人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜   作:札切 龍哦

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シンデレラ『くっ、ううっ…!くうううっ…!!』

マルクト{シンデレラさん…!ルシファーさん…!}

エイブ『なんだこの熱量は!?核融合、ビッグバンクラス…ブラックホールクラスの…あり得ん!!』

厳かなる声『おぉ、おぉ、愚かなるや。蒙昧なるや人形達よ、咎人達よ。何故そのような鉄屑を庇いたるや』

エイブ『!!』

厳かなる声『神を殺す拳。そのようなものは在ってはならぬ。存在してはならぬ。在ってはならぬ。思ってはならぬ。描いてはならぬ』

マルクト{くっ───!}

(アダム先生の崇高、イミテーションでありながらこれほどの負荷が…動けません…!)

厳かなる声『のろわれてあれ、呪われてあれ。呪われてあれ。そのようなものは在ってはならぬ。在ってはならぬ。在ってはならぬ───』

シンデレラ『ふ、ふふっ…ふふふふ…』

厳かなる声『…?』

シンデレラ『怖いのね。自分を殺した奇跡が』

厳かなる声『───────』

シンデレラ『怖いのね。自分を殺した原因が』

厳かなる声『───────』

シンデレラ『貴方……』

シンデレラ『美しく、ないわ。例え、神であろうとも──』


至高の天よ、新たなる人の神話に道を開けよ

【滅びるがいい!!空洞なる星如きが我を騙った事、死して詫びよ─────!!】

 

【───────!】

 

 

宇宙の果てにて、二つの大いなる裁きが巻き起こっていた。

 

一つは、世界の全てを掌握せし偽神。大いなる座に存在せし神たるもの。

 

またの名を、根源的厄災。遍く宇宙、全ての敵。

 

それらは、病的にそれを、偏執的なまでに消滅させていた。

 

神に届き得る可能性が一つ。神殺しの拳。

 

神を討ち果たしたという逸話。

 

人間が打ち立てた『人は神を越える』という、人類における最大の功績にして、衰退、訣別、別離の裏に隠された『勝利』。

 

人は神を越える種であり、やがて人は大いなる意志すら越えるという金字塔。

 

それに至らんとする可能性、宇宙を全て偏執的なまでに消し去りまた支配下に置いていた神。

 

それが、神殺しの拳を『再現』したマルクト達を観測し現れた。

 

宇宙の果てにおいて、それらは観測されてしまったのだ。故に、神の意志が討ち果たさんと現れた。

 

この世の全ては神の手にある。人間如きが神を討ち果たし、越えたという真理があったという事実など存在してはならない。

 

認めない。あり得ない。許せない。あってはならない。認めない。認めない。許可しない。認可しない。

 

それだけは、神の威光全てにおいて認められないと決議した事により、裁きが放たれた。

 

マルクト達は動けない。

 

神殺しの逸話、神話、拳を再現した事の反動はあまりにも絶大であった。

 

全知の力、全知の聖杯の権能をもってして、とある人間が行い、打ち立てた『神話』を再現は叶った。

 

しかし、今の世界を支配しているのは『神』である。

 

魔術師の矮小かつ胡乱な『常識』では測れぬ大いなる神域の存在。今、裁きを下している存在。

 

それらが『それ』だけは何重にも、入念にも、『抑止力』を用いて封印している。

 

全ての先を生きる者の影すら踏ませぬ。

 

お前達に、我等が恥辱の発端すら掴ませぬ。

 

お前ら全員、下等な咎人の猿として生きるがいい。

 

我等に呆けた顔を浮かべ祈りを捧げる愚昧として安寧を貪るがいい。

 

お前らは下だ。我より下、下、下。

 

我等こそが至高、我等が大いなる1。アルファにしてオメガ。究極の1。至高にして崇高なる気高き魂である。

 

そんな猿が、畜生風情が。

 

『我等を越える事など、あっていい筈がない』。

 

その独善を極めた結論は、しかし世界の中心たる至高天から垂れ流す事で絶対的な結論にして理となる。

 

『くうううぅう──────っ!!』

 

シンデレラのガラスの靴と、星の翼が軋んでいく。

 

『シンデレラ!!ルシファー!!』

 

エイブはその裁きの規模に驚愕を隠せなかった。

 

宇宙創生から起きていた、あらゆる超常現象にて起きていた全てのエネルギーがそこで巻き起こっている。

 

ビッグバン。暗黒天体、惑星直列といった如何学的な現象が巻き起こす、ありとあらゆる不条理が叩きつけられている。

 

それをシンデレラが受け止められているのは、一重にルシファーという規格外の存在が彼女を支えているからだ。

 

宇宙全てをぶつけられながらも折れぬ魂。ルシファーの存在強度はそういうものであった。

 

だが──。

 

『明けの明星、ルシファー。我が愛してやったというに、我に背いた愚かなる曙の子よ』

 

『─────!』

 

『滑稽だ。滑稽、滑稽、滑稽にすぎる。我がいなくばまともに輝けぬ星屑風情がこうも無駄に足掻いてみせる。下だらぬ、見るに堪えぬ、理解できぬ』

 

神は、せせら笑った。堕ちた星とルシファーを嗤ったのだ。

 

『滅びよルシファー。我が愛してやった写し身よ』

 

再び、掛かる圧力が絶望的なまでに増す。

 

宇宙の果ては、実在的な空間でありながらも、ニャルラトホテプや禁断の介入により認識宇宙としての側面を帯びた。

 

即ち、物理法則よりも支配現象、自身の法則を押し付け空間を支配する力こそがものを言う。

 

その点において、禁断と神の力は圧倒的に過ぎた。

 

全知、そして明けの明星の魂以外の空間を一瞬で掌握し、空間ごと押し潰さんとする圧力。

 

銀河はこうして滅ぼされたのだ。銀河団、宇宙の全てを『外側から覆い尽くし握り潰す』。

 

高次元の階梯から行われるそれは、真化に至らぬ…

 

否。『真化を認めぬ神の暈』に阻まれた生命達は成す術なく潰されていった。

 

本来なら、抗えるはずがない。真化に至る道を理解できない神が、全身全霊で人類達の後ろ髪を引き、立ち塞がり、『始まりの人類』の背中を見せぬ様に覆い隠している。

 

故に、耐えられるはずがない。

 

だというのに。

 

『───私の、私達の王子様を…馬鹿にしたのね』

『貴様か…貴様か…!!』

 

『───────?』

 

耐えている。

 

存在している。

 

神ですらない。人ですらない愚かなる機械人形が。

 

何故だ──?

 

神だぞ?我が消えろと命じ、我が滅びよと命じ何故消えない?

 

『それだけは。それだけは許さないわ──』

『シンデレラの…私の娘達の願いを踏み躙り、嘲笑い続けた…!!』

 

神は見た。

 

粗末な機械人形。明けの明星を取り込んだ醜い継ぎ接ぎの粗悪品。

 

それが───

 

『誰であろうと、私の星を穢す事は許さない────!!』

『貴様が!!クソったれの疫病神か──────!!』

 

何故、『神の理に逆らわんとしている』?

 

見るがいい。粗末なガラスの靴はひしゃげ、砕けている。身体中から血を噴き出し、血反吐を吐いている。

 

愚かしい、みっともない。無様で、憐れで、救いのない姿だ。

 

神の裁きにて消える事が救い。せめて浄化してやろうというのに。

 

『王子様!エイブ!』

『あぁ、解っている!気合を入れろ!!』

 

何故、我が慈悲を受け入れようとしない?

 

全身から血を噴き出して尚、その目は死んでいない?

 

『大聖杯よ!!私達の願いに応えろ!!』

 

それでは、まるで。

 

『手段は問わん!リスクを構わん!!何でもいい、なんだっていい!!』

 

それではまるで─────

 

私達を■し、■り■え、あまつさえ、あまつさえ。

 

愚かにも、愚かにも、愚かにも、愚かにも。

 

『私達を弄ぶクソったれの神気取りに!!一泡吹かせる奇跡を齎せ───────!!!!

 

私達を、私を、俺を、僕を、我等を。

 

我等を、■した───あの最低にして最悪の失敗作のような────

 

その時だった。

 

 

『え──────?』

 

シンデレラの傍らに『もう一人シンデレラ』が降り立った。

 

『──────────────』

 

そして、同時に。

 

{エネルギー、全回復を確認…!?これならば…!}

 

マルクト達が…

 

輝ける王冠が、煌めく。

 

〚─────────────〛

 

もう一人の〚アーキタイプ〛が、神を見つめる。

 

『───────お、オオ』

 

その目線。その視線。その振る舞い。

 

それは、まさしく。

 

 

────────遍く全てに、光あれ。

 

滅びるがいい、独善に満ちた神よ。

 

貴様の光は、何も照らすことはない。

 

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーッッッッッッッッ!!!止めろ!!止めろこの不敬ものがアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』

 

天地が震撼し、絶叫が世界を震わした。

 

『不敬者!!無礼者!!無礼者!!無礼者オオオオオオオオ!!!我は神だ!!神だぞオオオオオオオオ!!』

 

『──────?』

 

『そんなこと!!そんなことしていいと思っていいと思っているのかアアアアアアアアアアアアッ!!来るな!!来るな、来るなアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

もう一人のシンデレラ…

 

否。〚アーキタイプ〛を見た事で、神は黄昏を迎えたがごとくに狂乱する。

 

そして──

 

{モード、固有結界…!発動!『アツィルトの帯』!!}

 

大聖杯の力を使い、再現された『至高界』による、世界の書き換え。

 

『ひ──────』

 

絶対の至高の座たる、自らの天。

 

それにより切離された神…

 

否。『神から切り離された魂の群れ』は。

 

『ひいいいい!?ひいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーッッ!?嫌だ!嫌だァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』

 

神の座に護られ、絶対なる上位として君臨していた自負と自我を剥ぎ取られ。

 

その魂の、本来の姿を顕した。




アーキタイプ・ニケ〚─────────〛

シンデレラ『あなたは…』

アーキタイプ・ニケ(こくり)

シンデレラ『────えぇ』
マルクト{御二方、私も参ります…!}


エイブ『行け!!シンデレラ!アーキタイプ!!』

猫“新たなる人類、そして最古の人類とその子孫がお前に届き得る無二の牙だ。さぁ、行くんだ!マルクトよ!”

シンデレラ『星の翼、フルコンタクト…!』
アーキタイプ・ニケ〚─────〛

アーキタイプは、掌で創り上げる。

星の核を。

マルクト{ゴッド・スレイ・アダム・アイン・ソフ・オウル…!}

再び再現する。

人が神を越えし神話を。


弱き魂『来るな!来るなァァァァ!!』

もはやそこに神はなく。


シンデレラ『行って────!!』
アーキタイプ・ニケ〚───!〛
マルクト{創生の神話よ、我等を至高の高みへと導け──!}


弱き魂『うわああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッ!!!』

そこにはただ…。

輝ける光と。

人に乗り越えられた、神の魂の欠片があるのみであった。
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