『最後の航海日誌(ログブック)―世界がひっくり返る日―』 作:ペンギンって可愛いですよね
静寂のラフテル。
配信室の光が再び点灯すると、でんでん虫はローの手元にあった。
彼は無言でマイクの前に立ち、
一瞬、何も映っていないでんでん虫のカメラを睨むように見つめる。
その瞳は鋭く、どこか遠くを見ていた。
「……俺の名前は、トラファルガー・D・ワーテル・ロー」
その瞬間、世界中のでんでん虫が再び反応を始めた。
前回の配信によって、今や“麦わらの一味による真実の放送”は、
瞬く間に全世界の耳目を集めていた。
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「俺は、“フレバンス”という国の出身だ。
だが、今その国の名前を知っている者は、ほとんどいない。
なぜなら、その国は――消されたからだ。白鉛病という、作られた罪とともにな」
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■ 回想:幼き日の記憶
街には、白い粉塵が舞っていた。
それは光を反射し、まるで雪のように美しかった。
だがそれは毒だった。白鉛。
知らずに吸い込み、蓄積し、人々の体を蝕む。
「大丈夫。ローは病気にならないよ。お兄ちゃんは強いもん」
妹のラミが、いつも笑っていた。
両親も、医者も、誰もが信じていた。
「これは伝染病じゃない。鉱山の影響なんだ」と。
だが、その情報を握っていた政府は、何も言わなかった。
ただ一言、「伝染する可能性がある」と告げただけで――
世界はその国を閉ざした。
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「白鉛病は、伝染病ではなかった。
政府はそれを知っていた。だが、隠した。
採掘を止めれば国が潤わなくなると恐れたからだ。
だから、市民を犠牲にした」
ローの声は、静かだった。
だが、その静けさの奥には、鋼鉄のような怒りがあった。
「俺の両親も、妹も、石を投げられて死んだ。
“病原体”だと罵られ、殺された。……俺たちは、“国家ぐるみの嘘”に殺されたんだ」
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■ 現在:世界中の反応
「嘘……フレバンスって、あの薬の国じゃ……」
「政府が……あの国を見捨てたってことか……?」
「麦わらの一味、今度は何を暴こうとしてる!?」
市民たちは戸惑い、怒り、そして泣いた。
かつてその国から輸入していた品を使っていた者たちもいた。
「知らなかった」では済まされない真実が、突きつけられていた。
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■ ローの決意
「俺は医者だ。命を救う力を持っている。
だが、その力が届く前に、命が嘘に殺される世界を、俺は見過ごせない」
「だから、語る。
俺たちが命をかけて辿り着いたこの地から、
もう誰にも奪わせないために。――未来を」
静寂が落ちた。
それは、何よりも重たい“事実の言葉”だった。
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■ でんでん虫が止まったあと――
ローは、そっと手を離した。
まるで、背負っていたものを一つ、置いてきたかのように。
「……言えたな」
ルフィが後ろから言った。
「……ああ。遅すぎたがな」
ローは言った。
「いや、ちょうどいいさ」
ルフィは笑う。
「世界をひっくり返すのに、これ以上のタイミングはねぇからな」
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■ クライマックス:次に語る者
「なぁ、ロビン」
ルフィが振り返る。
「もうひとつ、話さなきゃなんねぇことがあるだろ?」
ロビンは頷いた。
「そうね。……“ある王国”と、“Dの意志”のことを」
そして、その名を歴史から消された“王国”の真実が、
次なる声として、世界に向けて語られようとしていた――