あの事件で色々なことを経験をした2人。2人の出した結論とは?
リボー・コロニーに夕暮れの静けさが降りてきた。
ミラーが作り出す人工の夕焼けが街路樹を赤く染め、風がそよそよと二人の頬を撫でていく。
バーニィはふと森林公園の方を振り向いた。
あの日、初陣を迎えた自分の乗るMSがあそこに不時着したのが、すごく昔のことのように思える。
あの時の自分は夢にも思っていなかっただろう。
まさか彼女と…ガンダムのテストパイロットを務めていた人と、ここを歩く日が来るなんて。
「バーニィ?」
横から突然声をかけられてバーニィはハッと我に帰る。
クリスが心配そうに彼の顔をのぞき込んでいた。
「どうしたの?さっきからボーッとして……」
「へっ⁉︎あー…ごめん。」
「何か考えごと?」
「いや、ちょっと昔のことを思い出してただけさ……」
バーニィは肩をすくめた。
「昔のこと、ね……」
彼の言葉の意味を察したクリスは公園の方をちらりと一瞥すると目を落とし、少し寂しげな顔をしてから続けた。
「私も時々思い出すわ。あの日のこと、あの戦いのこと。これからもきっと…忘れることはないでしょうね。」
「クリス……」
深い翠を湛えた瞳には、過去の痛みや罪悪感と今の幸福が混じり合っているように見えた。
バーニィはクリスの言葉に何を返せばいいのか分からずはた、と動きを止める。
しかし彼女の瞳に浮かぶ感情の波に心を動かされ、言葉が自然と口をついた。
「確かに悲しいことも辛いこともいっぱいあった。でも、その全てがあって今の俺たちがあるんだと思う。だから、上手くは言えないけど……俺は全部ひっくるめてクリスと一緒に、喜びも悲しみも分かち合っていきたいんだ。」
クリスはバーニィの言葉に驚いたように目を瞬かせた。
「バーニィ、それって……」
「え?」
「もしかして、プロポーズ…?」
「あっ!」
自分が何を口走ったのか理解したバーニィはかあっと顔を赤らめた。
「え、いや、そういうつもりじゃ…いや、でも…!」
彼の反応にクリスはくすっと悪戯っぽく笑って肩をすくめる。
「もう、バーニィったら。そんな大事なことを急に言うなんて…」
しかし、彼女は笑顔で彼の手を握りしめる。
「でも、嬉しいわ。それに、私も……私も同じ気持ちよ、バーニィ。これからもずっと、私の隣にいてくれる?」
バーニィはクリスの手を握り返すと真っ直ぐに彼女を見つめた。
「ああ…もちろん!」
夕闇がコロニーを包み込み、街灯が一つ、また一つと灯る。
バーニィとクリスは寄り添いながら、穏やかな沈黙の中で家路を辿った。
二人のシルエットが長く伸び、静かな夜の街並みに溶け込んでいく。