魔法科高校の劣等生ver.2   作:Marthe

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皆さんこんばんにちわ。投稿が遅いことで有名な作者です。

今回またもややらかしてしまいました。メイン小説衛宮士郎を愛しなさい!とは違うコラボ作品。アニメを久しぶりに見たら猛烈に書きたくなってしまい今に至ります。…他にも二作品書いてるのにどうすんだ私。

ま、まぁこちらも気が向いた時に書くのであんまり期待しないでいただけると助かります。

まずは導入編です。なぜ士郎は魔法科高校の劣等生の世界に行くことになったのか。書いていければなと思います。
では!


マーリンのドタバタ劇場

ドンッ!という音と共に何かを突き破る感触を感じる。

 

「チッ。マーリンめ」

 

急な転送でこの世界のあらすじを頭に詰め込むといっていたが、こんな無体な召喚とはいかに楽しんでいるか目に余る。

 

「・・・。」

 

「お兄様・・・」

 

パラパラと土埃が晴れれば、銀色の拳銃のようなものをこちらに向けている青年と、おびえるようにその青年に取りすがる少女の姿だった。

 

「・・・君の構えるそれが武器(・・)なのはわかる。でも俺はこうして無抵抗だ。まずは話をしないか?」

 

衛宮士郎は困ったように両手を上げるのだった。

 

 

――――interlude――――

 

その日はいつにもまして静かな日だった。

 

「雨も降らず雪も降らず・・・昼と夜だけがあるこの奇妙な世界にも慣れたもんだな」

 

手には書庫から持ってきた神話の本を一つ。そして最近作ったロッキングチェアに座り、ページをめくる。

 

ペラリ・・・ペラリと静かな時間が過ぎていく。戦いに明け暮れた日々が噓のように静かな時間が過ぎていく。

 

そんな静かな時間だったのだが・・・

 

ドカン!と何やら幽閉塔で爆発が起きた。

 

「・・・。」

 

関わりたくない。あそこはマーリンが閉じ込められているこのアヴァロン屈指の建物だ。

 

あの愉快犯が今度は何をしでかすのかと戦々恐々だ。しかし・・・

 

『ねぇシロウ~おねがぁい』

 

『マーリンがまたおいたをする気なの~』

 

『アルトリアが怒ってるの~』

 

小さな妖精たちが集まってきた。ここは妖精郷アヴァロンの中。当然妖精たちの住む園であり、ここの妖精はいたずらこそしないものの非常に強かである。

 

つまり、このまま動かなければ妖精が群がってきて・・・

 

『ねぇシロウ~』

 

『おねがぁいシロウ~』

 

「ああもうわかった!わかったから落ち着け!」

 

『やった~!』

 

『マーリンめ、懲らしめてくれるぞ~』

 

やんややんやと小さき者たちがまた騒ぎ立てる。

 

その姿にはぁ、とため息を吐いて立ち上がる。

 

「幽閉塔だな?」

 

『そうだよ~』

 

『アルトリアがプンプンなの~』

 

どうやら先の爆発音は彼女が原因らしい。先ほどまで鍛錬していたというのにこの暴れよう。これはかなりガチで怒っている。

 

「早くいかないと」

 

マーリンはチクチクといたずらをするが、その相手がここまで激昂することはあまりない。よほどのことをやったのだろう。

 

「だからさ!面白い?世界の未来が――――」

 

「知ったことか!大体、危険が伴うのでしょう!シロウの身に何かあったらどうするのですッ!!!」

 

「そこはほら!また彼と鞘を連動させてさ!ここは妖精の住まう場所!泉の妖精に頼み込めば・・・」

 

「うるさいッ!!!シロウは私のものだ!好き勝手なことは許さない!!!」

 

「わぁ!?私は貧弱なキャスターだよ!?それに対してフル装備とは大人げないんじゃないかな!?」

 

「世迷言を!約束された勝利の剣(エクスカリバー)を懐に隠し持っているくせに!泉の妖精が返還してくれないと嘆いていましたよ!!!」

 

ドン!ドカン!と幽閉塔が揺れる。これでは一部が崩落して、マーリンの抜け道となってしまうのではないか?

 

そう思わせるほどの爆発音と揺れだ。

 

『わぁ~!幽閉塔が壊れちゃうよー!』

 

『アルトリア、落ち着いて~!』

 

ひゅ~んと間延びしていて緊張感があるんだかないんだかわからない小さき者たちが幽閉塔に飛んでいく。

 

「・・・はぁ」

 

聞こえてきた声を聞くにどうやら自分に厄介ごとらしい。

 

それで彼女、アルトリアが激昂しているのだ。

 

彼女とはいつかの聖杯戦争から、長い時を経てわずかな可能性にかけて再会した、愛する人だ。

 

自分も彼女を愛しているし、彼女からも愛していると告げられた時のことは今でも鮮明に思い出せる。

 

そんな二人の間をまた愉快犯で乱そうというのだからそりゃ彼女も怒る。

 

自分も同じだ。彼女に再び会うことができたのは本当に奇跡中の奇跡なのだ。

 

その間を裂こうというのならこちらにも考えがある。

 

「まぁともかく話を聞いてみてだな」

 

ということで渦中の中に踏み込む。

 

「あちゃー・・・」

 

ところどころ粉砕された石畳、石柱。そしてマーリンが面白半分で作り出したノートPCのようなもの。

 

「・・・セイバー。こんなに壊したら幽閉塔として保てなくなるだろう?」

 

「シロウ!しかし・・・」

 

「マーリンも。今度はどんな愉快犯を起こそうというんだ?俺はセイバーの元を離れる気はないぞ」

 

「大丈夫!あちらで眠ったらこちらに来るようにするし・・・あちらで死を迎えたらこちらに引き戻す術式を・・・」

 

軽く頭を抱える士郎。

 

(やっぱりどこかに俺を送り込む気なのか・・・)  

 

「その理論には穴があるぞ魔術師(メイガス)。先ほど聖剣の鞘を使うと言っていたがその場合、私は不老不死になることになる。つまり、死んでここに戻ってくることは不可能になる。違うか?」

 

「あ・・・」

 

「それと、セイバーに暴れさせて抜け道を作ろうとしたんだろうが・・・無駄だからな」

 

「くっ・・・」

 

『無駄だぞ~!』

 

『あきらめろ~!』

 

妖精たちが壊れた幽閉塔を元通りにしていく。

 

「けど!私は!どうしてもこの世界のことを知りたいんだー!」

 

「マーリン・・・結局それが貴方の本音ですか・・・」

 

カクリと肩を落とすアルトリアに、ふう、とため息をつく士郎。

 

「助かりましたシロウ。またこの愉快犯に片棒を担がされるところでした」

 

「いや。しかし俗世を覗き見るのが趣味のマーリンが、脱走を企てでも見に行きたい世界ってどんな世界だ?千里眼にはパラレルワールドを覗き見る力はないはずだ」

 

「うん・・・それが、私を“グランド”として呼び出そうとしてる気配があって・・・」

 

「なに・・・?」

 

士郎はうなだれているマーリンのそばにあるPCを覗いた。

 

「時代は2095年の日本。魔術や魔法が既存の技術として定着した時代。そこが今回のターゲット」

 

「2095年?ずいぶん先の話だな・・・だがこれは俺たちのいた世界の話じゃない。そうだろ?」

 

「ああ。パラレルワールド・・・もう一つの地球と言ってもいいかな。魔力のことを『サイオン』なんて呼んだり、それに付随する実態を『エイドス』なんて言うんだ。まぁ魔術理論としては正しいけど、呼び名が異なっているし既存の技術として体系化されてるから色んな研究がされてる。魔術師が細々とやっているよりより高度な魔術、と言えるだろうね」

 

「・・・で、ここに行きたいと?」

 

冠位(グランド)として呼ばれているなら行けばいいと思うのだが(ただし分霊)。

 

「それだけじゃないんだよう!なんか未来が定着していないっていうか何者かに邪魔されてる?感じがして・・・ほら!ね?色々気になるじゃないか!」

 

「未来なんて決まっているものじゃないだろ。決まっていたら俺はセイバーに会えなかった」

 

「シロウ・・・」

 

アルトリアが後ろから士郎をぎゅっと抱きしめる。その手に自分の手を添えて、

 

冠位(グランド)として呼ばれているなら行けばいい。分霊にはなるが記憶は保管されるだろう」

 

「それじゃあ面白くな・・・」

 

「・・・。」

 

ちゃきりともう一度剣を構えるアルトリア。

 

マーリンはまた唇を尖らせてぼそぼそという。

 

「大体。そんなところになぜ私を行かせようと?」

 

「それは・・・楽しそうだから(ボソリ)」

 

その言葉にピキリときた士郎は、

 

「――――投影、開始(トレース・オン)

 

ある剣を投影する。

 

「奇遇だなぁ・・・夢魔すら殺せる不死殺しの剣が手元にあるぞぉ」

 

その剣を見てマーリンは顔を真っ青にして、

 

「まったまったそれはずるい!君はあれかい!?こんな平和な園を血で汚そうというのかい!?」

 

「大前提として、こんな幽閉塔に閉じ込められるような悪党なんだから・・・早々に英霊の座にでも行くのがいいと思わないか?」

 

うんうんとアルトリアも頷いている。

 

「そのほうがここを見張る妖精も役目から解放されて自由となるでしょう」

 

「アルトリアまで!嫌だ!私は趣味と趣味と趣味に囲まれて、たまに可愛い子に手を出して生きるって決めたんだー!」

 

なんとも穀潰し的な発言に二人でため息をつく。

 

「本当に切ろうか?」

 

「その方が世のためかと」

 

『マーリン死んじゃうの~?』

 

『なんまんだぶー』

 

「お、お前たちまで!」

 

にじり寄る士郎と、涙目でじりじり下がるマーリン。

 

「・・・はぁ」

 

しかし、士郎は折角投影した剣を消した。

 

「これでは弱いものいじめじゃないか」

 

「シロウ!」

 

「わかってくれたんだね!いやぁ流石ここまでたどり着いた正義の味方!話がわかぐぇ」

 

左頬に一発、いいパンチが入った。

 

「誰も行くなど言っておらん」

 

「ぐはぁ」

 

ドシャッ!と崩れる諸悪の根源。

 

ここに悪は成敗された。

 

「う、う・・・でも!これは君の中の罪悪感を取り去ることができるかもしれないんだよ!」

 

「!」

 

「マーリン!!!」

 

今度こそアルトリアは再び剣を振り下ろした。しかし、杖に仕込まれていたエクスカリバーに防がれた。

 

「君は常々思ってきたじゃないか!自分がこんな平和に過ごしていいのかと!」

 

「・・・。」

 

「シロウは数多の戦場を渡り歩き、己以外の人のために行脚した!もうシロウが戦場に赴く必要などないッ!!!」

 

ガン!ギィン!

 

もうアルトリアは本気だ。

 

本気でマーリンを切りにかかっている。

 

そんな時だった。

 

『アルトリア・・・エミヤシロウ』

 

「これは・・・」

 

「妖精郷の泉の精霊?」

 

妖精郷はあまたの妖精が暮らす場所だが、その中でも力のある者がいる。今回の泉の精霊のような存在だ。

 

『聖剣と鞘をもって泉へおいでなさい・・・そこのすけこましではありませんが頼みたいことがあります』

 

「・・・ふん!」

 

ボキ!

 

「ああ!?私の杖が!」

 

仕込み杖にされていたエクスカリバーを強引に引きちぎり、鞘に納めてアルトリアは歩き出した。

 

その後を士郎が追う。

 

「マーリンのドタバタと無関係ではないな」

 

「ええ、恐らくそうでしょう。まったく・・・マーリンといい、泉の精霊といい、いったいなんなのですか・・・」

 

まだプンプンと怒っているアルトリアに士郎は、まぁまぁとなだめつつ今後のことを考える。

 

(あのタイミングなら間違いなくマーリンの話がらみだろう)

 

そう思って妖精郷の外れ、美しい景観の泉へと足を踏み入れた。

 

「泉の聖霊よ。約束された勝利の剣(エクスカリバー)と鞘を返還いたします。どうか変な気を起こさないでください」

 

「ちょ、セイバー・・・」

 

返事も聞かず鞘に収められた約束された勝利の剣(エクスカリバー)を泉に投げ入れる。

 

なんとも雑な行為に流石の士郎も声を上げるが・・・

 

『ありがとう。けれど今回はあなたに――――』

 

泉から姿を現した精霊の手に掲げられた剣と鞘が黄金の砂粒のようにアルトリアの隣にいた士郎に降り注ぐ。

 

ドクン・・・

 

「ぐっ!」

 

自らの世界に本来あり得ない剣が突き立ったの感じた。

 

「シロウ!」

 

「大丈夫だセイバー・・・泉の精霊よ。なぜ私に剣と鞘を・・・?」

 

嫌な予感を感じながら問う。泉の精霊も困った顔で、

 

『マーリンが呼ばれようとしている世界に・・・貴方に行ってもらいたいからです』

 

「泉の精霊よ!」

 

たまらず声を上げるアルトリア。

 

しかし、泉の精霊は首を振り、

 

『なにも理由なくというわけではないのです。かの地で・・・妖精が大量に召喚され虐殺されようとしているのです・・・』

 

「なんだって?」

 

さしもの士郎も眉を顰めた。

 

『ここは世界の隔たりがそれを阻止しています。ここの妖精は安全です。ですが――――』

 

「そちらの世界の妖精はそうはいかない、と」

 

コクリと泉の精霊は頷いた。

 

『本来、妖精はその地に根付くもの。そこで何かあってもそれはその地の運命・・・しかし・・・』

 

「泉の精霊はその子らを救いたい。そういうことですね」

 

はい・・・と泉の精霊は頷いた。

 

『あの子たちが・・・不憫でなりません。召喚されたかと思えば攻撃され、兵器にされ、果ては消される・・・それではあんまりでしょう』

 

「それは・・・」

 

確かに、あんまりな仕打ちだ。

 

「・・・それで、私はここに帰ってこられるのですか?」

 

「シロウ!」

 

『はい。マーリンも言っていましたがあちらで眠るとこちらに召喚されるようにします。死後については・・・アルトリアと同様です。役目を終えたらあちらの世界にここと同じ泉がありますから、そこに聖剣を投げ入れなさい』

 

ついっと士郎の頭をなでる泉の精霊。

 

「・・・なるほど。ここか。了解した」

 

『今回の願い、無茶なことは重々承知しています。ですのであなたにできる限りの加護と恩寵を授けます。ですから・・・必ず帰ってきてくださいね』

 

きらきらとした雫が士郎に降り注ぐ。

 

『ふう・・・ここまで力を使ったのはあの子以来でしょうかね。いえ、それ以上かもしれない。では準備ができ次第頼みます――――』

 

よほどに力を使ったのだろう。泉の精霊は役目を終えるとすぐに泉へと消えてしまった。

 

「シロウ・・・」

 

「セイバー。これは正式な依頼だ。つっぱねることもできるだろうけど・・・それだと精霊たちに不孝を買う。それに・・・」

 

ひゅるると近寄ってきて、シロウ~と呼びかけてくる妖精に微笑んで、

 

「俺もここの一員として、なにか力になりたいんだ」

 

「シロウ・・・」

 

アルトリアはもう一度ぎゅっと士郎を抱きしめた。

 

「必ず・・・必ず戻ってきてくださいね・・・」

 

「わかってる。必ず君のもとに帰ってくるから」

 

士郎もアルトリアを抱きしめて誓いを立てた。必ず彼女の元に帰ってくると。

 

「・・・マーリン!」

 

「っ・・・」

 

「どうせのぞき見しているのだろう?いいからさっさと出てこい」

 

あははは~・・・と草陰から気まずげに出てくる。

 

「また幽閉塔を抜け出してきたのですか・・・」

 

「だって気になるじゃないか!泉の精霊が本気で加護と恩恵を与えるなんて・・・それに君、授かったんだろう?」

 

「ああ。今なら聖剣の投影も可能だろう。なにせ実物があるからな」

 

解析は相変わらず全くできないが、無限の剣製から取り出すのなら過不足なくできるだろう。

 

「それじゃあ私が知りうる知識は私が君に授けよう。準備はいいかい?」

 

「待ってください」

 

アルトリアがずいっと歩み出た。

 

「ん・・・」

 

チュっと濃厚なキスが交わされる。

 

「これで・・・私とも繋がりができたはずです」

 

「セイバー・・・」

 

「万が一・・・万が一にですよ?ここに転送されない場合は、私との繋がりがあることを忘れないでください」

 

顔を真っ赤にして言うアルトリアに、

 

「ああ。必ず君のもとに帰るよ」

 

士郎からもキスを重ねて不動の誓いとする。

 

「あの~二人の世界に浸ってるところ悪いけどさ、私もこの場にいることを忘れないでくれないかな・・・?」

 

「マーリンの存在などどうでもいい」

 

「そうだな。どうせのぞき見しているわけだし」

 

「僕の扱い酷くないかい!?」

 

はぁ、とマーリンはため息を吐いて、

 

「それじゃ送るよ?」

 

とぽっきりと折れた杖を応急修復したものを慎重に振るった。

 

その瞬間士郎は夢に落ちるかの如く意識が暗転した。

 

 

 

――――interlude out――――

 

 

それで、今この状況だ。

 

「・・・お前は誰だ」

 

「俺は衛宮士郎。単刀直入に言うと君達の味方だ」

 

両手を挙げながら士郎は遅れてやってくる知識に惑わされながらも、

 

「それをどうやって証明する?」

 

「ああ、難しいよな、急に現れて君たちの味方だって言われても・・・そうだな・・・」

 

うーんと士郎は考えて、

 

「君の名前は『司波達也』そちらのお嬢さんが『司波深雪』二人は――――」

 

そこまで言って士郎の対魔力が何かの魔術をかき消したのが分かった。

 

「ッ!!?」

 

「お兄様!?」

 

「・・・うかつだったな。本当にトリガーを引くとは思わなかった」

 

はぁ、とため息を吐いた。

 

「お前・・・」

 

「まずは俺のことについて。なぜ君の魔術・・・あいや、もう全部魔法なんだったか?それを打ち消せたのか、そこから話そう」

 

それから長くなるであろう話を士郎はすることになるのだった。

 

 

 

「紅茶です・・・」

 

「ありがとう」

 

全てが元通りになった(また達也が左手で魔法を行使した)リビングで士郎はお茶をいただいて一息ついていた。

 

「それでは俺と深雪の素性も・・・」

 

「ああ。十氏族“四葉”の嫡子で深雪さんは次期当主候補・・・達也はその守護者(ガーディアン)。二人は四葉の支配から脱却したいと思ってる・・・でいいか?」

 

「・・・。」

 

「あの・・・なぜそんなことがわかるのですか?」

 

深雪が当然と言えることを聞いた。

 

「ここに来る時の知識として脳内に流されたんだ。今より・・・君たちが幼少期の知識も今流れてきてる」

 

「・・・。」

 

「それで、お前の目的はなんだ?」

 

確信を突いてくる達也に、

 

「目的は二つ。君たちを守ること」

 

「私たちを・・・ですか?」

 

「なぜだ」

 

「正義の味方は困っている人を助けて当然・・・だろう?」

 

「正義の味方・・・?」

 

「ふふっ・・・ああ!すみません!」

 

達也は困惑した表情で深雪は笑いをこらえ切れなかったようだ。

 

対する衛宮士郎は二人の反応にとくに何かを感じた様子もなく、

 

「笑われて当然だ。俺の正義の味方というのは荒唐無稽の話だからな。ただ――――」

 

――――美しいと感じたんだ。

 

そう、どこか遠くを見つめながら士郎は言った。

 

「個人の救いと全体の救いが両立しないのは身に染みるほど体験した。でも、そうあれたらどんなにいいだろうと憧れた。・・・その夢の続きが、今ってとこだな」

 

「夢の続き?」

 

「あきらめてしまわれたんですか?」

 

「いや・・・俺はもうたどり着いたから。幾千、幾万の戦いの果てに――――」

 

彼女が待つ安住の地へと。

 

「それがアヴァロン・・・妖精郷ですか・・・」

 

「ああ。そこで俺の旅は終わったはずなんだけどな・・・」

 

カリカリと士郎は頬を掻いた。

 

「二つ目の理由、だな?」

 

「その通り。この地に根付く妖精を虐殺から守ること。それが俺が託された願いだ」

 

「正直、妖精だ精霊だと架空の存在の話をされてもな」

 

「ここは魔術・・・魔法が体系化されてるんだろう?妖精なども組み込まれているんじゃないのか?」

 

「・・・。」

 

「お兄様・・・」

 

達也は深く考えるように腕を組んで目を閉じた。

 

「俺はそちらの知識はあまりないが・・・BS魔法の分野だろう」

 

「BS魔法?また新しい単語が出てきたな」

 

疲れたように士郎はため息を吐いた。

 

「魔法としての技術化が困難な、異能に特化した魔法のことだ。いわゆる超能力者(サイキック)のことだな」

 

「異能・・・か。俺の世界では・・・ああ、普通の魔術師なら現代魔法師になるのかな?五大元素を操れるのは、現代魔法でいいんだよな?」

 

「ああ。その認識で間違いない。その口ぶりからするとお前は・・・」

 

「そのBS魔法使い、ってことになるだろうな」

 

「お互い、知らない分野が多すぎるな」

 

ここでようやく、達也は苦笑を浮かべた。

 

「少しは信用してもらえたか?」

 

「正直に言えば、まだまだ信用には至っていない。だが、お前が嘘を語っているようにも思えない」

 

「まぁ違う世界、パラレルワールド出身だからな。俺自身、そんなに簡単に信用してもらえるとは思ってない。いくら魔術が魔法として体系化されているといっても奇跡のような話だからな」

 

士郎も肩をすくめる。相違がありすぎてお互いに疑問点となる場所が多いのだ。

 

「あの、ご質問よろしいでしょうか?」

 

「ん?構わない」

 

「妖精郷とはどんな所なのですか?」

 

紅茶を飲み切った士郎は一瞬きょとんとした後、ああ・・・と語り始めた。

 

その夜、司波家には夜遅くまで明かりが灯っていたのは、今からでもわかることだった。

 




はい。今回はここまでです。実際、問題の解決に至ってはいませんが、我らがお兄様からすればとんでもない脅威の出現となります。ですが、士郎も全ての知識を与えられたわけでもなく、互いに?となっている様が読み取れたらうれしいです。

さぁ、これから勉強しなくちゃいけなくなるぞぉ(辟易)だって魔法科高校の劣等生の知識明らかに足りてないもん…。

次回は少し時間が進みます。それでは!
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