鬼を滅し、弱者を救う 作:妖刀・酌揺
漆羽が上弦の弐・童磨と遭遇してから数日が経過した。
この数日は、カナエの治療やら鬼殺隊への報告書の作成やらで、蝶屋敷はてんてこ舞いの大忙しであった。
カナエは命に別状はなかったものの、やはり上弦と戦った代償は大きく、いくつかの後遺症を負うこととなった。
1つ目は、左腕の麻痺。童磨に斬り裂かれた左肩はかなり傷が深く、左腕に繋がる神経を損傷しており、左腕全体に麻痺が残ってしまった。全く動かないという訳では無いが、しばらくリハビリは必要になる。
そして2つ目は、血鬼術を吸ったことによる肺機能の低下。玄力による強化のおかげで軽症で済みはしたが、完全に影響を無効化することはできていなかった。
これらの後遺症によりカナエは今まで通りに戦うことが難しくなった。恐らく柱は引退となるだろう。今後は後進育成や隊士の治療などを主な仕事とし、縁の下の力持ちとして鬼殺隊を支えていくことになるはずだ。
そんなカナエであるが…童磨と遭遇した日から何やら様子がおかしい。その事に最初に気が付いたのは、実妹であるしのぶだった。
ことある事に溜息を吐き、時折ぼーっとすることが増えた。やはり柱を引退することに思うところがあるのか…と、しのぶはそう思っていたのだが…そうではないのだと気付くことになる。
場所は蝶屋敷。日課の鍛錬を終えたしのぶは、カナエが縁側に座っているのを見つけた。カナエはぼーっと何かを見つめており、心做しか顔も若干赤い。
「姉さん?」
「はあ…」
「……」
声を掛けるも、返ってきたのは溜息のみ。しのぶは無視されたことに少しイラッとしたが、何とか感情を押さえつける。
一体何を見てるのか…と、カナエの視線の先を追ってみることにした。
カナエの視線を追っていくと、そこには少し離れた場所にある試し斬り場があった。ああ、やっぱり未練があるのね…としのぶが胸を痛めたタイミングで、その試し斬り場で刀を構える人影を発見した。
細い帯を垂らした特徴的な笠を被った剣士は、目にも止まらぬ速度で刀を振るい、立てかけられた畳表を木っ端微塵に斬り裂く。しのぶが心の中で「すごい…」と呟いたのと同時、すぐ側で放たれる熱の籠った溜息を聞いた。
「…はあ…」
「!?」
それを聞き、ぐりんっと首を急回転させたしのぶ。少しだけ首の筋を捻った気がしたが、今はそんなことを気にしている場合では無い。
溜息の主は、間違いなくカナエ。口から熱を吐きながら、色のある感情が渦巻いた瞳で試し斬り場…否、漆羽を見つめていた。
熱のある視線に溜息、そして赤みがかった頬…それらが意味するのは1つ。そういったことに疎いしのぶでさえ、その真相に辿り着くのに時間はかからなかった。
「えぇ……嘘ぉ…?」
「……はぁ」
しのぶの震えた声と、再び吐かれたカナエの溜息。しのぶが姉に何と声を掛けようか迷っていると、2人の元に鎹烏が飛来した。
「カアア!胡蝶カナエ、漆羽洋児ィ!緊急柱合会議ィ!緊急柱合会議ニ参加セヨォ!カアアアア!」
「「…!」」
鎹烏の喧しい声に、しのぶとカナエは我に返る。ふと試し斬り場を見れば、漆羽も同じく鎹烏の指令を聞き、刀を収めたところであった。
ーーー
柱合会議。
原則、半年に一度行われる、鬼殺隊最高位の剣士が集う会議である。
会議の議題はその都度変化するが、基本的には柱による半年間の報告がメインである。それに加え、何か特筆すべき議題があればそれが挙げられ、議論が交わされる。
鎹烏が蝶屋敷に会議の開催を伝えに来てから数刻後、カナエと漆羽は隠によって運ばれ、鬼殺隊当主一家たる産屋敷家の邸宅へと赴いていた。
漆羽の目から見ても産屋敷邸はかなりの大きさを誇っており、当主一家の金持ち具合が窺えた。
漆羽たちが運び込まれたのは、和を感じさせる荘厳な日本庭園の一角。彼らが到着した時、その場には既に数人の剣士が待ち構えていた。その全員が漆羽の方に視線を向け、好機の目を向けてくる。
一際大きな体を持つ男、全身に傷を持つ男、凪いだ海のような男…その中でも1番近くに立っていた、左目に派手な刺青、額に派手な宝石の装飾を着けた男―音柱である宇髄天元が漆羽達に声を掛けた。
「おお、来たか。ド派手に上弦と戦り合ったらしいな、胡蝶」
「宇髄さん、御無沙汰してます」
カナエは挨拶を返し、頭を下げた。それに倣い、漆羽も小さく頭を下げる。すると、宇髄の視線がカナエの背後に立つ漆羽に向けられた。
睨むような鋭い視線だったが、漆羽は全く動じない。その様子を見て、宇髄はニヤリと口角を上げた。
「…へぇ。入隊したての癸が上弦を追い払ったって聞いた時はガセだと思ったが…そうか、アンタか」
宇髄は品定めをするかのように、ジロジロと漆羽を観察し始める。頭のてっぺんから指の先まで舐めるように見た後、満足そうに頷いた。
「いいねぇ……ド派手に強そうだ。手合わせでも願いたいところだが…もうすぐ御館様がいらっしゃる。派手に待っとけ」
宇髄はヒラヒラと手を振り、その場から離れていく。その様子を眺めていた漆羽は、徐に口を開いた。
「あいつも柱か?」
「ええ。彼は宇髄天元さん。音柱よ」
「天元…か。ただの剣士って訳じゃなさそうだな」
漆羽は宇髄の動きに既視感を感じていた。
彼が用いる技法…音を消す足運び、気配や匂いを極限まで削いでいるそれは、以前の世界で関わりのあった"ある部隊"と酷似している。まず間違いなく、忍の血筋の者だろう。
なぜ忍が鬼殺隊に…それも柱となっているのかは分からないが、何か事情があるのだろう。
「宇髄さんの言う通り、そろそろ御館様がいらっしゃるわ。漆羽さんは、ここで待っていてくれる?」
「了解」
庭園の端の方に、漆羽は静かに腰を下ろした。
漆羽が産屋敷邸の美しい庭を眺めていると、屋敷から2人の幼子が姿を現した。
「御館様の御成です」
その言葉で空気が変わった。バラバラに立っていた柱たちは横一列に整列し、その場に跪く。
我の強い人間が殆どであろう柱達が、皆一様に尊敬と忠誠を示す人物とは一体どんな人間なのか、漆羽に興味が湧いてきたタイミングで、一人の男が屋敷の奥から姿を現した。
黒い髪を靡かせた男は端正な顔立ちをしているが…額から左目にかけて火傷にも似た痣のようなものが広がっている。痣が到達している左目は角膜や瞳孔が変色しており、恐らくは光を写していないだろう。
そんな彼が用意された座布団に腰を下ろすと、柱達は一斉に頭を下げる。その様子を見た男…産屋敷耀哉は微笑み、穏やかな声音で告げる。
「今日は、皆。今日は青い空が良く見える良い天気だね。そして…カナエ、君が生きていてくれて本当に良かった」
「有り難きお言葉、感謝致します。御館様におかれましても御壮健で何よりです。これからの益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」
深く頭を下げたカナエが口上を述べると、産屋敷は優しげな微笑みを浮かべた。
「有難うカナエ。そして皆、今日は急な召集に集まってくれて本当にありがとう」
「御礼には及びませぬ。して、本日の議題はやはり…」
一際大きな体を持つ男…岩柱・悲鳴嶼行冥が問いかけると、産屋敷は静かに頷いて答える。
「うん。今日皆を呼んだのは他でもない。カナエと妹のしのぶ、そして洋児が、上弦の弐と遭遇した件についてだ」
上弦の弐、その言葉を聞いた柱達の間に緊張が走り、視線を漆羽の方へと向けた。漆羽は居心地の悪さを感じつつも、とりあえず会釈を返しておくことにした。
先程より引き締まった空気の中、産屋敷は続ける。
「カナエ、説明をお願いできるかい?」
「承知致しました」
「洋児も、何か補足や実際に見て感じたことがあれば都度説明をお願いするよ」
なるほど、そのために呼ばれたのか。と漆羽は得心がいった。
「では、カナエ。よろしく」
産屋敷に促され、カナエは説明を始める。
童磨の外見や血鬼術、戦闘能力について余すことなく説明していく。度々、漆羽による補足が入ったものの問題なく説明を終え、最後に自らの状況を告げた。
「…そして最後に、私の体についてです。私は上弦の弐との戦闘で深手を負いました。左腕の麻痺と、肺機能の低下という後遺症を患ってしまい、もう以前のように戦うことはできないでしょう。…大変心苦しいのですが、本日を以て柱を引退させて頂きたく存じます。悪鬼滅殺の柱としての務めを最後まで果たせぬことを、心よりお詫び申し上げます」
深々と頭を下げるカナエ。突然の引退宣言だったが、柱達の動揺は殆ど無く、反対する気配も無い。恐らく事前にカナエの怪我の状況を聞き、ある程度の予想は出来ていたのだろう。
それは産屋敷も同様で、心を乱すことなく普段通りの優しい声で語りかける。
「カナエ、顔を上げておくれ。君が謝る必要はないよ。むしろ、私が頭を下げなければならない。これまで鬼殺隊のために戦ってくれて本当にありがとう。これからは戦いではなく、別の方法で皆を支えてくれるかい?」
「御心遣い感謝致します。今後は蝶屋敷の主人として、戦い以外の面で皆様の支援をさせて頂きたいと思っています」
「うん、ありがとう。皆もそれでいいかい?」
「勿論で御座います」
柱達から反対意見が出ることはなく、胡蝶カナエは柱を引退することとなった。そして、本格的に上弦の弐について議論を進めていく…ことになると思いきや、産屋敷が口を開いた。
「さて、このまま上弦の弐に対する議論に移る前に……1つ、私から提案があるんだ」
「提案…ですか?」
産屋敷の言葉に、全身傷だらけ男―風柱・不死川実弥が疑問を呈した。産屋敷はそれに頷いて答えると、次に衝撃的な言葉を吐く。
「花柱の後任として、漆羽洋児を就任させたいと思っている」
「なっ!?」
柱達の間に衝撃が走った。漆羽も驚きから目を見開いている。
数秒の沈黙。その後、産屋敷が再び口を開く。
「洋児は上弦の弐と遭遇した日、下弦の弐とも遭遇し、これを討伐している。柱が足りていない現状、これ程の実力を持つ人間を遊ばせていくのは勿体ない。特例での昇格にはなるけれど、それだけの価値があると思っている。どうかな、皆?」
下弦の弐を討伐したという情報はカナエ以外は初耳だったのか、柱達の間に衝撃が走る。そんな中、いの一番に口を開いたのはカナエだった。
「私は賛成です。漆羽さんは正直、私よりも遥かに強い。柱として実力は申し分ないかと」
カナエに続き、柱たちは次々と自らの考えを述べていく。
「俺もド派手に賛成します。上弦の弐を退け、下弦の弐を討伐したのなら実績も申し分ないでしょう」
「…入隊から僅かな期間でこれだけの実績……御館様の仰る通り、一般の隊士にしておくには惜しい人材……特例ではあれど、柱にすることに異存はありませぬ…」
「俺ァ…御館様の決定に従います」
「……同じく…」
「…皆が賛成ということでいいかな?」
漆羽を蚊帳の外に、柱達が次々に賛成の意を示していき、あれよあれよと話が進んでいく。もう柱就任は秒読みというところまできていた。
…まあ、話が勝手に進んでいるのはアレとはいえ、漆羽に断る理由は特にないのだが。
「柱達の承認も得られたため、漆羽洋児を新たな花柱として任命しようと思う。これからは柱として、鬼殺隊を支えてくれるかい?」
優しい声で告げられた言葉に、漆羽は頭を下げて答えた。
「承知」
こうして、新たな花柱が誕生した。
ーーー
日本の何処か。
上下左右前後が入り乱れる異空間にて、一人の鬼が佇んでいた。
頭から血を被ったようなその鬼は、ニコニコとした笑みを浮かべ独り言ちる。
「いやあまさか、ここに呼び出されてしまうとは。数日前の失態の件だろうなあ…うーむ、何とお詫びをすればいいか…」
―上弦ノ弐・童磨
彼が唸りながら考えてる間に、琵琶の音が鳴り響く。瞬間、花魁の姿をした黒髪の女性が姿を現した。
「あれ?童磨さん?」
―上弦ノ陸・堕姫
堕姫に気がついた童磨は、彼女に向けてひらひらと手を振る。
「やあ堕姫ちゃん、久しぶりだねえ。妓夫太郎は元気かい?」
「そりゃあ元気に決まってるわよ。で、ここに集められたってことは…まさか、誰か死んだ?」
「いやあ違うと思うよ。実は俺が少々やらかしてしまってねえ。多分その件であの方はお怒りなんだと思う」
「ふうん?童磨さんも失敗することあるんだ。てか、それなら何でアタシも呼び出されるわけ?これでアタシまで怒られたらとばっちりじゃない!」
「はは。その時は目玉でも抉ってお詫びするよ」
「え、嘘!やったあ!童磨さんの目、綺麗だから嬉しい〜!」
まるで兄妹の世間話のようなテンションで繰り広げられる会話だったが、話す内容は物騒極まりなかった。
「ヒイイイ!目玉を抉るなど…恐ろしい恐ろしい…!」
―上弦ノ肆・半天狗
次に現れたのは、額にコブと角がある老人の鬼だった。彼は身体を震わせながら恐怖に震えた声を上げる。
「チッ!ジジイうっさい!」
「ヒイイイ!恐ろしいィ…!」
「コラコラ、口が悪いよ?」
堕姫が怒鳴りつけると、半天狗は萎縮し頭を抱え、今まで以上に強く震え出した。そんな様子を見て、堕姫は舌打ちをし、童磨は普段通りケラケラと笑う。
「おやおや、これはこれは…皆様お久しぶりでございます。ヒョヒョッ、私は誰が死んだのか気になり胸が踊って…ゴホン、私は皆様が心配で仕方ありませんでしたよ…ヒョヒョッ」
―上弦ノ伍・玉壺
いつの間にか現れていた壺から這い出てきたのは、口と目の位置が逆になっている蚯蚓のような鬼だった。童磨は彼を認めると、笑顔で声をかける。
「それがね玉壺、多分誰も死んではいないんだ」
「そうなのですか?それはそれは、大変残念…ゴホンッ、大変喜ばしいことですねぇ…ヒョヒョッ!」
「いやあそれにしても、相変わらずお前の壺は綺麗だねえ。あ、そうだ!そろそろ新しい壺が欲しいんだけど、また貰いに行ってもいいかい?」
「ヒョヒョッ、構いませんぞ。童磨殿のために丹精込めてお作りしましょう…ヒョヒョッ…!」
「ありがとう!…って、あれ!?猗窩座殿じゃないか!」
笑顔で言う童磨の視線の先には、全身に青い線の模様が入った鬼が不機嫌そうな表情で立っていた。彼は童磨の声を聞き、眉間の皺を深くする。
―上弦ノ参・猗窩座
「猗窩座殿、挨拶も無しなんて連れないなぁ。俺は猗窩座殿を大事な友達だと思ってるんだぜ?ほら、こっち向いておくれッ…」
「…黙れ、俺に触るな」
童磨が猗窩座の肩に触れた瞬間、轟音と共に童磨の頭が吹き飛んだ。周囲に血飛沫が舞い、半天狗の悲鳴が木霊する。
しかし、ほんの数秒で頭を再生した童磨は、口元に邪悪な笑みを浮かべながら言う。
「おお、凄い威力だねえ。前よりも強くなったかい?」
煽るような口振りに、猗窩座の額に青筋が浮かぶ。猗窩座が辛抱ならず二度目の拳撃を繰り出そうとした瞬間、猗窩座のすぐ背後から声が響いた。
「そこまでに…しておけ…」
猗窩座の背後に立っていたのは、和装に身を包んだ六つ目の鬼。腰に刀を携えた彼は、静かではあるものの確かな迫力を孕んだ声で告げた。
―上弦ノ壱・黒死牟
黒死牟の声で拳を止めた猗窩座。未だに溜飲は下がっていないが、大人しく拳を下ろした。それを見た黒死牟は満足そうに頷くと、その場に跪いた。
「無惨様が……お見えだ…」
「!」
その声で、上弦の鬼たちは一斉に跪く。
いつの間にか、彼らの頭上…重力を反転させた天井に、1人の男が立っていた。
男―鬼舞辻無惨は、手に待った本のページを捲りながら、果てしない怒気を孕んだ声を発する。
「童磨が敗走した。上弦に有るまじき失態だ」
上弦の鬼たちの視線が一斉に童磨へと注がれる。件の張本人たる鬼は居心地が悪そうだが、そんな彼の様子などお構い無しに無惨は続ける。
「童磨。貴様は柱を仕留め損なった挙句、柱ではない剣士に危うく首を斬られかけていたな。そして、そのまま逃走した。どういうことだ?どう弁明するつもりだ?」
「……申し訳ありません。弁明の余地も御座いません」
普段の巫山戯た態度は鳴りを潜め、ただ真摯に頭を下げる童磨。しかし、無惨の怒りは収まらない。
無惨の呪いにより、童磨の口から血が溢れ出す。ゴボゴボと苦しそうに血を吐き続け、あと少しで絶命するというタイミングで無惨は呪いの発動を中止した。
「童磨、お前には失望した。もうお前には期待しない」
「……」
童磨は只管に頭を下げたまま何も言葉を発さない。ただ、無惨の怒りに満ちた声だけが異空間に響く。
「今日、貴様ら上弦を呼び出した理由は1つ。童磨を追い詰めた鬼狩りを殺せ。失敗は許さん、どんな手を使っても必ず殺せ。いいな?」
「はっ!」
無惨の命令に、上弦の鬼たちは一斉に返事を返した。無惨は本を閉じ、静かに言葉を続ける。
「童磨の記憶を共有する。死にたくなければ死ぬ気で私の命令を遂行しろ。死ぬ気で私の役に立て。上弦だからといって胡座をかくな。貴様らの命は私の手の内にあると再認識しろ。……話は終わりだ」
琵琶の音が響く。次の瞬間には、既に無惨の姿は消え去っていた。
空間に静寂が盈ちる。数秒後、再度琵琶の音が響き、上弦達は順番に姿を消していく。
最後に残された童磨は、普段の笑顔とは程遠い能面のような表情を貼り付けて呟いた。
「必ず殺すよ……漆羽くん」
童磨の言葉は琵琶の音に掻き消され、虚空へと溶けていった。
大正コソコソ噂話
カナエが引退したことで、しのぶは漆羽の継子という扱いになったよ
カナヲはまだ継子じゃないけど、いずれそうなる予定だよ