になって、向こうと同じ方へ両方の手を伸ばす。だけど、その瞬間に障壁を解き放ち、その勢いで兵頭彩芽を向こう側の大通りの方へと吹き飛ばしてた。

 相手が地面にたたきつけられる兵頭彩芽の方に走りだす姿を見るなり、後ろの人たちが動き始めるのに合わせて僕も一足先に付いていく。

 

 だけど、向こうが兵頭彩芽のすぐそばまで行ったところで、穴の人がタックルをしかけて後ずさったせいで、僕らがいる狭い通路から向こうの様子は見えなくなって。唯一分かるのが兵頭彩芽がまた大きな銃を召喚しては発射してる様子だけ。

 

 穴の人が大きな叫びみたいな笑い声をあげたせいで僕が通路の真ん中で足を止めたけど、すぐにまた顔を左右に振って走り出す。そしたらすぐに大通りの方に出ることになって。もうすでに敵を弾き飛ばしたストライカーさんが見えた。

 

 だけど、こっちが視線を向けてる間にもう次の攻撃が来てたみたいでその爪の切り裂きを片手で抑えながらいて。僕は顔を下に向ける勢いと共に体に魔力を込めて自分の体のすぐそばにヨーヨーを召喚してから足をばねみたいに力を込めた。

 

「ストライカーさん!」

 

「こっちは危険だ! 一般人は早く逃げろ!」

 

 確かにこっちに向けて一度片手を振るいながら大きな声を出したストライカーさんだけど、それもほんの一瞬だけ。もう次の瞬間にはまた敵の方に向き直ってもう飛び出しては穴の人を吹っ飛ばしたのに追いついてはそれを地面にたたきつけてた。

 

 ただ、その振動が来る間も、僕はただそこに立ってることしかできなくて。それのせいで両方の唇を思い切り押しつぶしながら眉を下に落っことしながら、両方の腕も手に力を入れて親指を握りつぶすみたいにはしてるけど、でも肘は折り曲げないでいた。

 

 その頃には、さっきまで僕の後ろにいたはずの人たちもこっちに追いついてて。その人たちの塊で僕の前後左右が覆われると、何度もストライカーさんの名前を呼ぶ。それに対してストライカーさんはどっからかただ「こっちは危険だ! 下がってろ!」ってだけ言ってて。それに対する反応をこっちの人たちが話してるみたいだった。

 

 結果、僕以外の人はみんなどんどん僕の周囲から去って行って。こっちの方に残ったのはただ3人の戦いのせいで次々に飛んでくる瓦礫だったり、それらがぶつかってくることでこの体にできる傷から溢れる血だけ。

 

 それだけじゃない。その他にも周囲の建物のガラスが割れる音だったりその一部か崩れて地面にたたきつけられる音やその砂煙が僕の周りを覆い隠すのもあったりする。続けて、さっき避難した人たちが叫び声をあげてるのがして、そっちの方にはっとした感覚で振り返った。

 

 だけど、そっちの方は砂煙が舞い上がってるせいで、人影だったり建物のがれきだったりが黒い影になって正体は見えなくなってるだけだった。

 

 しばらくそこに立ってるだけにしてた僕は、ずっと顔を下に向けたままいたら自然と砂煙は晴れて。それでしばらくはただ崩れた建物から砕け散った瓦礫の細かいのだけが散乱してる姿だけを口をつむんで眺めてた。

 でも数秒間した後、ただ両腕を小さく動かしながら自分の後にヨーヨーを浮かべた状態でまっすぐに前に進む。

 

 そっちの方では兵頭彩芽が尻もちを突きながら何度もストライカーさんの方に発砲してるけど、それらのすべてを手で受け止められてしまってるし、穴の人もその間に足元で何度も踏みつぶされてうめき声をあげてた。

 

「なんでお前たちみたいなのはいくらでも現れるんだ」

 

 まだ言葉が終わっていないというのに、途中でストライカーさんは手にしていた銃弾を兵頭彩芽に投げ返すと、血が噴き出る音と一緒にまた一瞬だけでもその甲高い悲鳴を上げることになる。ただ、その声だけを聴いてた僕は、後ろから相手が乗ってる瓦礫の山の上に登って。その瞬間穴の人と目が合うと、向こうはにやにやしてるだけだった。

 

 それから相手の背中に視線を向けてからヨーヨーの糸で首を絞めた。

 

 何度も呼吸が苦しそうにしている声を出してるけど、それと一緒に何度も手を振り回して抵抗してるけど、全然そこに力なんて入ってなくて。僕でも全然痛くない。その間も相手は何度もほんの一瞬で終わるけど確かに聞こえてる高い声をこっちにまで聞かせてくる。一方で、こっちはずっと両手でその両端を強くつかむだけにしてた。

 

 ほんの数秒も経たないうちにストライカーさんは動かなくなってぐったりしてた。

 

「終わった」

 

 兵頭彩芽が何度もせき込んだ後にこっちまで来てるのが見えたから、こっちもしゃがみ込んでるまま下を向いてた所から顔を起こして上を見ると、こっちに向けて相手が手を伸ばしてた。

 

 それに応えようとしてそっちの方にこっちの手を出そうとして近づけた途端、向こうはすぐに自分のをそっちの方に戻す。

 

「やっぱりやめとく。もも姉に楽しみはとっときな」

 

 もも姉の名前を聞いた途端、こっちも目を大きくしながら相手の方をじっと見つめるだけになる。でも向こうも立ったまま一瞬だけ笑みを作ると、そのまま今僕らがいる瓦礫の山から下りて行ってて。それだけでわずかなそれらが崩れる音がこっちにまで聞こえて来てた。

 

 もう兵頭彩芽はそっちの方にいないのに、ただ僕はそっちの方をまっすぐに見つめる。それ以外にするのは目が乾きそうになるのに合わせて生理的に何度も瞬きを繰り返すだけ。

 

「そうだね」

 

 もうそっちの方には誰もいないのにただ返事だけをしてて。その声を出してる間も、辺りから聞こえてくるいろんな人たちの悲鳴だったり建物が崩れる物であったり燃える音だったりがしてる。その上、僕のよりもそっちのの音の方が大きい。

 

 一度瞬きをしてから視線を落とすと、そっちには血を流すこともなく動かなくなってるまま少しずつ瓦礫が崩れるのと一緒に滑っていくストライカーさんの遺体があった。




読了ありがとうございます。
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