『最後の航海日誌(ログブック)―世界がひっくり返る日―』   作:ペンギンって可愛いですよね

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第三話:「白鉛に染まった祈り」

静寂のラフテル。

配信室の光が再び点灯すると、でんでん虫はローの手元にあった。

 

彼は無言でマイクの前に立ち、

一瞬、何も映っていないでんでん虫のカメラを睨むように見つめる。

 

その瞳は鋭く、どこか遠くを見ていた。

 

「……俺の名前は、トラファルガー・D・ワーテル・ロー」

 

その瞬間、世界中のでんでん虫が再び反応を始めた。

前回の配信によって、今や“麦わらの一味による真実の放送”は、

瞬く間に全世界の耳目を集めていた。

 

 

「俺は、“フレバンス”という国の出身だ。

だが、今その国の名前を知っている者は、ほとんどいない。

なぜなら、その国は――消されたからだ。白鉛病という、作られた罪とともにな」

 

 

■ 回想:幼き日の記憶

 

街には、白い粉塵が舞っていた。

それは光を反射し、まるで雪のように美しかった。

だがそれは毒だった。白鉛。

知らずに吸い込み、蓄積し、人々の体を蝕む。

 

「大丈夫。ローは病気にならないよ。お兄ちゃんは強いもん」

妹のラミが、いつも笑っていた。

 

両親も、医者も、誰もが信じていた。

「これは伝染病じゃない。鉱山の影響なんだ」と。

 

だが、その情報を握っていた政府は、何も言わなかった。

ただ一言、「伝染する可能性がある」と告げただけで――

世界はその国を閉ざした。

 

 

「白鉛病は、伝染病ではなかった。

政府はそれを知っていた。だが、隠した。

採掘を止めれば国が潤わなくなると恐れたからだ。

だから、市民を犠牲にした」

 

ローの声は、静かだった。

だが、その静けさの奥には、鋼鉄のような怒りがあった。

 

「俺の両親も、妹も、石を投げられて死んだ。

“病原体”だと罵られ、殺された。……俺たちは、“国家ぐるみの嘘”に殺されたんだ」

 

 

■ 現在:世界中の反応

 

「嘘……フレバンスって、あの薬の国じゃ……」

「政府が……あの国を見捨てたってことか……?」

「麦わらの一味、今度は何を暴こうとしてる!?」

 

市民たちは戸惑い、怒り、そして泣いた。

かつてその国から輸入していた品を使っていた者たちもいた。

「知らなかった」では済まされない真実が、突きつけられていた。

 

 

■ ローの決意

 

「俺は医者だ。命を救う力を持っている。

だが、その力が届く前に、命が嘘に殺される世界を、俺は見過ごせない」

 

「だから、語る。

俺たちが命をかけて辿り着いたこの地から、

もう誰にも奪わせないために。――未来を」

 

静寂が落ちた。

 

それは、何よりも重たい“事実の言葉”だった。

 

 

■ でんでん虫が止まったあと――

 

ローは、そっと手を離した。

まるで、背負っていたものを一つ、置いてきたかのように。

 

「……言えたな」

ルフィが後ろから言った。

 

「……ああ。遅すぎたがな」

ローは言った。

 

「いや、ちょうどいいさ」

ルフィは笑う。

「世界をひっくり返すのに、これ以上のタイミングはねぇからな」

 

 

■ クライマックス:次に語る者

 

「なぁ、ロビン」

ルフィが振り返る。

 

「もうひとつ、話さなきゃなんねぇことがあるだろ?」

 

ロビンは頷いた。

 

「そうね。……“ある王国”と、“Dの意志”のことを」

 

そして、その名を歴史から消された“王国”の真実が、

次なる声として、世界に向けて語られようとしていた――

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