アイテム番号: SCP-13-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル
現在の状況: SCP-13-JPは未収容状態にあります。インシデントログ13-JP-B以降、オブジェクトの所在は不明です。
以下のプロトコルは、SCP-13-JPが再収容された際に即時適用されるものです。
SCP-13-JPは、サイト-81██の危険物保管ユニット内の三重ロック式セーフティボックスに保管されます。ユニット内には常時、高感度アクティブ・ヒューム・センサーおよび
SCP-13-JPの収容における最大の脅威は、関連実体SCP-13-JP-1です。SCP-13-JP-1はあらゆる物理的障害を透過する能力を持つため、オブジェクトの物理的収容は本質的に不可能です。
オブジェクトの消失が確認された場合、それは収容違反と見なされ、プロトコル"ワミーズハウス"が発動されます。
担当研究主任は機動部隊ガンマ-5 ("リンゴを好む死神")に通達すると同時に、最優先で要注意人物PoI-8104 "N"に連絡を取ってください。PoI-8104 "N"は、オブジェクトの追跡と再収容において、財団と同等の権限を持つ外部コンサルタントとして扱われます。
説明
SCP-13-JPは、市販品に酷似した両面黒表紙のB5サイズ大学ノートです。表紙には白いインクで『DEATH NOTE』と印字されています。材質分析の結果、構成素材からは地球上に存在しない未知の物質が検出されました。
SCP-13-JPの主要な異常性は、内部ページに人間の姓名を記述することで発現します。筆記者が対象者の顔を想起しながら姓名を書き込むと、対象者は40秒以内に急性の心臓麻痺で死亡します。
表紙裏には英語で「How to use」と題されたルールが複数記載されており(詳細は補遺13-JP-1を参照)、特定の条件下で死因や死亡直前の行動を操作できることが示唆されています。しかし、倫理委員会の決定に基づき、これらの機能に関する詳細な実験は無期限に凍結されています。
本オブジェクトのKeterクラス指定は、その情報的脅威に加え、関連実体SCP-13-JP-1の存在に基づきます。SCP-13-JP-1は、オブジェクトの元所有者とされる知性を持つ非物理的存在(通称"死神")であり、積極的にオブジェクトを人間に使用させようとする敵対的な性質が確認されています。前述の透過能力により、SCP-13-JP-1は厳格な収容下からでもオブジェクトを持ち出し第三者に与えることが可能であり(インシデントログ13-JP-Aを参照)、SCP-13-JPは恒久的に収容違反の危険に晒されています。
発見経緯
SCP-13-JPは、2004年から2010年にかけて発生した、世界中の犯罪者が不可解な心臓発作で連続死亡した事案2004-JP(通称 "キラ事件")の発生源であると断定されています。当時、FBIに潜入していた財団エージェント(コードネーム:ジェバンニ)が、オブジェクトの存在を示唆する情報を入手。その後、事案解決の中心的役割を担った私立探偵「L」の後継者である要注意人物、PoI-8104 "N" が率いる「SPK」と接触しました。
事案の首謀者であったPoI-2010 "キラ"の死亡後、事前合意に基づき、SCP-13-JPはSPKから財団へと引き渡され、一時的に収容下におかれました。
補遺13-JP-1: SCP-13-JP ルール抜粋および検証記録
以下はSCP-13-JPに記載されていたルール、およびキラ事件の捜査資料から判明したルールの抜粋と、財団による限定的な検証記録である。
原文タイトル: How to use
ルール1: このノートに名前を書かれた人間は死ぬ。
検証記録: Dクラス職員(D-901)に、別のDクラス職員(D-902)の姓名をオブジェクトに記述させた。40秒後、D-902は急性の心臓麻痺で死亡した。実験は倫理委員会の厳格な監視下で実施され、ルールが真実であることが確認された。
ルール2: 書く人物の顔が頭に入っていないと効果はない。ゆえに、同姓同名の人物に一遍に効果は現れない。
検証記録: Dクラス職員(D-903)に、別のDクラス職員(D-904)の写真を見せ、顔を記憶させた上で姓名をオブジェクトに記述させた。結果、D-904は心臓麻痺で死亡した。次に、D-903に顔を知らない別のDクラス職員(D-905)の姓名を記述させたが、効果は発現しなかった。このルールにより、オブジェクトの無差別な大量殺戮能力には一定の制限がかかっていると結論付けられた。
ルール3: 名前を書いた後、人間界単位で40秒以内に死因を書くと、その通りになる。
検証記録: 実験計画が提出されたが、倫理委員会により却下された。このルールの完全な検証は無期限に凍結されている。しかし、キラ事件における多様な死亡状況(事故、病死など)から、このルールは高い確度で機能するものと推測されている。
ルール4.1: 死因を書かなければ、全てが心臓麻痺となる。
検証記録: ルール1の検証実験において、死因を記述しなかった結果、対象が心臓麻痺で死亡したことにより、このルールは真実であると確認済み。
ルール4.2: 死因を書けば、更に6分40秒、詳しい死の状況を記載する時間が与えられる。
検証記録: ルール3と同様の理由により、実験は凍結中。キラ事件の記録を分析した結果、一部の被害者が死の直前に不可解な行動(特定のメッセージを残すなど)を取っていた事例が確認されている。これは、このルールがPoI-2010 "キラ"によって利用された結果である可能性が高い。
ルール5: このノートに名前を書き込んだ人間は、次に名前を書き込み続けなければ、13日後に死ぬ。
検証記録: キラ事件の捜査資料から、容疑者(PoI-2010 "キラ")が自身の嫌疑を晴らすために利用したとされるルールの存在が確認された。このルールの真偽を検証するため、Dクラス職員(D-905)に別のDクラス職員の姓名をオブジェクトに記述させた後、オブジェクトを取り上げ、13日間の厳重な隔離監視下に置いた。
結果: 13日が経過しても、D-905に心身の異常は一切発生しなかった。
追記: 後日、この結果についてPoI-8104 "N"に照会したところ、「それはキラがLを欺くため、死神に頼んでノートに書き足させた偽りのルールです」との回答を得た。これにより、SCP-13-JPのルールは後から追加・創作されうるものであり、必ずしも全てが真実ではないことが判明した。
ルール6(虚偽): このノートを所有する限り、所有者には元の所有者である死神の姿が見え、声が聞こえるようになる。
検証記録: ルール5の検証実験において、オブジェクトを使用したD-905に対し、監視期間を通じていかなる非物理的実体の出現も観測されなかった。D-905本人も、幻覚・幻聴などの異常を一切報告していない。
追記: この件についてPoI-8104 "N"に再度照会した。彼の見解によれば、SCP-13-JP-1(死神)は、最後にオブジェクトを使用したD-905に憑いている可能性が高いという。財団が観測できない理由を問うと、彼は「あなた方(財団)全員の目に触れるのを嫌っているか、あるいは単に面倒くさがっているかでしょう。死神は気まぐれですから」という回答を得た。この発言の真偽は不明だが、SCP-13-JP-1が意図的にその姿を隠蔽する能力を持つ可能性は、収容上の重大な脅威として考慮する必要がある。
ルール7 (後に追加): デスノートを売買した人間は死ぬ。売った人間も買った人間も死ぬ。
検証記録: インシデントログ13-JP-Bを参照。本ルールはSCP-13-JP-1によって後から追加されたことが確認されている。これはオブジェクトの異常性が固定的ではなく、外部存在の意思で変動しうることを示唆している。この事実は、オブジェクトのKeterクラス指定を再確認する上で極めて重要な要素である。
付記: ルール群は、SCP-13-JP-1の意思により追加・改変される可能性がある。財団は、記載されたルールが偽りや罠である可能性を常に念頭に置き、オブジェクトを取り扱わなければならない。
補遺13-JP-2: インタビュー記録
日付: 2010/01/██
対象: PoI-8104 "N"
インタビュアー: ████博士
場所: サイト-81██ 第3インタビュー室
付記: 対象はインタビュー中、一貫して探偵Lを模したと思われる白いお面を着用。素顔の開示を拒否した。
<記録開始>
████博士: ご協力に感謝します、PoI-8104 "N"。そもそも、あなたが我々のインタビューに応じてくれたことに少し驚いています。あなたは姿を見せることを好まないと思っていました。
PoI-8104 "N": (床に座り、指で小さなサイコロを転がしながら) キラ事件では、貴方たち財団の情報網に助けられた局面も少なからずありました。Lが遺した借りを返しに来た、とでも言っておきましょうか。それに、貴方たちのような組織と友好的な関係を築いておくことは、今後の世界にとって合理的だと判断したまでです。
████博士: 合理的、ですか。ありがとうございます。では本題に入りましょう。あなた方が確保したノートは、本当にそれ一冊だけだと断言できますか? PoI-2010 、通称キラは共犯者、あるいは別のノートの存在を示唆していませんでしたか?
PoI-8104 "N": ええ。私とメロ――ワイミーズ・ハウスにいた頃の友人です――が得た情報を統合する限り、[編集済]が使用していたのは2冊。そのうち1冊は私が焼却処分し、残りがあなた達の手にあるそれです。ですが……。
████博士: ですが?
PoI-8104 "N": (サイコロを積み上げる) このノートには、元々の所有者がいた。それは"死神"と呼ばれていました。キラにノートを落とした存在です。彼等死神の世界にはノートが無数にあり、退屈凌ぎで人間界に落としている。キラを殺したのも、最終的には彼に憑いていた死神です。つまり、この世界にはまだ複数のノートと、それを気まぐれに人間界へ持ち込む存在がいる可能性を否定できません。
████博士: 死神……。財団のセンサー類は、事案終結の現場でいかなる非物理的実体も観測していません。
PoI-8104 "N": (肩をすくめる) 見えないからといって、存在しないことにはなりません。Lの受け売りですが。
████博士: ……肝に銘じておきます。最後の質問です。あなたはなぜ、これほど危険なオブジェクトを我々財団に引き渡したのですか? あなた自身で破壊することもできたはずだ。
PoI-8104 "N": (積み上げたサイコロを指で弾き、崩す) パズルは解けたら終わりです。私はLの後継者としてキラ事件を解決した。それで満足ですよ。それに、ただ破壊して終わり、というのはあまりにも短絡的だ。
████博士: と言いますと?
PoI-8104 "N": このノートは人類史上最悪の殺人兵器です。ですが、その脅威を解析し、理解し、原理を解明できれば、それは人類にとって未知の領域への大きな進歩となり得る。この危険極まりないものを完全に制御下に置き、その異常性を解き明かす……そんな不可能に挑む組織が実在するのなら、その行く末を見てみたい。Lなら、そう考えたかもしれません。
PoI-8104 "N": もっとも、私にとっては貴方達が今後もどうやって"ありえないモノ"を必死に隠し、閉じ込めておくのか――それを観察するのを楽しみにしてます。まあ、ただの知的好奇心です。
<記録終了>
付記: PoI-8104 "N" は、"死神"と呼ばれる存在に関するさらなる情報提供を拒否している。彼の発言の信憑性については現在も分析が続けられている。彼の協力は不可欠であるが、その動機と財団へのスタンスには引き続き警戒が必要である。
補遺13-JP-3: インシデントログ
インシデントログ13-JP-A: 2013年 "Cキラ" 事案
発生日時: 2013/02/█
概要: サイト-81██からSCP-13-JPが消失。監視システムに異常はなく、物理的侵入の形跡もなかった。同時期、日本国内で末期患者らが穏やかに心不全死する「Cキラ事件」が発生。
対応と結果: プロトコル『ワミーズハウス』を発動。PoI-8104 "N"との共同調査により、医療従事者の██ ██(PoI-2013 "Cキラ"と指定)を特定。しかし、財団の機動部隊が対象の居場所に突入した際、PoI-2013は心臓麻痺により死亡している状態で発見された。死亡推定時刻は財団の突入の一週間前と判明。SCP-13-JPは現場から発見されず、回収は失敗に終わった。
分析: 本件は、SCP-13-JP-1が財団の物理的収容を完全に無視する能力を改めて証明した。さらに、用済みとなった所有者を任意に処分し、オブジェクトと共に姿を消す能力を持つ可能性を示唆している。これにより、オブジェクトの追跡および再収容は、所有者の特定だけでは不十分であり、SCP-13-JP-1の介入によって確保直前に再びロストする可能性が常に存在することが明確となった。
インシデントログ13-JP-B: 2019年 "Aキラ"事案
概要: 2019年、新たなキラ、通称「Aキラ」によって当オブジェクトがオークションに出品される事案が発生。財団は、購入の意向を示したアメリカ合衆国に天文学的な資金提供を申し出、その見返りとしてオブジェクトの実質的な管理権を得る密約を交わした。
結果: 取引完了直前、SCP-13-JP-1により「デスノートを売買した人間は死ぬ」というルールが追加される。自己の生命を危惧した当時の米国大統領がオブジェクトの受け取りを拒否したため、共同収容作戦は失敗。SCP-13-JPは再び所在不明となった。
この結果に対し、O5-█による内部通達には以下の記録が残されている。
「財団のリソースは豊富であっても無限ではない。我々がこの史上最悪の殺人兵器の確保に投じた額は、先進諸国の国家予算をも優に上回るものだ。それを一個人の恐怖心によって水泡に帰せしめたことは、断じて許容できる損失ではない」
事後処理: 財団は米国政府が負ったこの巨額の債務を交渉材料とし、同国に対する政治的影響力および作戦行動における権限を大幅に強化することに成功した。オブジェクトの直接的な収容は叶わなかったものの、この金銭的貸しによって得られた戦略的優位性は、大きな代償を払った上での部分的成功と見なされている。
財団(The Foundation)
世界の陰で活動する秘密組織。「確保(Secure)・収容(Contain)・保護(Protect)」を理念に、科学法則に反した超常的な存在(SCP)を人々の目から隔離し、管理しています。
SCP-XX-JP
財団が管理する超常的な存在(オブジェクト)に与えられる識別番号。「SCP」は特別収容プロトコルの略称でもあります。末尾の「JP」は、財団の日本支部がこのオブジェクトを担当していることを示します。
オブジェクトクラス (Keter)
オブジェクトの「収容の難易度」を示す分類です。Keter(ケテル)は最も収容が困難で危険なクラスの一つであり、常に収容違反(後述)の危険がある、あるいは収容が不可能であることを意味します。
特別収容プロトコル(Special Containment Procedures)
各SCPを安全に収容するための具体的な手順書です。どのように保管し、どのように扱うべきかが詳細に記されています。
サイト(Site)
財団がSCPを収容・研究するために世界各地に設置している秘密施設です。報告書にある「サイト-81██」のように、場所を秘匿するため番号の一部が隠されることがよくあります。
ヒューム / カント・カウンター
財団世界における「現実の強度」を示す架空の物理単位がヒュームです。そして、その数値を測定する装置がカント・カウンターです。現実を歪めるような強力なオブジェクトの周囲では、この数値が異常に変動します。
Dクラス職員(D-Class Personnel)
主に各国の死刑囚などから徴用される「使い捨て」の人員です。危険なSCPの実験や、命の保証がない任務に動員されます。
機動部隊(Mobile Task Force / MTF)
特定の脅威に対応するために編成される、高度に訓練された専門家チームです。ギリシャ文字と番号(例: ガンマ-5)で識別され、任務内容にちなんだニックネームを持つことが多いです。
O5評議会(O5 Council)
財団の最高意思決定機関です。13人の評議員(O5-1〜O5-13)で構成され、その正体は財団内でもトップシークレットとなっています。
PoI(Person of Interest)
「要注意人物」の略です。SCPに関わる能力を持つか、財団にとって重要な情報を持つ財団外の人物を指します。
収容違反(Containment Breach)
SCPが収容下から脱走したり、その異常な影響が外部に漏れ出したりすることです。財団が最も避けようとする事態の一つです。
SCP-XX-JP-X
メインのSCP(この場合はSCP-13-JP)に直接関連する、別の異常存在に付けられる番号です。報告書では、オブジェクトの元所有者である「死神」を指しています。