学校の校舎の中でも3階と4階を繋いでる階段の踊り場の窓を開けて、そこから外を見ようとする。でも、開けたすぐ目の前には縦に並んだ僕の腕よりかは少し細いくらいの鉄パイプみたいなのが並んでて、そこから先がほとんど見えなくなってる。でも、それでも顔を横に傾けながら眺めるみたいにしてようやく下に広がってる中庭の様子を見つめた。
僕が踊り場にいあるから、そっちの方を見てる間、ほんの少しだけ丸めた背中の向こうには、上の階と下の階、どっちにもつながる階段がそれぞれあって。そっちの方ではみんななんかの話をしてるのか、その返事に必要以上に高い声を出したり軽く体を叩くみたいな音が聞こえる。
さらに、それだけじゃなくて、硬い靴が同じく硬い廊下の床を何度も叩いてるのが等間隔で聞こえてるはずなのに、数がいっぱいあるせいで全然拾えなくて。でも、それでも僕はずっとそっちを見ないで、外を眺めてた。
こっちの様子を映してる鉄パイプの奥にいる中庭の人たちは、僕視点だとほんとに小さく見えてて、小指よりも大きいかすらも怪しいくらい。でも、それでもそっちの方で最初に見えたのはベンチの上に2人で座ってる女子生徒がコッペパンを食べさせ合ってる様子。
口を押しつぶすみたいにしながらそこから目を反らして、すぐに目的の物を探す。その途中でゆったりした服を着たおばさんの先生と、太ってる女子が一緒に花に水やりをしてる様子だったり、僕より背が低くて靴も汚い生徒が左右にフラフラするみたいな足取りで歩いてる様子だったりが視界に入る。
でも、そっちを見てるのはほんの数秒だけ。歩いてるのがそっちにいた背の高い女子に軽くハグしてるのを見たら、パイプに当ててた手を放す。1回だけ目をつぶりながら両方の手の平を瞼に押し付ける。それと一緒に口を強く紡いで口の中に息をため込む感じに。そうしながら顎を体に近づけておく。
それから一気にそれを吐き出しながらもう1回そっちの方を見ようとする。でも、罠を設置した茂みの方じゃなくて、中央にある噴水の所に目が行った。その太陽の光を反射して水色の水面がキラキラ輝いてるのを見るだけで、スマホを持ってる両手が少しだけ滑る感覚を味わう。
さらに、脇に力入ってないけどそこが閉まる感覚までして。それだけじゃなくて上瞼を落としながら、スマホの画面親指の腹で撫でる。
しばらくそうしてたかったけど、誰か知らない魔法少女が上の方に向けて武器を掲げながらいる噴水のそれに視界のピントが合うと、すぐに一回瞬きしながら元の方に視線を戻す。そっちはもう2人いるうちの1人がもう僕が仕掛けたびっくり箱を開ける前なのに、それをそのまま手に持つどころか、トンクで掴んだ袋をそのままゴミ袋の中に入れてた。
僕がようやく階段を降り切って中庭にもつながってる下駄箱前の廊下に歩きながら、前者の方を目線だけで見つめる。だけど、それでどうなるわけでもない。さっきの踊り場の時とほんの数分しか経ってないせいでその光景に変化なんてない。
ただガラスに映った僕が前かがみにした姿勢のまま視線と顔の向きだけをそっちに向けてる。制服のポケットの中に両手を入れっパにしたまま、足を止めてはないけどすっごく遅くなっている。ガラス同士を羽目殺しにしている骨組みの枠の場所だけを見つめる。
気づいたら、顔を上に向けながら息を吸い込んで胸を張って。その間、視線は上の方を見るけど、今度は2階の廊下の出っ張りも含めて、照らしてる灯りが太陽の光しかないせいで薄暗くなってた。
しばらく、昨日もやってたニュースを新聞部の連中が流してるのがこっちにも聞こえてるのを尻目にして、ふとした瞬間で体を翻しながらまた細かい足取りで外へと向けて歩いていくことになった。
今までも一応太陽の灯りがあったと言えばあったくらいの暗さだったこともあり、外に出ても僕の目がそっちの姿を眩しいと感じることも暗いって感じることもない。その足取りのペースが変わったとしたら、靴を放り投げて下駄箱に音と一緒にまっすぐに放り込んだ時だけ。
それが終わったら、入り口からまっすぐに進んだところにあるやたら大きい木とそれの根元に植わってる低木たち。それのわずかな隙間。それを見た途端、僕はそのさらに向こう。そこに向けて目を凝らしながら重心を近づけ、目元を凝らす。
向こうはほとんど黒い影の中でまみれてると言うべきか、その姿はほとんどお互いの間に植わってる植物たちの姿のせいでほとんど見えてない。でも、そのはずなのにいつの間にか向こうはこっちと視線がぶつかってて。そのせいでこっちもじっと相手の様子と見つめる羽目に。
僕がいる学校のロータリーにはこっちが元々はそうしようとしてるのと同じように、他の生徒たちも足並みをそろえながら腕を組んで歩ってる様子だったり、通話してるスマホを片手に持って下校してる姿があって、それらの話声がほとんど中身はわかんない状態のままこっちの耳にも入ってくる。
それだけじゃない。僕と植物の向こうにいる2人の間にも何も知らないその人たちが通ったりしてて。それの姿が一瞬だけ向こうの様子を遮ったりしてた。
それのせいだと思うけど、向こうはわずかに腰を持ち上げるような姿勢で体を起こしてる。その上、周囲に元々カモフラージュに使ってたと思われる葉っぱだったりごみだったりを落っことしてる様子が見える。
でも、こっちは背中を折り曲げてる状態でそっちに顔だけを近づけているのを一切変えない。
その状態で互いに見つめ合ってるのも数秒間、ふとした瞬間に僕の方から勢いよく息を吸い込む動きと一緒に、両手を小さく振って小走りでその場を抜け出す。だけど、そんなことよりも早く、向こうは飛び上がっててもうこっちにまでたどり着いてた。
一旦こっちに向けて中腰になりながらお尻を向けてるみたいな体勢をしてるけど、それで前側に自分の両腕を出してる間、動いてるのは着地で起きた砂煙だけ。ただ僕は両方の前腕を相手に見せるみたいな体勢で背中を少しだけ後ろに下げてる感じに。相手から顔を背けた状態で何度もせき込んでてた。
しばらくその状態が続いた後に、ようやく喉を整えられたころに目元をちょっとだけ持ち上げる感じで相手の方を見た。
「おう、久しぶりだな」
兵頭彩芽は今も僕の方を見てて、ほんの少しだけ顎を引っ込めるみたいにしながらいる。そのせいで、逆光なのもあってその部分が影で暗くなってた。
それだけじゃない。大きく幹やその先端の葉なんかのせいで光が遮られてるのが向こうの後ろにある。そして、それらですらも黄色と赤が混じったような太陽の光を木漏れ日にして降り注がせているけど、そこすらも影の色に染まりつつあった。
兵頭彩芽がその声を出しながらそこに立ってるのを見てる間、僕は1回だけ息を吸い込むことしか出来ないままになって。唇を重ね合わせられずにいる。でも、それから声だと思えるものを出せたのは、向こうが視線を左右に向け始めたころ。何度か言葉になってない声を出した後にすぐ相手の視線を追った。
そっちではたくさんの生徒たちが僕らの様子を途切れ途切れにしながらも円形に囲うみたいになってて。その状態でお互いにこっちに顔を向けながらも目線でお互いを見合いながら話していたり、職員室がある方をきょろきょろしてたりしてる。
そのせいで、僕も僕で顎を自分の体に近づけながら相手の方を見つめてた。ただ、それ以外の場所、特に足元は一切動かさない。
「人手がいる。協力しろ」
向こうは何度も自分の体についてた砂だったり葉っぱだったりを何度かはたいてて、でもそれもほんの数秒の間だけ。
しばらく視線を下に向けながら小さく「時間がない」とだけ言った後に、全く言葉のペースを変えないままに言葉を進める。まだ何度も自分の服を叩いてる間だったけど、それでもその声は僕の耳がしっかりと捉えてる。
一方で、僕らを取り囲むみたいにしてる人たちは今もたまに話し声をこっちに小さいけど確かな鋭さで押し付けて来るだけ。それに対して、視線を少しだけ斜め下に向けそうになるけど、すぐにはっとした勢いのままもう1回相手のことを見つめる。
ただ、それに対して兵頭彩芽はこっちに近づこうとしてたたった1人の人に視線を鋭くぶつけてて。それに対してそっちの人は1だけ前に出した状態のまま、片方の腕を肘だけ曲げて胸の高さにまで持ってきてるだけ。その状態で視線を左右に泳がせているだけだった。
「どういうこと?」
僕が途中で声を止めながらも、顔の向きは相変わらず顎を自分の体に近づけた状態で相手を見つめ続ける。
それに対して、向こうは片方の腕を腰骨の上に乗せながら一度ため息を鼻から吐き出し、顔を下へと向ける。それから瞼を落として目元を限界まで細くしてる。またもう一度鼻から息を吸うと、それから今までと半分くらいの範囲だけ開けてた。
「俺について来た連中は全員俺を売った。だから他に頼れるやつがいない」
それで出てきた言葉はさっきまでよりも早口な上に、小さめになってた。ただ、それを聞いた後でも僕がしてる体勢は一切変えないし、それは周囲の人たちも同じ。もちろん兵頭彩芽とのずっと距離を置いたまま。
ただ、相手は顔を下に向けた状態なのも数秒後、腰に当ててる手の力を入れ直すと、視線を落っことしてる状態から戻り、一度だけため息を付く。その状態でまた僕と視線がぶつかることになった。
「桃香は元気にやってるか」
「お前に関係ないだろ」
相手の声を聞くなり、僕は息を一回だけ吸い込む。でも、それに返事するために出た声は相手の話が終わるよりも先に出て。さらに一緒に僕自身の足も一歩前に出してる。結果、その音が自分の口に出てる声の間からも一切隠れないで聞こえてた。
一緒に両方の腕を地面の方に向けて軽く握りながら振り下ろしてるこっちに対して、兵頭彩芽は一度口からため息を吐きながら肩を落っことしてる。それから姿勢は全く変えないで、上瞼を落っことしたままの目線を僕の方に向けて来てた。
「お前にこそ関係ないだろ」
相手の声は途中で言葉のペースを変えないまま出て来てて。それのせいでこっちもほんの一瞬だけ反論の声を出してたけど、すぐに消えてなくなる。続けて出来たのは唇同士が重ね合わせる場所を探すくらいで、そこをくっつけたり離したりするくらいだった。
「だからだよ。もも姉と会いたいなら会わせてやる。だから協力しろ」
それだけ言い終わった途端、一気に息を吸い込みながら兵頭彩芽は目を開いて校舎がある方を見る。
そっちでは走って来てる警備員や先生の姿があって。その先頭にいる生徒会長がこっちに向けて、野次馬が作ってた壁で開けた隙間から、語尾を伸ばす感じで相手の名前を呼んでる。
しばらく僕も喉を締め付けながらそっちの方を見てたけど、声が終わるころすぐに横を見る。一方で、兵頭彩芽はそっちで背中に背負ってた長い銃をもう一度に肩にかけ直す感じで握りしめる。
だけど、そう思った次の瞬間、魔法の力で作り出した手りゅう弾を投げてて。でも、僕はいつもよりも高い声を出すことしか出来ない。
気づけば耳がキーンってなってて、それ以外には聞こえない状況で。そこを抑えたいけど、それ以上に頭が痛くて。代わりにそっちに手を当てようとしたら、髪の毛のザラザラした感じが全然しなくて。それよりも生暖かいドロッとしたのが来たと思った次の瞬間に、頭の中が一気に回るみたいなのを感じた。
その後ようやく感じ取れたのは、僕自身の手のひらに血が目いっぱい付いてるのだけだった。
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