迎撃を終えた航空隊は次々と大島基地航空隊の滑走路へと降り立っていた。
着陸した機はそれぞれが格納庫に誘導され、駐機完了と同時に整備妖精がワラワラと集まり各種整備が始まった。
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6958:名無しの転生者
心神とライノ、この2機種が橘花と噴式景雲改って…これマジ!?
どう見てもラプターとスーパーホーネットなんですが…
6959:名無しの転生者
このままだと空母が蜂の巣になってしまう
6960:名無しの転生者
いつの間にか超音速対艦ミサイルまで作ってたし
6961:メカニック
いや〜頑張りました
6962:整備班長
装備品がアホ程増えて狂いそう
6963:メカニスト
マニュアルも作っておいたから、頑張って!
6964:整備班長
増員!人員の増員を!
ここは笑顔の絶えない、アットホームな職場です!
6965:名無しの転生者
…そういえば敵もジェット戦闘機出してましたね
…陸攻もジェット化しますか?
6966:メカニック
一式陸攻4機を合成して8発爆撃機を量産してますんで!
6967:名無しの転生者
それって…えぇ…(困惑)
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衛星偵察の結果、深海棲艦の太平洋における最大の根拠地がオアフ島の真珠湾であると判明した。
尚、先の大島鎮守府に対する敵機動部隊撃滅後、9月迄には大島鎮守府の第1、第2艦隊とアメリカ軍によってマリアナ諸島までの完全制圧を完了していた。
10月に入り、日米豪の合同部隊がミッドウェー島の攻略を開始した。懸念された敵ジェット戦闘機はこの戦闘では出現しなかったが、それでも敵の物量の前に多数の航空機の損失と損傷艦が複数出てしまった。
物量以外にも、深海棲艦が繰り出した空中発射型対艦ミサイルにも手を焼いていた。各艦は雲龍の技術妖精からもたらされたECMとCIWSを装備していたが、パルスジェット式対艦ミサイルの飽和攻撃の前に処理能力が追いつかず多数の損傷艦が発生したこともあった。
また、敵の攻撃が激しくこれ以上の進撃は困難と判断し撤退すると、次の出撃では多少は削れているもののほぼ敵戦力が回復している状態というのも手を焼いた一因だった。
結果的に5回にも及ぶ艦隊出撃によってミッドウェー島は奪還できたが、轟沈艦こそいなかったものの大破艦が続出してしまった。
この時大石艦隊は本土防衛の為に待機しており、また高杉艦隊も艦隊の整備の為待機していた。参加したのは、各鎮守府の高練度艦隊であった。
上層部としては強力なこの2つの艦隊に任せっきりは流石に組織として宜しくないと考え、また他の艦隊も十分な練度を確保していると判断したため、少なくとも今年中の長距離出撃は考えていなかった。
11月、準備を整えた日米豪合同部隊は真珠湾の攻略に乗り出した。
攻略艦隊は3つの巨大な輪形陣を組み、複雑な航路を辿り夜間の内にオアフ島沖に進出した。
ここで艦隊は艦載機を夜間発艦させた(全空母の艦載機は電征とほぼスカイレイダーな流星改二を装備している)。この時点では深海棲艦に艦隊の位置は曝露しておらず、完全なる奇襲であった。
攻撃隊は双発の特異な偵察機6機が先導して進撃していた。この双発機は雲龍の技術妖精が彩雲を近代化した機体で、機首と胴体下部にレドームが搭載された電子偵察機だった(名称は星電)。搭載されている電算機は特殊な教育訓練を受けていない妖精でも操作ができるような設計となっていた。
レーダー網を潜り抜け、山を越えると暗闇の中に真珠湾と併設された飛行場が目に映った。
ここで先頭にいた星電は退避し、代わりに電征が前に出るとパイロットが上空に照明弾を放った。
眼下にはっきりと映し出された飛行場と港湾施設、そして深海棲艦を確認した攻撃隊は一斉に攻撃態勢に移った。
まず迎撃機が飛び上がらないように飛行場から攻撃した。電征が駐機中の機体を機銃掃射し、続いて突入した流星改二が陸用爆弾と滑走路破壊爆弾を格納庫と滑走路にそれぞれ叩きつけた。
滑走路周辺が爆炎に沈む中、魚雷と徹甲爆弾を装備した流星改二が出撃しようとする水上艦に攻撃を開始した。雷撃任務機は魚雷を2本、爆撃任務機は2000ポンド爆弾を3発搭載していた。
各戦艦、巡洋艦、駆逐艦は猛攻撃を浴び次々と大破、轟沈又は撃沈していった。しかし、肝心の空母が見当たらなかった。
第一次攻撃隊は空母が未発見ながらも搭載兵装を使い果たし帰投、入れ替わるように第二次攻撃隊が上空に侵入してきた。
第二次攻撃隊の主な攻撃目標は沿岸部の防御施設だった。偵察で確認された沿岸砲、カノン砲、大型臼砲等の艦隊の接近を阻む障害の排除を目的としていた。
ハワイ諸島は深海棲艦の侵攻開始から暫くして民間人の全面退去と全島の要塞化が実施されたが、奮闘虚しく全面撤退した過去があった。
深海棲艦はこの時の残存したコンクリート防御壁や要塞陣地を再利用していた。が、次々と降り注ぐ2000ポンド爆弾によって粉砕されていった。
第二次攻撃隊が無事に帰投した時、艦隊司令部では不安感に陥っていた。これまでの攻撃で敵の姫級と鬼級、そして空母が確認されていない事、奇襲攻撃は成功したがあまりにも成功しすぎている事に対する不安だった。
日が昇り、警戒を厳にしつつハンディサイズのばら積み貨物船を改造無人化した輸送船から次々と各種特大発動艇とDD戦車を進出させ、橋頭堡を確保し続々と上陸していると、上空の星電が敵の反応を捉えた。
洋上から敵機動部隊から発進したとみられる航空機約400機が接近していた。直ちに各空母艦娘は迎撃機を発進、編隊を組ませて該当空域へと向かわせた。
激しい空中戦が開始されて少ししたとき、上陸部隊ではある異変を検知していた。
「最前線の陸戦隊が異常振動を検知しました」
臨時上陸指揮艦では上陸部隊からの報告が上がっていた。
「異常振動?まさか火山活動か?」
「それが…震源が移動していると。しかも複数とのことです」
「震源が移動しているだと?」
突如上陸地点周辺で地震が発生、進撃していた陸戦隊はその場で停止した。すると突然目の前の地面に大穴が空き、続けて超巨大な白い鯨が顔を出した。と同時に鯨の口が開き、多数の陸上型深海棲艦を吐き出し、続けて太平洋深海棲姫が現れた。同時に各地で近代化戦艦棲姫や標準型戦艦棲姫、飛行場棲姫等が地中から現れてきた。
陸戦隊は持ちうる限りの火器で応戦するが、すぐに劣勢となった。航空隊も支援するが敵機動部隊との戦闘が始まっているため、全力で航空支援する事が出来なかった。
「撤退だ。上陸している本部要員、艦娘、妖精は直ちに撤退」
「全艦、地上部隊の撤退を支援せよ」
無人輸送船が橋頭堡に接岸し上陸部隊を飲み込んでいくが、敵の侵攻速度の方が速かった。
上陸火力支援中だった一部の艦娘達が上陸部隊の撤退を援護する為上陸し近接戦闘を始めた。主に目立ったのが沿岸ギリギリで上陸部隊の支援をしていた鹿児島鎮守府の伊勢、日向、天龍、龍田だった。
主砲を撃ちつつ急速に敵に接近するとすれ違いざまに各々が手にする近接武器で敵を両断していき、遂に最前線に到着。前線では従来の陸上型小鬼に混じってリ級等の重巡やル級、タ級等の戦艦も混じっていた。
天龍は自身に突撃してくる2体のリ級を確認すると、まず先頭のリ級の懐に飛び込み右手に持った刀で両断した。両断した隙を突いて後ろにいたリ級が艤装パンチを繰り出してくるが、左手で取り出した予備の短刀でこれをガードした。すかさず横から龍田がリ級を薙刀で両断した。
「おいたはいけませんよ〜」
天龍と龍田はその後も艤装の12.7cm連装高角砲を撃ちつつ、お互いに死角を補いつつ撤退を支援していった。
伊勢と日向は艦爆と瑞雲を飛ばしつつ砲撃乃至は斬撃を浴びせて激戦区で撤退の援護をしていた。
するとどデカい蟹の様な、ロブスターの様な敵が現れた。サイズは倍以上だが、以前確認された南方戦艦新棲姫の艤装とほぼ同じものが4体、伊勢と日向を半包囲する様に接近して来ていた。
「囲まれかけてるよ、日向」
「ああ、任せてくれ」
「ふーん、じゃあ私は周りの掃除ね」
軍刀を構えた日向は、召集された頃の横須賀教育隊での出来事を思い出す。総合訓練で起きた敵の襲撃、そして強大な敵に対して果敢に戦った同期の空母娘を思い浮かべた。彼女は砲弾を切れたし、敵の艤装も切断できた。ならば私にもできるはずだ。
日向の機関が唸り声を上げ、ちょうど中央正面にいる敵へ駆ける。すると敵は抱え込む様な形の尻尾の先端を射出してきた。地面を蹴って飛び上がる事で難なく避けれたが、よく見ると射出された先端は尻尾と太いケーブルで繋がっているようだった。
空中に退避した日向に対し敵は尻尾を鞭のように振るって追撃を開始した。日向は主砲を発射しつつ機関の全力排気によって空中で方向変換と加速を繰り返し敵の懐へ飛び込んだ。そのまま急上昇し軍刀を構え、上空から敵の頭部付け根に向かって逆落としに加速し、一気に刃を滑り込ませ両断した。
続けて右手にいた敵に突撃。後方で2回の重量物が落ちる音を聞きつつ機関を唸らせ急加速、射出してきた尻尾を横にスライドして回避すると今度は真下から急上昇しつつ頭部を両断した。
次に左手から主砲を撃ち上げている敵を目標に空中で方向変換し急降下、着地狩り回避の為に地に足が着く前に左斜め上方へと急加速した。思った通り着地する筈だった場所に16インチ砲弾が降り注ぐ。そのまま敵を中心に時計回りに飛行しつつ、敵艤装の各間接部分に向け主砲を連射し体勢を崩した。
体勢を崩した3体目に止めを刺そうとした所、横から尻尾が射出されてきたため既の所で回避した。
急遽4体目に目標を切り替えて向き直ると、敵も尻尾を格納し射出体勢に入った。日向が正面から突撃すると同時に再度尻尾が射出された。が、日向は少しの動作で射線上からズレると共にケーブルを切断、尻尾はそのまま体勢を崩した3体目の頭部に突き刺さった。日向はそのまま下方をすり抜けるとインメルマンターンの要領で上昇すると敵の上部に軍刀を突き立て、そのまま頭部まで全力排気で加速し4体目の艤装を縦に両断した。
3体目は頭部に尻尾を誤射され機能を停止していた。
「お疲れ日向。なんだか腕上げたねぇ」
息を整えていると周辺の掃討を終えた伊勢が合流した。
「いや、これくらいどうってことないさ」
日向は何やら遠くを見ながら言った。
「だが、単なる航空戦艦の時代は終わったな」
伊勢はなんとも言えない表情を浮かべつつ撤退援護を継続した。
少しでも撤退を支援する為、豪海軍のシドニー(超省人化されたアーレイ・バーク級)が沿岸ギリギリまで近づいて艦砲射撃を実施していた。主砲の5インチ砲のファランクスは深海棲艦相手に効果が殆ど無いが目眩ましにはなる、と右舷に向けて景気よく速射していると突如左舷方向に大きな水柱が立った。
出現したのは先程伊勢と日向が交戦した南方戦艦新棲姫の艤装とほぼ同じ様な物だったが、全高約15mと異常なほど巨大だった。
シドニーはすぐに主砲とファランクスを左舷へ指向しようとするが、それよりも早く艤装の尻尾が斜め上方へ射出され鞭のようにシドニーの艦首に叩き付けた。叩き付けられたシドニーは5インチ砲付近から両断され、搭載弾薬が誘爆し沈没していった。負傷者こそいるものの、奇跡的に全員無事に脱出できた。
シドニーを撃沈した直後周辺にいた艦娘達からの集中砲火を受け瞬く間に海中に没した。
最後の1人が輸送船に乗り込み橋頭堡を後にした。橋頭堡周辺には損傷した装備品が大量に遺棄されたが、その多くが装甲を食い千切られた戦車等だった。
そして機動部隊同士の戦闘については、深海棲艦のジェット機に翻弄される場面もあったが敵艦隊のほぼほぼを撃沈した。が、敵の旗艦の新量産空母棲姫についてはギリギリの所で取り逃がしてしまった。そして味方艦隊も半数以上が中破乃至大破という状態だった。
第1次オアフ島攻略作戦は敵の手強い反撃によって甚大な被害を被り、撤退する事になった。戦力の回復を図ってから再度の攻略作戦に乗り出すと共に、急遽本土から疲弊した戦力の入れ替えの為の艦隊を要請する事になった。