マブラヴ グレートパトリオティックウォー   作:Eitoku Inobe

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この軍人達が
制服を着る事は滅多にない
勲章を身に付けるのも
特別な日だけ
彼らの易からぬ任務
それは諜報と呼ばれる
そして彼らの多くは
老いる事なく死んでいく
-”見えない戦線の兵士”より抜粋-


決断

-ソ連領 ロシアSFSR レニングラード州 州都レニングラード-

レニングラード市内に展開した民警及び国内軍部隊は6月2日は1日中封鎖を続けていた。

 

しかし6月2日のうちに首謀者が全員逮捕された事、その首謀者達をKGBがその日のうちに尋問しメンバーはこれ以上いないことを確認した為、部隊は6月3日の朝頃に撤退を開始した。

 

ほぼ同タイミングでレニングラード州及び市党委員会は外出禁止令を解除、レニングラードは朝焼けと共に普段の日常に戻り始めた。

 

各所の民警達は検問所を展開する為に設置した機材を回収してトラックに積み込み、片付ける。

 

民警達は交代しながら夜通し警備と検問所の維持を行なっていた為、皆だいぶ疲れていた。

 

しかも彼らは交番や警察署に戻っても当然日々の業務がある。

 

交通部門であれば市内の交通を管理し、警備部門の民警は今日もパトロールの任務が残っている。

 

尤も彼らはソ連人、上手くサボりながら切り抜けるだろう。

 

太陽はゆっくりと天に昇っていく。

 

ネヴァ川には美しい朝焼けが映り、疲れ切った瞳には癒しというより毒にもなった。

 

ジェルジンスキー師団の将兵は撤収するなり空軍基地と空港に急いだ。

 

既に緊急展開したIl-76が各地点に待機しており、これに乗ってレニングラードから急いで撤兵する予定であった。

 

「結局何事もなかったな」

 

タバコを咥えた1人の兵士が設置したバリケードを運びながら呟いた。

 

「まあ何もなくて良かったんじゃないか?」

 

「そうだが……人使いが荒いよなぁ」

 

「人使いのいい軍隊なんて存在しないよ」

 

タバコを咥えた兵士は苦笑を漏らし、大人しく撤収作業に従事することになった。

 

時折各所の検問所には視察としてロマノフやザイコフら党委員会の幹部が訪れ、撤収作業を見守っている。

 

彼らは2日の昼頃とは違い、随分と安堵した表情で機嫌が良かった。

 

少なくともレニングラードに市民の死傷者は出ておらず、犯人も逮捕出来た。

 

結果は上々、ロマノフとしてはそう考えていた。

 

しかし余りにレニングラード市内で何もなかった為、一部からは「過剰な行動だったのではないか」という感想も出ていた。

 

動員した民警の数はレニングラード市内のほぼ全てであり、レニングラード軍管区の師団すら待機させていた。

 

この対応は過剰過ぎると後に彼の経歴に多少の翳りを落とすことになるのだがそれはまた別の話。

 

その頃、リテーイニィイ大通りに存在するKGBレニングラード州局の本部では尋問の結果得られた報告書が局長に報告されていた。

 

KGBレニングラード州局もこの1日は大変忙しい日であった。

 

まずレニングラード全域の通信を傍受し、何処かに不審な点はないか調べ尽くす。

 

そして党委員会のお偉方の警護に展開した内務部隊の監視、”ヴィンペル”やルビャンカとの連携、国境軍との連携などやることが山のようにあった。

 

作戦が始まれば”ヴィンペル”部隊の援護を行い、輸送車両を手配して犯人を確保する。

 

犯人達が運ばれてくれば直ちに尋問官らが捜査を開始し、喋った情報を全て纏める。

 

どの課も休みがなく、尋問がある程度終了してロマノフが正式に外出禁止令の解除を伝えると職員達は皆安堵した。

 

ある者は疲れ切ってソファーで眠り、またある者はウォッカを飲んで大仕事を終えたことを祝った。

 

またある者は尋問に戻り、ある者は自身のデスクで報告書の作成に戻った。

 

州局本部のビル中から代用コーヒーとタバコの匂いが充満し、疲れた身体に染み渡った。

 

彼らもまた、仕事はまだ終わった訳ではない。

 

一休みしてまた仕事に戻らなくてはならないのだ。

 

ノシィレフ中将も提出された各所の報告書を読みつつ、軽食として用意された黒パンの上にサーロを乗せたものを食べていた。

 

サーロと黒パンにはウォッカのショットが合うのだが、生憎まだ仕事中である。

 

代わりに代用コーヒーで我慢し、内容を確認していた。

 

「やはりメンバーは逮捕した分で全員か」

 

「はい、レニングラード支局のメンバーは合計25名、1名は車の爆発で死亡しうち14名は戦闘で死亡ないし搬送中に死亡。残り6名も重軽傷を負っている為病院で治療中。尋問可能な犯人は4名でした」

 

BTR-70の重機関銃掃射で大分死傷者を出した。

 

この当時の”ヴィンペル”部隊はそもそもソ連人特有の大雑把さに加えて大多数の隊員が対BETA戦闘帰りということも相待って加減というものを知らなかった。

 

だからロシア帝国復興戦線相手でも重機関銃を撃つし、全く手加減をしない。

 

その結果レニングラードのメンバーはほぼ半数が死亡し、尋問可能な相手は4人だけだった。

 

尋問官やKGBの将校達からは「もう少し手加減した方がいい」、「これじゃあ得られる情報もほぼない」と苦言を呈された。

 

この事は多少問題視され、少しつづ特殊部隊として洗練されていくことになる。

 

幸いだったのが無傷だった4人のうちの1人がロシア帝国復興戦線の幹部メンバーだったということだ。

 

彼にはかなり”キツめの”尋問を行い、ロシア帝国復興戦線における内部事情を全て聞き出した。

 

「それで、CIAから渡された目標は”()()()()()()()()()()”」

 

報告書を提出した第2課長、ヴィタリー・ポロズユーク大佐は頷いた。

 

「ロシア帝国復興戦線創設者のエフゲニー・メスネルは今より3年前の1980年に病死、指導者セルゲイ・タボリツキーは去年10月に同じく病死、そしてシャベリスキー=ボルクも今年1月に病死したと」

 

ロシア帝国復興戦線には3人の創設者がいた。

 

1人は旧帝政ロシアの将校にして白軍参謀将校エフゲニー・メスネル、元カフカス先住民騎兵師団員にしてロシアの君主主義、超国家主義者、元ナチ党員セルゲイ・タボリツキー、そしてタボリツキーと同じ君主主義者にしてナチ党員ピョートル・シャベリスキー=ボルク。

 

彼らは最後に残った白軍派の抵抗勢力であった。

 

しかし経歴はメスネルとタボリツキー、シャベリスキー=ボルクでは全く違う。

 

メスネルは紆余曲折あれどロシア帝国軍の参謀将校であり、叔父はロシア帝国軍少将である。

 

1930年代は南スラヴの国々に移住し、バルト三国や東欧で軍事関係の雑誌に寄稿していた。

 

一方のタボリツキーとシャベリスキー=ボルク、端的に言えば超国家主義の異常者である。

 

タボリツキーはユダヤ教の洗礼を受けた母から生まれ、シャベリスキー=ボルクは一応裕福な家庭に生まれたとされている。

 

しかし軍のエリートという訳ではなく、2人はカフカス先住民騎兵師団に属していた。

 

その後白軍が敗北しソ連が誕生した後は極右の道に走った。

 

2人は反ユダヤ主義に同調し、『シオン長老の議定書』をドイツなどで再出版していた。*1

 

やがて2人は臨時政府の元外務大臣、パーヴェル・ミリュコーフ暗殺未遂事件を起こし、誤って元官房長官ウラジーミル・ナボコフを殺害した。*2

 

また彼らは当時ドイツで勃興しつつあったナチ党に入党した。*3

 

メスネルもナチにはシンパシーを感じていたがナチ党員であったのはあくまでこの2人だけである。

 

やがて世界大戦はナチの敗北に終わり、彼らは立場上欧州を追われた。

 

当初タボリツキーはドイツにまだ残っていたがやがてシャベリスキー=ボルクが逃れていたアルゼンチンへ移住した。*4

 

そこで同じくアルゼンチンに亡命していたメスネルらと出会い、ロシア帝国復興戦線を設立した。

 

送ってきた人生は違えど皆一貫していることは現体制のソ連を破壊することである。

 

しかし彼らは志半ばで死んだ、結局祖国ロシアに戻ることもなかった。

 

残されたロシア帝国復興戦線の者は皆面白半分に入ってきた者ばかりであり、確固たる指導者を失い宙ぶらりんになっていた。

 

だが逃げればシュタージのベルリン派に捕捉される。

 

逃げることも戦うことも出来なかった集団がモスクワとレニングラードにいた者達である。

 

「つまり本拠地のアルゼンチンにはまだ何人かいると?」

 

報告書を隅々まで読んだノシィレフ中将はふと尋ねた。

 

「恐らくは、如何いたしますか?」

 

「……ルビャンカの判断次第だな、どの道我々のやることはこれで終わった」

 

サーロ乗せ黒パンを食べ切り、片手で報告書をファイリングして鞄に入れた。

 

その鞄を持って掛けてあった制帽とトレンチコートを取った。

 

「私はこれから党委員会へ報告へ向かう。報告書はルビャンカの方へ送ってくれ」

 

「分かりました、お気をつけて」

 

制帽を被り、ノシィレフ中将は敬礼して執務室を後にした。

 

通路には幾人かのKGB将校が休んでおり、中将を見るなり立ち上がって敬礼する。

 

皆顔は疲れていたが、もう一働きはしてもらう。

 

陰に生きるKGBに休みはなかった。

 

 

 

 

-ドイツ民主共和国領 首都ヴィスマル 国家保安省ビル-

その日、オスター大佐は一日中不機嫌でいた。

 

彼は保安省ビルに入り、まず同僚のアクスマン中佐の下に急いで向かった。

 

アクスマン中佐は後輩のヘフテン少佐と共に実務上の打ち合わせをしており、その中でオスター大佐が現れた。

 

2人は先輩かつ上官のオスター大佐に敬礼し、「おはようございます」と挨拶をした。

 

だが大佐は普段なら返すはずの挨拶を行わず、真っ直ぐアクスマン中佐に詰め寄った。

 

「アクスマン貴様っ!ソ連に潜り込ませた連中がしくじったというのは本当か?」

 

大佐はアクスマン中佐の胸ぐらを掴み、恐ろしい剣幕で尋ねた。

 

だがアクスマン中佐はいつも通り、至って平然とした態度で彼に返した。

 

「大佐、落ち着いて下さい。まだ連絡が取れなくなっただけですよ」

 

「向こうの連絡将校が国内軍が出動したというのもを確認してる、それにレニングラードの封鎖だって…!確実にやられたとしか思えん…!」

 

レニングラード市内の封鎖は大規模であったが故、何人かの潜伏中の協力者がいれば察知は出来た。

 

勿論市内は封鎖されて外出禁止令が出され、KGBが通信を傍受している以上情報の伝達は数日遅れるがレニングラードで何かあったことは知ることが出来る。

 

モスクワでの動きが確認された次の日にレニングラード一時封鎖、それら全てにはベルリン派が息をかけたロシア帝国復興戦線のメンバーが潜伏している。

 

これはもう制圧の為の動きとしか思えない。

 

「もしこれで我々の関与が発覚したらどうする……今のKGBに本気になられたら我々に勝ち目はないぞ…?」

 

「そう心配なさるなら手切りにしましょう。別に変わりはいくらでもおります」

 

「もう手遅れかもしれんぞ……覆えばアンドロポフ議長の視察もそういう意図だったやも…」

 

「先輩、落ち着いてください」

 

「落ち着いてなどいられるか!」

 

珍しくオスター大佐は声を荒げてヘフテン少佐の手を振り払った。

 

ロシア帝国復興戦線はアルゼンチンの本隊と合わせても100人に満たぬ小規模組織であり、それ故にソ連国内で一撃入れるには十分な存在だとして利用していた。

 

西ドイツ側の伝手も利用して武器を横流ししていたのもベルリン派であるし、死にかけのロシア帝国復興戦線に息を吹き込んだのもベルリン派である。

 

狂った思想の集団はベルリン派の痕跡が余りにも多すぎた。

 

「第一ソ連国内に混乱を齎すのが無理な話だったんだ…!レニングラードの封鎖も僅か1日で解いて日常が戻ってるらしいではないか…!」

 

「国内は、私も諦めましょう。ですが国外で、しかも近場で起きたことならアメリカ共々対応せざるを得ない」

 

「貴様何を始めるつもりだ?」

 

アクスマン中佐は人を嘲笑するような笑みを絶やさず、近くに貼ってある世界地図のところへ向かった。

 

そこで彼は極東アジア方面を指す。

 

「そもそも我々がクーデターを行けると思ったのは何故ですか?」

 

「それは韓国のハナ会が……まさか韓国か北で…?」

 

「いえ、あそこに手を回すのは最早難しいでしょう。接触した我々の同志も手応えがなかったと言っていましたし。ですからここです」

 

アクスマン中佐は韓国の少し下、同じ極東アジアのある島国を指した。

 

名は日本帝国、前の大戦の同じ敗北者である。

 

「日本…?確かに関係はあるが……」

 

日本と東ドイツ、西ドイツほどではないが関係はあった。

 

まず1973年に国交が成立しヴィスマルにも小規模だが特別大使館が設置されている。

 

BETA大戦によって最前線地域となった東西ドイツは、銃後に位置する日本帝国からすれば良い試験の舞台であった。

 

例えば信真や輝光など一部の志願義勇兵経験組は東西ドイツでの戦闘で経験を積み、その戦闘と戦術技術を本国に持ち帰った。

 

東ドイツとしても日本帝国の援助が国家を維持する為には不可欠であり、国交を維持していた。

 

そこへ付け込めると考えたのがアクスマン中佐らベルリン派であった。

 

「日本のサムライ…所謂武家階級というもの、今次戦争で大分苦境のようだ。しかも新しい指導者は既存の体制とウケが悪い」

 

「そして現状BETAの直接攻撃を受けていない地域、長引かせればハナ会の二の舞を避けたい国連軍は即座に介入してくる、と」

 

アクスマン中佐は頷いた。

 

「武家の軍隊が半分でも立ち上がれば鎮圧は難航するでしょう。アメリカは同盟国として、ソ連は周辺地域国として対応せざるを得ない」

 

「なるほど、確かに我々への注意が引けます!流石中佐!」

 

ヘフテン少佐はアクスマン中佐の策を素直に尊敬していたが、オスター大佐はえげつないことを考えると顔が引き攣っていた。

 

武家も帝政派も使いよう、要は役に立ってくれさえすればいいのだ。

 

機会主義者が故かアクスマン中佐はイデオロギーの違う者を使うことも大して苦に思わなかった。

 

「まずはもう一度日本に踊ってもらいましょう。サムライがどの程度役に立つか、お手並み拝見です」

 

彼らの邪悪な陰謀は極東にまで伝染しようとしていた。

 

そして不満を持っている者というものはこのような甘い言葉に弱い。

 

目にみえる理不尽を口にされ、疑問を呈されるだけで自身の正しさと相手への憎悪を何倍にも膨れ上がらせる。

 

武家の旧守派に、シュタージ式の甘言を跳ね除けられるほどの胆力は誰も持ち合わせていなかった。

 

 

 

 

 

-ポーランド人民共和国領 シロンスク県 チェンストホバ市 ソ連軍空軍基地-

ハイヴ内から撤退したフレツロフ少佐の中隊は原隊と合流し、チェンストホバの空軍基地に戻った。

 

そこでフレツロフ少佐は中佐への昇進と新連隊の連隊長就任を言い渡され、3日後にレーニン勲章と三等スヴォーロフ勲章、そしてソ連邦英雄勲章が授与された。

 

ちなみにフレツロフ新中佐は前回の戦いで三等クトゥーゾフ勲章を貰っている為、1つ上の勲章が与えられた。

 

当然だがハイヴ攻略戦を4回もやって生き残り、尚且つ最奥まで到達出来るような人材はソ連邦英雄を与えられる資格があった。

 

黄金に輝く金星が彼の礼服と常勤服の略綬の上に取り付けられている。

 

大祖国戦争で41年から生き残っている父すら頂くことのなかった栄誉だ、まさかこんなものが与えられるはと数日ほどフレツロフ中佐はソ連邦英雄勲章を眺めてぼーっとしていた。

 

歴代述べ1万人以上に与えられているとはいえソ連国民2億数千万人のうちの1万人以上だ、しかも全員を足したものであるから現代で換算すればもっと少ない。

 

フレツロフ中佐はいつの間にかその数少ない1万人の中に入ってしまったのである。*5

 

しかも少佐から中佐になり、通常の戦闘航空連隊よりも小規模ではあるが27機の戦術機部隊の長になってしまった。

 

連隊長としてフレツロフ中佐には執務室が与えられ、日夜連隊設立の為に必要な手続きを行なっていた。

 

この日もある程度仕事を終え、暇な時間には左胸の略綬の上についたソ連邦英雄の金星を眺めては空を見上げていた。

 

「どうせなら空戦で活躍して貰いたかったな…」

 

贅沢なことを言っているとドアをノックする音が聞こえた。

 

来客はなかったはずだがと訝しみながらもフレツロフ中佐は「入れ」と入室を許可した。

 

ドアが開き2人の空軍将校が入ってきた。

 

1人は見覚えがある友人だがもう1人は知らない女性将校だった。

 

「おおメデツィーニンじゃないか!あとそっちの人は誰?」

 

フレツロフ中佐は立ち上がり喜んだがすぐに誰か尋ねた。

 

覚えてる限りデルーギンにもあんな部下いなかったはずだ。

 

「お初にお目に掛かります。フレツロフ中佐の連隊に配属になりした、ナターリヤ・ルヴィロヴァ上級中尉です」

 

ルヴィロヴァ上級中尉は真面目な顔をして敬礼し、フレツロフ中佐に挨拶した。

 

先程まで和気藹々とメデツィーニン少佐と話しながら歩いてきたとは思えない表情だ。

 

「連隊のパイロットだ、お前と政治将校のブリツェンスキー君をサポートする。私とは航空産業省の開発局にいた頃からの仲だ、腕は保証するよ」

 

「私がヴィクトル・フレツロフだ、メデツィーニンお墨付きなら話は早い。上から無理難題押し付けられると思うが頑張ろう」

 

フレツロフ中佐は彼女と握手を交わし、挨拶を返した。

 

「中佐と少佐のご期待に添えるよう努力します」

 

「そう固くならず、折角来たんだ、ほら座って」

 

フレツロフ中佐は自身の執務室にあるソファーに座らせて棚から残してあった代用コーヒーの缶を出し、カップを3つ取り出した。

 

メデツィーニン少佐は立ち上がって「手伝おう」と申し出たがフレツロフ中佐は座らせておいた。

 

「いいから、まあ座ってろ」

 

すぐにカップに湯を入れて代用コーヒーを作り、2人に振る舞った。

 

「ソ連邦英雄の連隊長といえどこんなもてなししか出来ん、悪いな」

 

「いえ、お気遣いなく」

 

フレツロフ中佐は2人の反対側に座り、ソファーに深々と座り込んだ。

 

代用コーヒーを飲みながら2人の様子を見つめる。

 

メデツィーニンは相変わらず、傷はまだ残っているが今日は調子がいいのか普通に歩いていた。

 

一方のルヴィロヴァ上級中尉、フレツロフ中佐らと同じ一級パイロット徽章を制服につけている。

 

ソ連において女性の社会進出は西側よりも早く、特にパイロットに関しては初戦の航空戦力の損失も相待って大祖国戦争中から度々女性のエースパイロットという者も誕生した。

 

リディヤ・リトヴャク、エカチェリーナ・ブダノヴァ、マリーナ・ラスコーヴァ、オリガ・ヤムシィコヴァ、他にも数多くの女性パイロットが祖国の為に飛んでいった。

 

そしてそれと同じ現象は今次大戦でも発生した。

 

既に数多くの女性衛士がソ連空軍、ソ連防空軍に誕生し、ソ連邦英雄を獲得した衛士は両手では数えきれない程いた。

 

故にルヴィロヴァ上級中尉はそれほど珍しい存在ではなかった。

 

恐らく腕が立つのも事実だろうし、よく戦ってくれるだろう。

 

「それで2人は何用で来たんだ?」

 

「まあ新しい指揮官への挨拶と昇進祝いでも贈りにな」

 

メデツィーニン少佐は袋から1本の瓶を取り出してフレツロフ中佐に渡した。

 

中佐はその瓶を受け取るなりすぐに喜んだ。

 

「ストリチナヤじゃないか!いいのか貰って」

 

「ああ、おめでとうソ連邦英雄」

 

そう言ってメデツィーニン少佐は彼の肩を軽く叩いて昇進を祝った。

 

「俺は昇進したことよりもお前とまた一緒に働けるのが嬉しいよ。連隊参謀長の名前があってすぐ気づいた」

 

「私も初めて聴いた時驚いた、戦友達が一同に揃ってるんだからな」

 

メデツィーニン少佐も副連隊長のデルーギン少佐も、昇進したオルゼルスキー少佐も皆フレツロフ中佐の同期であり戦友であった。

 

かつては同じ中隊に属し、同じMiG-23でBETAと戦った仲だ。

 

皆それぞれがこの数年で経験を積み、そしてもう一度同じ部隊に指揮官として結集した。

 

飛べなくなった者、前より酒量が増えた者、先を越された者、気づけばソ連邦英雄になった者、皆変わったところもあれば変わらないところもある。

 

共に戦えるのは嬉しいことだ。

 

「欲を言えばお前も一緒に飛びたかった」

 

「参謀長として銃後に残るのも立派なお役目、そう言うな。お前がダメになった時は私がなんとか全員ハイヴから連れ出してやる。勿論上級中尉もな」

 

「少佐のご命令でしたら何なりと」

 

微笑を浮かべフレツロフ中佐は納得する素振りを見せた。

 

恐らくメデツィーニン少佐だって口ではああ言っていてもまだ飛びたいと思っているはずだ。

 

「ところで上級中尉の機体はまだMiG-27か?」

 

ふとメデツィーニン少佐が尋ねた。

 

現状この連隊に配備されるMiG-29はフレツロフ中佐とブリツェンスキー少佐の機体も合わせて10機である。

 

残りはMiG-27のままであり、司令部は段階的にMiG-27も全てMiG-29へ更新していく予定であった。

 

「はい、一応開発局での試作兵装を搭載していますが機体としてはMiG-27です」

 

「一応編隊としては俺とブリツェンスキーと組むことになる、だから29に続かなきゃいけないんだが…行けるか?」

 

「はい、お任せください」

 

フレツロフ中佐はメデツィーニン少佐の方を見た。

 

本人評価以外のところも知りたいのだ。

 

「まあ行けると思うぞ、ルヴィロヴァ上級中尉は実戦でも模擬戦でも優秀な成績を収めてる。それにお前らほどじゃないがハイヴ戦だってやってる。MiG-29に追随して編隊行動を組むくらいは出来るはずだ」

 

「そうか、何度か訓練もやるからそこで擦り合わせよう。ではよろしく頼むぞ上級中尉」

 

「はい!」

 

2人にルヴィロヴァ上級中尉は敬礼し、忠誠を誓った。

 

KGBが奮闘する裏でフレツロフ中佐にもまた大きな変化が訪れていた。

 

 

 

 

-日本帝国領 長野県 松代町 斯衛軍中部守護軍 斯衛第105大隊本部-

松代に展開する斯衛軍第105大隊は中部守護軍の野戦司令部を防衛する為に配置された部隊である。

 

平時における中部守護軍の司令部は名古屋にあるが、有事の際は松代の指揮所に移動する手筈となっていた。

 

その為105大隊は平時から充足率の高い精鋭部隊であり、練度は高かった。

 

そして今、松代の指揮所では多くの武家出身者が集まり、動員対象者として名簿確認が行われていた。

 

長野県に在住する武家の者で動員令が下された者は諏訪か松代の斯衛軍駐屯地で登録を行わなければならない。

 

とは言っても人数は日本軍の動員よりも少数であり、それほどの混乱はなかった。

 

基本的に動員されて来る者は下級武家の次男、三男坊や家格を金で買った戦後になって登場した新武家の者達であり、京都で繰り広げられている政治とは縁遠い者ばかりであった。

 

1980年代に入るまで斯衛軍は海外派兵を行なっていなかった為、一部の富裕層は家格を買って息子娘らを斯衛軍に入れていた。

 

これで兵役が来ても斯衛軍の人間であるからで徴兵を跳ね除けられるし、海外に派兵されることもない。

 

斯衛軍は一時期まで都合のいい兵役拒否の場所であった。

 

それがどういう訳か信真はいきなり大規模派兵と総動員を発表し、斯衛軍で兵役に就いた者達をかき集め出した。

 

発表を受け、慌てて武家の位を捨てる者もそれなりにいたが、信真が家格を捨てた者でも斯衛軍に勤めていたのであれば対象であると言ったことによって結局無駄に終わった。

 

そうした者達が日本帝国中で集められ、再び制服を着させられて兵として教育される。

 

既に現役の者達は船舶に乗ってアフリカへと目指しており、基本は留守番の兵隊であった。

 

それでも再び就く訳ないと思っていた兵役に連れて行かれるのはかなり絶望感があった。

 

幾つかの家は賄賂を払って動員逃れを行おうとしたがそれを聞きつけた信真は動員逃れは極刑であるとして逮捕を命じた。

 

見せしめに幾人かが既に逮捕され、消息不明となった。

 

一説では信真が自ら首を刎ねたとも言われているが恐らく嘘だろう。

 

今は1980年代、戦国の世ではないのだ。

 

「動員の登録は今日中に終わりそうですな、何よりだ」

 

中隊長弓崎甚佐大尉は上官の大隊長、村上之為中佐は小さく頷いた。

 

本来大隊長は少佐が適任であるとされているが、勤続年と村上家の血筋、そして大隊の任務の都合上中佐の大隊長となった。

 

なお彼の父も同じ第105大隊の大隊長を務め、大佐の地位で退役した。

 

「我ら斯衛もこれだけ大きくなった、引退した父もさぞかし誇り高かろう」

 

「ええ、やはり我ら斯衛軍こそが民の先頭に立たねば」

 

それに対し村上中佐は「ああ!」と力強く頷いた。

 

村上中佐に旧守、革新と言った政治思想はない。

 

ただ武家であり斯衛軍人の端くれとして民の前で戦う者でありたいと励んできた。

 

近年では数少ない正統派な武家の者である。

 

「おお村上殿、ここにおったか」

 

すると2人の背後から声をかけて来る者がいた。

 

斯衛軍中部守護軍司令、斯波廉光少将がいた。

 

斯波家は元々外様であったが家格替えで譜代に成り上がった一族である。

 

2人は直ちに敬礼し「何用でしょうか」と尋ねた。

 

「動員の様子を見て回っていた。愛知、静岡、山梨、そして長野とな。それにこの地はいざとなれば私が骨を埋める地、よくよく見ておきたい」

 

「骨を埋めるなどとんでもない。いざBETAが降ってこようとこの松代本部は堕ちませんよ」

 

村上中佐は指揮所の守備隊指揮官として自信を持って答えた。

 

実際この長野という地域はBETAが苦手とする地域である。

 

周りを山々で囲まれ、大規模兵力を投入しにくい。

 

BETAが西から来ようと東から来ようと大兵力が投入出来る地域は限られており、そこへ火力を投射ししっかりとした野戦陣地を敷いておけばそう易々と破れるものではない。

 

もし群馬方面から来るならば御代田、小諸と防いで、東吾妻から山道をくるなら上田で防ぎ、中津川から上がって来るならば飯田、箕輪、そして最後には諏訪、松本と防げる。

 

新潟から回って来るならばそれこそ飯山で迎え撃ち、弱ったところを逆襲すればいい。

 

最悪の場合、将軍も皇帝もここに移して最後まで戦えば確実に勝てるというのが斯衛軍の判断であり、松代に大本営を設置しようとした過去がある日本軍も否定はしなかった。

 

「村上殿の仰る通り、信州は天然の要害。そしてこの真田がいる限り松代にはBETAが指一本触れることなど出来ませんぞ」

 

「おお真田殿!しかし何故ここに?」

 

真田幸房斯衛軍少将、斯衛軍総監部の情報局長であり譜代の家である。

 

幸房の経歴は斯衛軍の中でも珍しいものであり、元は日本海軍大佐であり、彼の長男朝幸は日本陸軍中佐であった。

 

武家でありながら斯衛軍ではなく正規の日本軍に行く者は度々見受けられたが斯衛軍に戻る者はそう多くはなかった。

 

斯衛軍の狭い椅子を争うよりはまだ日本軍に行く方がマシだった。

 

幸房も最初は日本海軍で勤務し続けるつもりであったが信真の前の政威大将軍に斯衛軍に来るよう再三言われ、致し方なく戻ってきた。

 

以来斯衛軍の情報機関で働いており、今ではトップの総監部情報局長に就任した。

 

彼の側には局長補佐官の高梨中佐が控えていた。

 

ちなみに後に衛士として活躍する真田晃蔵大尉とは特に関係ない。

 

「里帰りとして帰参中であった、私も動員の様子を見に参っただけです」

 

「そうでしたか、ご子息の方はお元気ですか?」

 

「長男も次男も武家として恥じぬ戦いをしております。ところで斯波殿にお尋ねしたいことが」

 

「ほう、私でよければなんでも」

 

「では歩きながらで」

 

そう言って幸房と廉光は松代の指揮所を歩きながら話した。

 

平時は通常の庁舎にいるが、いざ戦時に移行すると地下に設置した指揮所に移動することになる。

 

幸房と廉光がいたのは庁舎の方であった。

 

「そういえば廉光殿の参謀達はドイツに行かれたそうですなぁ」

 

「ええ、我ら中部の守護も何人か派遣を出しますからな。前線国家ドイツでよく学んできてきたと思います」

 

「ほぉ、それはようございましたなぁ。東西ドイツ参加の交流会も出席したと」

 

「お詳しいですね、さすが情報局長。参謀達からは有意義な時間を過ごしたと聞き及んでいます」

 

幸房は微笑を浮かべていたが目の奥は笑っていなかった。

 

「なにやら1対1でも話し合うほど親密になったとも聞いておりますが」

 

「ほお、そのような話は聞いておりませんな。それに彼らそこまでドイツ語が達者だったとは」

 

「ああいやいや、もしかすれば別の者の話かも知れませぬ。お気になさらず」

 

「ああそうでしたか。おや、もうこんな時間か。幸房殿、私は他に用事がある故これにて」

 

軽く敬礼して廉光はその場を後にした。

 

同じように幸房と高梨中佐も敬礼を返して彼を見送り、姿が見えなくなった後に2人は口を開いた。

 

「……どうも彼奴は無関係のようじゃな、何せ奴は嘘がつけん男じゃからのお」

 

「ええ、となると参謀達の独断でしょうか」

 

「ああ、若い参謀が何人か勝手に連んだのだろう。面倒なことになった」

 

そういって2人は廊下から玄関口に行き、駐車場に停めてあった車に乗り込んだ。

 

「この事、猊下にお伝えしましょうか?」

 

高梨中佐は尋ねるが「いやぁ」と幸房は首を傾げた。

 

「もう少し確たる話が欲しい、暫し探らせよ。何がしたいかも気になる」

 

「はっ、各院に探らせます」

 

車は発進し、松代の指揮所を後にした。

 

車の中でふと幸房は呟いた。

 

「このままでは武家は滅ぶぞ」

 

 

 

 

-ソ連領 ロシアSFSR モスクワ州 首都モスクワ ルビャンカビル-

アンドロポフが帰国したのはレニングラードで起きた事態が全て済んだ後であった。

 

一連の事件が起きた時、丁度アンドロポフはベルリン派の巣窟である東ドイツにいた。

 

当然ドイツ支局のシュミット上級大将に対してもっと努力するようにと”()()”は行ったが、激怒したり説教をすることはなかった。

 

アンドロポフからすれば一連の事件はある程度彼の評価だと良好なものだった。

 

特殊作戦局と新設の”ヴィンペル”は期待通りの戦果を上げた、ジェルジンスキー師団や内務省の各隊とも協働は良好だった。

 

各局もレニングラード州局もよく働いており、モスクワの方は事前に察知して行動を起こされる前に撃退出来た。

 

レニングラードの方も非常事態においてKGBがどこまでやれるかのいい指標になった、何より一番大きいのはソ連側の死者が出なかったことだ。

 

しかもこれらの行動を議長(アンドロポフ)が不在の状態でも副議長らが中心となって成し遂げたことだ。

 

これでKGBという組織の能力が良い意味で明らかになった、であれば行動を起こしても問題ないだろう。

 

アンドロポフは安堵と安心に満ちた表情でソ連へと帰国した。

 

その光景は側から見ればかなり不気味であったが。

 

帰国後、アンドロポフはまずクレムリンに向かい、ブレジネフらと情報共有を行った。

 

彼らもKGBの働きにはかなり満足しており、2人の意見が特にぶつかることはなかった。

 

むしろその場にいたスースロフ、ブレジネフ、ウスチノフ元帥、コスイギンの全員が意見を一つにし、KGBに命令を下した。

 

それからアンドロポフはルビャンカの本部へ戻り局長達との会議を開いた。

 

まず議長代理としてよく働いた副議長ツィーネフ上級大将を労い、彼の行動を褒め称えた。

 

ツィーネフ上級大将はまんざらでもない気分になり、他の局長達もよくやったと直接アンドロポフから褒められた。

 

そして全員が集まったことで会議は始まった。

 

「尋問の結果、ロシア帝国復興戦線はアルゼンチンに本拠地を構えていることが判明しました」

 

報告書を片手にクリュチコフ大将は現状分かっている事を報告した。

 

「それで対処はどうするつもりだね?」

 

ツィーネフ上級大将が尋ねるとクリュチコフ大将は困ったような声音で答えた。

 

「それが……どうも”処理”されたらしく、アルゼンチンの本部はガスの爆発事故に巻き込まれて吹き飛びました。メンバーと思われる人員は全滅したかと」

 

「遅かったか……」

 

「どの道我らが手を下す必要は無くなったということだ。皆、よく対処してくれた」

 

アンドロポフは冷たく足らい、KGB各局の働きに賛美を送った。

 

そしてアンドロポフは次の議題に移った。

 

「今後は我々もより厳しい態度で外敵と対峙しなければならない。今までは防ぐだけだったがこれからは我々が攻めに向かう。根本的な原因を断たねば何度も繰り返すだけだ」

 

「と、仰られますと?」

 

グリゴレンコ大将はアンドロポフに聞き返した。

 

アンドロポフは一呼吸置いて全員に今後の指針を伝えた。

 

KGBとベルリン派の運命を決める指針を。

 

「ルビャンカに戻る前にブレジネフ第一書記らと話をしてきた。今後のことについて、我々に命令を下された」

 

局長達は皆食い入るようにアンドロポフの話を聞いた。

 

「ベルリン派を排除する、直接行動で首脳部の首を取り、残りは全て理由をつけて粛清する。我らにとって彼らは最早敵だ、敵は如何なる方法を取っても排除しなければならない」

 

会議室は一時的な静寂に包まれた。

 

この会議を皮切りにKGBはベルリン派の排除に動き出す、この瞬間から彼らはソ連の直接的な敵になったのだ。

 

アンドロポフは議長として各局に細かな命令を出した。

 

「第1総局は今まで通り情報収集に専念しろ、だが奴らの兆候をチェックし暗殺のタイミングと計画を練るんだ。そして特殊作戦局は第1総局と共同して暗殺計画を立案せよ。実働部隊の練度も今以上に高めるんだ」

 

「分かりました」

 

「お任せください」

 

クリュチコフ大将とラザレンコ中将は命令を受諾し頭を下げた。

 

それを見届けたアンドロポフは次に国内関係の部局に命令を出した。

 

「第2総局、第4局、第5総局、第6局、第7局も今まで通り監視を続けろ。国内の妙な兆候を見逃すな、特に経済は世界との密接な繋がりがあるからな」

 

グリゴリエンコ大将、アゲーエフ中将、ボブコフ中将、第6局長マラート・ソコロフ少将、第7局長ウラジーミル・ピロジュコフ中将は頷き命令を了承した。

 

経済監視の為にわざわざ第2総局のP部を第6局として独立させた、彼らの気合は万全だった。

 

「国境軍は国境の警備を厳とし、BETAであろうと人であろうとソ連に入れるな。第3総局も軍に対する防諜を忘れるな、国家人民軍とソ連軍の間をしっかり見張るんだ」

 

国境軍総司令マトロソフ上級大将、第3総局長ニコライ・ドゥーシン大将は静かに頷いた。

 

第3総局はソ連軍内の監視を担当しており、ベルリン派の接近を防いでいたのは彼らであった。

 

「第8総局はありとあらゆる暗号を解読し第1総局と特殊作戦局に伝達しろ。新鮮な情報は何より重要だ」

 

「はい!」

 

第8総局長ニコライ・アンドレーエフ技術少将は命令を受諾し力強く頷いた。

 

第8総局は暗号解読を担当する部局である、今まで数多くの暗号を解読しソ連の役に立ててきた。

 

「そして第9局、第15総局は今後このようなことがないよう施設警備を怠るな。党幹部の誰1人手を出させるな」

 

「ハッ!」

 

「お任せください」

 

第9局長ユーリー・ストロジェフ中将、第15総局長セルゲイ・アントノフ中将も同様に命令を受け入れた。

 

第9局はソ連党幹部の護衛が任務であり、第15総局は避難場所や核シェルターなど重要施設の警護が任務であった。

 

その為人員の面で特殊作戦局との関わりは強い。

 

主要な局に命令を出し終えたアンドロポフは最後に全員に命じた。

 

「我々はソヴィエトと人民の盾と剣、盾として人民を守護し、剣を以て奴らの首を刎ねよ。東ドイツから反ソ分子を一掃するのだ」

 

1982年6月、ベルリン派の物理的な排除が公式に決定された。

 

 

 

つづくかも

*1
半分ユダヤ人なのに

*2
『ロリータ』の作者、ウラジーミル・ナボコフの父

*3
半分ユダヤ人なのに

*4
史実ではドイツに在住

*5
普通に4個とか貰ってる奴の方がおかしい、なあジューコフ、ブレジネフ

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