ツィーペリア戦記 作:ごまふそば
「あっ綺麗なおねーさん。何時も皆がお世話になっております!」
お団子頭にまあるい瞳、キラキラお目々のどんぐり目。舌ったらずの猫みたいな子。
頭は悪そうで悪意なく、無邪気ではつらつとして。素朴さがある、
「シーツもまっさらでアカギレもなくて夢みたいな暮らし!お友達も一緒だし!」
ぎゅっと、孤児院の制服を抱きしめて見て。悪意なくて単純で。
「今日は普段と違うカッコで地味でもステキ!」
美辞麗句とは異なる満面、本気の慕い。素朴な素直さ中々ないもの。
「えっ!?アカい鳥の騎士サマのオハナシ?」
むっと戸惑い驚いて、一際高く声を上げ、
「うんうん、この間も見たワ!街はずれの牧場で見たワ!」
上目を向いて、思い返すように頷いて、興奮気味で。
「なんていうかすっごいい、おバカよね!」
ワッとしたように心底呆れ、愚か者を笑うように。でも苦笑で嫌味はなくて。悪意がなくて。
「えっ…バカなのは知ってるって?おねーさん、なんでちょっと怒ってるノ?」
――それが逆にお気に召さなかったらしい。
「そうそう、それで赤い鳥の騎士サマが街はずれで何してたかって?」
「なんかずっと小汚い色んな生き物を抱えてあーだこーだ小うるさく悩んでたのよ!ノミとかシラミとか映るのにバカよネ!」
くすくすと笑うように。感情表現が素直。
「こう…生き物の生態がどうとか?なんで、
こんなところで飼われているんだろうとかブツブツずっと呟いてたワ!」
指を折るも、数えるまでもないフウに。物を、数えるのが苦手。
「何年もずいぶん、長いこと日課にしてたみたい!他にやる事無いのかしらネ!」
プリプリと怒る。
まったくもって、おかしな趣味もあったものである。
「ただまぁ騎士サマは目が悪いのか。動物の種類と羊飼いの人のコトしか目に入ってなかったワヨ!」
「赤い鳥の騎士って言うワリに、近視眼が過ぎるのよネ!」
「ホント、バカよネ!あそこのオーナーはお金持ちだけど、
すっっっごいキモいって評判なのはオネーサンもご存じでしょ。何せ……」
「わぁ綺麗な飴玉!ありがとうネ」
目先の安い報酬にあっさり釣られる単純さ。
しばし、飴玉ころころ。と。それを見守る優しい瞳には気づきもしない愚の骨頂。
「んっ…それで騎士様について他に詳しい人…?」
人の顔を覚えるのが苦手なのか、大分頭を巡らせている。
「うーん…?そうだ、おねーさんの知ってるあの方に改めて確認してみたらどうかしラ?」
名前もあいまいで良く出てこない。
バカみたいで、でも優しくて教会の奉仕作業なんかが得意そうで黙々一人こなせる。きっとそんな子であった。