ウチらのダンスでテンアゲしてけ~!
汗が垂れ湿気の元になる。冷房を付けたいところだが、まだ5月。学園のエアコン全部がまだ、使用できるよう整備されてない。6月までには使えるようにして欲しいという嘆願書を書こうかとさえ思う。
セミが鳴いてないだけの夏。そんな言葉が頭に浮かぶ。命と同価値のノートパソコンの横には、しれっと抜け出して買ってきたアイスの空袋が転がっている。梅雨すら来てないのに汗がシャツに張り付きレース越しから痛い日差しが差し込む。
「このペースなら秋ごろには重賞戦線に出ても通用するかもな」
チームの子、それぞれの育成計画を見直す。日々の成績をグラフ化し、今後の成長を何通りか予想して白紙の未来に
…足音がトレーナー室内に響く。まただ。また無意識にステップを踏んでいたらしい。最近暇になったらすぐこうして足を動かしてしまう。原因は分かっている。以前行われた、ドロワ。そこに俺の担当、タップダンスシチーが参加しようとして俺とダンスの練習を申し込んだ。まぁ実態としては単に俺と踊りたかったらしくまんまと騙されて踊り明かしたわけなのだが。
そういった経緯で体に徹底的に染み込まれたダンスのステップは、暇になれば無意識に現れる癖としてちょっとした悩みになっていた。
「別に悪いことじゃないんだけど…」
ステップを刻むことそれ自体が悪いことではない。ただ、無意識に出るのが問題なのだ。例えば職員会議。資料に目を通していたら足が勝手に動いていて先輩に叱られるなんてことがあった。うるさいし目障りなのだ。
担当はトレーナーに似る、という話は度々聞くがトレーナーが担当に染められているではないか。
足音を響かせながら俺はもうすぐ来る昼食に向け仕事に勤しんだ。
______
午後、暑い日差しが照り付ける中借りたトレーニングコースでチームトレーニングを行う。タップダンスシチーをエースに構え多くの仲間を構える我がチームの人数は…さして多くない。5人程度だが、それでも元気にトレーニングを行ってる。
向こうで走る彼女らをストップウォッチを構えながら待つ。目標タイムを定めペースを意識した走りをさせる。全員が全員逃げウマというわけでもないし、差しを得意とする子もちらほらいるがペース配分は出来て損はないむしろ有用に働くことが多いだろうとの考えでトレーニングを科す。
足がまた勝手に動く。ストップウォッチの刻む秒数に合わせて早めのリズムを足が刻む。タンタンタンタン…頭の片隅のメトロノームが足の動きを決める。片隅の拍節機が段々大きくなっていきつつあるタイミング、声が横からかけられた。
「Heyトレーナー。ストップウォッチ、止め忘れてるぜ」
「えっあっごめん」
ステップに意識が引っ張られていたらしい。いつの間にか走りを終えていたタップに指摘され慌ててストップウォッチを止める。これでは使い物にならないデータだ。反省を交えながら表示されている値をリセットして他の子たちの様子に目を配れば…誰もいない。どうやら完全に見落としていたらしい。
「どれくらいボーっとしてた?」
「2分」
「そんなに!?」
思ったより影響が出てきたこの癖。もはや悪癖と言うべき域に達しておりいよいよ対策を考えなければならない状態だ。本当にタップに染められてしまったな、と少し微笑んでいると彼女も嬉しそうにこちらに体を預けてきた。
「アタシの走りから浮気するなんて、いい度胸してるじゃないか航海士」
普段のおちゃらけた言い方、だが航海士殿から殿が抜けている辺り相当お怒りなのが伺える。そんな風に思って少し視線を目から外すと、耳を絞っているのが見えた。…派手に怒られそう。
どうしようかどう逃れようかと頭で言い訳を考えるも、下手な行動したらそれこそもっと怒られるだろという経験値が言い訳どもを殺していく。
「た…タップダンスシチーさん…?あの~…」
「fianceを無視したんだ。きつ~いオシオキが待ってるのは当然だろう?」
別に婚約してないよ!?なんて言おうものなら理不尽に怒らせるきっかけになるのは目に見えている。別に応えないとは言ってないのにこってり怒られるのは容易に想像つくので黙っているのがこの場合は吉だ。
しかしながら反論を持ち合わせていないのもまた事実で、肩を小さくし怒られるしか出来なかった。
「…な~んてな」
「え?」
お叱りを待っていると、急に軽快な声色に代わり顔を上げる。そこには楽し気な笑みを浮かべ、こちらを見つめるいつもの彼女がいた。一体どうしたのだろうか、不思議に思っているとタップは俺に手を差し出す。
「アタシと踊りすぎてステップが染みついちまったみたいなだな。そういう時はとことん踊るに限る!なぁトレーナー、週末アタシと踊りにいかないか?」
「えっ…まぁいいけど…」
「なら決まりだな!ヘリオスから良いダンスクラブを教えてもらってる!そこに行くぞ!」
いつもタップの突発的な予定に応えるために白紙にしている週末の予定表、そこにタップとダンスクラブという記述が加わった瞬間であった。
______
週末…
EDMがホールに響きDJのコールに合わせて大喝采が箱を揺らす。正直耳が痛くなることもあるが、ここ数年で何度かこの手のイベントに連れてこられたお陰か少しは慣れてリズムに身を任せられている。…癖のステップより何テンポか早くて足が忙しくなっているが。
「Foo!ノってるな、トレーナー!」
少し気分が上がっているとタップがドリンクを持って現れた。彼女の服装はかのドロワ衣装。海賊らしいクリーム色のシャツ、脚のラインが良く出るパンツスーツに身を包んでいた。頼んでいたサイダーを買ってきてくれたらしい。タップからドリンクを受け取り一緒にリズムに乗る。
こうしていると、アジトにて2人で踊ったのを思い出す。ドロワの練習、なんて可愛い嘘を吐いて俺とダンスの練習を重ねて踊ったあの日。間違いなく楽しい時間であったし、いまだに自分の中で大きな一日であったと体までもが記憶している。2人見つめ合い、互いの心と心の深いところまでが通じ合って踊り明かすあの感覚。体がそれを思い起こしているようだった。
「Hey!ちゃんタプノってんねぇ!!」
「あぁ、いいリズムだヘリオス!」
DJをしているダイタクヘリオスが少しずつ動きが大きくなる俺たちをマイクで呼び大手を振ってステージに呼ぶ。会場の熱気に当てられ、気が乗っていた俺たちはフロア中央のステージ上でスポットライトを浴びる。タップも笑顔が弾け、随分楽しそうにしている。その様子を見て、俺の足はまた少し、大きく動き出す。
「くぅ~~~ウチも踊りてぇ!しゃ~t…代理DJ!あとは任せた!」
コールが激しくなりテンポが上がっていく。所謂アゲアゲってやつになっていくと、ダイタクヘリオスも気分が上がったそうでDJを誰かに代わりステージの方へ降りてきた。その服はかつてのドロワで纏っていた深紅のダンス衣装。タップと同じくミニハットを被りぴっちりとしたスタイルでステージに登壇した。
ヘリオスの代わりにDJを務めるのは紫のパーカーを被ったウマ娘。誰かは分からないが…どこかで会ったことがある気がするのは気のせいだろうか。
「トレぴよ!踊んべ~カモン!」
「えあっ…ぼくも!?」
「もち!ちゃんタプらとダンス対決ひゅいご~!」
ヘリオスの掛け声に合わせて見知った顔が出てきた。いやまぁ…ヘリオスがいるのだから不思議な話ではないが…こういう時に同僚と顔を合わせると気まずいというか…普段見せない一面がばれて恥ずかしいというか…。
が、それは向こうも同じ。そして担当は似た者同士の一度決めたらやり通すタイプ。これは…腹をくくらざるを得ないか。というか発端俺だからここで日和ったら色んな意味でダメと言うか。
「…踊りますか」
「ですね」
ということで始まったデュエット対決。…ダンスってデュエットであってるの?
先攻はダイタクヘリオスとヘリトレさん。ダイタクヘリオスの弾ける大ぶりな動きに食らいつくかのようにヘリトレさんがついていく。その動きはまるで太陽とその周りを囲うコロナの様で、彼女の熱気を引き出し
「楽しいね、トレぴ♡」
「そうだね…!決めるよ!」
ヘリトレさんがヘリオスを持ち上げ決めポーズをかます。ダイタクヘリオスはステージの上で燦燦と輝いていた。熱く熱く、情熱と言う愛を放ちながら。
「Fooo!熱いなヘリオスのdanceは!」
「あぁ…すごいなこれ」
熱に当てられたか、胸がビートを刻む。心が弾み自身の中にある激情が外に飛び出そうと体のエンジンを回し出す。熱い、熱い、楽しい!
「…!…Shall we dance?」
「Of course,my captain.」
DJが曲を変えて今度は俺たちのターン。タップの手を取り足を鳴らす。スタタカと足音を響かせて心のリズムを響かせる。踊りを通してタップを感じ取る。深い想いと、心の底からの笑顔が見える。彼女と目を交わす。想いは同じ。自分も踊りでそれを伝え返す。
代わる代わるのリード。タップの
「おぉぉ~め~っちゃらびゅくね!?」
「だね。…楽しそうに踊るなぁ」
DJの音楽のセンスがいいお陰だろうか。リズムに乗りやすい。どういう音楽か不思議と感覚が教えてくれる。俺の感覚に釣られタップも乗る。交代交代で回っていたリードは段々ペースを短くし、ついには動きがシンクロしていく。同時に手を出し、同時に手を取り、同時に足を弾ませる。
_
どちらの声とも判別付かない声が聞こえ、足の動きが早くなる。心臓の鼓動が逸る。心の火花があちらこちらに弾け飛び、熱狂が渦となって俺たちを包む。コンパスは彼女を指している。
手を、指を絡ませタップに抱き寄せられる。密着した姿は一心同体。手を広げ熱を放出する。ばさりと広げられた決めポーズ。これにて俺たちのダンスパフォーマンスは終焉である!
______
日が沈み家々の明かりが暖かく漏れ出る街を2人で歩く。自分を出し切って心は随分ホクホクと晴れやかな気持ちになっていた。手を繋いで隣を歩くタップを見る。彼女も同じく、心晴れやかという顔だった。
「ありがとね」
「い~や、礼を言うのはアタシの方さ」
なんで?つい疑問が口から零れる。今日は本来、俺の癖解消のためのお出かけだったはずだ。付き合ってもらったのは俺。楽しませてもらったのは俺。お礼は俺が言うべきなのに。
「最高の宝物を自慢できたからな」
ふと、タップと踊った日を思い出す。2人で踊ったあの日、彼女は宝物を見せびらかすのはまたの機会だと言っていた。そのまたの機会、が今日だったのだ。『感謝、憧れ、信頼』。そんな大切で輝かしい思いを激しく見せつけてくれたのだ。…でも、それはまた俺も同じだ。俺だって、君への溢れんばかりの思いを見せびらかした。夢を叶えてくれた感謝も、共に持っている夢への憧れも、お互いのすべてを預け合う信頼も。
でも彼女の目が語った。…そうですかい。そりゃ光栄だね。
「一番のお宝さ。これからも…一生自慢し続けるからよろしく頼むよ、partner!」
「おーけー。ありがたく自慢されるよ」
______
…暖かい優しさが伝わる。涼しさ感じる時間帯ではあれどヘリオスの背中はほんのり暖かい。生命の温もりを存分に感じながら夜道を進む。タプトレさんらとのダンス対決の後、気分が上がったぼくはそのまま踊り明かし体力切れでダウン。ヘリオスにおぶられながらの帰宅をすることになったのだ。
「うぅ…ごめんねぇヘリオスゥ…」
「気にすんなって~、トレぴ軽いし☆むしろテンアゲしまくったってことだし、ウチとしてはバンバンザイ!」
カバー、それどころか軽さについて普段の食生活追求までされてしまった。ぼくが軽いのではなくヘリオスが力持ちになっただけなのにね。そう考えながらも力の入らない体に意識を向ける。…やっぱり運動不足・栄養不足なのかもしれない。
「…トレぴ、カッコよかったよ☆」
「そう?ヘリオスに着いてくのに結構必死だったし、こうしてぶっ倒れちゃったのに?」
「逆逆!キャパいのに爆アゲしてくれたっしょ?!それがさ…トレぴのらびゅなんだなぁ~って思うとウチ、きゅわ~ってなってさ…」
らびゅ。彼女は色んなシチュエーションでこの言葉を使う。でも…何故だろうか。今この瞬間のらびゅをかたる彼女の顔はいつもと大きく違っていた。それこそ、見惚れてしまうくらい。
太陽はよく、男の神として象徴される。厳しく照らす太陽光を見ればそう感じるのも当然かもしれない。だがぼくはそうは思えない。太陽神は女神であるべきだと感じる。慈しみ愛情を持ちぼくらを育む慈愛の光は母と称すべきではなかろうか。時に照れたように隠れ時に弾けるように輝く様は乙女そのものではないか。
「なら、ヘリオスもらびゅいっぱいくれたじゃん。踊りながらでも、いっぱい感じたよ?」
顔を赤くしそっぽを向いてしまった。サクランボみたいに可愛く赤い頬が目に入り、少し微笑みが零れる。普段の君ならきっと、『当たり前っしょ!ウチとトレぴはジブンなんだし!』と言うだろう。でも今は違う。それはきっともっと熱い思いが籠っていたから。
胸が赤くなるような優しく温かい思いは十分伝わった。ヘリオスの、本音が。
「ねぇ、トレぴ」
「なぁに?」
少ししてまた彼女が顔を上げる。もう照れは終わったようで、また笑顔が咲いていた。
「またウチと踊ってね?」
「もちろん。君が望む限り、いつまでもね」
生涯フェス。その夢を、ぼくは叶えたい。叶えてあげたい。トレーナーとしてじゃなく一人の人間として。
楽しく大きい夢を抱きながら、ぼくはヘリオスに揺られていった。
ドロワタップ衣装、ホームセリフも衣装ランダムイベントもなんか気が狂ったくらいに濃度が濃いトレタプが摂取できるので大変おすすめの一品なんだが中でも格別様子のおかしいイベントが存在しております
それが衣装ランダムイベントの『狙い定めた宝はその手に』
そもそもこのイベント、分岐が三つあるんです。あるんですが…分岐によって獲得できる恩恵に差がないんです。つまりただ話の内容が違うだけなの。もう意味が分からない。何で用意したかっていうと強火トレタプファンが制作陣に紛れ込んでるとしか思えないわね。労力考えたらやる意味ないのにこれしたの相当変な熱量ないとできなでしょありがとうございます一生ついていきます
イベント分岐は三つあります。三つ。多いわ
で、まず一つがお宝ルート
二つ目が酔いしれルート
三つ目がずっと一緒宣言ルート
正直三つ目は通常衣装時から変わらずトレーナー大好きだな、になるので今回は触れず、また二つ目も同じくトレーナーと踊る雰囲気に酔いしれているだけなので自分で読んで良い…ってしてください。マジで良イベなんで引いて引こうハフバの交換対象にしてもいいから本当は宝塚チャンミ強い良い方なんで全員引いて欲しいんですけど
なので主題は一つ目、お宝ルート。簡単に言うならお宝見せびらかしてぇなって言って終わるんです。んじゃそのお宝ってなんなのか
イベント中お宝と言われる存在があるんすよ。それがトレーナーへの思い。イベント中で宝みたいな思いって明言されてるんですね。別に恋愛感情とかじゃないけどでもクソデカ信頼を寄せてるのはこれまでの言動から自明の理。それをダンス通じて伝えようとしてるんですねいじらしすぎる
さて、先ほどタップはそのお宝を見せびらかしたいと言いました。トレーナーへの思い=お宝なので、どうだアタシはこいつにこんだけの思い寄せてんだぞコイツに手を出すなくらいのド重い牽制になるんですよね。ふぁぁ~w
ただそれだとイベントタイトルが若干変。思いが宝ならそりゃ持ってて当然なんすよ。んじゃこのイベント真のお宝って?トレーナーそのもの、ですよねたぶん。イベント名が『狙い定めた宝をその手に』じゃないのがミソなんすよ。『は』にすることでもう手に入れてるニュアンスが出るから。これまでのタップが手にしてきたものは友人、拠点、クラファン出資者らという友愛の城。たくさんありますがその中でもなんか一際大きそうなのがトレーナー。だって夢をかなえてくれたんだもん。夢をかなえてトレえもん
そんなトレーナー、こいつもこいつでタップ海外に行かせるために俺は船を降りるよ、できるガンギマリ人間なんでまぁタップの所有物でもいいでしょう。タップに何度もアタシの宣言されてるしそれに否定してる様子を見せてないな!ヨシ!タップはタップでトレーナーのcrewになりたいとか言い出すんでもう相思相愛でしょこれ相思相愛なんだよ
相棒っていう距離感というか言及されてるんだけど、相棒にしてはやけに湿っぽいというか互いに芯の芯まで踏み込み合ってるんですよねトレタプ。ただ思想の根っこ同じだけど方向は少し違うっていうのも味わい深いんですよね。トレタプは噛めば噛むほど味が出るスルメみてぇな関係性
まぁボクは変な幻覚見えてる人間なのでトレタプは最終的にクソデカ建造物を城としてゲットするとは思います。暮らせるとこじゃないと、やっぱ。友愛の、絆の城もありですがっここは現物得るのは守銭奴タップには必須でしょう有馬のセリフ的に本人も諦めてないようですしお寿司
話を本題に戻すんですが既にタップの所有物なトレーナー。それをお宝として置き換えて見せびらかしたいと本人は言うわけですね。絶対普段からしてるだろ。まぁ今回は見せびらかすところがドロワ会場なんで、こいつはアタシのデートだ宣言するんですよね。あ~れその発言去年ドロワの同室の子がしてたような…。ま、私生活のニュアンスでいうのと正式な場で宣言するのはかなり重さが変わりそうなんで仕方がないですかね。公的な場でアタシのパートナー宣言する気だったのおっっっも
長々語りましたが、結論を言うならばドロワタップダンスシチーはいいぞってことですぜひ引いてね。ラヴズとかスーさんの伸びてタップやヘリオスの短編伸びなかったの少し根に持ってるんでこれが伸びてドロワタップやドロワヘリオスの良さが語られて欲しい…
ドロワヘリオスの良さはまたの機会にこうして長々語ります
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