ツィーペリア戦記 作:ごまふそば
「おーなんなんッスか。そんなに急いでどうしたんッスか。誰か人でも探してるッスか」
「うひぃ…赤い鳥の騎士ッスかぁ。ご存じですよおラリラリッっすよねえ。ご主人お客さんうへへへ」
ぐるぐる渦巻く目の色は曖昧で幻覚見てるこいつもメイド。冥途の直前。独り言言う薬師の原版。
「んー、あっちじゃないッスかねーよく分かんないっスよ。うろ覚えでえ」
――■■■さんを動かすのは初めてだ。こいつには関わってない。だから口調だけ。
「何分タフなんで平気ッスよお…えーっと、あっちだったかこっちだったか、んおーっと」
ガツンとその辺に頭をぶつける。
なるほど。理解した。口調を完全に真似できないなら、動作所作で変化を加えれば良い。
「いててててっ、あっ心配して貰わなくても大丈夫ッスよお。これでもタフなんで」
タフ構文かと思ってたわ。こいつだったんだな。こいつなら、疑似再現が適う。
「うへへへへ、これでも自分薬とかに詳しいんすよ。合法なものから違法なものまで」
と、もぞもぞと懐を漁るようにして。
「うぇっあれっ無いいっなんでえ!?薬物免許が無いぃっ!?」
医師免許も薬剤師免許も持ってなさそう。
「……いやあどうもすまないッス。こっちが探し人のお手伝いをするどころか、探し物の手伝いをして貰っちゃって」
ぺこりぺこりと、ボサついたショートヘアの頭を下げて。
「それでえーっと浅い森の石?でしたっけ捜索以来っスね。自分薬師だからその程度簡単っスよ。あっちッスあっち。」
そう言って指さしたのは町からほど近い、魔物が住む森の方で。
「貴重な薬草って中々見つからないんスよねえ。非合法なおクスリの方がよっぽど簡単に……ってうおぉ今のは内緒でお願いするッスよ!」
「うおおっゴブリンじゃないッスかビックリするッスね。まぁこの程度は捜索依頼ばかりの冒険者でも余裕っスよ」
「流石に複数相手や連戦はキツいッスよねえ。捜索依頼は結果が出るまで足で探すのが基本ッスから」
「うーん、あっちだったッスかねえ。それともこっちだったッスかねぇ……銀鉱なんかよりは見つかりやすいとは思うんスけど」
「えっ赤い鳥の騎士ッスか。うへへへへウッカリ忘れてたッスよお。あのちょっとクスリが切れて来ちまってぇ…」
「まぁ冒険者で例えるとゴブリンとか一杯殺してるんじゃないっすか。ゴブリンスレイヤーとか呼ばれてそうッス。小鬼百匹殺しとかそんな感じで」
「とか言ってたら本当に物凄い数のゴブリンに囲まれちゃってますね。いや、巨大生物よりはマシなんだけど。うえぇっこれどうするんスかあ!?英雄でもないとどうしようもないッスよお!?」
<つづく>