ツィーペリア戦記 作:ごまふそば
「ええっダンジョン赤い鳥マジかあ俺知らねえよ」
こいつが一番等身大で、事実上の三次創作。創作って何だろうね。
「まぁ良いか!楽しくアホやって友達に絡めりゃ万事オッケーって!」
アホの男である。自称王子様。
――往年の酒場における冒険者の人口比率は極めて女性比率が高く、
何なら無機物すらもがウケ狙いで女性率が高かったのである。
「そんじゃま、適当に遊んでいこうぜ。随分涼しくなったから半裸で十分か」
「真昼間だったらもっと脱いで上半身マッパまで行きたかったんだけどよ。なんか寒くね?」
圧倒的肉食女子の坩堝。
捕食者しかいねえ。男性冒険者は性欲目当てと見做される地獄の環境で、それ故ネカマの方が心理的安全を確保でき、
男同士で遊ぶのにちょうど良かったのである。なお結果。
「まぁバカなことして笑って貰うと楽しいっつーかその場その場で、あんまり難しい事やややこしいぶるとかも、やれることやりきっちまうと結局脱ぐしかねえ訳よ。例えばこうして」
そう言ってグッと服に手を掛けたアホを周囲の人間が慌てて飛べる。
それを見越してのフリみたいなもの。
文章越しの対話は同じ。
基本的に相手のレスポンスを求めてのこと。
「バカでもアホでも誰かにとっての王子様だろ。っつーことはそのデカイ鳥の唐揚げ?っつーのは間違いなくアンタにとっての王子様なんじゃねえの。俺だって全然王子様らしくねえしなぁ……」
バカにはバカなりの悩みがあるのである。芸風とか
「例えばそうであるな。かように余とか褒めて遣わすとか過度なキャラ変やろうとしてハズくなって顔を合わせられなくなって失踪とか?」
「まぁ癇癪起こすってのは物理ベースでのそれなんじゃねえの?」
「身を守るために変な択起こそうとして、言葉が足りないと脱いだり、言葉が足りてても煮詰まってキャラ変始めたり、キレて暴れたり」
「出来る事が何もなくなって、暴れるしかないってなった時、泣いて構って貰えるのは弱者の特権で、弱者じゃなかったらしばいてどつき倒されるだろ?」
「俺が王子名乗って脱いだり笑いを取ってるのも要するに強者と弱者っつー社会的地位の入れ替えで、だから裸の王様は滑稽な訳よ」
バカが、知った風な口を聞くものである。
「じゃあさ、行こうぜラストダンジョン。あの山の方。今だと地下迷宮だとかアビスとか、城とか呼ばれてんのか?」
「ま、やれることやりきって、良い感じなら後は挑戦してみる次第で、やれば良いだろ。逃げ出しても優しい人なら許してくれるし」
「まぁでもその前にシバかれたりヤキいれられたりツッコミパートが入るから痛いやつは逃げっぱなしで、逃げることすら許されず座りっぱなしのやつもいるかもしれんが」
「赤い鳥の騎士ってのは、一体どんな奴なんだろうな?」
「大事なもんのために戦えるやつなのか、逃げ出すやつなのか、それとも座り込んで立ち止まってしまうやつなのか」
「挑戦して見りゃ分かるんじゃね?存外、好きな子のために頑張り始めたのに一人遊びが楽しくなって迷走するような、俺みたいなタダのバカかもしれねーじゃん」
NEXT――The Lust Dungeon
赤い鳥は誰もが求め辿り着けなかった。
でも赤い鳥や妹みたいなのより遥かにヤバい存在がある。
前二者は特異だ。けれどこの1つは普遍にして不変である。
文章における、情景描写の才能の極致とも言える結晶。
WEB小説領域における、あらゆるダンジョンものを呪縛している実在した迷宮現象。
赤い鳥よりも、妹みたいな子よりも知られていない。
許されない。誰もが挑み、下位互換すら存在せず負けている絶佳の美。
廃絶物――即ちゴミの山そのものである。