マブラヴ グレートパトリオティックウォー   作:Eitoku Inobe

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ハルバート・A・バウアーの回想録

ハルバート・A・バウアー

アメリカ空軍少佐、映画、ドラマ俳優。

 

1953年、テキサス州ヒューストン生まれ。

 

父アンバー・バウアーは第二次世界大戦に陸軍人として従軍し、陸軍軍曹として退役。

 

アンバーは実家の農家を引き継ぎ、ハルバートは大農場の次男として生まれた。

 

ハルバートは当初農家を継ごうと考えていたが紆余曲折あり、テキサス州内の航空アカデミーに入学する事となった。

 

1972年に入学し、パイロットとしての訓練を受けているところBETA大戦が勃発、ハルバートはアカデミー卒業と同時にアメリカ空軍に入隊した。

 

ハルバートは戦術機パイロットとして1年間訓練を受け、1977年から1979年までインド戦線に従軍した、当時の乗機はF-4だったとされている。

 

それから1979年から1985年までアメリカ中央空軍に配属され、中東最終攻勢のデザート・ストーム作戦に参加した。

 

この頃からF-16に乗り換え、デザート・ストーム作戦後は少佐に昇進した。

 

ハルバートは1985年にアメリカ本土へ帰国し、その後1年は教官として育成に努めたが1986年に退役した。

 

退役直後、映画会社の広報で戦術機パイロット役を募集していたことから自身の経歴をアピールして応募し、見事役を掴み取った。

 

それ以降アメリカ及びヨーロッパの戦争映画ではパイロット役として度々出演し、マニアからは最初に掴み取った役名である「ブレストン少佐」と呼ばれ、親しまれている。

 

2007年には自伝「戦争の思い出」を出版、日本語訳も出された。

 

以下の文章は「戦争の思い出」重版出来記念としてインタビューを受けた際に語ったものである。

 

なおインタビュアーが尋ねた「ゴジラ」と「E.T.」なる映画は今の所作成された記録は存在しない。

 

 

【挿絵表示】

 

ハルバート・A・バウアーのF-16、右肩に「スター・ウォーズ」に登場する叛乱同盟軍のマークが描かれている。

後ろの機体は日本帝国空軍のF-15J。

 

 

 

これは俺がまだ戦術機に乗っていた頃の話だ。

 

俺が最初に配属された地域はインドだったが1年程度で配置換えになり、ずっと中東にいた。

 

当時乗っていたのはまだF-4Eだったな、仕事といえば武器を担いで前線に行ってエイリアンども(仲間内ではBETAをそう呼んでいた)を蹴散らして帰る。

 

中東に行って1年くらい経つとF-16に乗り換えになった、機種転換の時に驚いたよ、F-4より軽くてどこまでも飛べるんだもん。

 

結局終戦まで俺の愛機はF-16だった、左肩にスター・ウォーズの反乱同盟軍のマークをつけた機体が俺のF-16だ。

 

あの頃はスター・ウォーズが流行っていてね、丁度4、5、6の時代だ。

 

中東の基地で配給映画としてみんなで観たんだが、まあ面白くてね、何度も何度も見返したよ。

 

その結果俺の愛機には同盟軍のマーク、ウィングメイトはXウィングの抽象画を描かせてた。

 

整備士達もノリノリでな、暇な時はモップや誘導用のライトでライトセーバーごっこをしたよ、子どもっぽいと言われるかもしれんが必要なことだった。

 

ちなみに俺のTACネームはバッファローだった、テキサス生まれだからって安直な理由だ。

 

中東はインドと同じくらい激戦だった、俺も2、3回死ぬかと思った。

 

だが俺たちはアメリカ人、特に俺はテキサス人だ。

 

どんな事にもへこたれない、エイリアンどもと戦うのは辛かったが大事な使命だと分かっていたのでそこまでしんどくはなかった。

 

何よりアメリカ人だけじゃない多国籍な仲間達がいる、これが心強かった。

 

上手い下手はあるが基本的には英語を喋ってくれた、俺達も相手の言葉を覚えようと色々教わったことを覚えてる。

 

特に俺が関わったのは日本人達だった、戦域が近くてよく一緒に戦ってね、キャンプとかも近かったんで交流が進んだんだ。

 

中東はとにかく暑くてな、俺達のいた場所はそれでも補給が大分良かったんで戦場から帰ったらアイスクリームとコーラが待っていた。

 

本当はビールとか飲みたかったんだがそれでも戦争終わりのアイスとコーラは格別だ。

 

よく日本人のパイロットと飯やデザートの交換をしてね、度々日本食を口にした。

 

特に美味かったのが時々出てくるカレーにカツを乗せたカツカレーという食い物だった。

 

カレーは中々言い表すのが難しいがカツは簡単だ、衣を付けて油で肉を揚げたもんだ、フライドチキンだと唐揚げと名前が変わるらしい。

 

なんでもカツは戦いに”()()”みたいな意味合いもあるらしくてな、縁起物と日本人は言っていた。

 

確かデザート・ストームの前にもカツカレーが出てきたのを覚えてる、あん時食ったカツカレーは一番美味かった。

 

日本人パイロット達とは今でも連絡を取り合っているがなんでも日本には美味いカツカレーの店がどこにでもあるらしいな、在日米軍に回される奴が羨ましいよ、やっぱジパングってすげえわ。

 

昔は敵同士の国だったが今じゃあ仲間だ、過去はお互いに水に流した、後俺の父はヨーロッパ戦線組だったんでそこまで日本と関わりがないし。

 

日本人とはよくお互いに配給の映画を見に行ったりしたし、流行りの曲も聞かせあった。

 

日本だとなんだっけな……セイコちゃんってみんな呼んでたんだよ……あれの赤いスイートピーだっけ?めちゃくちゃ聞かされたよ。

 

あまりに流行りすぎてて戦術機に赤いスイートピーを描く日本人が多かったね、まあTOTOのアフリカのジャケットとかマイケル・ジャクソン描くアメリカ兵も多かったけど。

 

そういやライオネル・リッチーもあの頃だったね、懐かしいわ。

 

映画の方だと翻訳機のおかげでこっちの映画を見せてもすんなり内容が分かったらしい、特にスター・ウォーズとインディー・ジョーンズが人気だった。

 

逆に俺たちの方も日本映画の娯楽になった。

 

アニメだとヤマト?だったっけな、後ガンダム?とかいうやつが特に面白かった。

 

後ヤマトの方には宇宙戦艦になったミズーリとかニュージャージーとか出てたな、今だと多分リップサービスだって分かるね。

 

後ドカベンなる野球アニメも見たのを覚えてるよ、野球はやはり面白いスポーツだ。

 

映画の方だと戦国日本軍とかいう昔のサムライと今の日本軍が共闘して戦うやつを覚えてるよ、派遣される前にエキストラとして出た奴らが色々教えてくれた。

 

だが一番面白かったのはアキラ・クロサワの七人の侍だな、あんなにクールな作品はないよ、そりゃあジョージ・ルーカスも惚れ込むわけだ。

 

特撮?とかいうのも見たことあるぜ、全部ミニチュアって知った時はびくりしたよ。

 

ゴジラ?それは知らんな、流行ってるのかい?なんでもない、ああそう。

 

E.T.?それも知らんなぁ、へえこの時代にあった映画の、エイリアンと仲良く、現実もそうだったらいいんだけどねぇ……暗い話になったな、まあ娯楽の話はここまでにして戦いの話をしようか。

 

俺はパイロットだったんで戦術機に乗っていた、元々民間航空に行くつもりだったんだけどね、祖国の危機に立ち上がるのがアメリカ人だ。

 

練習機のT-38を除くと一番最初に乗った戦術機はF-4だった、素直ないい子だったよ。

 

最初に戦ったのはさっきも言ったがインドだった。

 

俺はF-4にマーベリックとハイドラを積んで火力を増やしてた。

 

俺の任務は前線に行って目の前の敵と戦うCAS任務だったけど爆弾は積んでいかなかったな、便利なのは分かるが俺はマーベリックの方が好きだった。

 

近接長刀はあまり持っていかなかったな、正直短刀があれば俺たちは十分だった。

 

あの頃のBETAは勢いがあってね、ひたすら防衛と後退戦で結構精神がすり減ったよ。

 

何より最初の1年は戦いに慣れていなくてね、ずっと震えてたよ。

 

BETAも不気味な奴らでさ、戦いが終わると基地で吐く奴もいた。

 

口では言えないような中々見るに堪えない光景もあったからね、今思えば俺たちもちょっとおかしかったかもしれん。

 

だが俺が中東に移動に移動すると風向きも変わってきた。

 

段々BETAも抑え込めるようになったし、何より反撃の準備が始まっていた。

 

あの頃は新兵器もどんどん出てきてね、まさか俺みたいな奴でも新しい機体が貰えるとは思ってなかったよ。

 

丁度中東で戦った2、3回はまだF-4に乗ってて、帰還した時に新しい機体が来るぞって言われたよ。

 

F-4は中々操縦性も良くていい子だったんだがね、やっぱりF-16はすげえよ。

 

俺はF-4かF-16かと言われたら間違いなくF-16を選ぶね、繊細な動きが出来るんだ。

 

だがF-4が好きという奴もいたよ、F-16は俺の感想だが大雑把に動かす奴はF-4の方が好きかもしれない。

 

F-4は確かな安心感があった、とにかく動かしやすくて安定してたんだ。

 

だが俺は速い方が好きだったからF-16の方が良かった。

 

F-4とは勝手が違うんでF-16に慣れるまで時間は掛かったが、慣れるといい機体だよ。

 

何機かのF-16で最速で前線に向かって突撃級にマーベリックをぶっ放して蹴散らしてた。

 

こうすると前線が崩れて穴が開くから、そこに火力を叩き込むと結構BETAを押し込める。

 

俺たちはアメリカ人だが日本のサムライほど度胸はなかったからなるべく距離を離して戦おうと決めていた。

 

死にたくはないし、機体だって高いんだ。

 

だからよっぽどのことがないと接近戦はしなかった、まあそうなる前に陸軍の連中もきて撃破出来ちゃうんだが。

 

で、中東だと戦いになると意外と多国籍部隊となることが多かった。

 

増援を呼んだらアメリカ軍以外にも日本や稀に韓国の部隊が来てくれるんだ。

 

日本は暫くF-4だったな、確か81年からF-15が出てきた覚えがあるよ。

 

後1回だけイランのF-14部隊が助けに来たことあったな。

 

イラン人達はちゃんと腕が良くてね、山岳を利用しながら光線級の射線を切ってスーパーフェニックスを撃つんだ。

 

海軍や海兵隊のF-14も強かったがイランの奴らも強かったな、トップガンとか作られるのもそういう影響があると俺は思ってる。

 

偶にはF-16が主役の飛行機映画とか作って欲しいんだけどね。

 

えっ日本だとF-16が主役のゲームがある?やっぱいい国だよ日本は。

 

まあF-16はいい機体だよ、俺はこいつで数え切れないほどのBETAを倒してきた。

 

そして俺もあのデザート・ストームに参加した、中東大攻勢だ。

 

同僚の何人かはB61が配備されてたな、俺は低空侵入より前線の支援の方が適してると言われてついぞ戦術核を搭載することはなかったよ。

 

1981年の後半はひたすらBETAと戦う日々だったね。

 

数え切れないほどのBETAを叩き潰し、機体がBETAの体液で真っ黒になることも多々あった。

 

出撃して敵を倒して帰って休憩して、また出撃して帰って休憩、そして出撃とそんな日々だった。

 

デザート・ストームの頃になるともう4年もBETAと戦っているからかなり慣れていたよ。

 

いつの間にか階級も大尉になってたし、たまに式典とかで制服を着ると略綬が増えてるんだ。

 

そりゃあソ連のベレンコとかベトナムでもエースだったチャールズ・デベルビューほどの戦果は上げてない。

 

やるべきことをやったら、こうなっていたっていうのが正しいね。

 

俺と同じような奴はあの戦場にいっぱいいた、彼らはみんないい奴だった、国籍は関係ない。

 

彼らのうち何割かが生きて帰って来れなかったことを考えると、今でも胸が痛むよ。

 

俺は最初のハイヴ突入には参加しなかったが82年のハイヴ突入には参加した。

 

俺とウィングメイトのメルビー、そして日本空軍のF-4乗りのサトウ、ナカムラという奴が一緒に潜った。

 

狭いハイヴの中だと普段通りに行かない事もあったが俺たちは協力し合った。

 

サトウとナカムラが持ってきた106mm砲がかなり有効だった、俺たちはナパーム弾を持ってきていたがこれが意外に効いた。

 

広いハイヴでな、かれこれ数十日は潜っていたと思う。

 

ハイヴ最奥の頭脳級を撃破したという報告を聞いたのも確かハイヴの中だった。

 

俺達は機体を近づけ合って無線機越しでワーワー喜び合った。

 

長い長い中東戦線が終わったんだ、俺にとっては中東の終わりが戦争の終わりだった。

 

倒したBETAはもう何体か忘れちまったが倒された仲間のことはずっと覚えてる。

 

彼らの為にも世界の自由とアメリカの為にも俺たちは勝った。

 

ハイヴから出て基地に戻り、整備士やパイロット達と勝利を分かち合った。

 

人類が勝ったんだ。

 

その後俺は少佐に昇進した、奮戦したんだからこれくらいのご褒美があってもいいだろう。

 

主力はアフリカかヨーロッパに移動したが俺は中東に残ってパトロールを続けた。

 

サトウとナカムラは日本に帰った、最後の日にはお別れ会を開いたよ、楽しい会だった。

 

俺たちが中東から帰ったのは1985年のことだった。

 

その後暫く軍に残ったが中佐にはなれなかったね、俺は退役した。

 

そしたら映画業界で戦術機パイロット役のエキストラを募集しててね、俺が元戦術機パイロットだと言ったら即採用された。

 

まさか俳優として食って行くことになるとは思わなかったよ。

 

人生ってのは分からないもんだな。

 

だがこれも生き残ったが故のご褒美だと思ってる、俺はあの戦いで死んだパイロット達、兵士達の分までしっかり生きていくつもりだよ。

 

色々聞いてくれてありがとうね。




ふと1970年代から80年代の音楽、映画関連を見てたら思いつきました。
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