学マス Pが恋愛リアリティーショーに出てた   作:耳野笑

3 / 3
Pが恋愛リアリティーショーに出てた 星南編

 

「先輩、私に何か言わなくてはいけないこと、ない?」

 

「今日も綺麗ですね」

 

「~~~~~~~っ!? そ、そうではなく! 他に何か、言うべきことがあるでしょうっ!」

 

 星南さんは頬を紅潮させながら、そう訴える。しかし、心当たりがない。怒らせるようなこともしていない、と思う。

 

「すみません、心当たりがありません」

 

「そう、あくまでシラを切るのね」

 

 星南さんは腕を組み、どことなく怒気を滲ませながら仁王立ちする。

 

「とぼけるつもりなら、私から言ってあげるわ。これはどういうことかしら?」

 

 星南さんはテレビを点けて、録画一覧を表示する。一番上にあった番組名は――『バトルロレッテ』。1人の女性を16人の男性が奪い合う、サバイバル系恋愛リアリティーショーである。ちなみに、3時間の特番だ。

 

 そして、映像が再生される。映し出される、16人の男性たち。その中には、俺の姿もあった。

 

「ああ、ご存じだったんですね。俺も出演したこと」

 

「偶然見ようと思った番組にあなたが出てきて、心臓が止まるかと思ったわ! どうしてこんな番組に出たのよ!」

 

「知り合いのプロデューサーから、出演予定の男性に欠員が出てしまったので、代わりに出てくれないかと頼まれまして。数合わせだから、適当にやってくれていいと言われたので、引き受けました」

 

「ふ~ん、そうなの。結婚相手を求めて参加した訳ではないのね」

 

「はい。ただの数合わせですよ」

 

 星南さんはホッとしたように嘆息した。

 

「実は、怖くてオープニングまでしか見られなかったのだけど、そう聞いて安心したわ」

 

「あ、そうだったんですか。ご心配をおかけしました」

 

「せっかくだから、最後まで見てみようかしら。あなたの演技力にも興味があるし」

 

「緊張しますね」

 

 星南さんが停止していた番組を再生する。

 

『第1ラウンドは、一対一の自己紹介タイムです! このラウンドでは16名の男性が8名に絞られます! それではスタート!』

 

 そして、16名の男性が順番に女性の待つ別室に呼ばれ、一対一で話す時間が始まる。そして、俺の番がやってくる。

 

『どうしてこの番組に参加したの?』

 

『素敵な出会いを求めて参加しました』

 

 ピッと音を立て、停止ボタンが押される。

 

「ちょっとあなた、聞いていた話と違うのだけれど」

 

「流石に『数合わせです』とは言えませんよ」

 

「それはそうだけど……」

 

 星南さんは不服そうな顔で再生ボタンを押す。

 

『どんな女性が好き?』

 

『貴女のような女性です』

 

 ドゴッ!と肩を殴られた。鈍い音が鳴り、衝撃でよろめく。

 

「ちょっ、星南さんっ!?」

 

「なんで他の女を口説いてるのよっ! この浮気者っ!」

 

「番組のためですからっ! ちょっ、痛い痛いっ!」

 

 星南さんは怒りの形相で、ドゴッ!ドゴッ!と俺を殴り続ける。

 

「じゃあ本当はどんな女性が好きなのよ!?」

 

「ブロンドヘアで、プロデューサー志望で、芯の強さがある、美しいプリマステラです」

 

「~~~~~~~~~っ!?!?!?」

 

 星南さんの拳が止まる。紅潮した顔と、驚愕に見開かれた瞳。口元は開いたり閉じたりしている。

 

「あ、あなた……!? ま、まあ、今回だけは許してあげるわ……!」

 

「ありがとうございます」

 

 星南さんは落ち着いてくれた。番組を再生し始める。

 

『ということで、結果発表! 第1ラウンドを通過した8名はこのメンバーです!』

 

 そして、俺を含む8人の通過者が映し出される。

 

「ちょっと先輩? 数合わせなのにどうして通過してるのかしら?」

 

「手を抜くわけにもいかず……すみません」

 

『第2ラウンドは一対一の遊園地デートです! このラウンドでは8名の男性が4名に絞られます! それではスタート!』

 

 そして、俺と女性のデートが始まる。

 

『△△さんと一緒にいられる時間が一番楽しいです』

 

『なかなか悪くない口説き文句ね』

 

『もう、貴女のことしか見えていません』

 

『ふふっ……情熱的な男性は好きよ?』

 

 星南さんが額に青筋を浮かべながら俺を見る。凄い迫力だった。

 

「あなた、これはどういうつもり?」

 

「彼女には申し訳ないですが、方便です」

 

「思ってもないのにこんなこと言えるの!?」

 

「はい、必要な場面なら言います」

 

「っ……! あなた、いつか刺されるわよ」

 

 星南さんは呆れたような怒り顔で、そういった。

 

 さらに番組内のデートは進む。そして、観覧車の頂点で――俺は女性の頬にキスをした。

 

 瞬間、ガタン!とイスを倒しながら立ち上がる星南さん。般若のような、怒り心頭の表情だった。

 

「もう私が刺すわ。包丁取ってくるから待ってなさい」

 

「落ち着いてください!」

 

 俺は星南さんの腕を握り、必死で引き留める。

 

「刺す。絶対刺す」

 

「許してください、星南さん!」

 

「頬にキスなんて私にしてくれたことないのに!」

 

「すみません」

 

「じゃあ私もしなさいよ! 唇に!」

 

「……分かりました」

 

「えっ、いいの?」

 

 星南さんは呆気に取られたように振り返る。

 

「あなたが夢を叶えた後、舞台を下りるその日になら」

 

「……そう、そうよね。まあ、それでいいわ」

 

 星南さんは納得して、座り直してくれた。

 

『ということで、結果発表! 第2ラウンドを通過した4名はこのメンバーです!』

 

「だからなんで勝ち上がるのよ」

 

「思ったより気に入られてしまい……」

 

「もうあと4人しかいないじゃない。優勝しそうじゃない」

 

「…………」

 

「優勝したの!?!?!?!?!?」

 

「いえ、その、ネタバレはよくないかな、と」

 

「いらないわよその気遣いは!」

 

 星南さんは隣に座る俺の手を握る。五指全てを包み込み、そのまま握り潰さんばかりの、満身の力を込めてくる。

 

「もしあなたが優勝したら、この指が無事で済むとは思わないことね」

 

「星南さんがどんどん暴力的に……」

 

「あなたのせいよ」

 

『最終ラウンドは告白タイムです! 最後まで勝ち残った4名のうち、選ばれるのはたったひとり! それではスタートです!』

 

 そして、俺の告白タイムが始まる。

 

「△△さん、貴女を愛しています。俺と恋人になってください」

 

 ミシミシミシ!と悲鳴を上げる俺の手。星南さんの表情は鬼のようだった。

 

 しかし、女性が最終的に選んだのは別の男性だった。

 

 星南さんは安堵のため息を漏らす。自然と、俺たちの手は恋人繋ぎになっていた。

 

 そして、彼女は咎めるような眼差しで俺を見る。

 

「まったくもう、私を不安にさせた罪は重いわよ?」

 

「俺の一生分の時間で償えるでしょうか?」

 

「~~~~~ッ! ……もう、そんなこと言われたら、許すしかないじゃない」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

だってあなたは、わたしを愛している。(作者:人格分裂)(原作:学園アイドルマスター)

 入学式の日に出会った少女は。▼ 弱々しくも美しい、真っ白なアイドル候補生だった。▼ これは鋭利で敏感で、過敏に潔癖で繊細なコンプレックスの塊と、鱗粉を振り撒いて歩く、清廉な妖精の物語。▼ “彼女には、二度と会わない。▼ 俺と篠澤広は、これから一度も重ならずに生きてゆく”▼「……また会えたらいいね」▼ ネタバレ要素は特に無いです。


総合評価:2544/評価:9.16/短編:1話/更新日時:2024年11月10日(日) 21:11 小説情報

あたしのプロデューサーはヒくほどあたしのことを愛している。(作者:人格分裂)(原作:学園アイドルマスター)

 藤田ことねをスカウトしに来た男は、彼女を世界一可愛いと信じて疑わず、彼女のためにと髪を染めたり指輪をプレゼントしたりする、激重なプロデューサーだった──。▼ ネタバレ要素は特に無いです。


総合評価:1482/評価:8.95/短編:1話/更新日時:2024年05月29日(水) 21:40 小説情報

『SyngUp!』のプロデューサーは足を引っ張ると殺される(作者:プロデューサー科のもの)(原作:学園アイドルマスター)

『学園アイドルマスター』の世界に転移した、元社畜のプロデューサー科1年生が、『SyngUp!』に脳を焼かれてプロデューサーになる話。▼なお、足を引っ張ったら殺される。▼基本土日の20時更新▼※調べ不足なところもあるかもしれませんが、オリジナル設定としてゴリ押す場合があります。▼※『学園アイドルマスター』の最新話までのネタバレがある場合があります。ご注意くださ…


総合評価:10966/評価:9.04/連載:96話/更新日時:2026年05月31日(日) 20:00 小説情報

天才ロリ(合法)と一般JKの百合(作者:( 눈_눈))(オリジナル現代/恋愛)

暇つぶしに、私の癖を書きます


総合評価:4206/評価:9.22/短編:17話/更新日時:2026年01月30日(金) 18:50 小説情報

ブルアカ ホストにハマらないための講習(作者:耳野笑)(原作:ブルーアーカイブ)

 ホスト役の先生に口説かれても貢がないよう我慢する講習に、生徒たちが挑む話。▼ 同タイトルでpixivにも投稿。


総合評価:14905/評価:8.92/完結:13話/更新日時:2025年02月16日(日) 00:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>