迎撃隊を退け敵艦隊に到達した攻撃隊は不思議に思った。報告よりも随伴艦が少なかったのだ。ひとまず目の前の敵に集中する事にした攻撃隊長は、まず雲龍隊に先陣を切って艦隊に突入させた。
艦隊陣形の外側にいた艦は栄天のロケット弾と30mm機関砲によって速攻で排除されたが、欧州妹姫を目標とした攻撃は随伴艦が激しい対空砲火をもって盾になる形で尽くが防がれてしまった。尚、随伴艦は飽和攻撃によって撃沈している。
遅れて到着したレンジャー隊が艦隊に突入、単座化した流星改による雷撃と爆撃が開始された。
投下された赤外線誘導爆弾はかなりの数が命中しているものの、思いのほか随伴艦に命中したものも多く、欧州妹姫に致命傷を与える事ができていなかった。
雷撃隊が雷撃位置に遷移すると、栄天隊は30mm機関砲とロケット弾による執拗な目眩まし攻撃を開始した。
雷撃は見事に成功し欧州妹姫を小破させ、随伴艦もその殆どを撃沈する事が出来た。
一方の雲龍達は支援艦隊を前方に出す形で進撃を続けていたが、雲龍のレーダーが突如後方に出現したエコーを捕らえた。
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6698:顔面破壊大帝
ミサイル足らん!
6699:名無しの転生者
飽和攻撃ばっかりしてると消費速度がバカにならないね
6700:名無しの転生者
ていうか、随伴艦少なくね?
6701:名無しの転生者
どこに行ったのやら…
6702:名無しの転生者
あの…艦隊後方に突然エコーが出たんですけど
6703:ウィッチウォッチ
ヤバいぞ!艦隊後方に戦艦含む敵艦隊出現だ!
6704:名無しの転生者
ハァッ!?
6705:名無しの転生者
ヤベえよヤベえよ
6706:雲龍
航空隊の帰る場所をなくさせたりはしない
6707:高角砲員
久々の出番だ!やったろうぜ!
6708:名無しの転生者
雲龍さん?抜剣して何する気ですか!?
6709:名無しの転生者
隣のレンジャーが凄い目で見てるぞ
6710:高角砲員
撃って撃って撃ちまくれ!
6711:名無しの転生者
ファッ!?砲弾を叩き斬ったぞ!?
6712:名無しの転生者
レンジャーがドン引きしてるんだが…
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欧州妹姫は艦隊を二分し、大胆にも自身を囮にする形で奇襲部隊を海中から進撃させていたのだった。
迫りくる敵艦隊に対して雲龍達はその場での反撃を開始した。尚、攻撃隊は攻撃完了につき急いで帰還している。
雲龍から予備の栄天2機が発艦し攻撃を開始した。
雲龍とレンジャーは大和達と入れ替わる様に陣形を変更したが、敵の方が数が多いため大和達への攻撃の誘引に限界があった。
大口径砲弾が雲龍とレンジャーに飛んでくるが、直撃コースの砲弾はそれぞれが装備するCIWSによって迎撃されていた。
お互いのCIWSの残弾が心許なくなってくると雲龍がレンジャーの盾になる形で前に出た。と同時に雲龍のレーダーが飛来する砲弾を捉え高角砲によって次々と迎撃した。
これを見て敵艦隊は接近しつつ、雲龍に攻撃を集中してきた。大和達が奮戦しているが、2つの蛇みたいな艤装を纏った重巡級が突破してきた。
合わせるように雲龍も抜剣して前に出た。
「後ろにいて。絶対に守りきるから」
「ちょ、待って雲龍!だめ!」
雲龍は飛来する8インチ砲弾を高角砲で迎撃しつつ、叩き斬りつつランチャーに装填してあった対空ミサイルを敵の顔面に向けて発射。
思いもよらない攻撃を顔面に受けた敵は、一瞬視界を失ってしまった。視界が回復し次に視界に映ったのは、先程よりも太く大きな2発のミサイルと艤装の剣を振りかぶっている雲龍の姿だった。
雲龍は対空ミサイルを発射した後にすかさず新開発の対艦ミサイルをランチャーに装填していた。性能はもろハープーンミサイルである。
加速モーター付きのミサイルの直撃を受けた敵は爆煙で周りが見えず姿勢が崩れる中、雲龍の斬撃を躱そうと動いた。すると目と鼻の先を刃が通り過ぎ、続けて自身の艤装と額にあった片方の角が宙に舞っていた。
首を狙った雲龍の払い斬りは蛇みたいな艤装と角をを両断したのだった。
慌てて距離をとろうと残った艤装で主砲を乱射しつつ後退していた敵に対し、雲龍も高角砲を乱射し砲弾を叩き斬りながら接近してきた。
「来ルナ…来ルナァァ!」
迫りくる雲龍に向けて狂ったように乱射していると、突如として46cm砲弾が降り注いできた。正面の敵を処理した大和達が参戦したのだった。
慌てて大和達へ対処しようとしたところに第2射が飛来、4発の46cm砲弾を直撃し爆沈した。
「レンジャー怪我はない?」
「大丈夫だけど、私よりも雲龍の方が大丈夫なの?あんなに突っ込んでたんだから」
「全然」
「もう、あんな危険なことして…皆心配したのよ?」
「ええ、斬り掛かってるのを見てとても焦ったのよ?」
合流した大和が心配してきた。
「大丈夫?体調とか気分は悪くなってない?」
「?全然大丈夫よ」
「仕方がないとはいえ、人型のものに斬り掛かったんだから少しでも気分が悪くなったら言ってね?」
雲龍はこの時点で自身の身体年齢が19歳であった事を思い出した。
「…ええ、ありがとう」
危機を脱した艦隊はそのまま残る欧州妹姫を攻撃する事にした。日は既に沈みかけており夜間攻撃となる。
雲龍航空隊の栄天は赤外線誘導装置を用いた夜間攻撃を行う事を具申、選抜されたメンバーによる攻撃が決定された。
大和達に先行して栄天6機のうち4機が欧州妹姫を急襲した。対艦ミサイルと顔面への機関砲攻撃を受け、地味に痛い攻撃に欧州妹姫はキレた。
鬱陶しい攻撃に気を取られ苛ついていると、唐突に飛来してきた46cm砲弾を3発被弾した。大和は接近しつつ敵の射程外から砲撃を開始し、随伴の伊勢と日向も砲撃準備を完了させていた。
両者が射程に入り砲撃戦を開始した頃、欧州妹姫の攻撃に参加しなかった栄天2機は沿岸部上空を飛行していた。
欧州妹姫は沿岸部へ後退しつつ応射し、大和達がそれを追う形で砲撃戦は推移していた。
突如、日向が被弾し中破してしまった。タイミング的に欧州妹姫の砲撃ではなかった。
続けて砲弾が飛来し、今度は大和が被弾し小破してしまった。弾道を計算すると沿岸部から砲撃されているようだった。
このままではまずいと3人が思った瞬間、欧州妹姫の後方で連続した爆炎が光った。
「タリホー。敵の沿岸砲だ」
「よし、マーベリックをお見舞いしてやれ!」
発砲によって位置が特定された沿岸砲に対してマーベリックが各機1発を残して発射され、次々と被弾し爆発炎上していった。
残る沿岸陣地が対空機銃による攻撃をしてきたが、弾幕をものともせずに突っ込んできた栄天のロケット弾と機関砲によってその尽くが破壊されていった。
沿岸砲の援護が受けられなくなった事に苦々しい表情を浮かべる欧州妹姫は次第に劣勢となり、最終的に伊勢が放った41cm砲弾がとどめとなり轟沈した。
欧州妹姫の轟沈と同じくしてパ・ド・カレーの海域変色は治まっていき、拡張されていた沿岸部も次第に崩壊していった。
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6721:高角砲員
接近戦やるもんだからマジでビビった
6722:名無しの転生者
1人だけ世界観違う…
6723:雲龍
皆さん無事で良かった
援護ありがとうございます
6724:名無しの転生者
いやぁ~それほどでも
6725:名無しの転生者
あ、高杉提督にきっちり無事を伝えるんだぞ!
6726:名無しの転生者
あの人絶対心配してるよ
6727:名無しの転生者
以前やらないでって言った砲弾叩き斬りやってるしな
6728:名無しの転生者
なんなら近接戦やってるし…なんで空母が近接戦やってるんだよ
6729:雲龍
ええ、ちゃんと伝えておくわ
6730:名無しの転生者
あまりにも心配してたら、触って確かめさせる勢いで安心させるんだ!
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輸送艦しもきたに帰還した高杉大石合同艦隊は、両提督から労いの言葉を貰いすぐに損傷の修復と療養に入った。
高杉提督は全員に対して平静を保って負傷等の具合を確認していたが、解散後に雲龍と2人きりになった所で心配性気味に具合の確認をしていた。
「雲龍、すまなかった。君に辛い思いをさせてしまって」
「?」
雲龍は高杉が突然謝った事に首を傾げた。
「人間と同じ姿の相手に斬り掛かったんだろう。私の判断ミスだ。君にそのような事をさせてしまって本当に申し訳ない」
「大丈夫よ、高杉さん。私はあの時の、誰かの為に前に出て戦った行動に誇りを持ってるの」
「誰かの為に動けるのは間違いなく凄いことだ。だけど、そのために君に傷を負って欲しくないんだ」
「私は誰かが傷つくことを黙って見てられないの。それも覚悟の上でやってるのよ」
「…」
「いつも心配してくれてありがとう。安心して、高杉さんが安心出来るように何があっても、いつも無事に帰ってくるから」
そう言って雲龍は両腕を広げてフワリとその場で一回転した。
「わかった。そこまで言うなら大丈夫なんだな」
「ええ」
そう言って2人は待機室へと足を運んだ。
敵は勇敢ではあったがまたもや我が艦隊の前に敗れ去った。制圧されていた海域が解放され欧州中に再会と歓喜の渦が巻き起こった。
我々は日本へと帰還し太平洋へ向かう。ハワイ海域解放の日も近いだろう。