厄ネタ×二乗は一周回って厄ネタではない(白目) 作:ハゲチャビン
セリフ多めですが、ご容赦ください。
さーてさて、どうしたものかねぇ。
現在、自室にてベッドの上で酒呑童子と二人きりです。ええ、二人きりです。羨ましいですか? なら代わってください。
その酒呑童子は何をしているかと言うと、
「…………♪」
胡坐をかいて楽しそうに目の前にいる俺の頭を撫で繰り回しています。
「ますたぁはん」
「……何?」
「なんや、見ないウチにえらい別嬪さんにならはりましたなぁ」
「その言い方止めてくれない?」
それじゃあ俺が女の子になったみたいじゃないか。いや、外見女の子だけどさ。
「ふふっ。前よりずぅっと白うなって、目ぇも真っ赤や」
彼女が面白そうに俺の顔を覗き込む。
「まるで雪の中に咲いた椿みたいやわぁ」
「……褒めてる?」
「もちろん」
そう言って酒呑は笑う。
けれど。
「ただなぁ」
「?」
ほんの一瞬だけ、その笑みが止まった。
「前のますたぁはんとは、ちぃっと違う気ぃがするわ」
「そりゃまあ……色々あったし」
「そういう意味やないんよ」
彼女の冷たい指が、俺の頬に触れる。
「んー……」
まるで品物でも眺めるように、俺の顔をじっと見る。
「美味しそうやわぁ」
「…………」
呼吸が止まった。
「冗談や」
冗談に聞こないんですが。
「ますたぁはんは、ますたぁはんや」
「……うん」
「せやけど」
目を細める。
「中身まで、前と同じなんやろか?」
「……」
「なんや、怖い顔しはって」
「別に」
「ふふっ」
楽しそうに笑った。
「まあええわ」
ベッドから降りて出口に向かう酒呑童子。
ドアを潜る前にこっちをむいて、もう一度笑った。
「ますたぁはんがますたぁはんである限り、うちはますたぁはんのサーヴァントや」
「そう……」
「それに――」
「前より壊れやすそうになったんやったら、前より大事に扱わんとなぁ?」
「……」
「な?」
「その言い方だと、逆に壊しそうで怖いんだけど」
「うふふっ。そらどうやろなぁ?」
今度こそ酒呑童子は出ていった。
「……」
静かになった。
漸く落ち着ける。そう思ったのもつかの間、ドアがノックされた。
「……どうぞ」
「失礼する!」
自動ドアが開いて、窮屈そうに入室した彼女を見上げて改めて思う。
デッカ!!
立派な鎧。堂々とした立ち姿。
そして俺を真っ直ぐに見つめる鋭い眼差し。
ついさっきまで酒呑童子を相手にしていたせいか、余計に真面目そうに見える。
……いや
というか。
「誰?」
「む?」
一瞬だけ彼女は目を丸くした。
「これは失礼した!」
その場で片膝をついて改めて名乗りを上げた。
「私は妖精騎士ガウェイン!」
「……妖精騎士ガウェイン?」
「然り!」
妖精騎士って何?
ガウェインって誰?
「貴殿が我が主で間違いないか?」
「え、ああ、うん。……まあ、召喚したのは俺だから、間違いじゃないね」
「ならば話は早い。改めて、このガウェイン、これより貴殿の幕下に入る!」
立ち上がって宣言する彼女。
と言うか、デカい。上を見なきゃいけないから首が痛くなりそう。
取り敢えず、うん。
「よろしく」
「ウム! こちらこそ宜しく頼む!」
喜び勇んで答える彼女だが、改めて俺を眺めた。
「…………」
「?」
「……失礼」
「何?」
「少々気になったのだが、貴殿は……随分と細身なのだな」
「まあ、そうだね。最近それについて言われることが多くてさ」
「そうなのか?」
「そうなんだよ」
白い肌。白い髪。赤い目。ひっくい背丈。
あとね、疲れやすい。
うん、自覚はしている。
「それにしても……」
彼女が俺を見つめる。
今度は先ほどとは違う。
「……何か、妙な感じがするな」
「妙?」
「うまく言葉には出来ぬ」
彼女は顎に手を当てて少し考える。
「貴殿は確かに人間のように見える。見えるが、しかし……」
俺に目に視線を合わせる。
「……それだけではないようにも感じる」
「……まあ、それについてはおいおい説明するよ」
「なら、その時に改めて尋ねるとしよう!」
潔いなぁ。
「では改めて」
彼女が右手を胸に当てる。
「騎士ガウェイン、貴殿の騎士としてこの身を捧げよう」
「うん。よろしくね」
「任せておけ、我が主!!」
力強い返事が部屋に響いた。
……何だろう。
さっきまで酒呑童子と話していたせいで凄い安心する。
少なくとも、「美味しそう」とは言われなさそうだ。
「ところで、マスターよ」
「ん?」
「その身体で戦場に立つつもりなのか?」
「…………」
前言撤回。
コイツも気にするのか。
「マスターだからね」
「ならば鍛錬を――」
「それはしない」
「何故!?」
「身体が持たない」
「何を軟弱な事を! やってみなければわからないではないですか!」
そうと決まれば鍛錬所まで行きましょう!
と、哀れ俺は抵抗する術もなく部屋から連れ出され―――。
「なんと……なんと、か弱い生き物なのだ」
ランニングマシンについて行けず転がり落ちた俺がトレーニングルームに居ましたとさ。
チャンチャン。
カルデアの一室。
其処には、先ほど召喚されたガウェインの霊基データを眺めているダ・ヴィンチとロマニの姿があった。
「……ねえ、ロマニ」
「ん?」
「さっき召喚されたサーヴァントなんだけど」
ダ・ヴィンチが手元の端末を操作する。
「妖精騎士ガウェイン」
「うん」
「どう思う?」
「どうって……」
ロマニも画面を覗き込む。
そこに表示されているのは、先ほど召喚されたサーヴァントの霊基情報。
確かに、そこにはこう記されている。
――妖精騎士ガウェイン。
「……変だね」
「やっぱり?」
「うん」
ロマニは少し困ったように眉を寄せた。
「ガウェインという名前だけなら、そこまでおかしくないんだけど」
「問題は『妖精騎士』の部分だね」
「そう」
ガウェイン。
それは円卓の騎士として知られる英雄の名だ。
しかし、先ほど召喚された彼女は、そのガウェインとは明らかに異なる。
「霊基の構成も通常のサーヴァントとは違う」
「別人、ということ?」
「それも少し違うかな」
ダ・ヴィンチは画面を切り替える。
「名前や基礎となる霊基には、確かにガウェインとの繋がりがある」
「でも?」
「そこに何かが上乗せされている」
「妖精騎士としての要素?」
「そう考えるのが一番近いね」
ロマニは腕を組む。
「……妖精と契約したガウェイン、とか?」
「可能性はある」
「でも、そんな記録は?」
「ない――ないんだ。少なくとも、私たちのデータベースにはね」
ダ・ヴィンチは少し考える。
「それに気になるのは、どうしてこの霊基が召喚可能だったのかだ」
「召喚条件?」
「そう」
通常の英霊ならば、ある程度の説明がつく。
生前の功績。
知名度。
神話や伝承。
そういったものが英霊としての霊基を形作っている。
だが――。
「『妖精騎士ガウェイン』なんて霊基が成立するためには、それに相応する何かが必要なはずだ」
「伝承……とか?」
「そう」
「でも、そんな英雄譚は聞いたことがない」
「私もだよ」
妖精・異世界と結びつくアーサー王伝説に登場する以上、要素が全くないわけではない。しかし、『妖精騎士ガウェイン』と言う独立した霊基を成立させるほど直接的な伝承は、
二人は黙り込む。
「……召喚そのものは?」
「正常」
「霊基も?」
「正常」
「本人も?」
「正常に受け答えしている」
「じゃあ、何が問題なの?」
「そこなんだよ」
ダ・ヴィンチが苦笑する。
「何も問題がないのに、どう考えても説明がつかない」
「…………」
「一番厄介なタイプだね」
「それ、厄介って言うのかな……」
「科学者からすると一番厄介さ」
ダ・ヴィンチは端末を閉じる。
「まあ、今のところ敵対する様子もない。文目君との契約も正常」
「だったら、ひとまず問題ない……のかな?」
「そうだね」
そう言いながらも、ダ・ヴィンチの表情から疑問は消えていない。
「ただ」
「うん?」
「記録だけは残しておこう」
「『妖精騎士ガウェイン』について?」
「それもある」
ダ・ヴィンチは少しだけ間を置く。
「もう一つは――」
「もう一つ?」
「文目君の召喚について」
「……ああ」
ロマニも思い出す。
これまでにも、彼の召喚には説明のつかないものが多かった。
そして今回もまた。
「文目君の周囲では、どうにも普通じゃないことばかり起きるね」
「本人は普通のつもりみたいだけどね」
「そこが一番怖いんだけどなぁ……」
二人は揃って、先ほどガウェインが去っていった方向を見る。
「……まあ」
ダ・ヴィンチが肩をすくめる。
「今は考えても仕方ないさ」
「そうだね」
「ガウェイン本人に聞けば、何か分かるかもしれない」
「本人が分かっていれば、だけどね」
「……それもそうか」
二人は顔を見合わせる。
「とりあえず、様子を見る」
「うん」
「それでいこう」
こうして。
妖精騎士ガウェインという、カルデアにとって未知の霊基が一つ記録された。
しかし、この時の二人には知る由もなかった。
――その存在が、どこから来たものなのかを。
えー感想欄で「霊基登録されているのに何で聖晶石を使う必要があるんですか?」という質問がバンバン飛んできました。
作者のミス……ではありません!!!
これは作者の解釈によるものです!!!
決して、決してミスではありません!!!
それを今から証明します!!!!
・まずカルデアとサーヴァントはマスターと言うパイプを通じて魔力供給を行っています。
・この場合、サーヴァントが退去しても一時的な撤退なので、カルデアに帰還すれば再度召喚が可能。
・しかし、文目は立香にサーヴァント権を譲渡する前に死んだため、カルデアとサーヴァントのパイプが切れてしまった。
・この場合、別のパイプ(立香)に繋げることが出来ないため、再度召喚する必要があるのだ!!
つまり、ミスではありません。全て作者の頭の中でちゃんとした理屈があるのです。
え? なら前の話でちゃんと説明できただろうって?
……はい。そうです。ミスです。
書くのが面倒くさいのでこじつけを作りました。大変申し訳ありませんでした。
今後の展開次第ですが、その時が来たら主人公にE.G.Oを付けていいか否か。
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『武装』主人公も戦力を付けるべき
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『非武装』そのままの方がおもしr、輝く