ツィーペリア戦記   作:ごまふそば

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――うわ出た。


――闘技場観客席の脱獄囚/人形師■■■■

 

「――クカカカハハハッ!

 嗚呼…空気が旨い。旨み。旨あじ。堪々能々これまた愉快。

 語彙など幾ら言葉と心を尽して謳い煽る事こそ無上の歓喜なればこそ」

 

「全くもって空気が美味いったりゃありゃしませんよ。

 シャバの空気は実に愉快に狂おしく。傀儡繰りには良い日々で。

 いやいや、やあやあどうなされましたか。

 これはこれは麗しいお嬢さん。中々素敵なそそるうなじと髪型で。

 おおっと口説くなど毛頭毛頭。単なる世辞の美辞麗句。

 口先回しの傀儡回しの、上っ面でございますよ。

 わたくしは見ての通りの白髪頭の老爺でして

 この通り、傀儡繰りなどと称されておりまして。

 いやはや、わたくし戦うよりもね。専ら見て人と人との触れ合いを楽しむのが趣味の一つの玄人でして。

 この通り片目も不自由でまぁ戦うにゃあ不自由しませんが、

 肉弾戦はからっきしで専ら人形繰りなどをしておりまして・

 それで本題は…えっ?前置きと自分語りが長いって?いやいや久しぶりの出番なのでこれでもずいぶん控えた方でして。

 ああ!赤い鳥の騎士ですかな!無論も無論で、覚えておりますとも、覚えておりますとも。。

 いやいや他人とは思えない男ですねえアレは。わたくしにそっくりで。

 要するに不器用ものなんですよ。わたくしァまぁこの通り見て語るのがでぇ好きな性質の穢土の出で。

 そうそう黄泉平坂の方の十三代目たぁ知る人ぞ知るこのツラでして…いやいや私の先代の十二代目がそもそも邪悪な

 あ…アァはいはい脱線し過ぎてすなァ…いやいや私喋くりしか能のない男ですが。

 それでまぁ赤い鳥の騎士の話ですねえ。

 なんと言いましたかまぁ魂の双子ってやつでしゃあねえ。わたくしは無駄に良く回る舌で、

 アイツァ…げふんげふん、あのお方ァまぁつばぜり合い、格闘と言うか肉弾と言うか。

 

 まァ要するに自分が苦しいから苦しみあえぐ人間が好きな外道の類と言う……。

 

 おおっと冷たい目。持病の癪が…クヘンッ、クヘンッ……失敬失敬。

 それでまぁ、あっしは一つ残った目玉と舌で外から人の戦いを見て、

 あのお方ァ…あらゆる武器を介した肉弾で苦しんでる人間と向き合って理解してえ…っつうお人でしょう。

 聞いて見て言ってみればの単純な話。

 外から見りゃぁ簡単じゃごぜえません?えっ何でそこまでするのか分からないって…?

 さぁ夢破れたかあるいはもっと…おおっと流石にわたくしもそこまで踏み込んじゃいけねぇ所くらいァ存じ上げてまさあ。

 クカカカきゃ…例えばお嬢さんの…おおっと怖い怖い。なぁにわたくしのイチ推しのあの騎士殿の関係者と来りゃあ一目瞭然でしょう。

 あの騎士殿も中々面白い御仁で戦いぶりや真っすぐぶつかってゆくあり方に花があり、素晴らしい闘士ですとも。

 手練手管の何というか不器用な有様が他人とぶつかり合う事でこう見えてくる面白さがあると言うか何と言うか……。

 クケッ…わたくしがイチ推しの騎士殿を褒めるだけでなぜなぜお嬢さんに睨まれるのか全く全く皆目見当理解が不能で驚天動地

 わたくしァ愁嘆場だけぁ勘弁願いたくてねぇ見ての通りジジイの部類で。

 娘代わりの人形繰りしてどつかれてっつう独り芝居じゃ寂しいもんで。

 この通り闘技場の観客席にヌシとして居座り過ぎて。

 まぁまぁ根無し草なんつう言われてる人間ほど、結局 その実居場所を求めて水が合う場所に居座りがちな所もあるんでしょうねぇ…・

 好む水場が毎日昼間から死線を彷徨う何考えてるんだかわからんドブ川以下のクソみてぇな酒場や闘技場に屯していたりで、

 水清きとは限らないのが世の中の常と言うが。早々長文早口と言えば、最近…でもないか。

 まぁ獅子だか最強だとかァ言う口の悪い若者みてえなやつがいるでしょう。随分女癖の悪い。

 何考えてるのか分からず女に手を出しては泣かして回るのに無駄に強いアホのロクでなし。

 まぁ男女関係なしに苦しんでる奴なら性別とか大体何でも良いわたくしやあの騎士ほど節操無しじゃあありませんが。

 全く、男と遊んでる方が楽しいし、そっちのが気兼ねしなくて良いってのに。ありゃそのうち死ぬんじゃありませんかねぇ?どれだけ強くても愁嘆場で。

 しかしまぁあの獅子の男。ありゃあワタクシと比べりゃあ遊説家の才能がねえよなぁ。

 全く一体全体何処の真似芝居かぁしりやしませんが。早口長文解説と言うものを全く理解しちゃあいないんですよ。

 自分勝手に一方的に早口で喋り掛けるばかりで一体何をしたいのか。早口実況解説と言うものはワタクシの闘技場にのさばる悪趣味を見りゃあ分かるかのように人と人との触れ合いを第三者目線で……

 

 えっアレッ?お嬢さん。ちょ、ちょっとちょっとまだ本番の闘技場の実況解説の任が…くっ何年ぶりに釈放されたかと。こちとら久々も久々の出番なんですよ

 あぁ、そうだそうだ。赤い鳥の騎士の話を知りたいのであらば、街はずれに行くとよござんすよ……あの墓守のなんだったか。

 まぁおっそろしく白い幽鬼だか枯れ尾花みてえな女なので見れば分かる

 ああっ、行ってしまいましたか。女って聞いた瞬間に足早になりましたね。

 アレと騎士殿はまったくそんな関係じゃないと思うですがねぇいやはや全く。なんと言うか鏡写しと言うような。

 はてさて気を取り直して気になるは闘技場の次の対戦カードの方ですねぇ。ほほぅ、なるほどこれまたこれまた実に実に興味も深く……」





――お分かりいただけただろうか?
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