個性「機動戦士」   作:しんぼー

8 / 9
USJ編スタートです。お気に入り200件突破ありがとうございます。モチベーションにつながります。

これからも応援してもらえると嬉しい限りです。

今回登場するモビルスーツのヒントは「それでも」「覚醒」「お台場」です。

ではどうぞ。


君の影に叫ぶ

「本日のヒーロー基礎学だが...俺とオールマイト、もう1人の計3人体制で行うことになった」

 

「ハーイ! なにするんですか!?」

 

「災害水難何でもござれ、人命救助(レスキュー)訓練だ」

 

相澤先生がそう告げるとともに、クラス中がざわざわし始める。

 

「なるぜぇ腕が!」

 

「水難なら私の独壇場、ケロケロ」

 

「えー、今回戦闘服の着用は各自の判断に任せる。ものによっては活動を限定する戦闘服の存在も確認しているからな、それに訓練場所はここから離れた場所にあるからバスで移動することになる。それでは一時解散、10分後にバスの待機してある場所に集合だ」

 

 

みんな動き始めたし、俺も動くとしますか。

 

 

_________________________

 

 

 

コスチュームに着替え、指定された集合場所へ向かう。まだ誰の姿もない。

 

「一番乗りか」

 

やっぱり俺のコスチュームは着替えが早い。パイロットスーツを着るだけだから、他のみんなみたいに装備をあれこれ身につける必要がないんだ。

 

……ただ、一つだけ困ることがある。

 

ヘルメットだ。被れば両手は空く。でも、訓練前から被りっぱなしっていうのも何だか落ち着かないしなぁ....。

 

「ま、持っとくか」

 

俺は白いヘルメットを脇に抱え、人が集まるのを待った。

 

「あ、努紋くん。もういたんだね」

 

「おおー、って緑谷、お前なんで体育着なんだ?コスチュームは?」

 

「ああ、あのコスチュームなら戦闘訓練のときボロボロになっちゃったからサポート会社に修復をお願いしてるんだ」

 

「なるほどなぁ」

 

 

 

ピ─────ッ!

 

 

「うおっ!?……って飯田、お前か」

 

 

いきなり音がしたからびっくりしちまった。てか飯田よ、お前もしかしてホイッスルを家から持ってきたのか?わざわざ? 相当気合い入ってんなこりゃ……。

 

「1-A組集合!!バスの席順でスムーズに行くよう、番号順に二列で並ぼう!!」

 

「なぁなぁ上鳴、アレどう思う」

 

「どう思うって言われてもな……、リアクションに困るわ…。」

 

「飯田くん、フルスロットル………」

 

 

_________________________

 

 

 

 

「くそぅ!こういうタイプだったか!!」

 

「なぁ飯田、並んだ意味なかったな...」

 

「ぐふぅ…!」

 

「努紋くん!?」

 

さて、着くまでの間暇だな...。そうだ、救助訓練で使う機体を考えておこう。救助ってことは、敵を倒すより人を助けるのが優先だ。瓦礫の下敷きになった人を運ぶこともあるだろうし、火災や水難なんかもあるかもしれない。なら、火力より機動力か……?いや、それだけじゃ足りない。人を守れて、状況にも対応できる機体……。やっぱ量産機系かなー。

 

 

 

「ところで緑谷ちゃん」

 

「なにかな、蛙吹さん……?」

 

「梅雨ちゃんと呼んでちょうだい」

 

「えっ!?あ、うん」

 

「あなたの個性、オールマイトに似てる」

 

「ふぇ!?」

 

確かに、緑谷の個性ってオールマイトと似てるところはあるよな。

 

戦闘訓練や個性把握テストの時なんか、とんでもないパワーを見せてた。あの爆発的な力は、テレビで何度も見たオールマイトの戦い方を思い出させる。

 

……でも、どこか違う。緑谷は力を振るうたびに腕や指を壊していた。オールマイトはあんな戦い方はしない。力を使いこなしているというより、無理やり引き出しているように見えた。保健室で話した時も、詳しいことは教えてくれなかったけど……。

 

「待てよ梅雨ちゃん、オールマイトは怪我しねぇぞ。完全に似て非なるアレだぜ。しかし、増強型のシンプルな『個性』はいいよな。派手で出来る事が多い!俺の硬化は対人じゃ強えけどいかんせん地味なんだよな」

 

切島は自分の個性が地味だって言ってるけど、俺はそうは思わないなぁ。緑谷も似たようなこと言ってるし。

 

「でも、派手と言ったら轟と爆豪と努紋だよね!しかも強い!!」

 

「努紋くんは男の子たちに人気が出そうだよね!あんな個性初めて見たもん!」

 

「爆豪ちゃんはキレてばかりだから人気出なさそう」

 

「あ"ぁ!?んだとコラ出すわ!!!!」

 

「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ。」

 

「テメェのボキャブラリーなんだコラ!!殺すぞ!!!!」

 

上鳴が爆豪を煽り、一段と騒がしくなった車内に相澤先生からの威圧感のある注意がかかり、バスはついに本日のヒーロー基礎学の会場に到着した。

 

 

 

_________________________

 

 

「皆さん、待ってましたよ」

 

 

 

ドーム型の建物の前でバスから降りた俺たちを迎えてくれたのは、スペースヒーロー《13号》だった。13号先生は災害救助で活躍する有名なヒーローらしく、麗日さんが歓声をあげて大興奮していた。

 

「お、大きい……」

 

「すっげぇ~!USJかよ!」

 

 

「水難事故・土砂災害・火事…etc、あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も……嘘の災害や事故ルーム(U  S  J)!」

 

いやまじでUSJなの? ...あれ、そういえばオールマイトがいない。どうしたんだろ。遅刻?

 

 

「えー、訓練を始める前に、お小言を一つ二つ三つ、四つ……五つ……」

 

小言どんどん増えるな....。

 

「みなさんご存知だとは思いますが、僕の個性は『ブラックホール』。どんな物でも吸い込んで塵にしてしまいます」

 

「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね!」

 

先生は緑谷の言ったことを肯定しながら続ける。

 

「しかし簡単に人を『殺せる』力です。みんなの中にもそう言う個性がいるでしょう」

 

その言葉に全員が固まった。俺の力も、あの人(パイロット)たちの想いを無視して踏みにじり、悪用すれば、先生の言う通り人を簡単に殺せる。

 

モビルスーツは、本来戦争のために生み出された兵器だ。

 

……だからこそ。

 

俺はあの日、親父と約束した。

 

『この力は、誰かを守るために使う』って。

 

命を懸けて戦い、守り、未来を託してきた人たちの想いを、俺が踏みにじるわけにはいかない。

 

ガンダムは、人を殺すためだけに存在したんじゃない。

 

守りたいものがあったから、彼らは戦った。

 

だったら俺も同じだ。

 

俺は、この力で誰かを守る。

 

それが、あの日親父と交わした約束であり、『機動戦士』を持つ俺の覚悟だ。

 

「この授業では心機一転!人命の為に『個性』をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つける為にあるのではない。救ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。以上!ご静聴ありがとうございました!!」

 

先生の演説が終わり、大きな拍手がUSJに響き渡る。

 

その、次の瞬間だった。

 

――キィィィィィン……!!といった耳をつんざくような甲高い音が、脳の奥を直接かき乱す。

 

「っ……!」

 

俺は思わず頭を押さえる。心臓が嫌というほど脈打ち、全身の毛穴が一斉に逆立つ。寒気とも違う。恐怖とも違う。不思議な感覚が俺を襲う。

 

まるで、この先に"何か"がいると、本能が必死に警告しているような――。視線が、自然とUSJ中央広場へ向く。誰もいないはずなのに、目が離せない。

 

(……なんだ?)

 

嫌な予感がする、理由なんてない。

 

そう思った瞬間――

 

広場の空間がぐにゃりと歪んだ。噴水から黒いモヤが発生する。そのモヤは徐々に徐々に広がり、始め、中からぞろぞろと異形のモノが出てくる。

 

 

 

 

「一塊になって動くなッ!!」

 

 

相澤先生の緊迫した声がUSJ内に響き渡る。

 

突然のことに、全員が何事かと戸惑い始める。

 

「13号! 生徒を守れ!!」

 

相澤先生が真っ直ぐ見据える先には、悪意の塊とでも言うべき禍々しい雰囲気が立ち込めていた。

 

……間違いない。さっき頭の中に響いた、あの耳鳴りの正体はあいつらだ。

 

「13号にイレイザーヘッド……ですか。先日頂いた教師用のカリキュラムには、オールマイトが来ると書かれていたのですが」

 

「どこだよ……せっかくこんなに大勢連れてきたのにさァ……。オールマイト……平和の象徴が居ないなんて……ここに居る子供を殺せば来るのかなぁ……?」

 

その一言だけで十分だった。こいつらは脅しているんじゃない。本気で殺すつもりで、ここへ来ている。

 

「先生! 侵入者用センサーは!?」

 

「もちろんありますが……!」

 

しかし、侵入者用のセンサーが妨害されていることから、轟は今回の襲撃が計画的な犯行であると指摘する。その言葉に、この場の空気は一気に張り詰めた。相手は数え切れないほどのヴィラン。

ここは完全に隔離された空間。そして、この場で戦えるプロヒーローは相澤先生と13号先生の二人だけ。

 

圧倒的に不利だ。

 

ゴーグルを装着し、首元に巻いた捕縛武器を構えた相澤先生は、生徒たちの避難を13号先生に指示すると、俺たちを守るため一人広場へ飛び出していった。

 

相澤先生は"個性"を消して無力化したヴィランを捕縛武器で絡め取り、そのまま次々と地面へ叩きつけていく。

 

一人で大勢を相手取っているというのに、その動きには一切の迷いも無駄もない。

 

(これが……、プロヒーロー)

 

その背中に安心感を覚えながら、俺たちは13号先生の指示に従って出口へ向かう。

 

「させませんよ」

 

その時だった。

 

出口へ向かう俺たちの目の前に、突然黒い靄が現れた。靄はゆっくりと人の形を成し、不気味なほど丁寧な口調で語り始める。

 

「初めまして。我々はヴィラン連合。僭越ながらこの度、ヒーローの巣窟・雄英高校へお邪魔させて頂いたのは、平和の象徴――オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして」

 

敵ヴィランの目的に衝撃が走る。

 

オールマイトを……殺す。

 

わざわざ雄英高校、それもUSJへ攻め込んできたということは、こいつらにはそれだけの勝算があるということだ。恐怖で足が震える。それでも震えを押さえつけるように拳を握り締め、俺は目の前の敵を睨みつけた。

 

「オラァ!」

 

BOOOOOM!!!

 

轟音とともに爆炎が巻き起こり、目の前が煙に包まれる。黒い靄が両腕を広げたその瞬間、13号先生が"個性"を発動するため指先のカバーを外すのと同時に、切島と爆豪が一直線に飛びかかった。

 

しかし、二人の攻撃によって散ったように見えた靄は、煙の中ですぐに元の姿を取り戻していく。

 

「危ない危ない、生徒と言えど優秀な金の卵」

 

「ダメだ! どきなさい二人とも!」

 

その時、黒い靄の奥で、一人の男がゆっくりと口を開く。

 

「散らして、嬲り、殺す」

 

その一言を合図にするように、黒い靄が一気に膨れ上がった。

 

「っ……!」

 

嫌な予感が全身を駆け巡る。キィィィィィン――、と。再び、あの耳鳴りが脳を貫いた。

 

(まずい……!)

 

しかし、そう思った時にはもう遅かった。

 

黒い靄は一瞬で俺たちを飲み込み、視界が漆黒に染まっていった。

 

 

 

 

 

_________________________

 

 

次の瞬間、目を開けた俺の身体は空中から地面へ向かって真っ逆さまに落下していた。

 

「ちょ、マジかよ……ッ!!」

 

眼下には切り立った岩肌が広がる山岳地帯。風圧で息が詰まりそうになりながらも、俺は必死に下方の状況を視界に捉える。岩陰に着地していたのは、上鳴、耳郎、八百万の三人だ。

 

 

だが――、あいつらはまだ、自分たちの置かれた本当の危機に気づいていない。三人のすぐ上の崖壁。岩の隙間に潜んだ複数のヴィランが、ニヤニヤと歪んだ笑みを浮かべながら、無防備な三人の頭上へ飛びかかろうと武器を構えていた。

 

「(しまっ――あいつら、気づいてねぇ……!!)」

 

あの人数での急襲。直撃すれば三人ともタダじゃ済まない。叫んで知らせようにも、強烈な向かい風に声が掻き消される。自分がこのまま地面に激突する恐怖なんて、一瞬で吹き飛んでいた。

 

「(どうする……!? 間に合わねぇ……! 助けなきゃ……守らなきゃ!!)」

 

胸の奥が焼き切れるほど熱くなったその時――。脳裏を強く刺激したのは、あの日、棚から一本角の白いフィギュアを取り出してきた親父の真剣な眼差しだった。

 

ぽん、と頭の上に置かれた温かい手の感触。親父はニッと笑って、俺の目をまっすぐ見つめ返して言ったんだ。

 

『あの時、母さんを守りたくて変身したんだろ? だったら思い出してみろ。お前がガンダムになる決意をさせたものは何か――。それを思い出せば、きっとガンダムは応えてくれる』

 

そうだ。あの日の俺は、ただ夢中で手を伸ばした。特別な理由なんてない。「目の前で傷つきそうな大切な人を守りたい」という、それだけの想いでガンダムの力を引き引き出したんだ。

 

「思い出せなんて言われなくたって……分かってんだよ、親父!!俺がガンダムになる理由は、最初から一つしかねぇ……ッ!! 守らせてくれ……。俺の仲間を……ッ!!」

 

胸の奥で、カチリと重厚なロックが外れる音が響いた。

 

「ユニコォォォーン!!!!」

 

叫びと同時に、胸の奥から溢れ出た眩い赤の光が爆発的に弾けた。

 

全身を包み込む白磁のような強固な装甲。背中に伝わる重厚で強烈な推力。

 

頭部に佇む、一本の凛々しい角。

 

『ユニコーンガンダム(ユニコーンモード)』―――。

 

それでも、と言い続けた可能性の獣がUSJ上空に姿を表した。

 

ゴォォォォォォォッ!!

 

背部スラスターが一気に大水量を噴射するように重低音を鳴らす。落下の勢いをそのまま前進運動へと強引に変換し、俺は上鳴たちへ飛びかかろうとしていた崖の上のヴィランたちの頭上へ、彗星のごとく割り込んだ!

 

ドォォォォンッ……!!

 

「ぐあぁぁっ!?」

「な、なんだ急に――!?」

 

上空からの圧倒的な質量と衝撃波で、奇襲を仕掛けようとしていたヴィランどもを一網打尽に吹き飛ばす。

激しい土煙の中、間一髪で襲撃を阻まれた三人組が、呆然と目の前を見上げた。

 

「な、なに……!? 上から何かが降ってきた……!?」

 

「ロボット……!? 白い……一本角の……!?」

 

驚愕する三人を背中に庇うように立ち上がり、俺は右腕の袖口から高出力のビームトンファーを展開した。ピンク色の高エネルギー刃が束から立ち昇る。

 

「ガキが……調子に乗りやがって! たかが鉄くずが一機で何ができる!!」

 

衝撃から立ち直った残りのヴィランどもが、刃物や個性を構えて一斉に飛びかかってきた。だが、ビームトンファーの一閃で武器を切断し、最小限の動きで瞬く間に沈めていく。

 

「ひ、ひぇ……! かすりもしねぇ!!」

 

あっという間に周りの第一陣を全滅させ、俺は一度息を吐いた。

 

そして、後ろで腰を抜かしかけている三人に向かって声をかけた。

 

「三人とも、怪我はないか?」

 

「え……? その声……、努紋さん!?」

 

「マジかよ!? 空から降ってきたの、お前だったのか!」

 

八百万さんと上鳴が驚愕の表情で目を見開く。

 

「ああ、俺だ。あのモヤに呑み込まれて、なぜだか上空から落ちてきたんだよ。変身が間に合って助かった……」

 

「助かったのはこっちだよ。 あんたがいなきゃ、今頃あたしたち襲われてた……」

 

耳郎さんが胸に手を当ててほっと息を漏らす。

 

「でも努紋さん、これからどうしますの? 広場の方も騒がしいですし、相澤先生たちも心配ですが……」

 

八百万さんが不安そうに広場の方角を見つめた。

俺もどう動くべきか判断しようとした――その時だった。

 

「おいおい、あのデカブツ一機に手こずってんじゃねぇよ!」

 

「囲め! ガキどももろとも殺せ!!」

 

岩陰や崖の上から、さらに数十人規模のヴィラン――、第二陣がワラワラと湧き出してきた。

この数を生身で一つずつ相手にしていたらキリがないし、時間を取られれば広場の相澤先生たちが危ない。

 

俺はトンファーを構え直したまま、背後の三人に向かって叫んだ。

 

「上鳴! お前の個性で一網打尽にできるか!?」

 

「できる……、できると思うけどよ! 広範囲に放ったらお前たちまで巻き込んじまうぜ!?」

 

「でしたら、私が全員を覆えるほどの大型の絶縁シートをお作りいたしますわ! それを使えば、上鳴さんの電撃を防げます!」

 

八百万さんが状況を瞬時に察し、力強く提案してくれた。

 

「なるほど……ナイスだ、八百万さん! 頼めるか!?」

 

「ええ、お任せください! 即座に創り出します!」

 

「八百万さんがシートを作っている間、時間は俺が稼ぐ!」

 

「ひ、ひるむな! たかが一機だ、囲んで叩け!!」

 

第二陣のヴィランたちが、自慢の個性を展開しながら一斉に襲いかかってくる。

右からは腕を岩石化させた巨漢のヴィランが拳を振り下ろし、左からは刃物を構えた男が地を蹴って肉薄する。

 

「多重ロックオン……見切れる……!」

 

サイコフレームを介した超高速の情報処理が、俺の脳内に敵の軌道を正確に描く。俺は回避行動を取らない。そのまま足裏のスラスターをズドッ、と一瞬だけ爆発噴射させ、正面から岩石男の懐へと突っ込んだ。

 

ガァァァンッ!!

 

「ぶはっ!?」

 

ガンダリウム合金のショルダーアーマーで胸板へダイレクトにタックル。重戦車に激突されたような衝撃に、巨漢ヴィランは目を見開いたまま吹き飛び、後方のヴィラン数人を巻き込んで落石のように転がった。

 

「な、なんて硬さだ……! 個性の物理攻撃がまったく効いてねぇ!?」

 

「次ッ!」

 

左から迫る刃物男の突きに対し、俺は左腕のシールドをわずかに振って叩き落とす。キンッ! と高い金属音が響き、刃物はあっけなく粉々に砕け散った。驚愕で固まる男の胸元へ、白磁の鉄拳を叩き込む。

 

ドゴォッ!!

 

「ぐあっ……!」

 

最小限の挙動、だが機体の持つ質量とスラスターの背押しによる重圧。ただのパンチやタックル一つひとつが、ヴィランたちにとっては「鉄塊の衝突」に等しい。

 

「化け物かよ……! 寄り付かせるな、遠距離から撃ち落とせ!!」

 

距離を取ろうとするヴィランたちを見据え、俺は右手のビームトンファーを収容すると、バックパックからビーム・マグナムを引き抜いて構え直した。

 

ビシューーッ!! ビシューーッ!!

 

高出力のビームがヴィランたちの足元や崖の岩肌を穿ち、強烈な爆煙と威殺的な射撃で敵の進軍を強引にピタリと止める。

 

「できましたわ! 努紋さん、耳郎さん、こちらへ!」

 

「よし! 耳郎さん、八百万さん、先にシートの中に入ってくれ! 俺がさらにこの盾で覆うから!」

 

八百万さんと耳郎さんがシートを被ったところへ、俺は巨大なシールドを上からかぶせるように重ね、完璧な防壁を作り上げた。その後、俺もすぐにシートに入る。

 

「準備できたか!よし、 これなら俺も本気で行けるぜ……!」

 

シールドの暗がりの中、直後に外からバリバリッ!!と凄まじい雷鳴と電撃が暴れ回る音が響き渡った。

 

凄まじい熱気と振動がシート越しにも伝わってくる。

 

しばらくして暴風と音がピタリと止んだ。

 

俺はシールドを退かし、ゆっくりとシートをめくった。

 

目の前には、白目を剥いて一網打尽に倒れ伏しているヴィランの群れ。

 

 

 

 

 

...そして、全滅した敵の中心で、上鳴が「うぇ〜い……」と両親指を立てて倒れていた。

 

 

 

 




長くなりそうなので分けます。久々にこんな書いた気がする。

次回がいつになるか分かりませんが、気長に待っていただけると幸いです。

感想、評価等もらえると嬉しいです。作者のモチベにつながります。

ではまた次回お会いしまししょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。