①タツヤに敗北時 およそ250万
②祝福授与後 およそ3000万
なお、強さ(目安)は。
①大体15巻時点のシオン
②大体23巻時点のベニマル(
ちなみに、この存在値及び強さは転スラ世界に存在しているときのみ。ヒロアカ世界ではその10分の1はあると思う。
私は、ホークスに雄英の医療室に運ばれた。
本来ならセントラルで見てもらい、入院生活を送るべきだったのだが、そもそも私自身で体をくっつけることが出来ることから雄英でいいという判断だ。
ちなみに、緑谷はA組の皆に連れられて雄英に帰還したらしい。その際に他の避難者からの反発と言ったいざこざはあったが、何とか雄英に滞在することが出来るようになったようだ。
喜ばしい。これで緑谷の精神や肉体の疲弊が緩んだだろう。クラスメイトとの会話もできるので寂しさを感じることもない。
それに、辛いときは寄りかかることが出来るようになった。彼もようやく安眠することが出来たらしいし、安心だ。
私はもうすでに普通に行動することが出来ている。
――今以外は。
「あ、あのう…そろそろ解放してほしいのですが……」
「「「……」」」
私は今、縄にかけられている。流石に比喩だ。この状態から抜け出すことは呼吸するよりも簡単なのだが、私はあえてそれをしない。もしそうすれば私はこの先一生A組の面々と話すことが出来なくなってしまうだろうからだ。
すでに怪しいが。
今私がこの状況を脱するために許しを乞うたが、その言葉を聞いた瞬間に皆の目線が冷ややかになった。この目線の覇気だけでダツゴクの内何人かは戦意喪失できそうだ。とても怖い。
そして、A組の後ろで口元を押さえてプルプル震えているナガンよ。後で覚えてろ。
ちなみに、私と同罪であろう緑谷はこのような状況になっていないらしい。何故だ。緑谷は誰にも言わずに誰にも見られないように雄英を出て行ったのに。その点で言えば私よりも重罪だろう。
確かに私の方が視覚的な負傷は大きいが、今はこの通りなんともないのだから問題ないのに。
「……」
響香が冷えた視線で私に求める。私の心境でも知りたいのだろうか。
抵抗するのは私の寿命を縮める行為であると理解しているので、本音を言うとしよう。
「……反省はしている。皆に大した情報を言わずに雄英を出て行ったのは私の短絡的な行動が原因だ。しかし、出て行って後悔はしていない。お師匠――ナガン――に会うことが出来たからな」
私はナガンの方を見て少しだけ笑みをこぼして言った。
ナガンも私に笑い返してくれて嬉しい。何よりも顔がいい。
「その後――多分皆が緑谷を連れ戻している間――に一度敗北してしまったが、次は負けないさ。傷ももうすでに完治したしな」
私の言葉に、皆は渋い顔をした。
「……三奈がクリスマスの時に言っていたな。ケガするのを見ると悲しいと。それを破ってしまってすまない。しかし、私は今満たされているんだ。
私はもっと強くなる必要がある、強くなれる。この先の未来として、私は強大過ぎる力を持つことを少しだけ憂慮していたが、もはやそのような考えは必要ない。際限なく強くなればいいと分かった。そうして、力の使い方を間違えなければいい、それが分かっただけでも敗北した価値はあった。ケガは授業料だな」
朗らかにそう言うと、皆は一層渋い顔をする。言葉を間違えただろうか。
「……すまない。そのような顔をさせるつもりはなかった。このような状況には何度か立っていると自覚しているが、どうしても毎回どのような言葉をかければいいのかわからない。すまない」
私が話しているのはすべて本音。それが正しく作用するのかはわからないが、皆なら私の意図を汲んでくれるだろう。伊達に1年関わってきたわけではないからだ。
みんなは少しだけ黙っていたが、やがて響香が言葉を紡ぐ。
「ウチらもさ。シズみたいに強くないし、緑谷みたいに何かを抱えているわけじゃないから、シズにとやかく言える立場じゃないんだけどさ。
……心配だった。シズが強いことを知ってても、ウチらは、たった一人の女の子だって認識してたから」
「……うん」
響香の言葉は続きがありそうだったので相槌に留める。
「……ウチらは、訓練してもらって、シズにもらってばっかなのに。ウチらがシズに何もできていないことが不甲斐なくて…悔しくて…悲しくて……!」
響香の瞳から涙があふれ、嗚咽が漏れている。見れば、その後ろにいるみんなも少しそのような状態になっていた。
「……違うよ」
私からあふれた言葉は、否定の言葉だった。
しかし、自分で言うのもどうかと思うが、それは何も嫌な感情を含んだ否定ではない。
「違うね。私が皆に与えられていたんだ。皆が私のクラスメイトになってくれた、ただの普通のクラスメイトに。私にはそれだけで満たされているんだよ。もちろん、高校以前にもそのような人はいたよ。でも、私の過去を知ってまでそのように関わってきたのは初めてだから」
もちろん、状況が状況だったから、というものがあるが。
「皆は納得しないだろうけど、私の認識はそれなんだ。だから、泣くことないんだよ」
そう言って微笑んで見せるが、涙は止まなかった。
しかし、響香を筆頭とした女子陣が私に抱き着いてくる。私の体幹は強いからよろけることはなかったが、少しだけ暑苦しかった。
皆が動く気配がなかったので、数分はそのまま泣いている皆をなだめた。
ともあれ、私の罪は許されるまではいかずとも、ある程度は収束を見せた。
A組の皆は、私とナガン、そして壊理に配慮して私たちのもとから離れた。
この場には、私とナガン、壊理だけが残った。
まあ、新しい家族団欒の時間だという事だろう。
「シズお姉ちゃん……」
「――ごめん、壊理。心配かけた」
壊理は私の言葉を聞いて少しだけ俯いた。少しだけ涙目になっている。
このような表情をさせた私を殴ってしまいたい。
しかし、私は壊理の言葉を聞かなければならない。それが姉である私の責務であるだろうからだ。
「……私は、信じてたから」
そう言って壊理は凛とした表情を見せる。とても格好いい自慢の妹だと再認識する。
しかしながら、壊理はまだ未就学児だ。当然悲しいことは悲しいと素直にわかる。
涙を下瞼に溜めながらそう言って見せる壊理の姿が愛おしく思え、自然と微笑みが零れる。
自然と壊理の頭を撫でてしまった。
すると、壊理はたまらなくなったのか私に抱き着いてくる。私は壊理を抱えた。
「……まあ、今もこうして生きてるしな」
ナガンは頭を掻きながらそう言う。
その表情は私が傷ついたことに対する大きな不満が見て取れたが、言葉の通りにあまり気にすることはしないようだ。
「助けてくれてありがとう」
「……あんま無理すんなよ」
ナガンは私の言葉を真正面から受けることはしない。恥ずかしがり屋で素直じゃない彼女らしい反応ではあるが、少しだけ寂しいものだ。
「分かってる」
そうは言うものの、タツヤを殺すことが出来る人間は私を置いて他にいない。
そして私も簡単に彼を殺すことが出来るわけでもなく、やはり多少の無理はせざるを得ないだろう。今の言葉を大いに無視することになってしまうが、致し方ない。
「……けど、お前は無理するんだろ?」
……どうやらナガンにはお見通しだったようだ。
「……よくわかるね」
「まぁな。伊達に3,4年一緒にいるわけじゃないからな」
冷や汗を浮かべる私に、ナガンは意地の悪い微笑を浮かべて返す。
壊理は、私たちのやり取りを不思議そうに眺めていた。
「そうだ、ナガンは壊理にもう挨拶したの?」
「いや、まだだ。お前が帰ってきてからしようと思ってな」
私が問い、彼女が返す。なるほど、だから壊理は少しだけ緊張気味だったのか。
私は壊理を降ろし、そして壊理とナガンの間に立つ。
その後、ナガンを指し示して壊理に言う。
「壊理。この人がナガン。私のお師匠で、私の保護者代わりの人だよ」
「お師匠さん……」
壊理はその言葉をかみしめるように言った。
「そう。多分これからナガンとも一緒に暮らすことになると思うから、顔合わせをしておこうと思って。……壊理は大丈夫?はっきり言って知らない人と急に近づくことになるわけだけど……」
「……」
壊理は少しだけ俯いた。
私の師匠で、大事な人だと頭ではわかっていても、それは壊理にとっては違う。せいぜいが「話には聞いていた人」程度の認識だろう。
友人や教師のような一定の距離を保って関わっていく分には問題ないだろうが、一緒に暮らすことになるとなれば話は違うはずだ。
もし仮に、治崎のような人間だったら。
そう思うと怖くてたまらないだろう。
それに、壊理は私の過去も知っているため、お師匠がタルタロスにいることも知っていた。
タルタロスが治崎のような悪人を収容する施設であることも知っている以上、壊理のナガンに対する印象は最悪だと言ってもいいだろう。
私との会話を聞いても、戸惑いが心境の多くを占めていたはずだ。
俯く壊理を見て、ナガンはしゃがみこんだ。
そして、壊理と視線を合わせて目を見る。壊理も、少しだけ顔を上げて同じようにした。
「私は、レディナガンだ。壊理」
ナガンは至極落ち着いた声色でそう言った。
私からすれば、今のナガンの声を聞けば安らぎに身を包まれる。しかし、壊理にとってそうであるかは別問題だ。
そう思ってこの後の行動を考えるが、壊理の反応によってそれを打ち止めにした。
「よ、よろしくお願いします……ナガンさん……!」
……壊理は、そう言ってナガンに握手を求めた。
「…ああ、よろしく」
ナガンは少し驚いたような表情を見せ、そして微笑んでから壊理の手を握った。
「……いいのか、壊理?」
野暮かもしれないが、私は聞かないという選択を取ることが出来なかった。
「…うん。少しだけ不安だけど…でも、なんだか安心できるの…!」
壊理の言葉はかなり直感に頼ったものであり、根拠に欠けるものではあった。
しかし、子供の直感というものは侮れない。壊理は何を以て判断したのかはわからないが、ナガンの表情か声だろうとあたりを付けた。
(納得)
思考停止に等しいものではあるが、私も共感できるのでいいだろう。それに、私たちは姉妹だ。もしかしたらナガンには私の家系への特効があるのかもしれない。
ともかく、私は雄英に帰ってきた。
「お帰り!シズお姉ちゃん!」
満面の笑みを浮かべてそう言う壊理の姿を目に焼き付け、私はそう実感した。
「うん、ただいま」
私には、帰るべき場所があるのだ。
そして、二日後。
「猶予?」
オールマイトからの通達があった。
もともと、死柄木の肉体が完全になるには三日――つまるところこの日の時点で明日――かかった。
そのため、想定としては明日の今頃には日本は戦火に見舞われることになるだろうというものだったのだ。
しかしながら、オールマイトが伝えたものはその前提を覆すものだった。
「スターアンドストライプですか?」
「…そう。スターの決死の行動によって死柄木の個性が多数消滅した。どれほどため込んでいたのかはわからないが復帰までに一週間はかかるだろうという見通しだ」
そこで、オールマイトはこの猶予を十分に活用して己の能力を限りなく上げてほしいという要請を出した。
だが……
「もうやっとるわ!!」
そう。私の『部屋』を用いてその手の訓練はたくさん行っている。
別にオールマイトの今の言葉が無駄というわけではないが、私たちからすれば少しだけ肩透かしのように感じてしまった。
緑谷も、ワンフォーオールの完成に向けて爆豪たちが組手するようだ。
そして、私が知ったときは本当に驚いたものだが、爆豪が緑谷と和解したらしい。いや、和解という言葉は適切ではないようだが……爆豪があまり話さないし、別に聞く必要もないと思っているのであまりよくわからない。
「組手してくれる」という言葉に爆豪は反発したので本当に変わったのかどうか疑問に思ったが、確かに変わったのだろう。
彼にとっては進化した自分がワンフォーオールにどれほど通用するのか試したいようだ。私も試させろと言われた。
「……それなら安心だ。それじゃ、私は塚内君に呼ばれてるからこれで」
オールマイトはそう言って寮を出て行った。
―――
私たちは『部屋』で訓練を続ける。
私の視界の隅では緑谷が爆豪に爆破されていた。髪型がアフロのようになっている。
私はといえば、タツヤと戦う際に向けて技術の構想を練っているところだ。
今使うことができる技はタツヤにあまり通用しないであろうことを考えると、何かしらの新しい技あるいは新しい戦い方を身に着ける必要があるのだが、残り一週間とはいえそれが出来ると断言できなかった。
とはいえ、それは私が観測すらできない世界線の話だ。
今の私は正体不明の声によってタツヤが以前いた世界のことがわかる。とはいっても、リムルとカレラについてだけだが。
しかし私にとってはそれでも十分だ。その二人を見ていくことで『魔素』についてもある程度の理解を深めることができた。
それに、二人は剣にも精通している。私も二人から学べることはかなり多い。二人は師匠的ポジションとの模擬戦も多数行っていたので、その師匠からも学べることは多い。
ハクロウとアゲーラを見ることで、朧心命流の理解が深まったことがわかる。
そういえば、ゲンセイさんにタツヤのことを聞いたのだが、彼はタツヤのことを覚えているようだ。タツヤが生きた最初の世界にて、タツヤの師匠だったらしい。
タツヤが生きていることを喜んでいたが、悪の手に落ちてしまったことを情けなく思っていた。
『遠慮なく殺してこい』
という言葉を授かっている。
まあ、余談だ。
話を戻そう。私は訓練を、主に剣の型の見直しや仮想タツヤとの戦闘などを行っていた。
実際にタツヤの姿を映したわけではないのでイマジナリータツヤだ。だからみんなからすれば私が勝手に動いているように見えているだろう。
刀でガードしたかのようなポーズで吹き飛ばされた姿を響香に見られたときは真剣に心配された。すごく恥ずかしかったのだが、ちゃんと説明をしたら納得してくれた。
「……カギはやっぱり万華繚乱が握ってるか…?しかし朧・百華繚乱の派生のようなものだから何度打っても効果は乏しい…しかしこれくらいしか……」
ぶつぶつとつぶやいている私の姿は見る人が見れば緑谷に似ているのだろうか。爆豪に「出久かテメェは」と言われた。似ているらしい。
私の訓練は今のようなイマジナリータツヤとの戦闘と考察の繰り返し。しかしそれが行き詰まることが多いのでリムルとカレラの観測に集中する。
そのサイクルをずうっと繰り返していた。
ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。
たまに壊理との団欒を楽しんでいるときもあったが、時間の余裕もなかったのでその時間はあまりに少ない。もしかしたら行き詰まりの原因は壊理不足が原因の一つを占めているのかもしれない。
一番はナガンに会えていないことだけど。あの人オールフォーワンの情報提示のために働いてるから忙しすぎるんだよ。ふざけやがって。
行き詰まりのストレスで言葉遣いも悪い。
そんな時はリムルのことを観測するのがベターだ。今の彼は大きな敵と戦っているのでそこから得られる学びも多い。
今見ている彼は、ルドラと戦闘を行っていた。
しかし、私は少しだけ違和感を感じている。ルドラの肉体ではあるのだが、その精神は別人のように感じられたのだ。
それは正しかったようだ。
その者の名は、『ミカエル』といった。どうやらルドラが所有していたスキルが自我を持ったようだ。
本来は主の演算などを担い、サポートする立場のようだが、ミカエルはルドラを蝕んだようだ。そもそもミカエル自体はルドラが本当の持ち主ではないらしい。
もともとミカエルを所有していた者が、ルドラが持っていた同レベルのスキルと交換するという形をとったらしい。
ともなれば、ミカエルは主のもとに戻るために懸命に動くだろう。
余談だ。戦闘には関係がない。
リムルとミカエルの戦闘は私にとってはまるでお手本のように映った。
絶対的な威力を誇る魔法に、防御術。
そして何よりも、剣技。
ミカエルが扱った優れた威力を誇る剣技も素晴らしかったが、何よりもリムルの剣技に私は見惚れた。
《その通りでしょう!》という幻聴が聞こえたかのように感じたが、気のせいだ。ウン、キノセイキノセイ。
その技は、万華繚乱の正統進化ともいえた。しかしながら、万華繚乱とはまるで違う存在の技だ。
私には、この技を完全に習得することは不可能だろう。その技は、スライムであるリムルの柔軟性と、進化することで得た竜のごとき強靭さを兼ねることで初めて成立する技だと理解させられたからだ。
そのような性質を持たない私には不可能。
(なら、その性質を突き詰めればいい)
私の口角が上がったことを認識する。
「フフ、フハハ……」
くすくすと笑う私を見て、何人か恐怖に包まれたのだが、私がそれを認識することはなかった。
―――
日本のどこかにある洞窟にて、邪悪な気配がはびこるその洞窟の内部にて。
瞑想を続ける人間がいた。
いや、その存在はもはや人間ではない。もうすでに人の道を逸脱している。
そう、タツヤだ。
シズを逃してしまってから、タツヤはずうっと瞑想を続けている。
その中では、施設時代のことも思い出していた。
そもそもタツヤがシズのことを気にかけたのは、その雰囲気がなんとなくカレラに似ていると判断したからだった。
別に髪色が似ているわけでもない。髪の長さは言うまでもないし、立ち振る舞いにカレラを象徴するかのような爛漫さがあるわけでもない。
むしろ真反対で、機械的とすら言えた。
三つの世界を渡ったタツヤでも、シズほど機械的な存在を見たことはなかったのだ。
だから気にかけた。
カレラに似た魂が損なわれることを恐れて、戦う術を教えた。己が扱う戦い方を教えた。
それだけでなく、彼女が死の危機に瀕してしまった時には体を張って助けることすらしてしまった。
我ながら自分らしくないと、何度自嘲したことか。もしカレラにその姿を見られたら笑われてしまうかもしれないと、ありもしないことを考えてしまったほどだ。
なぜこのような思考に陥っているのだろうかと考えるも、その答えはなんとなく出てきた。
(……楽しかったのだ)
初めて妹のような存在を持てて、嬉しかった。楽しかったのだ。
だから今このような思考に陥っている。
しかしながら、自由意志が失われている以上タツヤはオールフォーワンに抗うことができない。そもそもオールフォーワンの人形にタツヤの人格が移植されているだけだから当然といえば当然だが。
それを思うと、彼が関わってきたすべての人間に顔向けすることができない。
だから、シズに助けてほしい。それが、タツヤを取り巻く環境から推測できるタツヤの心境だ。
それは正しくない。
タツヤはただ、望んでいるのだ。
『次は殺す』
逃げるシズから、そのような意思を感じ取った。
その言葉を聞いて、タツヤは――
――この上ない高揚感に身を包んだのだ。
もしかしたら、自分を超えてくれるかもしれない。
己をも超える朧心命流を見せてくれるのかもしれない。
もしかしたら、他のものかもしれない。それは重要じゃない。なんでもよかった。
ただ、シズがタツヤを超えるその瞬間を見たい。
タツヤはシズに殺されることを望んでいる。
そう。ただそれだけ。
しかしながら。
(負けてやるつもりはない)
敗北を望んでいるとしても、敗北するつもりはない。
一見矛盾していて成立しないように感じられるが、タツヤにとっては成立するものなのだ。
互いに全力でぶつかり、その勝者を決める。
運命は、すぐそこだった。