ツィーペリア戦記   作:ごまふそば

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――王城守護の騎士

「うむ!今日も麗しくお元気で……ッ・…探偵殿」

 

ピカピカに磨き上げたるバケツヘルム。全身鎧の性別不詳の偉大騎士。

 

「赤い鳥の騎士。騎士などとは言われてはいますが

 主君と見定めた者に忠節を尽くす私とは異なり、

 アレは主なく放浪する根無し草……黒騎士の類だな」

 

そう言うと、肩をすくめ苦笑した。肩意地張る事のない物腰の柔らかさ。柔良く業を兼ね備える。

 

「只、ご存じの通り、邪気のない無邪気なやつではない」

 

鎧兜で覆い隠した眼光鋭く人を見る目もある。

 

「あれは剣が好きらしくな。こう、容赦なく切りかかってくるのだよ」

 

記憶と分析、それを得意とする。

 

「それでいて太刀筋も胡乱だが、しっかりと感情を乗せて相手の返し太刀にも逐一頭を使って対応する」

 

身振り手振りを交えての話しぶり。暫し言葉を咀嚼して。

 

「なんと言うか、他人と向き合うのに必死になっている子供じみた所がある」

 

■と騎士は、旧知の勝手知った風な中で。

 

「ご存じの通り、私も実直さだけが取り柄の不器用者であるからな」

 

それは酒場や冒険者の間では善く、知られている事実でもある。

 

「まぁ相性は良いので、良く手合わせを」

 

と身振りに入ろうとしたところで。

 

「……君に、その目で見られるくらいに思う所があるのは事実だが心外だぞ。そもそも私が……」

 

「お互い知った仲ではあるが故に踏み込み過ぎるべきではないな」

 

「まぁ“今のところ”野良犬ではあるが。実際に気持ちの良い男ではあるよ。見ていて面白い男でもある」

 

一挙一動、見ていて面白い騎士がなんか言うてはる。

 

「誰か信頼する主君を見つけられればいいのだろうが。難しかろうな」

 

道化じみて振る舞う人間ほど、その下に懊悩を覆い隠している。

 

「何と言うか、赤い鳥の騎士などと歌われつつも、死線を主と見定めた凍り付いた鬼のようなところもある」

 

手合わせをした似た者同士だからこそ分かる本質的な冷たさ。

 

「哀れな男だよアレは。何を考えているのか得体の知れん所も多いが、その実感情だけは分かりやすく幼稚だが、太刀筋も鋭く、容赦がない」

 

「…貴方と少し似ている所があるのかな。自分が一番救いを求めているのに人を救い違って必死になるような」

 

しみじみと感慨深く。

 

「まぁ奴についてこれ以上知りたければ、闘技場に行くと良い」

 

「忌々しいほどに粘着質な私の熱狂的なファンではあるが、アレも直接関わらない分には嫌いではない」

 

≒。

 

「アレが知らぬ事などあまりないだろう頭も回る。胡乱な事に達者が過ぎるし、

 少々舌が回り過ぎるのが玉に瑕だが……」

 




次回予告:

――――本物が出てくる。
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