バーニィがクリスの飼っている白い猫とたわむれるお話です。

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第1話

「仕事先から呼び出されちゃって…どうしても今から行かなくちゃならないの、本当にごめんなさい!」

そう言ってクリスがぱちんと手を合わせて頭を下げる。

以前からずっと楽しみにしていたこの日。せっかくバーニィを家に招待できたのにこんな風に水を差されるなんて…!クリスは心の中で大きなため息をつく。だがそれはバーニィも同じだった。

(せっかくクリスの家にお呼ばれしたのにまさかクリスと一緒にいられないなんて…!)

心の中でがっくりと項垂れるバーニィ。しかしそんなことはおくびにも出さずに、すぐににっこりと笑顔を作った。

「気にすんなって!仕事の用事なら仕方ないさ!」

彼の明るい態度にクリスは少し安堵しながら手早く出かける準備をする。

「ごめんなさい、この埋め合わせはいつか必ずするから!夕方までには帰って来られると思うから、それまで自分の家だと思ってくつろいでいてね。家の物は好きに使って構わないから!」

「ああ、大丈夫。クリスこそ気を付けてな。いってらっしゃい!」

「行ってくるわ、バーニィ…」

クリスは名残惜しそうにしながらも足早に自宅を出て行った。

「……さて、どうするかな。」

一人残された家の中でぼそりと呟くバーニィ。するとどこからともなく真っ白な長毛の猫がぱたぱたと走ってきた。人見知りするのか今まではどこかに隠れていたようだ。

「うわっ!?」

猫は驚くバーニィに目もくれずに玄関先にやって来ると、困ったようにきょろきょろし始める。

(この猫ってもしかしてクリスのペットか?クリスを探してるのかな…)

しゃがみ込んで猫の目線に合わせてやる。

「クリスならもう出かけちゃったぞ。…なーんて猫に話しても分かるわけないか。」

声をかけると猫はビクッと体を震わせ後ろに飛び退いて、シャーッと怒りながら彼を威嚇し始めた。ふわふわの白い毛が逆立って、しっぽがピンと上を向いている。しかし元が可愛いのでそこまで怖くはない。

「そう邪険にしないでくれよ。ほら、クリスが帰ってくるまで俺と遊ばないか?」

そう言って猫に手を伸ばすが…

「痛っ!」

猫は伸ばされたそれを引っ掻き、5本の赤い筋がバーニィの手に浮き上がる。

「いてて…飼い主に似てやる時はガツンとかましてくるタイプだな…」

痛みに顔をしかめながらも苦笑する。心なしか以前クリスにバットで思い切り殴られた後頭部が疼き始めた感じがするが、気にしないことにした。

「さ、おいで。俺はただお前と仲良くなりたいだけなんだって。」

諦めずに猫に手を差し伸べながら優しく語り掛ける。猫は訝しげな視線でバーニィを見つめながらも、やがて恐る恐るといった様子で彼の手に頭を寄せ始めた。

「よーし、良い子だ……」

微笑みながら猫の頭を撫でるバーニィ。猫の毛並みは見た目通りとても柔らかくもふもふしていて、素晴らしい触り心地だった。それにぽかぽかあったかくていつまでも撫でていたくなる。猫の頭から顎の下にかけて撫でてやると、猫は気持ちよさそうに目を細めてゴロゴロと喉を鳴らし始めた。

「可愛いな……」

バーニィはうっとりとした表情で呟く。猫もバーニィの優しい手つきが気に入ったようで、彼に体を預けてくれている。そんなことをしているとふとある疑問が頭をよぎった。

「そういやお前、名前はなんて言うんだ…?」

バーニィがぽつりと呟くと、猫は首を傾げた。

「特に名札付きの首輪なんかを着けてるわけでもないし…クリスはなんて言ってたっけ?」

そういえばこの前クリスがペットの話をしてくれたときに飼い猫の名前も一緒に教えてくれたような気がするが思い出せない。

「まあいいか。クリスが帰ってきたら聞けばいいや。」

バーニィはそう結論付けて再び猫を可愛がる仕事に戻った。

「おー、よしよし……」

猫は彼の目の前でとろけてすっかりリラックスしている様子だ。

「クリスが帰ってくるまでこうして一緒に遊んでいようか。な?」

それに返事をするように、猫は「なぁん」と高い声で鳴いてくれた。

「ただいま!ごめんなさい、バーニィ!大丈夫だった!?私ってばあの子のことを言いそびれちゃっていて……あら?」

黄昏時に帰宅したクリスが見たのは、ソファの上で仲良く眠る1人と1匹の姿だった。

クリスがそっと近づいても起きる気配のない彼ら。

彼女はそれを見てクスリと笑みをこぼすと、おもむろに携帯を取り出してぱしゃり、と写真を残すのだった。


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